【2026年夏休み】糖尿病の方の旅行・帰省ガイド|お薬・インスリンの持ち運びと「シックデイ」の備え【田園調布・多摩川】

皆さま、こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。

2026年の夏休みシーズンが本格的に始まりました。田園調布・多摩川エリアの患者さまからも、「お盆に実家へ帰省するのですが、薬はどうやって持って行けばいいですか?」「飛行機にインスリンは持ち込めますか?」「旅先で体調を崩したら、薬は飲み続けていいのでしょうか?」といった、糖尿病のお薬と旅行に関するご質問が増える時期です。

今回のブログでは、日本糖尿病学会の「シックデイ対策」に関する呼びかけ(2021年8月27日)や「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」(2022年7月26日改訂)、国立健康危機管理研究機構・糖尿病情報センターの旅行ガイダンスをもとに、糖尿病の方が安心して夏の旅行・帰省を楽しむための準備と、体調を崩したとき(シックデイ)のお薬のルールを、かかりつけ医の立場から分かりやすく解説いたします。

「旅行に行ってもいいのかな」と不安に感じている方にこそ、読んでいただきたい内容です。準備さえ整えれば、糖尿病があっても旅行をあきらめる必要はありません。

夏の旅行・帰省は、糖尿病の方にとって「血糖が乱れやすい」季節

旅行や帰省は、心身のリフレッシュになる大切な時間です。一方で、糖尿病の治療中の方にとって、夏の旅行は血糖値が普段より乱れやすい条件が重なりやすい場面でもあります。

  • 暑さと発汗による脱水——血液が濃縮し、高血糖や血栓のリスクが高まりやすくなります
  • 食事時間・内容の変化——外食や親戚の集まりでのごちそう、食事時間のずれ
  • 活動量の変化——観光でいつもよりたくさん歩く日もあれば、移動で座りっぱなしの日も
  • 生活リズムの変化——就寝・起床時間のずれ、服薬・注射のタイミングのずれ

だからこそ、「行かない」のではなく「準備をして行く」ことが大切です。以下、出発前・移動中・滞在中・体調不良時の順にポイントを整理いたします。

出発前の準備|お薬は「日数の2倍」を「分けて」持つ

国立健康危機管理研究機構・糖尿病情報センターの旅行ガイダンスでは、インスリンやGLP-1受容体作動薬などの注射薬、注射針、血糖測定の道具は、旅行日数に必要な量の「倍」を用意し、複数の荷物に分けて持つことが勧められています。紛失・破損・旅程の延長があっても対応できるようにするためです。

ポイント|出発前に整えておきたい4つの準備

① お薬・注射薬は日数の2倍:飲み薬も注射薬も、予備を含めて多めに。処方が足りない場合は早めに受診を

② 複数の荷物に分散:ご自身のバッグと同行者のバッグなど、2か所以上に分けて紛失に備える

③ おくすり手帳・糖尿病連携手帳を携行:旅先で受診する際、治療内容がすぐに伝わります

④ 海外の場合は英文の薬剤証明・診断書:注射薬の携行には英文証明があると安心です。当院でもご相談いただけます

また、かかりつけ医への出発前のひと言相談もおすすめしております。旅程(時差の有無、食事の予定、活動量)をお聞きした上で、服薬・注射のタイミングや、後述する「シックデイ」の際の具体的な指示を事前にお渡しできます。土曜午前も診療しておりますので、お仕事でお忙しい方もご利用ください。

飛行機に乗るとき|インスリン・注射薬は必ず手荷物に

飛行機を利用する場合、最も大切なルールは「インスリンなどの注射薬は預け荷物に入れず、必ず機内持ち込みの手荷物に入れる」ことです。上空の貨物室は低温になるため、預け荷物に入れると凍結してインスリンの効力が失われるおそれがあると糖尿病情報センターも注意喚起しています。

持ち物 手荷物(機内持ち込み) 預け荷物
インスリン・GLP-1受容体作動薬などの注射薬 ◎ 必ずこちらへ × 凍結の危険
注射針・血糖測定器・センサー ◎ 手荷物へ △ 破損・紛失のリスク
ブドウ糖・補食(ビスケットなど) ◎ すぐ取り出せる場所へ
飲み薬(予備の一部) ○ 基本は手荷物へ ○ 分散用の予備のみ

糖尿病治療のためのインスリンと注射器は、国内線・国際線とも機内への持ち込みが認められています。航空会社によっては事前の連絡や、機内で使用する場合の案内がありますので、予約時に「糖尿病でインスリンを使用している」ことを伝えておくとスムーズです。到着後も、真夏の車内やダッシュボードなど高温になる場所への置き忘れにはご注意ください。

旅行中の血糖管理|低血糖・脱水・食事の3つに注意

① 低血糖への備え

観光でいつもより長く歩いた日や、食事の時間が遅れたときは、低血糖が起こりやすくなります。特にインスリンやスルホニル尿素(SU)薬をお使いの方は、ブドウ糖をポケットやバッグのすぐ手が届くところに入れておき、食事が遅れそうなときのためにビスケットなどの補食も用意しておきましょう。

② 脱水対策

高血糖の状態では尿量が増え、夏の発汗と重なると脱水が進みやすくなります。こまめな水分補給(水やお茶など糖分を含まない飲み物)を心がけてください。甘い清涼飲料水での水分補給を続けると、血糖値がさらに上がる悪循環(いわゆるペットボトル症候群)につながることがあります。また、長時間の移動では旅行者血栓症(エコノミークラス症候群)の予防のためにも、水分補給と定期的に体を動かすことが勧められています。

③ 食事とお酒

帰省先でのごちそうや外食が続くときは、野菜から先に食べる・ゆっくり食べる・食後に軽く歩くだけでも食後血糖の上がり方は変わってきます。1〜2日の乱れを気に病むよりも、「旅行から帰ったら普段のリズムに戻す」ことを大切にしていただければ十分です。飲酒は低血糖にも高血糖にも傾く要因になりますので、量を決めて、必ず食事と一緒に楽しみましょう。

「シックデイ」の備え|体調を崩した日のお薬のルール

シックデイとは、糖尿病の治療中の方が発熱・下痢・嘔吐・食欲不振などで体調を崩した日のことです。日本糖尿病学会は、感染症の流行を機に「今一度シックデイ対策を」(2021年8月27日)として、事前にかかりつけ医と対応を確認しておくよう呼びかけています。旅先での食中毒や夏かぜ、熱中症など、夏はシックデイのきっかけが意外と多い季節です。

メカニズム図解|なぜ体調不良の日は血糖が乱れるのか

1 発熱・感染などの「体のストレス」:ストレスホルモンの影響でインスリンの効きが悪くなり、食べていなくても血糖値が上がることがあります
2 食事量の減少:一方で食事が摂れないと、いつも通りに薬を使った場合に低血糖の危険が出てきます
3 下痢・嘔吐・発汗による脱水:脱水が重なると、薬によっては重い副作用(ケトアシドーシスや乳酸アシドーシスなど)のリスクが高まります
! だから「シックデイのルール」が必要:高血糖と低血糖の両方向のリスクが同時に高まるため、事前に決めた対応が大切なのです

シックデイの基本対応(日本糖尿病学会の指針より)

水分補給を最優先し、安静にして早めに医療機関へ相談する

・2型糖尿病で食事量がいつもの半分以下になったら、飲み薬やインスリンの量の調整が必要になることがあります(自己判断せず、事前に決めた指示に従うか、かかりつけ医に相談を)

SGLT2阻害薬(ジャディアンス、フォシーガ、スーグラなど)は、日本糖尿病学会のRecommendation(2022年7月26日改訂)で「発熱・下痢・嘔吐などがあるとき、または食事が十分摂れない場合(シックデイ)には必ず休薬する」とされています

メトホルミン(メトグルコなど)も、発熱や下痢などで脱水のおそれがあるときは服用を続けず、かかりつけ医に相談することが勧められています

重要|1型糖尿病の方・インスリン治療中の方へ

・1型糖尿病の方は、食事が摂れなくてもインスリン注射を完全に中断してはいけません(ケトアシドーシスという危険な状態を招くおそれがあります)

・どのインスリンをどれだけ続けるかは体調や血糖値によって異なります。旅行前に必ず主治医とシックデイ時の具体的な指示を確認しておきましょう

当院では、糖尿病内科・代謝内科の外来で、お一人おひとりの処方内容に合わせた「シックデイカード」(体調不良時にどの薬を休み、どの薬を続けるかのメモ)をお作りしています。旅行前にお声がけください。

旅先でこんなときは医療機関へ|当院でできる出発前サポート

重要|旅先でも迷わず受診していただきたいサイン

・水分が摂れない、嘔吐や下痢が半日以上続く

・食事がほとんど摂れない状態が1日以上続く

・血糖値がいつもよりかなり高い状態が続く、または低血糖を繰り返す

・強い口の渇き・だるさ・意識がぼんやりする(高血糖による脱水・ケトアシドーシスの可能性)

・38度以上の発熱が続く、ぐったりしている

受診の際は、おくすり手帳や糖尿病連携手帳をお見せいただくと、初めての医療機関でも治療内容が正確に伝わります。マイナ保険証をお使いの場合も、お薬の情報共有がスムーズです。

当院でできる出発前サポート

竹内内科小児科医院では、糖尿病・生活習慣病でお通いの患者さまの旅行・帰省前に、次のようなサポートを行っております。

  • 旅程に合わせた服薬・インスリンのタイミング相談(時差のある海外渡航を含む)
  • シックデイ時の具体的な指示のご説明とシックデイカードの作成
  • 旅行日数に応じた処方日数の調整
  • 海外渡航の方への英文薬剤証明のご相談、トラベルワクチン・渡航前相談(姉妹院・五良会クリニック白金高輪と連携)

内科と小児科を併設しておりますので、お子さまの旅行前の体調チェックや常備薬のご相談も、ご家族一緒に承れます。田園調布・多摩川エリアのかかりつけ医として、ご家族みんなの「安心して出かけられる夏」をお手伝いいたします。

旅行前の受診チェックリスト

□ 旅行・帰省の日程と行き先(国内/海外、時差の有無)

□ 現在のお薬・インスリンの残量(日数の2倍あるか)

□ おくすり手帳・糖尿病連携手帳

□ シックデイのときの対応を主治医と確認したか

□ ブドウ糖・補食の準備(すぐ取り出せる場所に)

夏休みの旅行・帰省前のご相談は、お早めにどうぞ

糖尿病内科・代謝内科の外来で、旅行前の処方調整・シックデイ対策・英文薬剤証明のご相談を承っております。土曜は午前も診療しております。WEB予約・LINE・お電話(03-3721-5222)からご予約ください。

竹内内科小児科医院(東急東横線・目黒線 多摩川駅 徒歩5分)

参考文献

  1. 日本糖尿病学会「糖尿病患者の皆様へ:今一度シックデイ対策を」(2021年8月27日)https://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?content_id=242(2026年7月閲覧)
  2. 日本糖尿病学会「糖尿病治療におけるSGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」(2022年7月26日改訂)
  3. 国立健康危機管理研究機構 糖尿病情報センター「糖尿病の方の旅行」https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/080/010/10.html(2026年7月閲覧)
  4. JAL「糖尿病の治療のためにインスリンと注射器を機内に持ち込むことはできますか。」(航空会社FAQ、2026年7月閲覧)

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五良会グループでは、田園調布の竹内内科小児科医院、港区の五良会クリニック白金高輪、横浜市都筑区の五良ファミリークリニックセンター南(医療法人社団正友会)の医師が連携しております。患者さまの転居やライフスタイルの変化に合わせて、同じグループ内で継続診療が受けられる体制を整えております。より専門的な渡航相談は、姉妹院(五良会クリニック白金高輪)の渡航医学認定医2名(日本旅行医学会認定医:五藤良将、日本渡航医学会認定医:安達弘人医師)と連携してご対応いたします。

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Author: 五藤 良将