【2026年初秋】糖尿病と「目」の合併症|自覚症状がないまま進む糖尿病網膜症・当院の無散瞳眼底カメラで健診と一緒に眼底チェックを【田園調布・多摩川】

皆さま、こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。

朝晩に少しずつ秋の気配を感じる季節となりました。秋は健康診断の結果が手元に届く方が多い時期でもあります。健診で「血糖値が高め」「HbA1cが基準を超えています」と指摘された方から、最近こんなご質問をいただくことが増えました。「糖尿病で目が悪くなると聞いたのですが、視力は落ちていないので大丈夫でしょうか?」——実はこの「見え方に問題がないから大丈夫」という考え方にこそ、大きな落とし穴があります。

糖尿病の三大合併症のひとつである糖尿病網膜症(とうにょうびょうもうまくしょう)は、かなり進行するまで自覚症状がほとんど現れないことが特徴です。今回のブログでは、日本糖尿病眼学会「糖尿病網膜症診療ガイドライン(第1版・2020年)」と日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」に基づき、なぜ症状がなくても年1回の眼底検査が大切なのかを、田園調布・多摩川エリアの皆さまに分かりやすくお伝えいたします。あわせて、当院に導入しているデジタル無散瞳(むさんどう)眼底カメラ——瞳を開く目薬を使わずに、内科受診や健康診断のついでに短時間で眼底を撮影できる検査機器——についてもご紹介いたします。

当院ブログでは、これまでも糖尿病の合併症について歯周病(第6の合併症)フットケア(足病変)腎臓(糖尿病性腎症・CKD)と順にご紹介してまいりました。今回は「目」の合併症編です。

糖尿病網膜症とは|なぜ「気づいたときには進んでいる」のか

網膜(もうまく)は、目の奥にある「カメラのフィルム」にあたる薄い膜で、非常に細かい血管が網の目のように張りめぐらされています。血糖値の高い状態が長く続くと、この細い血管が少しずつ傷んでいきます。これが糖尿病網膜症です。

問題は、網膜の中心部(黄斑部)が障害されるまで、視力低下などの自覚症状がほとんど出ないことです。「見えにくくなってから眼科に行く」のでは、治療の選択肢が限られてしまうことがあります。

メカニズム図解|高血糖が「目」を傷めるまで

1 高血糖が続く:血液中の余分なブドウ糖が、網膜の毛細血管の壁を内側から傷つけます
2 血管にコブや出血が生じる:傷んだ血管に小さなコブ(毛細血管瘤)ができ、点状の出血やむくみが起こります——この段階では自覚症状はほぼゼロです
3 血管が詰まり、酸素不足になる:網膜に血液が届かない部分が生じ、酸素不足を補おうと「新生血管」というもろい血管が生えてきます
4 大出血・網膜剥離へ:もろい新生血管が破れて眼の中で大きな出血(硝子体出血)を起こしたり、網膜剥離につながったりして、急激な視力低下を招くことがあります

網膜症の進み方|3つのステージ

糖尿病網膜症は、大きく次の3つの段階を経て進行します。

ステージ 網膜で起きていること 自覚症状
単純網膜症 毛細血管瘤(血管のコブ)、点状の出血、血液成分のしみ出し ほぼなし
増殖前網膜症 血管の閉塞が進み、血液の届かない部分(虚血)が広がる まだ乏しいことが多い
増殖網膜症 新生血管の発生、硝子体出血、網膜剥離 急激な視力低下・飛蚊症など

また、どのステージでも、網膜の中心部がむくむ「糖尿病黄斑浮腫(おうはんふしゅ)」が起こると、ものがゆがんで見える・中心が見えにくいといった症状が出ることがあります。

重要|こんな「見え方の変化」はすぐに眼科受診を

・黒い点や糸くずのようなものが急に増えて見える(飛蚊症の急な悪化)

・視野の一部にカーテンがかかったように見えない部分がある

・ものがゆがんで見える、中心部が暗く見える

・片目だけ急に見えにくくなった

日本の視覚障害の主要な原因のひとつ——でも「防げる」合併症です

岡山大学などの研究グループが行った全国調査(2023年発表)によると、糖尿病網膜症はわが国で新たに視覚障害と認定された方の原因疾患の第3位(10.2%)と報告されています。働き盛りの世代の視覚障害の原因としても、依然として大きな割合を占めています。

一方で、糖尿病網膜症は早期に見つけて、血糖・血圧・脂質をきちんと管理し、必要な時期に眼科治療を受ければ、重い視力障害を防げる可能性が高まる合併症でもあります。だからこそ「症状が出る前の定期チェック」に大きな意味があるのです。

ポイント|「目の合併症」対策の3本柱

① 定期的な眼底検査:自覚症状がなくても定期的に網膜のチェックを。当院ではデジタル無散瞳眼底カメラによる院内スクリーニングが可能です

② 血糖・血圧・脂質の管理:網膜症の発症・進行をおさえる土台は内科での治療です

③ 内科と眼科の連携:検査結果を共有しながら、二人三脚ならぬ「三人四脚」で目を守る

眼底検査はどれくらいの頻度で受ければいい?

日本糖尿病眼学会の「糖尿病網膜症診療ガイドライン(第1版・2020年)」では、糖尿病と診断されたら、まず眼科を受診して網膜症の有無を確認し、その後は網膜症の程度に応じた間隔で定期的に眼底検査を受けることが推奨されています。目安は次のとおりです(実際の間隔は眼科医の指示に従ってください)。

網膜症の状態 眼科受診の目安
網膜症なし 1年に1回程度
単純網膜症 6か月に1回程度
増殖前網膜症・増殖網膜症・黄斑浮腫 1〜2か月に1回など、眼科医の指示に応じて

「健診の視力検査」だけでは網膜症は分かりません

職場健診などの視力検査は「どれだけ見えるか」を調べる検査で、網膜の血管の状態までは分かりません。網膜症のチェックには、目の奥(網膜)を直接観察する眼底検査が必要です。当院ではデジタル無散瞳眼底カメラによる眼底撮影を院内で行えますので、10月10日の「目の愛護デー」を待たず、健診結果が届いたこの秋のうちに、内科受診とあわせて一度眼底チェックをご検討ください。

目を守る本当の主役は「血糖・血圧・脂質」の管理です

眼底検査が「見張り役」だとすれば、網膜症の発症・進行そのものをおさえる主役は、日々の血糖コントロールです。日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」では、合併症予防のための目標としてHbA1c 7.0%未満が一つの目安とされています(年齢や病状により個別に設定します)。

さらに見落とされがちなのが血圧と脂質です。高血圧や脂質異常症は網膜の血管障害を悪化させる要因となるため、血糖だけでなく血圧・LDLコレステロール・中性脂肪もあわせて管理することが、目を守ることにつながります。急激に血糖を下げた際に一時的に網膜症が悪化する場合があることも知られており、治療開始時には内科と眼科が連携して経過を見ていくことが大切です。

当院ブログの「健診でHbA1c・血糖値を指摘されたら」でもお伝えしたとおり、「予備群のうち」からの生活改善が、そのまま将来の目・腎臓・神経を守る投資になります。

当院の「デジタル無散瞳眼底カメラ」|内科・健診で受けられる眼底チェック

「眼底検査が大切なのは分かったけれど、症状もないのに眼科に行くのはハードルが高い」——そんなお声にお応えして、竹内内科小児科医院ではデジタル無散瞳眼底カメラを導入しております。「無散瞳(むさんどう)」とは、瞳孔を開く目薬(散瞳薬)を使わずに眼底を撮影できるという意味です。

無散瞳眼底カメラ検査の特徴

特徴 患者さまにとってのメリット
散瞳薬を使わない 検査後に数時間まぶしさ・ピントの合いにくさが続くことがなく、お車・自転車でお越しの方もそのままお帰りいただけます
短時間で撮影 カメラをのぞいて撮影するだけ。内科の診察や健康診断と同じ日に受けられます
デジタル画像で記録 画像をその場でご覧いただきながら説明でき、前回の画像との比較や、眼科へ紹介する際の情報提供にも活用できます
網膜症以外のチェックにも 眼底は「血管を直接見ることができる唯一の場所」。高血圧による血管の変化(高血圧性変化・動脈硬化性変化)の評価にも役立ちます

このため無散瞳眼底カメラは、健康診断や、自覚症状のない方の定期的なスクリーニング(ふるい分け)検査として特に有用です。「糖尿病・糖尿病予備群と言われているが、眼科にはまだ行けていない」「健診で血圧や血糖の異常を指摘された」という方の“最初の一歩”として、まず内科でお気軽に受けていただけます。

少しでも異常があれば、近隣の眼科専門医へご紹介します

無散瞳眼底カメラはあくまでスクリーニング検査であり、眼科での精密検査(散瞳下の眼底検査やOCT=光干渉断層計など)に代わるものではありません。当院での撮影で少しでも気になる所見があれば、田園調布・大田区近隣の眼科専門医へ速やかにご紹介し、レーザー治療や抗VEGF薬の注射などの専門治療が必要な場合も、責任をもって橋渡しいたします。すでに網膜症を指摘されている方は、眼科での定期通院を続けてください。

内科と眼科の連携|当院でできること

竹内内科小児科医院では、糖尿病内科・代謝内科として、田園調布・大田区の皆さまの血糖・血圧・脂質の管理を担いながら、眼科での定期検査と治療がとぎれないようサポートいたします。具体的には、HbA1c・血糖値・血圧・脂質の定期評価と治療、無散瞳眼底カメラによる定期的な眼底チェック、栄養相談(管理栄養士による食事指導)、眼科受診のタイミングのご案内と診療情報提供書(紹介状)の作成、眼科での検査結果をふまえた内科治療の調整などを行っております。「糖尿病眼手帳」をお持ちの方は、受診時にぜひお持ちください。内科と眼科で情報を共有するための大切なツールです。

お仕事でお忙しい方も、当院は土曜午前も診療しております。健診結果を放置せず、まずはお気軽にご相談ください。

受診前チェックリスト

次の項目にあてはまる方は、内科での血糖チェックと眼科での眼底検査をおすすめいたします。

受診前チェックリスト

□ 健診で血糖値・HbA1cの異常を指摘されたが、眼底検査は受けたことがない

□ 糖尿病と診断されてから、1年以上眼底検査を受けていない

□ 「症状がないのに眼科に行くのは気が引ける」と感じている(→まずは当院の無散瞳眼底カメラでチェックできます)

□ 飛蚊症の急な悪化、ゆがみ、視野の欠けなど「見え方の変化」がある

□ 血圧やコレステロールも高めと言われている

□ 治療を自己判断で中断してしまっている

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参考文献

  1. 日本糖尿病眼学会診療ガイドライン委員会「糖尿病網膜症診療ガイドライン(第1版)」日本眼科学会雑誌 2020;124(12):955-981.
  2. 日本糖尿病学会 編・著『糖尿病診療ガイドライン2024』南江堂, 2024.
  3. 日本糖尿病学会 編・著『糖尿病治療ガイド2024』文光堂, 2024.
  4. 岡山大学ほか「視覚障害の原因疾患の全国調査」プレスリリース(2023年):糖尿病網膜症は第3位(10.2%)(2026年8月閲覧)
  5. 日本糖尿病眼学会「糖尿病眼手帳」(2026年8月閲覧)

健診結果の「血糖高め」、放置せずご相談ください

竹内内科小児科医院(東急東横線・目黒線「多摩川駅」徒歩5分)では、糖尿病内科・代謝内科として血糖・血圧・脂質の管理を行うとともに、デジタル無散瞳眼底カメラによる眼底チェックを内科受診・健康診断とあわせて受けていただけます。異常があれば近隣の眼科専門医へ速やかにご紹介いたします。土曜午前も診療しております。ご予約は下記のWEB予約・LINE・お電話(03-3721-5222)からどうぞ。

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