【2026年・防災の日】糖尿病・高血圧の方の「災害への備え」|お薬・インスリンの備蓄と避難生活での血糖・血圧管理【田園調布・多摩川】

皆さま、こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。

まもなく9月1日の「防災の日」を迎えます。関東大震災の教訓を受け継ぐこの時期は、ご家庭の防災用品を見直す絶好のタイミングです。水や非常食の備えは意識されている方が多い一方で、意外と見落とされがちなのが「持病のあるご家族の医療の備え」です。

東日本大震災や熊本地震では、お薬やインスリンが手に入らず治療が中断したり、避難生活のストレスや食事の変化で血糖値・血圧が大きく悪化した方が数多く報告されました。今回は、日本糖尿病学会「糖尿病医療者のための災害時糖尿病診療マニュアル2024」や日本糖尿病協会の災害時サポートマニュアル、日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」の考え方をもとに、糖尿病・高血圧などの生活習慣病をお持ちの方の「災害への備え」を、田園調布・多摩川エリアの皆さまに向けて分かりやすく解説いたします。

なぜ持病のある方には「特別な備え」が必要なのか

大きな災害が起こると、医療機関や薬局も被災し、普段のお薬がすぐには手に入らない状況が起こり得ます。過去の大規模災害では、ライフラインの復旧や物流の正常化までに1〜2週間以上かかった地域も少なくありませんでした。

糖尿病や高血圧は「数日くらい薬を飲まなくても平気」と思われがちですが、治療の中断は高血糖・血圧上昇による体調悪化につながるだけでなく、避難生活のストレス・睡眠不足・食事の偏り・運動不足が重なることで、心筋梗塞や脳卒中といった重大な合併症のリスクを高めることが知られています。実際に、東日本大震災の被災地では災害後にHbA1c(過去1〜2か月の血糖の平均を反映する検査値)や血圧が悪化した患者さんが多かったことが報告されています。

ポイント|災害時に生活習慣病が悪化する3つの要因

① 治療の中断:お薬・インスリンが手に入らない、通院できない

② 食事の変化:非常食は炭水化物と塩分が多くなりがち

③ 環境の変化:ストレス・睡眠不足・運動不足・脱水

お薬の備えの基本|予備のお薬と「お薬手帳」

予備のお薬は「最低1週間分、できれば2週間分」

日本糖尿病協会の災害時サポートマニュアルでは、非常用持ち出し袋にお薬やインスリンの予備を入れておくことが勧められています。内服薬は最低でも1週間分、できれば2週間分を目安に、普段のお薬とは別に取り分けておくと安心です。受診のタイミングによっては手元のお薬に余裕がないこともありますので、残薬の状況はぜひ診察時にご相談ください。

「お薬手帳」は災害時の命綱

過去の大規模災害では、災害救助法が適用された地域において、処方箋がなくてもお薬手帳などの記録をもとに薬局でお薬を受け取れる特例措置がとられました。ご自身が「何の薬を・どのくらいの量で」飲んでいるかを正確に伝えられることが、災害時の治療継続の第一歩になります。

お薬手帳は「紙+スマホ写真」の二重備えを

お薬手帳そのものを持ち出せないことも想定し、手帳の最新ページをスマートフォンで撮影しておきましょう。ご家族のスマホにも共有しておくと、より安心です。電子お薬手帳アプリの活用も有用です。

インスリン・注射薬をお使いの方の備え

インスリンやGLP-1受容体作動薬などの注射薬をお使いの方は、災害時の備えがとくに重要です。1型糖尿病の方やインスリン分泌が大きく低下している方にとって、インスリンは中断できないお薬です。日本糖尿病協会のマニュアルでも、災害時にまず確保すべきものとしてインスリンが挙げられています。

メカニズム図解|インスリン備蓄の考え方

1 予備を確保:使いかけとは別に、未使用のインスリンと注射針・アルコール綿を非常用にひとまとめにしておく
2 温度に注意:未開封のインスリンは冷蔵(凍結厳禁)が基本ですが、使用中のものは直射日光と高温を避ければ室温で保管できます。停電で冷蔵庫が使えなくても、慌てて捨てないでください
3 情報を携帯:製剤名・単位数・注射のタイミングをお薬手帳や糖尿病連携手帳に記載し、スマホにも記録しておく
4 避難先で申し出る:避難所では「インスリンを使用している」ことを我慢せずに救護班へ伝える。過去の災害でもインスリンの供給体制が整えられてきました

重要|自己判断での中断がとくに危険なお薬

インスリン(とくに1型糖尿病の方は生命に関わります)

・ステロイド内服薬、抗凝固薬など、急な中断で悪化しうるお薬

・SGLT2阻害薬は、食事が十分とれない状況では脱水・ケトアシドーシス(血液が酸性に傾く危険な状態)のリスクがあるため、休薬の判断を含め医師・薬剤師にご相談ください

避難生活と血糖値|非常食との付き合い方・シックデイ

非常食は「炭水化物中心」になりがち

アルファ米・乾パン・カップ麺・菓子パンなど、保存性の高い非常食はどうしても炭水化物に偏り、血糖値が上がりやすいのが実情です。だからといって食事を抜くのは低血糖の危険があり逆効果です。備蓄品を選ぶ段階で、サバ缶などの魚・肉の缶詰、大豆製品、野菜ジュース、ナッツ類のようなたんぱく質・食物繊維源を意識して加えておくと、災害時にも血糖の急上昇(血糖値スパイク)を抑えやすくなります。

食べられないときは「シックデイ」の考え方で

体調不良やストレスで食事がとれないときの対応は、糖尿病診療でいう「シックデイ(体調の悪い日)」の考え方が役立ちます。水分をこまめにとること、食事量に応じてお薬を調整すること、低血糖に備えてブドウ糖や飴を携帯することが基本です。ご自身のシックデイルールを平時に主治医と決めておくことが、そのまま防災対策になります。

また、車中泊などで長時間同じ姿勢が続くと、エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症)のリスクが高まります。糖尿病・脂質異常症の方は血栓のリスクがもともと高めですので、意識的に足首を動かし、水分を控えないことが大切です。

高血圧の方の注意点|「災害高血圧」と塩分

災害時にはストレスや睡眠不足により血圧が普段より大きく上がる「災害高血圧」が知られており、被災後に心筋梗塞・脳卒中などの循環器疾患が増えることが報告されています。日本高血圧学会の「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」では、成人の降圧目標が原則130/80mmHg未満とされ、1日6g未満の減塩が引き続き推奨されています。

一方で、カップ麺や缶詰、レトルト食品などの非常食は塩分が多くなりがちです。麺類の汁は残す、減塩タイプの非常食を選んで備蓄する、野菜ジュースなどでカリウムを補う、といった工夫をあらかじめ「備蓄の段階」で仕込んでおきましょう。可能であれば家庭血圧計も避難用品と一緒に準備し、避難生活中も血圧を「見える化」できると安心です。

非常用持ち出し袋「医療の備え」チェックリスト

防災の日を機に、ご家族全員分について以下をチェックしてみてください。

医療の備え チェックリスト(防災の日版)

□ 内服薬の予備(最低1週間分、できれば2週間分)

□ お薬手帳(最新ページのスマホ写真も)

□ インスリン・注射針・アルコール綿の予備(使用中の方)

□ 血糖測定器・センサー・ブドウ糖(低血糖対策)

□ 家庭血圧計・記録ノート

□ 減塩・低糖質を意識した非常食(缶詰・大豆製品・野菜ジュースなど)

□ 保険証(マイナ保険証)・診察券・緊急連絡先のコピー

□ お子さまの母子手帳・アレルギーやかかりつけ情報のメモ

当院でお手伝いできること(田園調布・多摩川)

竹内内科小児科医院では、糖尿病内科・代謝内科・生活習慣病の診療の中で、災害への備えについてのご相談もお受けしております。診察の際に「防災用のお薬のことを相談したい」とお気軽にお声がけください。

具体的には、残薬の確認と処方日数のご相談、シックデイルールの整理、インスリンをお使いの方の災害時対応の確認、管理栄養士による備蓄食の栄養相談などが可能です。内科と小児科を併設しておりますので、お子さまからご高齢の方まで、ご家族全員分の「医療の備え」をまとめてご相談いただけるのが当院の強みです。土曜日も午前は診療しておりますので、平日お忙しい方もご利用ください。

防災の日に、お薬と血糖・血圧の「備え」の見直しを

糖尿病・高血圧・脂質異常症などで通院中の方は、次回の診察時に残薬とシックデイ対応をぜひご確認ください。健診で血糖値・血圧を指摘されたまま放置している方も、この機会にご相談を。

ご予約:WEB予約・WEB問診・LINE・お電話(03-3721-5222)にて承っております。詳しくは記事末尾のご案内をご覧ください。

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五良会グループでは、田園調布から白金高輪まで医師が連携しております。患者さまの転居やライフスタイルの変化に合わせて、同じグループ内で継続診療が受けられる体制を整えております。

参考文献

  1. 日本糖尿病学会 編. 糖尿病医療者のための災害時糖尿病診療マニュアル2024. 文光堂; 2024.
  2. 日本糖尿病協会「インスリンが必要な糖尿病患者さんのための災害時サポートマニュアル」 https://www.nittokyo.or.jp/uploads/files/disaster_manual.pdf (2026年8月閲覧)
  3. 日本高血圧学会. 高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025). ライフサイエンス出版; 2025.
  4. 日本糖尿病学会 編. 糖尿病診療ガイドライン2024. 南江堂; 2024.
  5. 日本糖尿病協会「糖尿病がある方へ(災害時の備え)」 https://www.nittokyo.or.jp/modules/patient/index.php?content_id=32 (2026年8月閲覧)

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日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医・日本旅行医学会認定医

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