【院長 五藤良将】メルスモン注射で更年期障害を保険治療するときに大切なこと|SMI・甲状腺の鑑別・加味逍遙散・HRTまで解説

皆さま、こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。

以前、このブログで「プラセンタ注射は本当に効く?メルスモンとラエンネックの選び方から献血制限まで徹底解説」という記事を書きました。おかげさまで多くの方に読んでいただき、外来でも「更年期かもしれないので、メルスモンを打ってほしい」というご相談がとても増えております。

一方で、診察してみると更年期障害ではなく甲状腺の病気だったという方や、注射を続けているものの、効いているのかどうか分からないという方にもお会いします。今回は前回記事の続編として、メルスモン注射を保険診療で受けるときに大切なことを、更年期障害の定義と診断、SMI(簡略更年期指数)の使い方、鑑別が必要な病気、そして加味逍遙散(かみしょうようさん)などの漢方薬やHRT(ホルモン補充療法)との使い分けまでまとめてお伝えいたします。

参照したのは、日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2026」(2026年4月刊行)、日本女性医学学会「ホルモン補充療法ガイドライン 2025年度版」(2025年5月刊行)、そしてメルスモンの添付文書(2023年12月改訂 第9版)とメルスモン製薬株式会社からの2026年9月付のお知らせです。

五藤 良将

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竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将

日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医・日本旅行医学会認定医
この記事は五藤良将が執筆・監修し、内容に責任を持っています。

【速報】2026年10月1日からプラセンタ使用後の献血基準が変わりました

前回の記事では「プラセンタ注射を一度でも受けると、献血ができなくなります」とお伝えしました。これは、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)の理論的な感染リスクに配慮した国の措置によるものでした。

このたび、厚生労働省医薬局血液対策課長通知(医薬血発0915第2号)により関係通知が廃止され、2026年10月1日から日本赤十字社の献血基準が変更になりました。メルスモン製薬株式会社からの2026年9月付のお知らせの内容は、次のとおりです。

項目 2026年9月30日まで(改定前) 2026年10月1日から(改定後)
国内承認のプラセンタ注射剤(メルスモン)の使用歴がある方 期間を定めず、基本的に献血不可 最終使用日から3か月間は献血をご遠慮いただき、3か月経過後は献血可能

ご注意いただきたい点

・海外からの帰国日(入国日)から4週間以内の献血制限など、ほかの献血基準は引き続き適用されます。最終的な献血の可否は、当日の問診と献血会場の医師の判断によります。

・臓器提供については、原則として控えることが求められています。ただし、移植を希望される方が移植医から適切な説明を受け、提供を受ける意思を明らかにしている場合は提供が可能です。

・メルスモンは特定生物由来製品のままです。使用前のご説明と同意、使用記録の保存は、これまでと変わらず行います。

「献血ができなくなるのが心配で、プラセンタ注射をためらっていた」という方にとっては、大きな変更です。当院の説明文書・同意書も、2026年10月1日改訂版に切り替えております。

そもそも「更年期障害」とは——定義と診断の考え方

日本産科婦人科学会では、更年期とその症状を次のように定義しています。言葉が似ていますが、それぞれ意味が異なります。

用語 意味
更年期 閉経の前後5年間、合わせて約10年間。日本人女性の閉経年齢の中央値は約50歳で、おおむね45〜55歳ごろにあたります。
更年期症状 更年期にあらわれる多種多様な症状のうち、器質的変化(臓器そのものの病気)に起因しないもの。
更年期障害 更年期症状のうち、日常生活に支障をきたす病態。

ここで大切なのは、更年期障害には「この数値なら確定」という単一の診断基準がないことです。卵巣機能の低下によるエストロゲン(女性ホルモン)の減少を土台に、心理的な要因や家庭・職場の環境などが重なって症状が出ると考えられています。

そのため診断は、次の3つを組み合わせて行います。

ポイント|更年期障害の診断の3本柱

① 年齢と月経の状況:40代半ば〜50代で、月経周期の乱れや閉経がみられるか。

② 症状の評価:ほてり・発汗(血管運動神経症状)、不眠・イライラ・抑うつ(精神神経症状)、肩こり・関節痛など。SMIなどの質問票で点数化します。

③ ほかの病気の除外:甲状腺の病気、うつ病、貧血など、同じような症状を起こす病気がないことを確認します。更年期障害は「除外診断」です。

血液検査でFSH(卵胞刺激ホルモン)の上昇やE2(エストラジオール)の低下がみられれば卵巣機能の低下を裏づけますが、閉経前後はホルモン値が大きく揺れ動くため、1回の採血だけで更年期障害を確定することも否定することもできません。検査は「診断の補助」と考えてください。

SMI(簡略更年期指数)を詳しく——当院では毎月初回に必須です

SMI(Simplified Menopausal Index:簡略更年期指数)は、小山嵩夫医師らが考案した日本で最も広く使われている更年期症状の質問票です。10項目の症状を「強・中・弱・無」の4段階でご自身にチェックしていただき、合計点(0〜100点)で程度を評価します。

SMIの10項目と配点

症状 強 中 弱 無
① 顔がほてる10630
② 汗をかきやすい10630
③ 腰や手足が冷えやすい14950
④ 息切れ、動悸がする12840
⑤ 寝つきが悪い、または眠りが浅い14950
⑥ 怒りやすく、すぐイライラする12840
⑦ くよくよしたり、憂うつになることがある7530
⑧ 頭痛、めまい、吐き気がよくある7530
⑨ 疲れやすい7420
⑩ 肩こり、腰痛、手足の痛みがある7530

合計点の目安

合計点 評価の目安
0〜25点異常なし。今の生活を続けてください
26〜50点食事・運動などに注意し、無理をしないように
51〜65点医療機関を受診し、生活指導・カウンセリング・薬物療法を受けましょう
66〜80点長期間(半年以上)の計画的な治療が必要です
81〜100点各科の精密検査を受け、更年期障害のみの場合は専門医での長期的な対応が必要です

SMIは「診断」より「経過を見る物差し」として役立ちます

SMIは簡便で、5分ほどで記入できます。ただし、点数が高いからといって更年期障害と決まるわけではありません。たとえば「⑤寝つきが悪い」「⑦憂うつ」「⑨疲れやすい」が高得点の場合は、うつ病や甲状腺機能低下症でも同じような点数になります。

当院では、SMIを診断の入り口としてだけでなく、治療が効いているかを確かめる物差しとして使っております。

当院のルール|更年期障害の治療中は、毎月初回の受診時にSMIの記入が必須です

・メルスモン注射、漢方薬、HRTなど、どの治療を受けている方も対象です。

・合計点だけでなく、10項目それぞれの変化を前月と見比べます(「ほてりは減ったが、不眠は残っている」など)。

・点数の推移をもとに、今の治療を続けるか、量や間隔を調整するか、別の治療に切り替えるかを一緒に考えます。

効果判定の目安——「1か月で最初の判定、2〜3か月で見直し」

それぞれの治療には、効果が出はじめるまでの時間に違いがあります。参考になるデータは次のとおりです。

治療 効果が出るまでの参考データ
メルスモン注射製造元が公表しているプラセボ(偽薬)対照の臨床試験では、週3回・2週間(計6回)の皮下注射で、メルスモン群の77.4%に改善がみられ、偽薬群(25.0%)との差が確認されています。
漢方薬2〜4週間ごとに経過をみて、1か月ほどで手ごたえがなければ処方を変更することが、婦人科の臨床でもよく行われています。
HRTほてり・発汗などは、2か月ほどの継続でほとんどが改善するとされています。

これらを踏まえ、当院では治療開始からおおむね1か月後(翌月初回のSMI)に最初の効果判定を行い、2〜3か月続けても改善が乏しい場合には、治療法の変更や追加をご提案しております。もちろん、副作用が出た場合や症状が悪化した場合は、この期間を待たずに見直します。

「なんとなく続けている」状態を避け、効いている治療を続け、効いていない治療は見直す。そのための毎月のSMIです。お手数をおかけしますが、ご協力をお願いいたします。

「更年期だと思ったら別の病気」——甲状腺機能低下症などの鑑別

更年期の年代は、ほかの病気も増えてくる年代です。更年期障害と思い込んで注射だけを続け、本当の病気の発見が遅れることは、何としても避けなければなりません。とくに注意が必要なのが甲状腺の病気です。

甲状腺機能低下症(橋本病など)

甲状腺ホルモンが足りなくなる病気で、中年以降の女性に多いのが特徴です。疲れやすさ、寒がり・冷え、気分の落ち込み、むくみ、体重増加、便秘、皮膚の乾燥、月経の乱れなど、更年期障害とよく似た症状が出ます。SMIの「③冷え」「⑦憂うつ」「⑨疲れやすい」が高得点になりやすい病気です。

甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)

反対に甲状腺ホルモンが多すぎる病気です。ほてり・汗をかきやすい・動悸・イライラ・不眠と、更年期の代表的な症状とそっくりです。体重が減る、手が震える、脈が速いといった症状があれば、とくに疑います。

甲状腺の病気は、血液検査(TSH・FT4)で診断がつきます。治療すれば症状が改善することが多く、見逃さないことが何より大切です。

そのほかに鑑別が必要な主な病気

病気 更年期障害と似ている症状 主な確認方法
甲状腺機能低下症・亢進症疲労・冷え・抑うつ/ほてり・発汗・動悸採血(TSH・FT4)
うつ病・不安障害気分の落ち込み、意欲低下、不眠、不安問診・質問票(心療内科的評価)
鉄欠乏性貧血疲れやすい、息切れ、動悸、頭痛採血(血算・フェリチン)
高血圧・不整脈動悸、頭痛、めまい、顔のほてり血圧測定・心電図
糖尿病だるさ、のどの渇き、発汗(低血糖時)採血(血糖・HbA1c)
睡眠時無呼吸症候群眠りが浅い、日中の疲労、朝の頭痛問診・簡易睡眠検査
関節リウマチなど膠原病手指のこわばり、関節痛、だるさ診察・採血(炎症反応・抗体)
お薬の副作用発汗、ほてり、動悸、不眠など服用中のお薬の確認

重要|こんなときは更年期障害と決めつけず、早めにご相談ください

・閉経後に再び出血があった、または月経以外の不正出血がある(婦人科での検査が必要です)

・急に体重が減った、または増えた

・胸の痛み、息苦しさ、脈の乱れがある

・乳房にしこりがある

・気分の落ち込みが強く、日常生活が送れない、または「消えてしまいたい」と感じる

メルスモン注射を保険診療で受けるときに大切なこと

メルスモンは1956年(昭和31年)に承認された、ヒト胎盤を原料とする医療用医薬品です。添付文書上の内容は次のとおりです。

項目 添付文書の記載(2023年12月改訂 第9版)
効能・効果更年期障害、乳汁分泌不全
用法・用量通常、1日1回2mLを毎日または隔日に皮下注射
禁忌本剤または他の薬物に対し過敏症の既往歴のある方
主な副作用注射部位の痛み・発赤、悪寒、悪心、発熱、発疹など。まれにショック
安全対策胎盤1つずつにウイルス検査(HBV・HCV・HIV陰性を確認)、製造の最終段階で121℃・30分の高圧蒸気滅菌。vCJD流行時期に該当地域の滞在歴がある方の胎盤は原料に使用していません

そのうえで、保険診療として適切に治療を受けていただくために、当院では次の5つを大切にしております。

保険診療で大切な5つのこと

1 「更年期障害」の診断が前提:保険でメルスモンを使えるのは、医師が更年期障害(または乳汁分泌不全)と診断した場合です。美容目的・疲労回復目的・予防目的は保険の対象外です。なお、インターネット上では「保険適用は45〜59歳」と書かれていることがありますが、添付文書に年齢の規定はありません。大切なのは年齢そのものではなく、閉経前後の更年期にあたるかどうかを、月経の状況やSMIなどの症状評価から医師が判断し、その根拠をカルテに記録することです。
2 ほかの病気を除外してから:前章のとおり、甲状腺の病気などを採血で確認します。とくに初めて治療を始める方には、甲状腺機能の検査をおすすめしております。
3 添付文書どおりの使い方:保険診療では、1回2mL(1アンプル)を皮下注射します。複数本の同時投与や静脈注射は、保険では行いません。また、同じ病気の治療で保険診療と自費診療を同時に行う「混合診療」は原則として認められていません。
4 特定生物由来製品としての説明・同意・記録:初回に説明文書(2026年10月1日改訂版)でご説明し、同意書にご署名いただきます。使用したロット番号などの記録は、法令に基づき医療機関で長期間保管します。
5 効いているかを毎月確認する:毎月初回のSMIで効果を確認します。開始からおおむね1か月で最初の判定を行い、2〜3か月続けても改善が乏しい場合は漫然と続けず、漢方薬、HRT、心療内科的な治療など、ほかの方法をご提案します。

メルスモンは、ほてり・冷え・不眠・イライラ・頭痛・疲労・肩こり・腰痛などの更年期症状の改善に用いられてきた薬です。一方で、その効果には個人差があり、HRTのように大規模な臨床試験で効果が確立している治療とは位置づけが異なります。だからこそ、「効いているかどうか」をSMIで客観的に確かめることが大切だと考えております。

漢方薬——加味逍遙散を中心とした「三大処方」

産婦人科診療ガイドラインでも、更年期障害の治療選択肢の一つとして漢方薬が挙げられています。とくに次の3つは「婦人科の三大処方」と呼ばれ、保険診療で処方できます。漢方では体力や体質(「証(しょう)」)に合わせて薬を選びます。

漢方薬 向いている体質 向いている症状
加味逍遙散
(かみしょうようさん)
比較的体力が低め〜中くらいイライラ・不安・不眠などの精神症状、のぼせ、肩こり、疲れやすさ。症状があちこちに移り変わる方
当帰芍薬散
(とうきしゃくやくさん)
体力が低め、色白で華奢冷え、むくみ、めまい、貧血傾向、疲れやすさ
桂枝茯苓丸
(けいしぶくりょうがん)
体力が中くらい以上のぼせ、肩こり、頭痛、下腹部の張り(足は冷えるのに顔はほてる方)

加味逍遙散は、更年期の精神神経症状が前面に出ている方によく用いられます。メルスモン注射と併用することも可能です。

漢方薬にも副作用があります

・甘草(かんぞう)を含む漢方薬では、偽アルドステロン症(むくみ・血圧上昇・低カリウム血症)に注意が必要です。複数の漢方薬を併用するときはとくに注意します。

・加味逍遙散に含まれる山梔子(さんしし)は、長期間(多くは5年以上)の服用で腸間膜静脈硬化症の報告があります。長く飲み続ける場合は、定期的に症状を確認します。

・胃もたれ、食欲不振、発疹、肝機能障害がみられることもあります。気になる症状があればご相談ください。

HRT(ホルモン補充療法)——ガイドライン2025年度版のポイント

HRT(Hormone Replacement Therapy:ホルモン補充療法)は、減少したエストロゲンを薬で補う治療です。ほてり・発汗などの血管運動神経症状に対して最も効果が確立した治療とされています。日本女性医学学会は2025年5月に「ホルモン補充療法ガイドライン 2025年度版」を刊行し、HRTを必要とする女性が安心して治療を受けられることを目指した内容となっています。

HRTの基本

ポイント|HRTを考えるときに知っておきたいこと

① 薬の形:飲み薬、貼り薬(パッチ)、塗り薬(ジェル)があります。

② 子宮がある方:エストロゲン単独では子宮内膜が厚くなり子宮体がんのリスクが上がるため、黄体ホルモン(プロゲスチン)を併用します。

③ 開始のタイミング:一般に、60歳未満または閉経後10年以内に始めた場合に、効果とリスクのバランスが良いとされています。

④ 開始前・治療中の検査:乳がん検診、子宮頸がん・子宮体がんの検査、血圧、採血などを行い、年に1回は定期的に確認します。

HRTが受けられない、または慎重に検討する方

次のような方はHRTを行わない(禁忌)、または慎重に検討します。

区分 主な例
行わない(禁忌)乳がん・子宮体がんの治療中または既往、原因のわからない不正性器出血、血栓症(静脈血栓塞栓症)の既往、心筋梗塞・脳卒中の既往、重い肝臓の病気、妊娠の可能性 など
慎重に検討コントロール不良の高血圧・糖尿病、肥満、喫煙、60歳以上または閉経後10年以上経過、子宮筋腫・子宮内膜症の既往、片頭痛 など

HRTは内科でも受けられます——大切なのは「検診とセット」であること

HRTに使うエストロゲン製剤は、婦人科でなければ処方できない薬ではありません。当院でも、院長がHRTの適否を判断し、処方しております。

ただし、エストロゲン製剤の添付文書では、投与前に乳房検診と婦人科検診を行い、投与開始後も定期的に乳房検診と婦人科検診(子宮がある方は、子宮内膜細胞診と超音波検査による子宮内膜の厚さの測定を含む)を行うことが求められています。HRTで気をつけるべきリスクと、その確認先は次のとおりです。

気をつけるリスク 確認の方法 主な担当
乳がんマンモグラフィ・乳房超音波による乳がん検診乳がん検診機関・乳腺外科
子宮体がん(子宮内膜増殖症)子宮内膜細胞診、経腟超音波での子宮内膜の厚さ(子宮がある方)。黄体ホルモンの併用で予防します婦人科
子宮頸がん子宮頸部細胞診(子宮がん検診)婦人科・がん検診機関
血栓症・脳卒中・心血管病血圧、脂質、血糖、肝機能、喫煙・肥満の評価。リスクが高い方には飲み薬より貼り薬・塗り薬を検討当院(内科)

つまり、HRTは内科で処方と全身管理を行い、乳がん検診と婦人科検診は検診機関・乳腺外科・婦人科で受けていただくという形で安全に続けることができます。血圧・脂質・血糖などの生活習慣病の管理は内科の得意分野ですので、持病のある方こそ、かかりつけの内科で全身をみながらHRTを行うメリットがあります。検診を受けていない方には、HRTの開始前に受診先をご案内いたします。

そのほかの治療

気分の落ち込みや不安が強い場合には、SSRI・SNRIなどの抗うつ薬や睡眠の治療が有効なことがあります。当院は心療内科も標榜しており、心の症状が中心の方にも対応いたします。また、規則正しい睡眠、適度な運動、禁煙、バランスのよい食事といった生活習慣の見直しは、どの治療と組み合わせても大切な土台です。

治療法の比較と、当院の治療の進め方

治療 向いている方 注意点 保険
メルスモン注射ホルモン剤に抵抗がある方、HRTが受けられない方、さまざまな症状がある方通院が必要。特定生物由来製品。最終使用から3か月は献血不可更年期障害の診断で適用
漢方薬(加味逍遙散など)症状が多彩な方、精神症状が中心の方、体質から整えたい方体質に合うかどうかで効果が変わる。甘草・山梔子の副作用適用
HRTほてり・発汗が強い方、骨粗しょう症の予防も考えたい方禁忌の確認、乳がん・婦人科検診が必須適用
SSRI・SNRIなど抑うつ・不安が強い方効果が出るまで数週間。飲み始めの吐き気など適用(診断による)

メカニズム図解|当院での更年期障害の治療の流れ

1 問診とSMI:症状、月経の状況、持病・お薬、ご家族の病歴を伺い、SMIで症状を点数化します。
2 鑑別のための検査:甲状腺機能(TSH・FT4)、貧血、血糖などを採血で確認し、血圧・心電図も必要に応じて行います。
3 治療法を一緒に選ぶ:メルスモン注射、漢方薬、HRT、心療内科的治療から、症状とご希望に合わせて選びます。組み合わせることもあります。
4 毎月初回にSMIで効果判定:前月と比べて、合計点と各項目がどう変わったかを確認します。
5 続ける・調整する・切り替える:改善していれば継続し、落ち着いてきたら間隔をあけていきます。2〜3か月続けても改善が乏しければ、ほかの治療法をご提案し、必要に応じて再検査や専門医への紹介を行います。

専門用語の解説

用語解説|この記事に出てくる専門用語

SMI(簡略更年期指数):10項目の更年期症状を自己採点する質問票。0〜100点で、点数が高いほど症状が強いことを示します。

FSH(卵胞刺激ホルモン)・E2(エストラジオール):卵巣の働きを反映するホルモン。閉経に近づくとFSHが上がり、E2が下がります。ただし閉経前後は値が大きく変動します。

TSH(甲状腺刺激ホルモン)・FT4(遊離サイロキシン):甲状腺の働きを調べる採血項目。甲状腺機能低下症ではTSHが上がり、FT4が下がるのが典型です。

血管運動神経症状:ほてり(ホットフラッシュ)、発汗、動悸など、自律神経の乱れによる症状。

特定生物由来製品:人の血液や組織を原料とする医薬品のうち、とくに感染症対策が必要なもの。説明と同意、使用記録の長期保存が義務づけられています。

vCJD(変異型クロイツフェルト・ヤコブ病):異常プリオンたんぱく質が脳に蓄積する、きわめてまれな病気。プラセンタ注射による感染の報告はありませんが、理論的リスクとして献血制限の対象となってきました。

HRT(ホルモン補充療法):減少したエストロゲンを薬で補う治療。子宮がある方は黄体ホルモンを併用します。

証(しょう):漢方医学で、体力・体質・症状のあらわれ方を総合した「その人の状態」のこと。同じ病名でも証によって選ぶ漢方薬が変わります。

除外診断:似た症状を起こす病気を検査で否定していくことで、最終的に診断にたどりつく方法。

受診前チェックリスト(お持ちいただけるとスムーズです)

□ 最終月経の時期と、ここ1年の月経の様子

□ いちばんつらい症状と、いつ頃から始まったか

□ 服用中のお薬・サプリメント(お薬手帳)

□ 直近の健康診断の結果、乳がん検診・子宮がん検診の受診時期

□ 過去の病気(血栓症、乳がん、甲状腺の病気など)

□ 他院でプラセンタ注射を受けたことがあれば、最終使用日

よくあるご質問(FAQ)

Q1. 血液検査で「更年期ではない」と言われましたが、症状がつらいです。

閉経前後はホルモン値が大きく揺れ動くため、1回の採血でFSHやE2が正常範囲でも、更年期障害を否定することはできません。症状とSMIの点数、月経の状況を合わせて判断いたしますので、ご相談ください。

Q2. メルスモン注射はどのくらいの頻度で、いつまで続けますか?

添付文書上は「1日1回2mLを毎日または隔日」となっています。実際には症状やご都合に合わせて通院の頻度を相談し、症状が落ち着いてきたら間隔をあけていきます。開始からおおむね1か月後に最初の効果判定を行い、2〜3か月続けても改善が乏しい場合はほかの治療法をご提案します。

Q3. 60歳を過ぎていても、メルスモンは保険で受けられますか?

添付文書に年齢の規定はなく、保険適用の条件は「更年期障害」と診断されることです。ただし、閉経から長い年数がたっている場合は、症状がほかの病気によるものではないかをより慎重に確認いたします。また、閉経前後の時期から外れる方には、症状に応じてほかの治療法をおすすめすることもあります。

Q4. メルスモンと漢方薬、HRTは併用できますか?

併用は可能です。たとえば、メルスモン注射に加えて、イライラや不眠が強い方には加味逍遙散を組み合わせることがあります。HRTとの併用も可能ですが、HRTには検診などの前提条件がありますので、個別にご説明いたします。

Q5. 以前プラセンタ注射を受けました。今は献血できますか?

2026年10月1日からの新しい基準では、国内承認のプラセンタ注射剤の最終使用日から3か月が経過していれば、献血が可能になりました。ただし、ほかの献血基準(海外渡航歴など)は引き続き適用され、最終的な可否は献血会場での問診・医師の判断によります。

Q6. 美容目的でもメルスモンを保険で打てますか?

保険診療の対象は、更年期障害と乳汁分泌不全の治療に限られます。美容・疲労回復などを目的とする場合は保険適用外となります。

Q7. 甲状腺の検査は毎回必要ですか?

治療を始める前に一度確認することをおすすめしております。その後は、症状の変化や治療への反応をみて、必要に応じて再検査いたします。治療を続けても改善しない場合は、改めて甲状腺を含めたほかの病気を確認することがあります。

竹内内科小児科医院で診るという選択(当院が選ばれる理由)

ここまでお伝えした「診断」「鑑別」「効果の確認」「治療の見直し」を、当院では次のような体制で行っております。

理由① 毎月のSMIで効果を確認

更年期障害の治療中の方には、毎月初回の受診時にSMIの記入をお願いし、点数の推移をもとに治療を見直しています。

理由② 内科として「ほかの病気」を確認

日本内科学会認定内科医の院長が、甲状腺・貧血・血糖・血圧など、更年期障害と似た症状を起こす病気を採血や心電図で確認します。

理由③ 注射・漢方・HRT・心療内科から選べる

メルスモン注射だけでなく、漢方薬、HRT、心療内科的な治療まで、症状に合わせてご提案します。院長は日本東洋医学会・日本抗加齢医学会に所属しています。

理由④ 説明文書は最新の献血基準に対応

メルスモンの説明文書・同意書は2026年10月1日改訂版を使用し、新しい献血基準を含めてご説明しています。

理由⑤ 土曜午前も診療・多摩川駅徒歩5分

受付は平日午前12時・午後19時まで、土曜は午前も診療しています。お仕事帰りや週末の注射にも通いやすい立地です。

理由⑥ ご家族そろって同じ窓口で

内科・小児科を併設しており、お子さまの受診とあわせてご自身の相談もできます。

「更年期かな?」と思ったら、まずはSMIを持ってご相談ください。

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参考文献

  1. 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会 監修・編集『産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2026』(2026年4月刊行)
  2. 日本女性医学学会 編『ホルモン補充療法ガイドライン 2025年度版』金原出版(2025年5月刊行)
  3. メルスモン製薬株式会社「メルスモン」添付文書(2023年12月改訂 第9版)PMDA 医療用医薬品情報 https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/780056_3259600A1020_1_06(2026年10月閲覧)
  4. メルスモン製薬株式会社「『メルスモン』に関するお知らせ(ヒト胎盤エキス(プラセンタ)注射剤使用歴に関する献血基準の変更について)」2026年9月
  5. メルスモン製薬株式会社「メルスモン注射剤についてのご説明・同意書」2026年10月改訂
  6. 厚生労働省医薬局血液対策課長通知 医薬血発0915第2号
  7. 小山嵩夫ほか.簡略更年期指数(SMI).所沢市「SMIスコア」資料 https://www.city.tokorozawa.saitama.jp/kenko/karadakenkou/kenkodukuri/kounenki.files/smiscore.pdf(2026年10月閲覧)
  8. 日本産科婦人科学会 編『産科婦人科用語集・用語解説集』(更年期・更年期症状・更年期障害の定義)
  9. Melsmon Pharmaceutical Co., Ltd. Clinical treatment test of Melsmon on menopausal disorder(プラセボ対照試験)https://melsmon.co.jp/wp-content/uploads/2025/04/Clinical_treatment_test_of_Melsmon_on_menopausal_disorder.pdf(2026年10月閲覧)
  10. 医薬品医療機器総合機構「使用上の注意の改訂について(卵胞ホルモン製剤)」重要な基本的注意(乳房検診・婦人科検診)https://www.info.pmda.go.jp/kaiteip/20080919B/06.pdf(2026年10月閲覧)
  11. 高尾美穂(産婦人科医)監修「ホルモン補充療法(HRT)について」サライ.jp https://serai.jp/save-life/1046414(2026年10月閲覧)
医療法人社団 五良会・正友会 理事長 五藤 良将

AUTHOR / SUPERVISOR

竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将(ごとう よしまさ)

  • 防衛医科大学校 医学部 卒業(27期)。防衛医科大学校病院、自衛隊中央病院、自衛隊横須賀病院ほかで臨床経験を積む
  • 医療法人社団 五良会 理事長/医療法人社団 正友会 理事長/竹内内科小児科医院 院長
  • 日本内科学会 認定内科医/日本抗加齢医学会 専門医/日本糖尿病協会 登録医/日本旅行医学会 認定医
  • 日本温泉気候物理医学会 温泉療法専門医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/難病指定医
  • 所属学会:日本内科学会、日本糖尿病学会、日本アレルギー学会、日本東洋医学会、日本リウマチ学会、日本外来小児科学会、日本抗加齢医学会、日本睡眠学会、日本美容内科学会、日本旅行医学会 ほか
  • 著書『あぶら落とすスープ』(アスコム)。NHK・TBS・フジテレビ・日本テレビ・テレビ朝日などメディア出演多数

執筆・監修責任について

本記事は、五藤良将が公的機関の発表・国内外の診療ガイドライン・査読済み論文を確認したうえで執筆・監修しています。内容は公開時点の情報に基づくものであり、新しい知見やガイドラインの改訂があった場合は、こちらで記事を更新します。
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個々の患者さんの診断・治療に代わるものではありません。症状や治療のご判断については、必ず医師にご相談ください。記載内容について気になる点がございましたら、竹内内科小児科医院(03-3721-5222)までお知らせください。

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竹内内科小児科医院
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竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将
日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医・日本旅行医学会認定医

Author: 五藤 良将