【2026年夏休み】小学生になっても続く「おねしょ」は夜尿症かも|夏休みは治療を始めるチャンス・小児科が解説【田園調布・多摩川】

皆さま、こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。

2026年も夏休みが始まり、田園調布・多摩川エリアでも、林間学校やお泊まり会、祖父母の家への帰省など、お子さんが「おうち以外で夜を過ごす」機会が増える季節になりました。この時期、外来で保護者の方からそっと打ち明けられるご相談のひとつが、「小学生になってもおねしょが続いているのですが、大丈夫でしょうか」というお悩みです。

実は、5〜6歳を過ぎても続くおねしょは「夜尿症(やにょうしょう)」という、れっきとした治療対象の状態です。決して「親のしつけの問題」でも「本人の怠け」でもありません。今回のブログでは、日本夜尿症学会(現・日本夜尿症・尿失禁学会)編『夜尿症診療ガイドライン2021』に基づき、おねしょと夜尿症の違い、ご家庭でできる工夫、医療機関で受けられる治療について、内科・小児科の両方を診療する立場からやさしく解説いたします。

生活リズムを整えやすく、通院の時間も取りやすい夏休みは、夜尿症の相談・治療を始める絶好のタイミングです。ぜひ最後までお読みください。

「おねしょ」と「夜尿症」はどう違う?

乳幼児期のおねしょは、膀胱や睡眠の発達がまだ途中であるために起こる、ごく自然な現象です。一方、医学的には「5歳以降で、月1回以上のおねしょ(夜間睡眠中の尿失禁)が3か月以上続く場合」を夜尿症と定義しています(夜尿症診療ガイドライン2021)。

つまり、おおよそ小学校入学前後になってもおねしょが定期的に続いているようであれば、それは「様子を見るだけ」ではなく、相談・治療の対象と考えてよい、ということです。

ポイント|夜尿症の定義(ガイドライン2021)

① 年齢:5歳以降

② 頻度:月1回以上の夜間のおもらし

③ 期間:3か月以上継続

どのくらいの子どもにみられるの?

夜尿症は決してめずらしいものではありません。ガイドラインによれば、5〜6歳のお子さんの約15〜20%、小学校低学年でも約10%にみられ、その後は1年ごとにおよそ15%ずつ自然に軽快していくとされています。それでも10歳児の約5%、中学生でも約1〜3%に夜尿が残ると報告されており、クラスに数人はいる計算になります。

一方で、自然経過に任せるだけでなく、適切な生活指導や治療を行うことで、治るまでの期間を短縮できる可能性があることもガイドラインに示されています。お泊まり行事を控えたお子さんの自信を守るためにも、「そのうち治るから」と抱え込まず、早めにご相談いただきたいと考えております。

年齢の目安 夜尿がみられる割合(おおよそ)
5〜6歳 約15〜20%
小学校低学年 約10%
10歳 約5%
中学生 約1〜3%

夜尿症が起こる3つのメカニズム

夜尿症は、主に次の3つの要素のバランスがまだ発達の途中であるために起こると考えられています。

メカニズム図解|夜尿症が起こる仕組み

1 夜間の尿量が多い(夜間多尿):睡眠中に尿を濃縮するホルモン(抗利尿ホルモン)の分泌リズムが未発達で、夜間につくられる尿の量が多くなります。
2 膀胱にためられる量が少ない:夜間に膀胱へためておける尿の量(膀胱容量)が年齢相応より少ないと、あふれてしまいます。
3 尿意で目が覚めにくい(覚醒閾値が高い):膀胱がいっぱいになっても、眠りが深く目が覚めないため、そのまま排尿してしまいます。
「つくられる尿量」が「ためられる量」を上回り、目も覚めない——この組み合わせで夜尿が起こります。どの要素が強いかはお子さんごとに異なり、それによって治療の選び方も変わります。

このように、夜尿症は体の発達のペースの問題であって、心がけやしつけの問題ではありません。保護者の方の育て方が原因ではないことを、まずお伝えしたいと思います。

重要|こんなサインがあれば早めに受診を

・昼間にもおもらし・ひどい頻尿・排尿時の痛みがある

・半年以上おねしょがなかったのに、再び始まった(二次性夜尿)

・水を大量に飲み、尿の量が非常に多い(糖尿病などが隠れていることがあります)

・いびきがひどい、便秘が続いている、体重減少をともなう

今日からできる生活改善のポイント

夜尿症診療の第一歩は、ご家庭での生活改善(生活指導)です。ガイドラインでも、すべての治療に先立って行う基本とされています。

水分・塩分の摂り方にメリハリを

日中(特に午前中〜夕方前)にしっかり水分をとり、夕食後から就寝までの水分は控えめにするのが基本です。夏場は熱中症予防との両立が大切ですので、「日中はたっぷり、夜は控えめ」とメリハリをつけましょう。塩分・糖分の多い食事や就寝前の牛乳・スープ類は夜間の尿量を増やしやすいため、夕食では控えめを心がけます。

就寝前のトイレと便秘の解消

寝る直前に必ずトイレに行く習慣をつけましょう。また、便秘は夜尿症の悪化要因として知られています。たまった便が膀胱を圧迫し、ためられる尿量を減らしてしまうためです。排便リズムを整えることも、立派な夜尿症治療のひとつです。

「起こさない・怒らない・焦らない・比べない」

夜中に無理に起こしてトイレに連れて行くことは、睡眠リズムを乱し、かえって回復を遅らせる可能性があるため、ガイドラインでは推奨されていません。また、失敗を叱ることはお子さんの自尊心を傷つけるだけで、治療効果はありません。できた日をカレンダーに記録してほめるなど、前向きな声かけが回復への近道です。

夏休みならではの注意点

帰省やレジャーで生活リズムが乱れると夜尿は増えやすくなります。就寝・起床時刻をなるべく一定に保ち、夕方以降のジュース・アイス・スイカなど水分の多いおやつの「食べる時間帯」を意識してあげてください。

医療機関で受けられる治療(アラーム療法・お薬)

生活改善を1〜2か月続けても夜尿が減らない場合、ガイドラインでは主に次の2つの治療が積極的治療として位置づけられています。どちらを先に行うか、または組み合わせるかは、お子さんの夜尿のタイプやご家庭の状況に合わせて相談しながら決めていきます。

アラーム療法

下着やパッドにセンサーを取り付け、濡れるとアラームが鳴って本人に知らせる治療法です。継続することで、夜間にためられる尿量が増え、夜尿の回数が減っていくことが期待されます。ご家族の協力が必要ですが、ガイドラインでも推奨度の高い治療のひとつです。

デスモプレシン(ミニリンメルト®)

夜間の尿量を減らす飲み薬(口の中で溶ける錠剤)で、尿を濃縮するホルモンの働きを補うことで夜間多尿タイプの夜尿症に用いられます。日本では「尿浸透圧あるいは尿比重の低下に伴う夜尿症」に対して承認されており、原則6歳以上のお子さんが対象です。就寝前に服用し、少量から開始して効果をみながら調整します。

服用時の大切な注意|水分制限

デスモプレシンは体に水分をためる方向に働くため、服用前2〜3時間(夕食後)から翌朝までの飲水は極力控える必要があります。守られないと低ナトリウム血症(頭痛・吐き気・けいれん等)を起こすおそれがあるため、当院では服用方法をご家族と一緒に丁寧に確認しております。

このほか、昼間の症状をともなうタイプや便秘の合併があるケースでは、別のお薬や専門医療機関との連携を検討することもあります。治療効果には個人差がありますので、焦らず一歩ずつ進めていきましょう。

受診の目安|夏休みは相談のチャンス

夜尿症の治療は、生活記録をつけたり、アラーム療法に取り組んだりと、生活リズムが安定している時期に始めるのが効果的です。学校がお休みで通院時間も取りやすい夏休みは、まさに相談のチャンスです。秋の宿泊行事や来年の林間学校を見据えて、いまから準備を始めませんか。

受診前チェックリスト(当てはまれば一度ご相談ください)

□ 小学生になってもおねしょが月1回以上続いている

□ お泊まり行事(林間学校・修学旅行など)が近づいて本人が気にしている

□ 昼間のおもらし・頻尿・便秘・いびきをともなう

□ 一度なくなったおねしょが再び始まった

□ 生活改善を続けても変化がない

当院は内科と小児科を併設しており、お子さんの夜尿症のご相談はもちろん、背景に隠れた便秘・アレルギー・生活習慣の問題まで、ご家族全体を視野に入れて診療できるのが強みです。受診の際は、可能であれば数日分の「おねしょの有無・就寝起床時間・夕方以降の飲水量」のメモをお持ちいただくと、診療がスムーズです。

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五良会グループでは、田園調布から白金高輪まで医師が連携しております。患者さまの転居やライフスタイルの変化に合わせて、同じグループ内で継続診療が受けられる体制を整えております。

参考文献

  1. 日本夜尿症学会(現・日本夜尿症・尿失禁学会)編. 夜尿症診療ガイドライン2021. 診断と治療社; 2021.
  2. ミニリンメルト®OD錠 添付文書(フェリング・ファーマ/効能・効果:尿浸透圧あるいは尿比重の低下に伴う夜尿症ほか)(2026年7月閲覧)
  3. Minds ガイドラインライブラリ「夜尿症診療ガイドライン2021」https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00690/(2026年7月閲覧)

おねしょのお悩み、ひとりで抱え込まないでください

竹内内科小児科医院では、夜尿症のご相談を随時承っております。土曜午前も診療しておりますので、共働きのご家庭もご利用いただきやすい体制です。WEB予約・WEB問診・LINE・お電話(03-3721-5222)からご予約ください。

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