皆さま、こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。
2026年の春も、スギ花粉に悩まされた方が多かったのではないでしょうか。「毎年つらいのに、シーズンが終わるとつい忘れてしまう」——そんなお声を、田園調布・多摩川周辺の患者さまから毎年のようにお聞きします。実は、花粉症の体質そのものに働きかける治療「舌下免疫療法」を始められるのは、花粉が飛んでいない今の季節だけなのです。
今回のブログでは、日本アレルギー学会・日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会による「鼻アレルギー診療ガイドライン2024年版(改訂第10版)」と最新の添付文書情報に基づき、スギ花粉症の舌下免疫療法(シダキュア)とダニアレルギーの舌下免疫療法(ミティキュア)について、始めどき・効果・費用・注意点を徹底解説いたします。
春の対症療法(お薬・注射)については、こちらの記事もあわせてご覧ください:花粉症の治療薬と注射
目次
なぜ「夏」が始めどき?——開始できるのは6月〜12月だけ
スギ花粉症の舌下免疫療法は、スギ花粉が飛散している時期(おおむね1月〜5月)には新しく始めることができません。花粉が体内に入ってくる時期に治療用のスギ花粉エキスを追加すると、アレルギー反応が強く出やすくなるためです。
つまり、新規に開始できるのは6月から12月まで。来年の春に効果を間に合わせるには、体が治療に慣れる期間を考慮して、遅くとも秋口まで、できれば夏のうちに始めるのが理想的です。
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ポイント|今(7月)始めるメリット ① 来春に間に合う:開始から数か月で効果が現れ始め、最初の花粉シーズンから症状軽減が期待できます ② 供給が安定:2024年から続いていたシダキュアの出荷調整は、2026年に入り安定しつつあり、新規の方も始めやすくなりました ③ 夏休みを活用:初回は院内で服用して30分の経過観察が必要なため、時間に余裕のある夏休みはお子さまの開始に最適です |
舌下免疫療法とは——体質から変える唯一の治療法
飲み薬や点鼻薬・注射といった従来の治療は、あくまで「その場の症状を抑える」対症療法です。これに対して舌下免疫療法(SLIT=舌下アレルゲン免疫療法)は、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を毎日少量ずつ体に取り込み、体を慣らしていくことで、アレルギー体質そのものの改善を目指す治療法です。
「鼻アレルギー診療ガイドライン2024年版(改訂第10版)」でも、アレルゲン免疫療法は長期的な効果が期待できる治療として位置づけられており、スギ花粉舌下錠については一部の患者さんでヒノキ花粉症にも効果がみられることが新たに記載されました。
メカニズム図解|舌下免疫療法が効くしくみ
| 毎日少量のアレルゲンを舌の下に:治療薬(スギ花粉エキスの錠剤)を舌下で1分間保持し、飲み込みます | |
| 免疫細胞が「敵ではない」と学習:口の粘膜から取り込まれたアレルゲンにより、免疫のバランスが少しずつ変化します(制御性T細胞の誘導) | |
| アレルギー反応を起こす抗体が減少:症状を引き起こすIgE抗体の働きが抑えられ、ブロックする抗体(IgG4)が増えていきます | |
| 花粉が飛んでも症状が出にくい体質へ:3〜5年の継続で、治療終了後も効果が長く持続することが報告されています |
シダキュアの実際——スケジュール・効果・費用
スギ花粉症の舌下免疫療法薬シダキュア スギ花粉舌下錠(鳥居薬品)は、2017年9月に国内製造販売承認を取得し、2018年6月29日から処方が始まった保険適用のお薬です。
服用スケジュール
| 時期 | 用量 | 服用方法 |
|---|---|---|
| 開始1週目 | 2,000JAUを1日1回1錠 | 舌の下に置いて1分間保持してから飲み込む。その後5分間はうがい・飲食を控える |
| 2週目以降(維持期) | 5,000JAUを1日1回1錠 |
初回の服用のみ、安全確認のため院内で服用していただき、30分間の経過観察を行います。2回目からはご自宅で毎日服用し、月1回程度の通院で経過を確認しながら処方を継続します。
効果と治療期間
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エビデンス|どのくらい効くの? ・国内の臨床試験・実臨床報告では、約7〜8割の方で症状の改善がみられたと報告されています ・くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみの軽減に加え、飲み薬の使用量を減らせる効果も期待できます ・推奨される治療期間は3〜5年。長く続けるほど、治療終了後の効果の持続が期待できます |
費用の目安(保険適用・3割負担)
薬剤費は3割負担で月あたりおおよそ2,000円前後(このほか診察料・調剤料等がかかります)。毎日続ける治療としては負担を抑えやすく、お子さまは大田区の子ども医療費助成の対象となるため、自己負担はさらに軽くなります。詳しくは受診時にご説明いたします。
ダニアレルギー(ミティキュア)は一年中始められます
「花粉の季節以外も、一年中鼻炎がつらい」という方は、ダニ(ハウスダスト)による通年性アレルギー性鼻炎の可能性があります。ダニアレルギーの舌下免疫療法薬ミティキュア ダニ舌下錠は、スギと違って飛散時期の制約がないため、季節を問わずいつでも開始できます。
当院では、採血によるアレルギー検査(特異的IgE検査)でスギ・ダニ・ヒノキなどの原因を確認したうえで、治療の適応を判断いたします。スギとダニの両方に陽性の方では、両方の舌下免疫療法を併用できる場合もありますので、ご相談ください。
お子さんも5歳ごろから——親子で一緒に治療できます
シダキュア・ミティキュアの臨床試験は5歳以上のお子さんを対象に行われており、実際の診療でも5歳ごろから開始できるのが一般的です。「錠剤を舌の下で1分間じっとしていられるか」が目安になります。
スギ花粉症は年々低年齢化しており、小学生での発症も珍しくありません。お子さんのうちに舌下免疫療法を始めることで、これから何十年と続くはずだった花粉症の悩みを軽くできる可能性があります。受験期を症状に悩まされずに迎えたい、というご相談も増えています。
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ポイント|内科・小児科併設の当院ならでは ① 親子で同じ日に受診OK:お父さま・お母さまの治療とお子さまの治療を、同じ診察室でまとめてご相談いただけます ② 土曜午前も診療:共働きのご家庭でも、月1回の通院を無理なく続けられます ③ 当日WEB予約対応:CLINICSアプリ・LINEから当日でもご予約いただけます |
副作用と注意点——安全に続けるために
舌下免疫療法は自宅で続けられる安全性の高い治療ですが、アレルゲンそのものを体に入れる治療のため、副作用への正しい理解が大切です。
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比較的よくみられる副作用(多くは開始初期・軽症) ・口の中のかゆみ・違和感、唇や口内の腫れ ・のどの刺激感、耳のかゆみ 多くは服用開始から数週間でおさまります。症状が続く場合は服用を中断せず、まずご相談ください。 |
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重要|すぐに受診が必要なサイン(まれですが重要です) ・じんましんが全身に広がる、顔全体が腫れる ・呼吸が苦しい、ゼーゼーする、声がかすれる ・強い腹痛・嘔吐、ぐったりして意識がもうろうとする アナフィラキシーの可能性があります。ためらわず救急要請(119番)してください。 |
また、服用前後2時間程度は激しい運動・入浴・飲酒を避けていただきます(血行が良くなると副作用が出やすくなるため)。喘息の状態が不安定な方、重い心疾患のある方などは治療できない場合がありますので、初診時に詳しくお伺いいたします。
よくあるご質問
| ご質問 | お答え |
|---|---|
| 今年の春はもう症状が出ませんか? | 効果には個人差があります。初年度から改善を実感される方が多い一方、効果が安定するまで2〜3シーズンかかる場合もあります。「必ず治る」治療ではありませんが、長期的な体質改善が期待できる治療です。 |
| 毎日忘れずに続けられるか不安です | 歯みがきなど毎日の習慣とセットにするのがおすすめです。飲み忘れた日があっても翌日から再開すれば問題ありません(長期間中断した場合はご相談ください)。 |
| 薬が品薄と聞きましたが大丈夫ですか? | 2024年から続いていた出荷調整は、2026年に入り安定しつつあります。在庫状況により開始をお待ちいただく場合がありますので、まずはお早めにご相談ください。 |
| ヒノキ花粉にも効きますか? | 鼻アレルギー診療ガイドライン2024年版では、スギ花粉舌下錠が一部の患者さんでヒノキ花粉症にも効果を示すことが記載されています。ただし主な対象はあくまでスギ花粉症です。 |
| 通院はどのくらいの頻度ですか? | 開始直後は1〜2週間後、その後は月1回程度の通院です。安定期には長期処方のご相談も可能です。 |
受診の流れと予約方法
当院では、初診→アレルギー検査(採血)→結果説明・適応判断→初回服用(院内で30分観察)→月1回の継続処方という流れで治療を進めます。過去1年以内に他院でアレルギー検査を受けた方は、結果をお持ちいただければ採血を省略できる場合があります。
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受診前チェックリスト □ 毎年の花粉症の症状と時期(いつ頃からつらいか) □ 過去のアレルギー検査結果(お持ちの方) □ 服用中のお薬・お薬手帳 □ 喘息・その他の持病の有無 □ お子さまの場合:錠剤を舌の下で1分間保持できそうか |
ご予約は、記事末尾のWEB予約(CLINICS)・LINE・お電話(03-3721-5222)からどうぞ。当日のWEB予約にも対応しております。
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五良会グループでは、田園調布の竹内内科小児科医院と港区の五良会クリニック白金高輪が連携し、アレルギー診療を多角的にサポートしております。患者さまの転居やライフスタイルの変化に合わせて、同じグループ内で継続診療が受けられる体制を整えております。
参考文献
- 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会 鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会編. 鼻アレルギー診療ガイドライン―通年性鼻炎と花粉症―2024年版(改訂第10版). ライフ・サイエンス; 2024.
- 鳥居薬品株式会社「シダキュア スギ花粉舌下錠2,000JAU・5,000JAU 添付文書・インタビューフォーム」(2026年7月閲覧)
- 鳥居薬品株式会社「ミティキュア ダニ舌下錠 添付文書」(2026年7月閲覧)
- PMDA(医薬品医療機器総合機構)「シダキュアスギ花粉舌下錠 審議結果報告書」2017年9月(2026年7月閲覧)
- 厚生労働省「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針」(2026年7月閲覧)
竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将
日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医・日本旅行医学会認定医