【医師監修】プラセンタ注射は本当に効く?メルスモンとラエンネックの選び方から献血制限まで徹底解説

プラセンタ注射は、美容クリニックだけでなく、内科・婦人科でも保険適用として使われている医療行為です。「疲れが取れない」「肌のハリがなくなってきた」「更年期の症状がつらい」——そんなお悩みをお持ちの方に、医学的な視点からプラセンタ注射についてお伝えいたします。

続編を公開しました(2026年10月)

【院長 五藤良将】メルスモン注射で更年期障害を保険治療するときに大切なこと|SMI・甲状腺の鑑別・加味逍遙散・HRTまで解説

更年期障害の診断の考え方、SMI(簡略更年期指数)の使い方、甲状腺機能低下症などの鑑別、加味逍遙散やHRTとの使い分け、そして2026年10月1日から変わったプラセンタ使用後の献血基準まで、保険診療で大切なことを詳しくまとめました。

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1. プラセンタとは何か?——胎盤の医学的な役割

プラセンタ(Placenta)とは「胎盤」のことです。胎盤は妊娠中にのみ形成される臨時の臓器であり、母体と胎児をつなぐ重要な役割を担っています。

胎盤の主な4つの働き
(1)栄養・酸素の供給母体の血液から栄養素と酸素を胎児に届けます
(2)老廃物の排出胎児の代謝産物を母体へ戻し、排出を助けます
(3)免疫バリア機能有害物質から胎児を守る防御壁として機能します
(4)ホルモン産生妊娠維持に必要な各種ホルモンを分泌します

このように胎盤には、新しい生命を育てるための豊富な栄養成分や成長因子が凝縮されています。医療用プラセンタ製剤は、この胎盤から有効成分を抽出・精製したものです。

2. プラセンタ注射の作用機序——なぜ効果があるのか

プラセンタには、アミノ酸、ビタミン、ミネラル、核酸、活性ペプチド、酵素、成長因子など、多種多様な生理活性物質が含まれています。

プラセンタに含まれる主な有効成分
アミノ酸(20種類以上)細胞の原料となり、新陳代謝を促進
成長因子(HGF、EGF、FGFなど)細胞の再生・修復を促進
ビタミン・ミネラル代謝酵素の補酵素として機能
核酸(DNA、RNA)遺伝情報の修復、細胞分裂の促進
ポイント:プラセンタの多面的な薬理作用

プラセンタは単一成分の薬剤ではなく、複数の生理活性物質が総合的に作用することで効果を発揮します。これを「組織療法」と呼び、1930年代に旧ソ連のフィラートフ博士によって確立された治療概念です。特定の成分だけでなく、胎盤に含まれる成分の「総合力」が自然治癒力を高めると考えられています。

なお、こうした「成分の総合力で老化に対抗する」という発想は、近年注目されているAGEs(終末糖化産物)対策とも親和性が高く、当院ではプラセンタ注射と糖化対策を組み合わせた診療も行っています。

3. メルスモンとラエンネックの違い

現在、日本国内で厚生労働省により医薬品として認可されているヒトプラセンタ注射剤は、メルスモンとラエンネックの2種類のみです。

項目 メルスモン ラエンネック
発売年1956年1974年
製造元メルスモン製薬日本生物製剤
製法加水分解法
(強酸で細胞膜を分解)
分子分画法
(特殊フィルターで抽出)
1本あたり胎盤含有量100mg/2mL112mg/2mL
(約10%多い)
保険適用疾患更年期障害
乳汁分泌不全
慢性肝疾患
(肝硬変・慢性肝炎)
投与方法皮下注射のみ皮下注射・筋肉注射
添加物ベンジルアルコール
(局所麻酔作用あり)
pH調整剤、ペプシン、乳糖
注射時の痛み少ない
(麻酔成分入り)
やや強い
(酸性度が高い)
アレルギーや副作用が出た場合の対応

体質によっては添加物に対してアレルギー反応を起こす方がいます。痒みや発疹が出現した場合は、もう一方の薬剤へ変更することで改善することがあります。

ラエンネックで頭痛が起きる場合→ メルスモンへ変更
メルスモンで眠気が強い場合→ ラエンネックへ変更

4. 保険適用と自費診療の条件

プラセンタ注射は、対象疾患と年齢などの条件によって保険診療と自費診療に分かれます。当院ではどちらにも対応しております。

保険適用となる場合
【メルスモン】更年期障害
  • 対象年齢:添付文書に年齢の規定はありません。閉経前後の更年期にあたる女性が対象です(目安はおおむね45〜55歳前後)
  • 更年期症状(ほてり、のぼせ、イライラ、不眠、倦怠感など)がある方
  • 診察により更年期障害と診断された場合
【メルスモン】乳汁分泌不全
  • 産後1年以内で母乳の分泌が不十分な方
【ラエンネック】慢性肝疾患
  • 慢性肝炎、肝硬変などの肝機能障害がある方
  • 血液検査で肝機能異常が確認された場合
自費診療となる場合
  • 美容目的(美肌、アンチエイジング)
  • 疲労回復、体力増強目的
  • 更年期障害の診断に当たらない、更年期様の不調のみの場合
  • 男性更年期障害(LOH症候群)※詳細は別記事で解説
  • 自律神経失調症状の改善
  • アレルギー体質の改善

保険でメルスモン注射を受けるときのポイントは続編で

保険適用の条件は年齢ではなく「更年期障害」と診断されることです。診断の考え方や、当院で毎月お願いしているSMI(簡略更年期指数)による効果判定については、続編「メルスモン注射で更年期障害を保険治療するときに大切なこと」で詳しくご説明しています。

5. 期待できる効果と科学的エビデンス

プラセンタ注射には多くの効果が報告されていますが、医学的なエビデンスのレベルは効果によって異なります。当院では、エビデンスに基づいて正しくご説明することを大切にしています。

効果とエビデンスレベル
1
厚生労働省が効能として承認している効果
  • 更年期障害の諸症状改善(メルスモン)
  • 乳汁分泌不全の改善(メルスモン)
  • 慢性肝疾患における肝機能の改善(ラエンネック)
2
臨床で広く報告されている効果
  • 疲労回復、倦怠感の軽減
  • 肌質改善(ハリ、ツヤ、くすみ改善)
  • 自律神経の調整作用
  • 免疫力の調整
  • ホルモンバランスの調整
3
個人差が大きい効果(経験的に報告されるもの)
医師からの補足

プラセンタの効果には個人差があります。「この成分が効いている」という単一の有効成分は現時点では特定されておらず、複数の成分が総合的に作用していると考えられています。効果を実感されている方も多い一方で、明確なエビデンスまでは確立されていない効果もあることをご理解ください。当院では、体内ミネラル&有害金属検査(OligoScan/ミネラルキング)などを併用することで、ご自身に合った体質改善プランをご提案しています。

6. 副作用とリスク——献血制限について

プラセンタ注射は比較的安全性の高い治療ですが、いくつかの副作用とリスクについて知っておく必要があります。

報告されている副作用
比較的よくみられる症状(5%程度)
  • 注射部位の疼痛、発赤、腫れ
  • 内出血(あざ)
まれにみられる症状(0.1から5%未満)
  • 悪寒、悪心、発熱
  • 発疹、かゆみ
  • 頭痛(主にラエンネック)
  • 眠気、だるさ(主にメルスモン)

※これらの症状は通常一時的なもので、数日以内に改善します。

重要:献血・臓器提供について

【2026年10月1日から変更】国内承認のプラセンタ注射剤(メルスモン)を使用した方は、最終使用日から3か月間は献血をご遠慮いただき、3か月を過ぎれば献血が可能になりました。以前は「一度でも使用すると期間を定めず献血できない」とされていましたが、厚生労働省の通知(医薬血発0915第2号)により関係通知が廃止され、日本赤十字社の献血基準が変わりました。海外渡航歴などほかの献血基準は引き続き適用され、最終的な可否は献血当日の問診と医師の判断によります。

これまでの制限は、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)の感染リスクを理論的に完全には否定できないことから、平成18年(2006年)の厚生労働省の通達に基づいて行われていたものです。

ただし、感染実績はゼロ:
  • これまでにプラセンタ注射による感染症の報告は国内外で一例もありません
  • 製造工程で高圧滅菌、酸素処理などウイルス不活化処理が施されています
  • 原料となる胎盤は厳格なスクリーニング検査を通過したもののみ使用

臓器提供については、移植を受ける方がリスクの説明を受けた上で同意した場合に限り可能です。

新しい献血基準の詳細は、続編「メルスモン注射で更年期障害を保険治療するときに大切なこと」でご案内しています。

7. 当院での治療の流れと併せて受けたい検査

当院では、患者さまのお悩みや体質に合わせてメルスモンとラエンネックを使い分け、安全に配慮した治療を行っております。

プラセンタ注射の流れ
1
問診・診察

現在の症状、既往歴、アレルギーの有無などを確認します。献血制限について同意書にご署名いただきます。

2
注射

皮下注射または筋肉注射で投与します。所要時間は5分程度です。

3
経過観察

初回は10から15分程度院内でお過ごしいただき、異常がないことを確認します。

推奨される接種頻度
初期(効果を実感するまで)週1から2回、2から4週間継続
維持期(効果を維持したい方)週1回から2週に1回程度

※効果には個人差があります。医師と相談しながら、ご自身に合った頻度を見つけていきましょう。

併せて受けたい検査・治療

プラセンタ注射の効果を最大化するため、当院では以下の検査・治療との併用をおすすめしています:

この記事のまとめ
  • プラセンタ注射にはメルスモンとラエンネックの2種類があり、保険適用疾患が異なる
  • 更年期障害と診断された女性ではメルスモンが保険適用(添付文書に年齢の規定はありません)
  • メルスモンは痛みが少なく、ラエンネックは有効成分がやや多い
  • 効果には個人差があり、週1から2回の継続で実感される方が多い
  • 最終使用日から3か月間は献血ができない(2026年10月1日からの基準)ことを理解した上で治療を受ける
  • 男性更年期、糖化対策、ミネラル検査など関連治療との組み合わせで効果を最大化できる

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こんな方は当院へ
更年期症状でお悩みの女性(更年期障害の診断で保険適用)
男性更年期(LOH症候群)が気になる40代以降の男性
慢性的な疲労、肝機能の数値でお悩みの方
美肌・アンチエイジングを希望される方
アレルギー体質、自律神経の乱れを改善したい方

当院では メルスモン ・ ラエンネック 両剤を取り揃え、患者さま一人ひとりに合わせて使い分けております。

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Author: 五藤 良将

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