【2026-2027年】インフルエンザが8月に流行入り・昨年より1か月早い異例のシーズン|フルミスト点鼻と注射ワクチン、今年は「いつ・どちらを」受けるべき?【田園調布・多摩川】

皆さま、こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。

2026年8月27日、東京都は「都内でインフルエンザの流行が始まった」と発表しました。昨年の流行開始(9月22〜28日)より1か月以上も早い、異例のスタートです。翌28日には全国でも流行入りが発表され、これは感染症法にもとづく調査が始まった1999年以降で2番目に早い流行入りとなりました。都内では直近1週間に学校や社会福祉施設などでの集団感染が7件報告されており、まだ残暑の厳しいこの時期から、外来でも「もうインフルエンザの検査をした方がいいですか?」というご相談が増えています。

今回のブログでは、「そもそもインフルエンザウイルスとはどんなウイルスなのか」という基本から、2026-2027シーズンの特徴と例年と異なる点、そして注射のワクチンと鼻にスプレーするタイプの「フルミスト点鼻液」のどちらを・いつ受けるべきかまで、厚生労働省・東京都感染症情報センターの最新情報にもとづいて、田園調布・多摩川エリアの皆さまに分かりやすくお伝えいたします。

8月に流行入り——今シーズンは何が異例なのか

インフルエンザの「流行入り」は、全国約5,000か所(都内は419か所)の定点医療機関から報告される1医療機関あたりの週間患者数が「1.0人」を超えたときに発表されます。今回の数字を整理してみましょう。

項目 今シーズン(2026年) 昨シーズン(2025年)
東京都の流行入り 8月27日発表(8月17〜23日の週:定点あたり1.49人) 9月22〜28日の週
全国の流行入り 8月28日発表(同週:定点あたり1.11人)=1999年以降で2番目の早さ 約6週間遅い時期
都内の集団感染 直近1週間で学校・社会福祉施設などで7件

全国で最も早く流行入りした2009年は「新型インフルエンザ」が世界的に大流行した年でした。それに次ぐ早さということからも、今シーズンがいかに異例かがお分かりいただけると思います。実は昨シーズン(2025-2026年)も例年より早い流行開始で、学級閉鎖が秋のうちから相次ぎました。「インフルエンザは冬の病気」という常識が、ここ数年で変わりつつあるのです。

インフルエンザウイルスとは?——毎年流行する理由

インフルエンザウイルスには大きくA型・B型・C型があり、毎年冬の流行の主役となるのはA型とB型です。A型はさらに、ウイルス表面のたんぱく質(HA=ヘマグルチニン、NA=ノイラミニダーゼ)の組み合わせによって「A/H1N1型」「A/H3N2型(いわゆる香港型)」などの亜型(あがた)に分かれます。B型には「ビクトリア系統」という系統があります。

メカニズム図解|なぜインフルエンザは「毎年」流行するのか

1 ウイルスが増えるたびに小さな変異が起こる:インフルエンザウイルスは遺伝子のコピーミスが多く、表面のたんぱく質の形が少しずつ変わっていきます(連続変異)。
2 過去の免疫が「すり抜け」られる:以前かかったときやワクチンで得た免疫は、形の変わったウイルスには効きにくくなります。
3 だから毎年、流行株に合わせてワクチンが作り直される:世界中の流行状況をもとに、シーズンごとにワクチンの中身(製造株)が選び直されています。「去年打ったから今年は不要」とならないのはこのためです。

症状の面では、インフルエンザは普通のかぜと異なり、38℃以上の急な発熱、関節痛・筋肉痛、強い倦怠感が特徴です。多くの方は約1週間で回復しますが、小さなお子さん・ご高齢の方・妊娠中の方・喘息や糖尿病などの持病がある方では、肺炎や脳症(お子さんの場合)などの重症化リスクがあり、注意が必要です。

2026-2027シーズンの特徴と、今季のワクチン株

昨シーズンの「サブクレードK」と、今季の見通し

昨シーズン(2025-2026年)は、A/H3N2型(香港型)の中でも新しい系統である「サブクレードK」と呼ばれるグループのウイルスが世界的に広がり、日本でも流行の早期化・拡大の一因になったと考えられています。ウイルスの形が従来の株から変化していたため、免疫がすり抜けられやすかった可能性が指摘されています。

今シーズンも8月から患者数が増えているという事実は、夏の間もウイルスの伝播が途切れずに続いていたことを意味します。海外との往来の回復や、コロナ禍を経てインフルエンザに対する社会全体の免疫が変化したことなど、複数の要因が指摘されていますが、いずれにしても「例年より前倒しの備え」が必要なシーズンと言えます。

今季のワクチンは「3株すべて」が新しくなりました

今シーズン(2026-2027年)のインフルエンザワクチンは、昨シーズンに引き続き、A型2株+B型1株の3価ワクチンです(B型山形系統の消失を受けて、日本では2025-2026シーズンから4価→3価に変更されています)。注目すべきは、3株すべてが直近の流行状況を踏まえて昨シーズンから変更された点です。

型・系統 2026-2027シーズンの製造株 昨季からの変更
A/H1N1型 A/スイス/6849/2025(IVR-278) 変更
A/H3N2型(香港型) A/ミシガン/105/2025(SAN-049A) 変更
B型(ビクトリア系統) B/東京/EIS13-175/2025 変更

ワクチンは流行株と完全に一致しなくても、発症予防に加えて、入院や重症化を減らす効果が繰り返し確認されています。「昨年は打ったのにかかった」という方も、重症化を防ぐという意味で接種の価値は変わりません。

注射ワクチンとフルミスト点鼻——2つの選択肢を比較

現在、日本で受けられるインフルエンザワクチンには、従来からの注射(不活化ワクチン)と、鼻にスプレーする経鼻弱毒生ワクチン「フルミスト点鼻液」の2つがあります。フルミストは2023年3月27日に国内承認され、2024年10月に発売された、日本初の「注射しない」インフルエンザワクチンです。当院でも小児科・内科でどちらも取り扱っております。

項目 注射ワクチン(不活化) フルミスト点鼻液(経鼻弱毒生)
対象年齢 生後6か月以上(年齢上限なし) 2歳以上19歳未満
接種方法・回数 皮下注射。13歳未満は2〜4週間隔で2回、13歳以上は原則1回 両方の鼻に1回ずつスプレー。1回で完了(注射針を使いません)
しくみ 感染性をなくしたウイルス成分で、血液中の抗体を作る 弱毒化した生ワクチン。ウイルスの入り口である鼻・のどの粘膜の免疫も誘導される
主な副反応 接種部位の腫れ・痛み、発熱など 鼻水・鼻づまり、のどの痛み、発熱など
受けられない・注意が必要な方の例 重い卵アレルギーのある方などは事前にご相談を 生ワクチンのため、免疫不全のある方やその同居家族、妊娠中の方、重い喘息のある方などは対象外。詳細は診察時に確認します

ポイント|どちらを選ぶ?

① 注射が苦手なお子さん・2回通院が難しいご家庭:フルミストは「痛くない・1回で完了」が大きな利点です。特に13歳未満のお子さんは注射だと2回接種が必要なため、通院負担の差が大きくなります。

② 大人(19歳以上)・生後6か月〜2歳未満・妊娠中の方・持病のある方:注射ワクチンが選択肢となります。どちらのワクチンも任意接種(自費)です。

③ 迷ったら:年齢・体質・ご家族の状況によって適した選択は変わります。当院は内科・小児科を併設しておりますので、ご家族それぞれに合った組み合わせを一度にご相談いただけます。

今年は「いつ」受けるべき?——早期流行年の接種タイミング

ワクチンの効果が十分に出るまでには、接種から約2週間かかり、効果はおよそ5か月程度持続するとされています。例年は「10月中〜12月上旬までに」とお伝えすることが多いのですが、すでに8月に流行が始まっている今年は、この“例年どおり”が通用しません

今シーズンの接種タイミングの考え方

接種開始後、できるだけ早めに:今季のワクチンの供給が始まり次第、早めの接種をおすすめします(例年、各医療機関では10月頃から接種が始まります。当院の開始時期・ご予約方法は、決まり次第ホームページ・LINEでご案内いたします)。

13歳未満のお子さん(注射の場合):2回接種の完了までに1か月前後かかるため、1回目を早めに。フルミストなら1回で完了します。

受験生とそのご家族:入試本番から逆算し、流行が本格化する前の接種を。ご家族そろっての接種が本人を守ることにもつながります。

65歳以上の方・持病のある方:重症化予防のため特に接種が推奨されます。65歳以上の方は定期接種(公費助成あり)の対象です。大田区の今年度の助成内容・開始時期は、区からの案内をご確認ください。

「早く打つと、シーズン後半に効果が切れてしまうのでは?」というご質問もよくいただきますが、効果は5か月ほど続くため、9〜10月に接種しても年明けの流行までカバーが期待できます。すでに流行が始まっている以上、「打たないまま流行のピークを迎える」リスクの方が大きい——これが今シーズンの考え方です。

ワクチンとあわせて——今日からできる感染対策と受診の目安

東京都も呼びかけているとおり、基本の感染対策が引き続き有効です。こまめな手洗い、室内の換気、せきやくしゃみが出るときのマスク着用(せきエチケット)、十分な睡眠と栄養を心がけましょう。学校・保育園・職場で患者さんが出始めている今の時期こそ、基本の徹底が効果を発揮します。

受診の目安チェックリスト

□ 38℃以上の急な発熱と、関節痛・筋肉痛・強いだるさがある

□ 家族・学校・職場でインフルエンザの方がいて、発熱・せきが出てきた

□ 小さなお子さんで、水分が取れない・ぐったりしている・呼びかけへの反応がおかしい(至急受診を

□ ご高齢の方・妊娠中の方・喘息、糖尿病、心臓や腎臓の持病がある方の発熱

□ 解熱後も、せきが長引く・息苦しさがある

当院では発熱・せき症状の方の診療を行っております(発熱症状のある方は、来院前にお電話またはWEB問診でお知らせいただけますとスムーズです)。抗インフルエンザ薬は発症から48時間以内の開始が効果的とされますので、「インフルエンザかな?」と思ったら早めにご相談ください。

今年のインフルエンザは「待ってくれません」——ワクチンのご相談はお早めに

注射ワクチン・フルミスト点鼻のご相談は、お電話(03-3721-5222)またはWEB予約・LINEから。今季の接種開始時期は決まり次第ご案内いたします。

竹内内科小児科医院(東急東横線・目黒線 多摩川駅 徒歩5分/土曜午前も診療・ご家族での接種相談も歓迎です)

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五良会グループでは、田園調布の竹内内科小児科医院と港区の五良会クリニック白金高輪が連携し、お子さんからご高齢の方まで、ご家族全員のワクチン接種と感染症診療を多角的にサポートしております。患者さまのライフスタイルや転居に合わせて、同じグループ内で継続診療が受けられる体制を整えております。

参考文献

  1. 東京都保健医療局「都内でインフルエンザの流行が始まりました」2026年8月27日発表.
  2. 厚生労働省「インフルエンザの発生状況について」2026年8月28日(第34週:定点あたり1.11人).
  3. 東京都感染症情報センター「2026〜2027年シーズンインフルエンザHAワクチン製造株」(2026年8月閲覧).
  4. 厚生労働省 予防接種課「2026/27シーズンの季節性インフルエンザワクチンについて」.
  5. 第一三共株式会社「経鼻弱毒生インフルエンザワクチン『フルミスト点鼻液』製造販売承認取得のお知らせ」2023年3月27日/「同 新発売のお知らせ」2024年10月4日、および同剤添付文書.
  6. 読売新聞「都内でインフルエンザ流行、昨年より1か月早く」2026年8月28日配信.

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Author: 五藤 良将