皆さま、こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。
「来春から家族でシンガポールに赴任することになったのですが、子どもの分も含めて何を打てばいいでしょうか」「高校生の娘がアメリカ留学するのに、学校から予防接種の証明書を求められて困っています」——最近、田園調布・大田区にお住まいのご家族から、こうしたトラベルワクチンのご相談が本当に増えました。海外赴任・留学は、ご本人だけでなくお子さまの健康・安全に直結する大きなライフイベントです。
本記事は、厚生労働省検疫所(FORTH)の最新情報、CDC Yellow Book 2026、および各学会の指針をもとに、「家族での海外赴任」「子どもの留学準備」という2つのシーンに絞って、必要なワクチン・接種スケジュール・英文証明書の準備までを、田園調布のかかりつけ医の視点でわかりやすく整理いたします。当院は内科と小児科を同じ医師が併診できる強みを活かし、ご家族そろっての渡航準備をサポートいたします。
目次
1. まず知っておきたい「渡航ワクチンの2つの役割」
厚生労働省検疫所(FORTH)によれば、海外渡航者の予防接種には大きく2つの側面があります。
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ポイント|渡航ワクチンの2つの役割 ① 入国・入学の「条件」を満たす:黄熱の予防接種証明書(イエローカード)を要求する国や、留学時にワクチン証明書の提出を求める学校があります。 ② 自分と家族を「感染症から守る」:日本にはない、あるいは日本より感染リスクの高い病気から身を守り、周囲への二次感染も防ぎます。 |
必要なワクチンは、渡航先・滞在期間・渡航形態(観光か長期滞在か)・年齢・健康状態・過去の接種歴によって大きく変わります。「短期の出張だから大丈夫」と思っていても、狂犬病・髄膜炎菌・A型肝炎などは現地での発症が命に関わることがあります。まずはご家族一人ひとりの状況を医師にお聞かせください。
2. 家族での海外赴任|大人と子ども、それぞれ何を打つ?
ご家族での赴任では、「大人(就労者本人・配偶者)」と「子ども(帯同するお子さま)」で必要なワクチンの考え方が異なる点に注意が必要です。
大人(赴任者ご本人・配偶者)の場合
成人では、幼少期の定期接種から時間が経ち、免疫が低下している場合があります。特に破傷風は12歳頃の接種から20年ほどで免疫が低下するため、追加接種が推奨されます。渡航先に応じて、A型肝炎・B型肝炎・破傷風・狂犬病・腸チフス・日本脳炎・髄膜炎菌などを検討します。
子ども(帯同するお子さま)の場合
お子さまの場合、まず日本の定期接種(4種混合・MR・水痘・B型肝炎・日本脳炎など)が年齢相応にすべて完了しているかの確認が最優先です。国立感染症研究所の予防接種スケジュールに沿って、未接種・接種漏れがないかを母子手帳で確認し、その上で渡航先特有のワクチン(A型肝炎など)を追加します。
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赴任前に必ず母子手帳をご準備ください お子さまの接種歴が不明だと、必要以上に接種することになったり、逆に不足したまま渡航してしまうことがあります。母子手帳が見つからない場合は、抗体検査(血液検査)で免疫の有無を確認する方法もあります。当院は小児科を併設しているため、お子さまの定期接種の確認から渡航ワクチンまで、同じ医師が一貫して対応いたします。 |
3. 子どもの留学準備|学校が求めるワクチンと英文証明書
お子さまの留学(特に欧米の大学・高校)では、感染症予防だけでなく「学校が入学の条件として求めるワクチン証明書」への対応が欠かせません。提出が間に合わないと入寮・登校ができないケースもあるため、早めの準備が重要です。
米国の学校では、以下のワクチンの接種証明を求められることが一般的です。
| ワクチン | 留学(特に米国)で求められる背景 |
|---|---|
| MMR(麻疹・おたふく・風疹) | ほぼ必須。2回接種の記録、または抗体価の証明を求められる。 |
| 髄膜炎菌(4価+B群) | 寮生活は感染リスクが高く、4価(メンクアッドフィ)に加えてB群(Bexsero)を求める学校が増加。 |
| Tdap(百日咳・破傷風・ジフテリア) | 思春期・成人の追加接種として求められることが多い。 |
| 水痘(みずぼうそう) | 罹患歴・接種歴の証明、または抗体価の証明。 |
| B型肝炎 | 3回接種の記録を求められることが多い。 |
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ポイント|髄膜炎菌は「4価+B群」の両方が必要なことも 従来の4価ワクチン(A・C・Y・W-135群をカバーするメンクアッドフィ)ではB群を予防できません。近年、米国留学ではB群ワクチン(Bexsero)も併せて求められるケースが増えています。学校からの指定書類を見せていただければ、どのワクチンが不足しているかを医師が確認いたします。 |
当院では、留学先の指定フォーマットに合わせた英文の接種証明書・健康診断書を作成しております。学校ごとに求められる項目が異なるため、指定書類をお持ちいただくとスムーズです。
4. 渡航先別・推奨ワクチン早見表
下表は厚労省FORTH・CDCの情報をもとにした一般的な目安です。実際に必要なワクチンは滞在都市・期間・活動内容で変わりますので、必ず医師にご相談ください。
| 地域 | 代表的な国 | 検討する主なワクチン |
|---|---|---|
| 東南アジア | タイ・ベトナム・シンガポール・インドネシア | A型肝炎、B型肝炎、破傷風、(地方滞在)日本脳炎・狂犬病・腸チフス |
| 南アジア | インド・ネパール・スリランカ | A型・B型肝炎、破傷風、腸チフス、狂犬病、日本脳炎、(流行地)ポリオ追加 |
| アフリカ・中南米 | ケニア・ブラジル・ペルー | 黄熱(指定検疫所のみ)、A型・B型肝炎、破傷風、腸チフス、髄膜炎菌、狂犬病 |
| 欧州・北米・オセアニア | アメリカ・カナダ・イギリス・豪州 | MR(麻疹)抗体確認、Tdap、(留学)髄膜炎菌4価+B群、B型肝炎 |
| 中東(サウジ巡礼) | サウジアラビア | 髄膜炎菌(必須)、A型肝炎、破傷風 |
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重要|黄熱ワクチンは当院では接種できません 黄熱ワクチンは厚生労働省指定の検疫所(東京検疫所・横浜検疫所など)でのみ接種可能です。アフリカ・南米の熱帯地域では入国時に接種証明書(イエローカード)の提示を求められる国があります。当院では、他のワクチンとのスケジュール調整のご相談を承ります。 |
5. 接種スケジュールの立て方|「出発2〜3か月前」が鍵
FORTHは「予防接種の計画は、できるだけ出発の3か月以上前から」と推奨しています。A型肝炎・B型肝炎・狂犬病などは複数回の接種が必要で、規定の間隔を空けて打つため、直前では間に合わないことがあるからです。
スケジュール図解|家族赴任・留学の準備の流れ
| 出発3か月前|相談・計画:渡航先・期間・家族構成・接種歴(母子手帳)を確認し、接種計画を作成します。 | |
| 2〜1か月前|1〜2回目接種:複数回必要なワクチンの初回・2回目を接種。必要に応じて抗体検査を実施します。 | |
| 出発直前|最終接種・証明書発行:残りの接種を完了し、英文接種証明書をお渡しします(通常1週間程度)。 | |
| 出発|安心して渡航:必要なワクチンと証明書を揃えて、ご家族で安心して出発できます。 |
出発まで時間がない場合も、あきらめずにご相談ください。A型・B型肝炎混合の輸入ワクチン(Twinrix)には最短スケジュールでの対応があり、姉妹院の五良会クリニック白金高輪では渡航医学認定医による迅速スケジュールのご相談も可能です。
6. 見落としがちな「日本国内の流行」対策(麻疹・百日咳)
渡航ワクチンというと海外の病気に目が向きがちですが、2026年は日本国内で麻疹(はしか)が急拡大しています。国立健康危機管理研究機構の報告では、2026年4月時点で報告数が前年同時期の約3.8倍に達し、成人(20歳以上)が患者の約6割を占めています。海外からの流入例も多く、渡航前後の感染リスクは決して低くありません。
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1972〜1990年生まれの方は特にご注意を この世代は麻疹ワクチンが1回接種のみだった時期にあたり、十分な免疫を持っていない可能性があります。赴任者ご本人(働き世代)が該当することが多いため、渡航前に抗体検査と必要に応じたMR追加接種を強くおすすめします。 |
また、百日咳の予防として、思春期・成人の3種混合(DTap)またはTdapの追加接種も、お子さまや同居のご家族を守るうえで有効です。渡航準備と合わせて、ご家族全体の免疫を整えておくことをおすすめいたします。
7. 当院のトラベルワクチン外来・英文証明書について
竹内内科小児科医院のトラベルワクチン外来では、以下に対応しております。
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当院のトラベルワクチン外来の特長 □ 渡航先・期間・活動内容に応じた個別の接種プランのご提案 □ 輸入ワクチンにも対応(A型肝炎ハブリックス、A/B型肝炎混合Twinrix、狂犬病ChiroRab、髄膜炎菌B群Bexsero、Tdap Boostrix、MMR-Ⅱなど) □ 内科・小児科併設だから、ご家族そろって受診・相談が可能 □ 英文の接種証明書・健康診断書を発行(留学・赴任先の指定書式に対応) □ 土曜午前も診療、共働き世帯のご家族も準備しやすい体制 |
トラベルワクチンは全額自費診療となります。料金・在庫は渡航ワクチンの種類により異なりますので、希望日の1〜2週間前までにお電話またはLINEでご相談ください。当院では中学生以上を主な対象としておりますが、帯同されるお子さまの定期接種の確認・小児のワクチンについても小児科としてご相談を承ります。
8. 受診前チェックリスト
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受診前チェックリスト(ご家族分をまとめてご準備ください) □ 渡航先の国・都市、滞在期間、出発予定日 □ 渡航目的(赴任・留学・観光)と活動内容(都市部か地方部か) □ ご家族全員の母子手帳・接種記録 □ 留学の場合は学校指定のワクチン証明フォーマット □ アレルギー歴・持病・服用中のお薬 □ 英文証明書が必要かどうか |
9. よくあるご質問(FAQ)
Q1. 出発まであと1か月しかありません。間に合いますか?
可能な範囲で対応いたします。優先順位の高いワクチンから接種し、A/B型肝炎については輸入Twinrixの迅速スケジュールもあります。まずはお早めにご相談ください。
Q2. 子どもの母子手帳が見つかりません。
接種歴が不明な場合は、麻疹・風疹・水痘・おたふく・B型肝炎などの抗体検査(血液検査)で免疫の有無を確認し、必要なワクチンだけを接種する方法があります。
Q3. 家族で同時に受診できますか?
はい。当院は内科・小児科併設のため、ご夫婦とお子さまが同じ日に、同じ医師に相談・接種することが可能です。土曜午前も診療しております。
Q4. 複数のワクチンを同時に打てますか?
複数ワクチンの同時接種が可能です(種類・組み合わせにより一部制限あり)。渡航までの期間に応じて最適なスケジュールをご提案します。
Q5. より専門的な渡航相談をしたいのですが。
長期駐在・特殊地域(髄膜炎ベルト・南米黄熱地域)・高地渡航などのご相談は、姉妹院の五良会クリニック白金高輪の渡航医学認定医と連携してご対応いたします(下記参照)。
参考文献
- 厚生労働省検疫所(FORTH)「海外渡航のためのワクチン」https://www.forth.go.jp/useful/vaccination.html(2026年7月閲覧)
- CDC. CDC Yellow Book 2026: Health Information for International Travel. Centers for Disease Control and Prevention, 2025.
- 国立感染症研究所「予防接種スケジュール」https://www.niid.go.jp/niid/ja/vaccine-j/2525-v-schedule.html(2026年7月閲覧)
- 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト「麻しん(はしか)の発生状況について」(2026年)https://id-info.jihs.go.jp/relevant-information/measles/(2026年7月閲覧)
- 日本小児科学会「2026年における麻疹患者数増加に関する注意喚起」(2026年)
- WHO. International travel and health(2026年7月閲覧)
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五良会グループでは、田園調布の竹内内科小児科医院と港区の五良会クリニック白金高輪が連携し、ご家族の海外渡航準備を多角的にサポートしております。より専門的な渡航相談は、姉妹院(五良会クリニック白金高輪)の渡航医学認定医2名(日本旅行医学会認定医:五藤良将、日本渡航医学会認定医:安達弘人医師)と連携してご対応いたします。患者さまの転居やライフスタイルの変化に合わせて、同じグループ内で継続診療が受けられる体制を整えております。
竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将
日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医・日本旅行医学会認定医