皆さま、こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。
お盆が過ぎ、朝夕に少しずつ秋の気配を感じる季節になりました。この時期になると、「風邪をひいたわけでもないのに、くしゃみと鼻水が止まらない」「子どもの咳が2週間以上続いている」というご相談が増えてまいります。実はその症状、秋の花粉症かもしれません。花粉症というと春のスギ・ヒノキが有名ですが、8月下旬から10月にかけては、ブタクサ・ヨモギ・カナムグラといった雑草の花粉が関東で多く飛散します。
今回のブログでは、『鼻アレルギー診療ガイドライン2024年版(改訂第10版)』の内容を踏まえ、秋の花粉症の原因植物と飛散時期、風邪との見分け方、お子さんに多い咳・喘息のような症状、意外と知られていない果物アレルギーとの関係、そして検査・治療まで、まとめて解説いたします。
春の花粉症の治療薬については、【2026年版】花粉症の治療薬と注射もあわせてご覧ください。
目次
1. 秋にも花粉症はある — 原因植物と飛散カレンダー
秋の花粉症の主な原因は、キク科のブタクサ・ヨモギ、アサ科のカナムグラという3つの雑草です。いずれも空き地や河川敷、道路脇など身近な場所に生えている植物で、関東では8月から10月に飛散し、ピークは9月です。ブタクサは飛散期間が長く、関東では12月頃まで飛ぶこともあります。
| 植物 | 分類 | 飛散時期(関東) | よく生えている場所 |
|---|---|---|---|
| ブタクサ | キク科 | 8〜10月(ピーク9月)、長いと12月まで | 河川敷、空き地、道路脇 |
| ヨモギ | キク科 | 8〜10月(ピーク9月) | 土手、公園、あぜ道 |
| カナムグラ | アサ科 | 8〜11月 | フェンス際、垣根、荒れ地 |
田園調布・多摩川エリアにお住まいの方は、多摩川の河川敷がまさにこれらの雑草の生育地です。秋の河川敷でのジョギング・散歩・お子さんのサッカーや野球のあとに症状が強く出る方は、秋花粉の可能性を考える必要があります。
2. 春の花粉症との違い — 「近所で発症する」秋花粉
スギ・ヒノキは背の高い樹木で、花粉は上空の風に乗って数十km以上飛びます。一方、ブタクサやヨモギは背の低い草なので、花粉の飛距離はせいぜい数十〜数百mです。つまり秋の花粉症は「遠くの山から飛んでくる」のではなく、生活圏のすぐ近くの草むらで浴びる花粉症です。この違いを知っておくと、対策が大きく変わります。原因の場所(通勤・通学路の空き地、河川敷など)を避けるだけで、症状がぐっと軽くなることがあるのです。
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ポイント|春と秋の花粉症のちがい ① 飛距離:スギは数十km飛ぶ/秋の雑草花粉は数十〜数百m。「近づかない」対策が有効です。 ② 飛ぶ時間帯:ブタクサ花粉は主に午前中に飛散します。朝の運動・洗濯物干しは要注意です。 ③ 粒子の大きさ:ブタクサ花粉はスギより小さく、気道の奥まで入りやすいため、咳や喘息のような症状につながりやすいのが特徴です。 |
3. 「長引く風邪」との見分け方
秋は夏かぜの流行の名残と季節の変わり目の寒暖差が重なり、鼻水や咳が出ても「風邪だろう」と考えてしまいがちです。目安になるポイントを表にまとめました。
| 症状 | 秋の花粉症 | 風邪(ウイルス感染) |
|---|---|---|
| 鼻水 | 透明でサラサラが続く | 数日で黄色く粘っこく変化 |
| 目のかゆみ | あることが多い | 通常ない |
| 発熱 | 基本的にない(あっても微熱) | あることが多い |
| くしゃみ | 連発する | 出ても数回 |
| 期間 | 2週間以上続く、天気・場所で変動 | 通常1〜2週間で改善 |
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秋はダニアレルギーも悪化しやすい季節です 夏に増殖したダニが秋に死骸・フンとなってハウスダスト中に増えるため、秋はダニ(ハウスダスト)アレルギーの症状も悪化しやすい時期です。「屋外より家の中、特に寝室で症状が強い」場合はダニが疑われます。花粉かダニかで対策も治療も変わるため、検査による原因特定が大切です。 |
4. お子さんは特に注意 — 咳・喘息のような症状が出やすい理由
メカニズム図解|ブタクサ花粉が「咳」を起こすしくみ
| 粒子が小さい:ブタクサ花粉はスギ花粉より小さく、鼻でキャッチしきれません。 | |
| 気道の奥まで届く:のど・気管支まで花粉が入り込み、粘膜でアレルギー反応が起こります。 | |
| 咳・ゼーゼーに:気道が敏感になり、長引く咳や喘息のような症状(喘鳴)が出ることがあります。 |
もともと気道が細いお子さんや、気管支喘息・喘息の既往があるお子さんでは、秋の花粉やダニの増加をきっかけに喘息発作が起こりやすくなることが知られています。実際、小児の喘息発作は9〜10月が1年で最も多い季節です。「運動した後や夜間・明け方にゼーゼーする」「咳で夜起きてしまう」場合は、早めにご相談ください。
当院は内科と小児科を併設しておりますので、お子さんの咳・鼻炎と、親御さんの花粉症を同じ窓口でまとめてご相談いただけます。ご家族そろっての秋のアレルギー対策は、田園調布の当院にお任せください。
5. 果物・野菜アレルギー(口腔アレルギー症候群)との関係
あまり知られていませんが、秋の花粉症の方は、特定の果物や野菜を食べたときに口の中がかゆくなる・イガイガする「口腔アレルギー症候群(OAS:Oral Allergy Syndrome)」を合併することがあります。花粉のアレルゲンと構造がよく似たタンパク質が果物・野菜に含まれているためで、「花粉−食物アレルギー症候群(PFAS)」とも呼ばれます。
| 原因花粉 | 注意したい果物・野菜の例 |
|---|---|
| ブタクサ | メロン、スイカ、キュウリなどウリ科、バナナ |
| ヨモギ | セロリ、ニンジン、スパイス類 |
「メロンを食べるとのどがかゆい」といった心当たりのある方は、診察時にぜひお伝えください。まれに強いアレルギー反応につながることもあるため、原因の確認が重要です。
6. 当院でできる検査 — 原因を特定するメリット
「秋に症状が出る」だけでは、ブタクサなのか、ヨモギなのか、ダニなのかは分かりません。原因を特定すると、①避けるべき場所・時期が明確になる、②治療の選択肢(ダニなら舌下免疫療法など)が広がる、③お子さんの喘息リスク評価に役立つという3つのメリットがあります。
当院では、指先からの少量の採血で20分程度で結果がわかるイムノキャップラピッド(注射が苦手なお子さんにも実施しやすい検査です)と、39項目のアレルゲンを一度に調べられるView39を行っています。ブタクサ・ヨモギ・ダニはいずれも検査項目に含まれます。詳しくはアレルギー検査(イムノキャップラピッド・View39)の解説記事をご覧ください。
7. 治療 — ガイドラインに基づく薬の選び方
治療は『鼻アレルギー診療ガイドライン2024年版(改訂第10版)』に基づき、症状の型(くしゃみ・鼻漏型か、鼻閉型か)と重症度に応じて選択します。
主な治療の選択肢
| 治療 | 特徴 |
|---|---|
| 第2世代抗ヒスタミン薬(内服) | 治療の基本。眠気の少ないタイプを、生活スタイル(車の運転・お仕事・受験勉強)に合わせて選びます。 |
| 鼻噴霧用ステロイド | 鼻づまりに特に有効。全身への影響はごくわずかで、小児にも使いやすい薬です。 |
| 抗アレルギー点眼薬 | 目のかゆみに。コンタクトレンズの方はご相談ください。 |
| 舌下免疫療法(スギ・ダニ) | 体質から改善する唯一の治療。ブタクサ用の製剤は国内にありませんが、秋の症状の背景にダニアレルギーが隠れている方は適応になることがあります。 |
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注意|ゾレア(オマリズマブ)は秋の花粉症には使えません 重症花粉症の注射薬ゾレアの保険適応はスギ花粉症(季節性アレルギー性鼻炎のうち、スギ花粉が原因で既存治療が不十分な重症の方)に限られています。ブタクサなど秋の花粉症は対象外です。春のスギ花粉症が重症の方は、花粉症の治療薬と注射の解説記事をご覧ください。 |
なお、スギ花粉症をお持ちの方は、今の時期(飛散していない秋)こそ舌下免疫療法の始めどきです。スギ花粉の飛散中は新規開始ができないため、来春に間に合わせるには秋のうちのスタートをおすすめしています。詳しくは舌下免疫療法(シダキュア)の解説記事をご覧ください。
8. 今日からできるセルフケア5か条
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秋花粉のセルフケア5か条 □ 草むら・河川敷に近づきすぎない(飛距離が短いので「避ける」が効果大) □ 午前中の屋外活動・洗濯物の外干しに注意(ブタクサは午前に飛びます) □ 外出時は不織布マスク・メガネを着用する □ 帰宅時に衣服を払い、洗顔・うがい・鼻をかむ □ 寝室のダニ対策もセットで(寝具の洗濯・掃除機がけ) |
9. 受診チェックリスト
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こんな方はご相談ください □ 透明な鼻水・くしゃみ・目のかゆみが2週間以上続いている □ 毎年同じ時期(8〜10月)に「風邪」をひいている気がする □ お子さんの咳が長引く、夜間・運動後にゼーゼーする □ メロン・スイカなどで口がかゆくなったことがある □ 市販薬で眠気が強い・効きが悪いと感じている |
10. よくあるご質問(FAQ)
Q. 秋の花粉症は何月まで続きますか?
A. 関東ではブタクサ・ヨモギは10月頃まで、カナムグラは11月頃までが目安です。ブタクサは長いと12月まで飛ぶことがあります。11月以降も症状が続く場合は、ダニ(ハウスダスト)や寒暖差など別の原因も考えられますので、検査をおすすめします。
Q. 市販の花粉症の薬でしのいでも大丈夫ですか?
A. 軽症であれば市販の抗ヒスタミン薬も選択肢ですが、「眠気が強い」「鼻づまりに効かない」場合は、医療機関では眠気の少ない薬や鼻噴霧ステロイドなど、症状の型に合わせた処方が可能です。また、原因がダニだった場合は対策そのものが変わります。長引く場合は一度ご受診ください。
Q. 子どもでもアレルギー検査はできますか?
A. 可能です。当院では指先からの少量採血で行えるイムノキャップラピッドを導入しており、注射が苦手なお子さんにも実施しやすくなっています。小児科併設ですので、検査から治療、喘息の管理まで一貫して対応いたします。
Q. 秋のうちにやっておくべき花粉症対策はありますか?
A. スギ花粉症をお持ちの方は、飛散していない秋が舌下免疫療法の始めどきです。また、10月以降はインフルエンザワクチンの接種時期とも重なりますので、アレルギーのご相談とあわせてご来院いただくと通院回数を減らせます。
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グループ内連携|五良会クリニック白金高輪(港区) 五良会クリニック白金高輪(1F 保険診療) |
五良会グループでは、田園調布の竹内内科小児科医院と港区の五良会クリニック白金高輪が連携し、ご家族のアレルギー診療を多角的にサポートしております。患者さまのライフスタイルや転居に合わせて、同じグループ内で継続診療が受けられる体制を整えております。
参考文献
- 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会(編). 鼻アレルギー診療ガイドライン―通年性鼻炎と花粉症―2024年版(改訂第10版). ライフ・サイエンス, 2024.
- 環境省「花粉症環境保健マニュアル2022」(2026年8月閲覧)
- ウェザーニュース「花粉カレンダー(関東)」https://weathernews.jp/pollen/calendar.html(2026年8月閲覧)
- 日本小児アレルギー学会(編). 小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2023. 協和企画, 2023.
- 日本アレルギー学会. アレルギー総合ガイドライン(花粉−食物アレルギー症候群の項).
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療は診察のうえでご案内いたします。
竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将
日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医・日本旅行医学会認定医