皆さま、こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。
9月も終わりに近づき、朝晩はすっかり涼しくなりました。今シーズンのインフルエンザは例年よりかなり早く流行が始まり、厚生労働省の発表では2026年第38週(9月14日〜20日)の全国の定点当たり報告数は8.48と、前週の5.54からさらに増えています。東京都は15.21で、9月17日に「注意報」の基準を超えました。一方で新型コロナウイルス感染症も同じ週に定点当たり2.65(前週2.44)と、少しずつ増えています。
当院の発熱・せき外来でも、「熱が出たのですが、インフルエンザですか?コロナですか?」というご質問を毎日のようにいただきます。今回は、インフルエンザと新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の見分け方を、症状・検査・治療薬・療養期間の違いという4つの切り口から、医学用語もまじえながら整理してお伝えいたします。
インフルエンザのA型・B型の違いは前回の記事で詳しく解説しておりますので、あわせてご覧ください。
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竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将
日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医・日本旅行医学会認定医
この記事は五藤良将が執筆・監修し、内容に責任を持っています。
目次
今シーズンの流行状況(2026年9月末時点)
感染症発生動向調査によると、2026年第38週(9月14日〜20日)の状況は次のとおりです。
| 項目 | インフルエンザ | 新型コロナウイルス感染症 |
|---|---|---|
| 全国の定点当たり報告数 | 8.48(前週 5.54) | 2.65(前週 2.44) |
| 東京都 | 15.21・9月17日に注意報基準を超過 | 全国と同様に緩やかな増加傾向 |
| 全国の傾向 | 44都道府県で増加、学級閉鎖は870件 | 2週連続で増加 |
つまり現在は、インフルエンザが大きく流行しながら、新型コロナも一定数発生している「同時流行」に近い状態です。発熱したときに「たぶんインフルエンザだろう」と決めつけず、両方の可能性を考えることが大切です。
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用語解説|「定点当たり報告数」とは 全国約5,000か所の指定医療機関(定点医療機関)から1週間に報告された患者数を、医療機関1か所あたりに平均した数値です。すべての患者数を数えるのではなく、流行の「勢い」を比べるための指標です。 インフルエンザでは、1.00で流行開始、10.00で注意報、30.00で警報が目安とされています。 |
外来でよく出会う2つのケース
当院の外来でよくお会いするような方をイメージした2つの架空のケースをご紹介します(実在の患者さまではなく、よくあるパターンを組み合わせた例です)。
| 項目 | ケースA:小学3年生の男の子 | ケースB:60代男性・会社員 |
|---|---|---|
| 経過 | 朝は元気だったが、下校後に急に39.2℃の発熱。クラスで学級閉鎖あり | 前日から強いのどの痛みと37.8℃の発熱。週末に家族の集まりがあった |
| 主な症状 | 全身のだるさ、頭痛、ふしぶしの痛み | 「つばを飲み込むのもつらい」咽頭痛、せき |
| 持病 | 特になし | 2型糖尿病(HbA1c 7.8%)・高血圧・BMI 27 |
| 考え方 | 典型的なインフルエンザの経過。ただし発症直後は検査が陰性に出やすい | 症状からはどちらとも言えない。重症化リスクがあるため早めの同時検査と治療判断が重要 |
このように、症状の「らしさ」はあっても、最終的には検査で確かめなければ区別はできません。特にケースBのように糖尿病や高血圧などの持病がある方は、どちらの感染症でも重症化しやすいため、早めのご相談をおすすめいたします。
症状で見分けられる?インフルエンザとコロナの比較
両者はどちらも急性呼吸器感染症(ARI)に分類され、症状はよく似ています。一般的な傾向は次のとおりです。
| 比較のポイント | インフルエンザ | 新型コロナウイルス感染症 |
|---|---|---|
| 潜伏期間 | 1〜3日程度 | 2〜3日程度が多い(最長で7日程度) |
| 発症のしかた | 急激。数時間で38℃以上に | のどの違和感から始まり、比較的ゆるやかなことが多い |
| 目立つ症状 | 高熱、筋肉痛・関節痛、強い倦怠感、頭痛 | 強い咽頭痛、せき、鼻水、発熱(微熱のことも) |
| においや味の異常 | まれ | 以前より減ったものの、起こることがある |
| 注意したい合併症 | 肺炎、小児のインフルエンザ脳症・異常行動 | 肺炎、血栓症、長引く倦怠感などの罹患後症状 |
| 無症状の感染 | あり | 比較的多く、気づかないうちに周囲へ広げることがある |
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ご注意|「症状だけで判断する」のは難しい 上の表はあくまで傾向です。ワクチン接種歴や年齢によって症状の出方は大きく変わります。ご高齢の方は熱があまり上がらず、「食欲がない」「なんとなく元気がない」だけのこともあります。 また、インフルエンザと新型コロナに同時に感染する(重複感染)例も報告されています。自己判断はせず、検査で確かめることをおすすめいたします。 |
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用語解説|「罹患後症状(りかんごしょうじょう)」とは 新型コロナにかかったあと、ほかに原因がないのに倦怠感・息苦しさ・せき・集中力の低下(ブレインフォグ)・味覚や嗅覚の異常などが数か月続く状態で、いわゆる「コロナ後遺症」のことです。WHOは、発症から3か月たっても続き、少なくとも2か月以上続く症状と定義しています。 |
検査の違い|同時検査と「受けるタイミング」
外来で一般的に行うのは、鼻の奥をぬぐった検体で調べる迅速抗原検査です。現在は、1回の検体採取でインフルエンザA型・B型と新型コロナを同時に調べられる検査キットがあり、当院でも症状や流行状況に応じて同時検査を行い、総合的に判断しております。
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用語解説|「迅速抗原検査(イムノクロマト法)」と「核酸増幅検査(PCR法など)」 ① 迅速抗原検査:ウイルスの表面にあるたんぱく質(抗原)を、試験紙の上で抗体と反応させて線の有無で判定する方法です(イムノクロマト法)。10〜15分程度で結果が出ますが、ウイルス量が少ないと反応しにくいという弱点があります。 ② 核酸増幅検査(PCR法など):ウイルスの遺伝子を増やして検出する方法で、抗原検査より感度(陽性の人を正しく陽性と判定する力)が高いのが特徴です。 ③ 偽陰性(ぎいんせい):本当は感染しているのに、検査で陰性と出てしまうことです。 |
メカニズム図解|発症直後の検査が「陰性」になりやすい理由
| 感染・潜伏期:ウイルスが鼻やのどの粘膜で増え始めますが、まだ量はわずかです。 | |
| 発症直後(〜12時間ごろ):熱は出ていても、検体に含まれるウイルス量が検出できる量に届かず、偽陰性が起こりやすい時期です。 | |
| 発症後12〜48時間ごろ:ウイルス量が増え、抗原検査で陽性をとらえやすくなります。インフルエンザの治療薬は発症48時間以内の開始が推奨されるため、この時期の受診がひとつの目安です。 | |
| 検査結果と診察を合わせて判断:陰性でも、家族内での感染状況や症状から医師が総合的に診断することがあります。つらい症状があれば、時間を待たずにご相談ください。 |
なお、重症化リスクの高い方や症状が強い方は、検査のタイミングを待たずに受診していただいて構いません。「陰性だったけれど症状が続く・悪化する」場合も、再検査を含めてご相談ください。
治療薬の違い|それぞれのお薬と使える条件
インフルエンザと新型コロナでは、使う抗ウイルス薬がまったく異なります。だからこそ、検査で「どちらなのか」を確かめる意味があります。
| 区分 | 主なお薬(一般名) | 使い始める目安・ポイント |
|---|---|---|
| インフルエンザ | タミフル(オセルタミビル)、イナビル(ラニナミビル)、リレンザ(ザナミビル)、ラピアクタ(ペラミビル)、ゾフルーザ(バロキサビル) | 発症48時間以内の開始で発熱期間の短縮が期待できます。重症化リスクのある方は時間が経過していても検討します |
| 新型コロナ | ゾコーバ(エンシトレルビル)、パキロビッド(ニルマトレルビル/リトナビル)、ラゲブリオ(モルヌピラビル)など | お薬ごとに対象年齢・重症化リスクの有無・発症からの日数の条件があります。飲み合わせ(併用禁忌)が多い薬もあるため、服用中のお薬の確認が欠かせません |
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用語解説|お薬の「作用機序(さようきじょ)」の違い ① ノイラミニダーゼ阻害薬(タミフル・イナビル・リレンザ・ラピアクタ):増えたインフルエンザウイルスが細胞から外へ飛び出すのに必要な酵素(ノイラミニダーゼ)をブロックし、感染の広がりを抑えます。 ② キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬(ゾフルーザ):インフルエンザウイルスが細胞の中で自分のコピーを作る最初の段階を止めます。 ③ 3CLプロテアーゼ阻害薬(ゾコーバ・パキロビッド):新型コロナウイルスが増えるときに必要な「はさみ」の役割をする酵素(3CLプロテアーゼ)の働きを止めます。インフルエンザには効きません。 |
新型コロナ治療薬の2026年のトピック
新型コロナの飲み薬ゾコーバ(エンシトレルビル)には、2026年に2つの大きな変更がありました。
| 日付 | 内容 |
|---|---|
| 2026年3月23日 | 感染者との接触後に発症を防ぐ「発症抑制(曝露後予防)」の効能が追加承認されました |
| 2026年6月19日 | 6歳以上12歳未満・体重20kg以上の小児への用法・用量が承認され、小児用の25mg錠が8月17日に発売されました |
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用語解説|「曝露後予防(ばくろごよぼう)」とは・使う際の注意 感染者と同居しているなど、ウイルスにさらされた(曝露した)あと、発症する前にお薬を飲んで発症を防ぐ考え方です。インフルエンザにも同様の「予防投与」があります。 予防目的での使用は、治療とは対象者・保険の扱い・費用が異なります。すべての方に必要なものではなく、重症化リスクや生活状況をふまえて医師と相談して決めるものです。 また、ゾコーバは妊娠中・妊娠の可能性がある方には使用できません。服用中のお薬との飲み合わせにも注意が必要ですので、お薬手帳を必ずお持ちください。 |
インフルエンザの治療薬の選び方や予防投与については、当院ブログ「インフルエンザにかかったら|検査のベストタイミング・治療薬5種の使い分け」で詳しく解説しております。
療養期間・出席停止の違い
学校・幼稚園・保育園の出席停止期間は、学校保健安全法施行規則で病気ごとに定められています。インフルエンザと新型コロナでは基準が異なるので、ご注意ください。
| 区分 | 出席停止の基準 | 例:月曜に発症した場合 |
|---|---|---|
| インフルエンザ | 発症後5日を経過し、かつ解熱後2日(幼児は3日)を経過するまで | 発症日を0日目として数えるため、最短でも翌週の月曜日から登校可能 |
| 新型コロナ | 発症後5日を経過し、かつ症状が軽快した後1日を経過するまで | 同じく最短で翌週の月曜日から。症状が続く場合は延長 |
大人の場合、法律上の出勤制限はありませんが、厚生労働省は新型コロナについて発症後5日間かつ症状軽快後1日間は外出を控え、発症後10日間はマスク着用など周囲への配慮を推奨しています。インフルエンザも同様に、解熱後もしばらくはウイルスを排出していることがあるため、職場のルールに沿ってご対応ください。
お子さまのおうちでの過ごし方は「子どものインフルエンザ『おうちケア』完全ガイド」もご参照ください。
すぐに受診が必要なサインと受診前チェックリスト
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重要|こんなときは早めに受診・救急相談を ・息苦しい、呼吸が速い、唇の色が悪い ・水分がとれない、半日以上おしっこが出ない ・呼びかけへの反応が鈍い、意味不明なことを言う、けいれん(特にお子さま) ・いったん下がった熱が再び上がる(細菌性肺炎などの合併が疑われます) ・糖尿病の方で、血糖値が普段より大きく上がる/食事がとれない(シックデイ) |
夜間・休日にお子さまの症状で迷ったときは、小児救急電話相談(#8000)、大人の方は東京消防庁救急相談センター(#7119)もご利用ください。
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受診前チェックリスト □ 発熱・症状が始まった日時(「何時ごろから」まで分かると検査のタイミングを判断しやすくなります) □ 最高体温と、解熱剤を使った時刻 □ ご家族・職場・学校で同じ症状の方がいるか(学級閉鎖の有無) □ インフルエンザ・新型コロナワクチンの接種歴 □ 持病(糖尿病・心臓・腎臓・呼吸器の病気など)と妊娠の可能性 □ お薬手帳(飲み合わせの確認に必要です) |
発熱時は、ご来院前にお電話またはWEB問診でお知らせいただけますと、感染対策を整えてスムーズにご案内できます。
🏥 竹内内科小児科医院で診るという選択(当院が選ばれる理由)
インフルエンザと新型コロナが同時に広がるこの時期、当院では次のような体制で発熱の患者さまを診療しております。
理由① 内科・小児科を併設
お子さまからご高齢の方まで、同じ窓口で受診できます。家族内で次々と発熱したときも、ご家族そろってご相談いただけます。
理由② 同時検査と抗インフルエンザ薬の院内処方
インフルエンザ・新型コロナの同時検査に対応し、ゾフルーザ・タミフル・イナビルは院内でお渡しできます(リレンザはご希望の方に院外処方)。
理由③ 糖尿病・生活習慣病の専門的な診療
日本糖尿病協会登録医・日本抗加齢医学会専門医の院長が、持病のある方の感染症を、血糖管理やシックデイ対応まで含めて診療します。
理由④ 多摩川駅徒歩5分・土曜午前も診療
東急東横線・目黒線「多摩川駅」から徒歩5分。受付は午前12時まで・午後19時まで、土曜も午前は診療しております(日祝休診)。
理由⑤ 五良会グループの連携
白金高輪の内視鏡・専門外来、センター南の高齢者診療・訪問診療と連携し、必要に応じて切れ目なくご紹介いたします。
理由⑥ ワクチン接種と訪問診療
インフルエンザ・新型コロナワクチンの接種に対応しています。通院が難しい方には訪問診療でご相談をお受けしています。
発熱・のどの痛みが出たら、自己判断せずに一度ご相談ください。
この記事の執筆医師 | AUTHOR / SUPERVISOR
竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将(ごとう よしまさ)
- 防衛医科大学校 医学部 卒業(27期)。防衛医科大学校病院、自衛隊中央病院、自衛隊横須賀病院ほかで臨床経験を積む
- 医療法人社団 五良会(竹内内科小児科医院・五良会クリニック白金高輪)理事長/医療法人社団 正友会(五良ファミリークリニックセンター南)理事長/竹内内科小児科医院 院長
- 日本内科学会 認定内科医/日本抗加齢医学会 専門医/日本糖尿病協会 登録医/日本旅行医学会 認定医
- 日本温泉気候物理医学会 温泉療法専門医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/難病指定医
- 所属学会:日本内科学会、日本糖尿病学会、日本アレルギー学会、日本東洋医学会、日本リウマチ学会、日本外来小児科学会、日本抗加齢医学会、日本睡眠学会、日本美容内科学会、日本旅行医学会 ほか
- 著書『あぶら落とすスープ』(アスコム)。NHK・TBS・フジテレビ・日本テレビ・テレビ朝日などメディア出演多数
執筆・監修責任について
本記事も院長の五藤良将が執筆・監修しています。公的機関の発表・国内外の診療ガイドライン・査読済み論文を確認したうえで執筆しており、内容は公開時点の情報に基づくものです。新しい知見やガイドラインの改訂があった場合は、こちらで記事を更新します。
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個々の患者さんの診断・治療に代わるものではありません。症状や治療のご判断については、必ず医師にご相談ください。記載内容について気になる点がございましたら、竹内内科小児科医院(03-3721-5222)までお知らせください。
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五良会グループでは、田園調布から白金高輪まで医師が連携しております。患者さまの転居やライフスタイルの変化に合わせて、同じグループ内で継続診療が受けられる体制を整えております。
参考文献
- 厚生労働省「インフルエンザの発生状況について」2026年第38週(2026年9月14日〜20日)(2026年9月閲覧)
- 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の発生状況」2026年第38週(2026年9月閲覧)
- 東京都感染症情報センター「インフルエンザの流行状況(東京都 2026-2027年シーズン)」https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/diseases/flu/flu/(2026年9月閲覧)
- 塩野義製薬「新型コロナウイルス感染症治療薬ゾコーバ®錠 発症抑制に関する承認取得のお知らせ」2026年3月23日
- 塩野義製薬「ゾコーバ®錠 小児用法・用量および25mg錠の承認取得について」2026年6月19日
- 日本感染症学会「COVID-19に対する薬物治療の考え方」(2026年9月時点の公開版)
- 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会「インフルエンザ治療・予防指針」(2026年9月時点の公開版)
- 文部科学省「学校保健安全法施行規則」第19条(出席停止の期間の基準)
- 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について」
- World Health Organization. A clinical case definition of post COVID-19 condition by a Delphi consensus. 2021.
竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将
日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医・日本旅行医学会認定医