【2026年秋】血糖値を“見える化”する時代へ|FreeStyleリブレ(CGM)と血糖自己測定の使い方・保険適用をやさしく解説【田園調布・多摩川】

皆さま、こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。

秋の健診シーズンが始まり、田園調布・大田区周辺でも「血糖値やHbA1cが高めと言われた」というご相談が増えてまいりました。また、すでに糖尿病の治療中の方からは、「HbA1cは落ち着いているのに、食後にだるさやふらつきを感じる」「自分の血糖値が一日の中でどう動いているのか知りたい」というお声をよくいただきます。

今回のブログでは、腕に貼るセンサーで血糖の動きを24時間“見える化”できる持続グルコースモニタリング(CGM)——代表的な機器がFreeStyleリブレ(フリースタイルリブレ)です——と、従来の血糖自己測定(SMBG)について、日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」やCGMの国際コンセンサスレポート(2019年)をもとに、仕組み・使い方・保険適用のルールまで徹底解説いたします。

健診の数値の見方については、関連記事「健診で「血糖値・HbA1cが高め」と言われたら|糖尿病の診断基準をやさしく解説」も合わせてご参考にしてください。

HbA1cだけではわからない「血糖の波」

糖尿病の診療では、過去1〜2か月の血糖の平均を反映するHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)が最も大切な指標のひとつです。ただしHbA1cは「平均点」のような数値のため、食後の急な血糖上昇(血糖値スパイク)や、夜間の気づかない低血糖といった「血糖の波」までは教えてくれません。

同じHbA1c 7.0%でも、一日を通して穏やかに推移している方と、食後に200mg/dLを超える山と夜間の低血糖の谷を繰り返している方とでは、体への負担も治療の方針も変わってまいります。だからこそ近年は、平均値だけでなく血糖の「質」=変動の少なさに注目が集まっているのです。

ポイント|「血糖の見える化」でわかること

① 食後高血糖:どの食事・どの食べ方で血糖が急上昇しているかがわかります

② 夜間低血糖:睡眠中の無自覚な低血糖を発見できます

③ 生活との関係:歩いた日・食べる順番を変えた日の効果が数字で見えるため、治療を「自分ごと」にできます

症例イメージ①:健診で指摘された60代の会社員男性

当院の外来でよく出会うようなケースを、架空の症例としてご紹介します(実在の患者さまではありません)。60代の会社員男性・Aさん。HbA1c 8.2%、BMI 27で、飲み薬による治療を続けていましたが、「食事は気をつけているのに、なぜ下がらないのか」と半ばあきらめ気味でした。2週間のCGM(FreeStyleリブレ)を装着してみると、朝食のパンと昼食の麺類のあとに血糖が250mg/dL近くまで急上昇していることが一目でわかりました。食べる順番の工夫と昼食後の10分の散歩を始めたところ、グラフの山が目に見えて低くなり、ご本人のやる気も大きく変わりました。このように、CGMは「数字で納得できる」ことが最大の強みです。

血糖を測る3つの方法|SMBG・isCGM・リアルタイムCGM

血糖のモニタリングには、大きく分けて3つの方法があります。それぞれの特徴を表にまとめました。

方法 測り方 特徴
血糖自己測定(SMBG) 指先に細い針を刺し、少量の血液で測定 測った瞬間の血糖値が正確にわかる。従来からの標準的な方法
間歇スキャン式CGM(isCGM)
例:FreeStyleリブレ
上腕に貼ったセンサーが皮下の間質液(さいしつえき)中のグルコースを連続測定 針を毎回刺さずに、24時間の血糖の流れがグラフでわかる
リアルタイムCGM センサーが測定値を常時スマートフォン等へ自動送信 低血糖・高血糖をアラートで知らせる。主に1型糖尿病やインスリン強化療法の方に

なお、最近のFreeStyleリブレ2は選択式のアラート機能を備えるなど、isCGMとリアルタイムCGMの境目は年々小さくなってきています。どの方法が合うかは、治療内容やライフスタイルによって変わりますので、外来でご相談ください。

FreeStyleリブレとは?|仕組みと使い方

FreeStyleリブレは、アボット社の持続グルコース測定器です。日本では2024年3月28日から、アラート機能を備えた新型のFreeStyleリブレ2が発売されており、1分ごとにグルコース値を測定し、1つのセンサーで最長14日間、24時間の血糖プロファイルを記録できます。スマートフォンのアプリ(FreeStyleリブレLink)で、衣服の上からでも値を確認できる手軽さが特長です。

メカニズム図解|リブレはどうやって血糖を測っている?

1 センサーを上腕に装着:500円玉ほどのセンサーを二の腕の裏に貼ります。細く柔らかい測定用フィラメントが皮下に留置されます(装着時の痛みはわずかです)
2 間質液のグルコースを連続測定:血液そのものではなく、皮下の間質液中のグルコース濃度を測ります。このため血糖値とは数分のズレが生じることがあります
3 スマートフォンで確認:アプリで現在の値・変動の矢印・24時間のグラフをいつでも確認できます
4 外来でデータを一緒に振り返る:2週間分のレポート(AGP:外来血糖プロファイル)を医師と確認し、食事・運動・お薬の調整につなげます

ご注意いただきたいこと

・CGMの値は間質液の測定値のため、血糖が急に動いているときは実際の血糖値とズレることがあります。低血糖症状があるときや値に疑問があるときは、指先での血糖自己測定(SMBG)で確認することが推奨されています。

・センサーは入浴・シャワー・運動中も装着したまま過ごせますが、装着部位のかぶれ・はがれには注意が必要です。気になる症状があれば外来でご相談ください。

新しい目標「TIR(目標範囲内時間)」とは

CGMの普及とともに、HbA1cに加えて新しい指標が使われるようになりました。それがTIR(Time in Range:目標範囲内時間)です。1日24時間のうち、血糖が70〜180mg/dLの範囲に収まっていた時間の割合を示します。

2019年に発表されたCGMの国際コンセンサスレポート(Battelinoら、Diabetes Care誌)では、多くの1型・2型糖尿病の成人について、次のような目標が示されています。

指標 血糖の範囲 目標(多くの成人の場合)
TIR(目標範囲内時間) 70〜180mg/dL 70%以上(約17時間以上)
TBR(低血糖の時間) 70mg/dL未満 4%未満(54mg/dL未満は1%未満)
TAR(高血糖の時間) 180mg/dL超 25%未満(250mg/dL超は5%未満)

大切なのは、単に平均を下げることではなく、低血糖を増やさずに、目標範囲で過ごす時間を延ばすという考え方です。ご高齢の方や低血糖リスクが高い方では、目標がより緩やかに設定されます。関連記事「糖尿病治療中の「低血糖」対処完全ガイド」も合わせてご覧ください。

保険適用のルール|インスリン治療中の方・そうでない方

「リブレを使ってみたいけれど、保険はきくの?」というご質問をよくいただきます。2026年9月現在のルールを整理すると、次のようになります。

対象となる方 扱い
インスリン注射やGLP-1受容体作動薬の注射など、自己注射の治療中の方 血糖自己測定器加算の対象として保険適用。isCGM(リブレ)を選択できる場合があります
インスリン強化療法中の方など リアルタイムCGM(持続血糖測定器加算)の対象となる場合があります
飲み薬のみ・食事運動療法のみで、保険の要件を満たさない方 2024年7月から始まった「選定療養」の制度により、ご本人の希望と同意のもと、費用の一部を自己負担してisCGMを使用できるようになりました

保険適用の細かな要件(測定回数・治療内容など)や自己負担額は、お一人おひとりの治療状況によって異なります。当院は糖尿病内科・代謝内科を標榜しており、リブレの装着・データの読み解きについてもご相談を承っておりますので、受診時に遠慮なくお尋ねください。

“見える化”したデータを秋の生活改善に活かすコツ

症例イメージ②:新米と果物の秋を迎えた50代女性

もうひとつ、架空の症例をご紹介します。50代のパート勤務の女性・Bさん。飲み薬1種類で治療中で、HbA1cは7.2%前後。「秋になって新米や梨をつい食べすぎてしまう」と心配され、選定療養の制度を利用して2週間だけリブレを装着しました。すると、夕食後にテレビを見ながら過ごした日は血糖の山が高く長く続く一方、食後に食器洗いと15分の散歩をした日は山が明らかに低いことがわかりました。「我慢する」のではなく「食べたら動く」という具体的な作戦に変わったことで、秋の味覚を楽しみながら血糖管理を続けられています。

“見える化”のデータは、次のような秋ならではの工夫と組み合わせると効果的です。

CGMデータを活かす秋の3つの工夫

食べる順番:野菜・たんぱく質を先に、新米などの主食は最後に。グラフの山がどう変わるか確認してみましょう

食後の運動:涼しくなった今こそ、食後10〜15分の散歩を。多摩川の土手歩きもおすすめです

夜間のチェック:就寝中の低血糖・明け方の血糖上昇(暁現象)がないか、外来で一緒に確認しましょう

なお、当院ではウェアラブル機器による健康管理の情報発信にも力を入れております。「『メンズノンノ』でスマートリングを医療監修しました」の記事もぜひご覧ください。

受診前のチェックリスト・ご予約方法

CGM・血糖自己測定にご興味のある方は、次の点をメモして受診いただくとスムーズです。

受診前チェックリスト

□ 現在の治療内容(飲み薬・注射薬の名前、お薬手帳)

□ 直近の健診結果・HbA1cの値

□ 気になる症状(食後の眠気・だるさ、夜間の発汗、ふらつきなど)

□ お使いのスマートフォンの機種(アプリ対応の確認のため)

ご予約・ご相談はお気軽に

竹内内科小児科医院(東急東横線・目黒線「多摩川駅」徒歩5分)では、糖尿病内科・代謝内科の外来で血糖の“見える化”のご相談を承っております。土曜午前も診療しておりますので、お仕事でお忙しい方もご相談ください。

ご予約は、記事末尾のWEB予約・WEB問診・LINE・お電話(03-3721-5222)のいずれからでも承っております。

医療法人社団五良会では、田園調布の竹内内科小児科医院と港区の五良会クリニック白金高輪が連携し、糖尿病診療とCGMを活用した血糖管理を多角的にサポートしております。また、横浜市都筑区の五良ファミリークリニックセンター南(医療法人社団正友会)では、高齢者の糖尿病診療や認知症外来にも対応しております。

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五良会グループでは、田園調布から白金高輪まで医師が連携しております。患者さまの転居やライフスタイルの変化に合わせて、同じグループ内で継続診療が受けられる体制を整えております。

参考文献

  1. 日本糖尿病学会 編・著『糖尿病診療ガイドライン2024』南江堂, 2024年.
  2. Battelino T, Danne T, Bergenstal RM, et al. Clinical Targets for Continuous Glucose Monitoring Data Interpretation: Recommendations From the International Consensus on Time in Range. Diabetes Care. 2019;42(8):1593-1603.
  3. 日本糖尿病学会「持続グルコースモニタリングデバイス適正使用指針」 https://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?content_id=111(2026年9月閲覧)
  4. アボットジャパン「持続グルコース測定器『FreeStyleリブレ2』を新発売」プレスリリース 2024年3月28日 https://www.abbott.co.jp/media-center/press-releases/03-28-2024.html(2026年9月閲覧)
  5. 厚生労働省・令和6年度診療報酬改定関連通知「間歇スキャン式持続血糖測定器に係る選定療養」(2024年7月1日運用開始)/糖尿病リソースガイド https://dm-rg.net/news/bcae2f53-4e13-4b7c-8804-3f769981db28(2026年9月閲覧)
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竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将
日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医・日本旅行医学会認定医

Author: 五藤 良将