【2026年夏休み】朝起きられないのは「怠け」ではないかも?|子どもの起立性調節障害(OD)と生活リズムの整え方【田園調布・多摩川】

皆さま、こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。

2026年もいよいよ夏休みが始まりました。田園調布・多摩川エリアでも、プールや旅行、帰省など、お子さんにとって楽しみの多い季節です。その一方で、毎年夏休みの後半から2学期にかけて、「朝、まったく起きられなくなった」「午前中ずっとだるそうにしている」「学校が始まったのに頭痛やめまいで登校できない」というご相談が増えるのをご存じでしょうか。

実はその背景に、思春期のお子さんに多い「起立性調節障害(OD:Orthostatic Dysregulation)」という自律神経の病気が隠れていることがあります。今回のブログでは、日本小児心身医学会「小児起立性調節障害診療ガイドライン改訂第3版」(2025年)の内容をもとに、夏休みの生活リズムの乱れとODの関係、ご家庭でできる対策、受診の目安について、内科・小児科・心療内科を併設する当院の視点から分かりやすくお伝えいたします。

夏休みは生活リズムが乱れやすい季節

夏休みは、学校という「毎朝決まった時間に起きる理由」がなくなる約40日間です。夜更かしと朝寝坊が少しずつ積み重なり、気づけば就寝・起床時刻が2〜3時間後ろにずれてしまうお子さんは少なくありません。

さらに2026年の夏も厳しい暑さが続いており、熱帯夜による睡眠の質の低下、冷房の効いた室内で過ごす時間の増加による運動不足、ゲームやスマートフォンなど画面を見る時間(スクリーンタイム)の増加が重なりやすい環境です。汗をかく季節は体の水分・塩分も失われやすく、これらはいずれも、後ほどご説明する起立性調節障害の症状を悪化させる要因になります。

ポイント|夏休みに重なりやすい4つの悪化要因

① 就寝・起床時刻の後ろずれ:体内時計が乱れ、朝に交感神経がうまく働かなくなります

② 暑さと発汗による脱水傾向:循環血液量が減り、立ちくらみが起こりやすくなります

③ 運動不足:下半身の筋肉が衰えると、血液を心臓に戻す力が弱まります

④ 夜間のスマホ・ゲーム:強い光と興奮で入眠が遅れ、睡眠の質が下がります

「朝起きられない」は怠けではない?起立性調節障害(OD)とは

起立性調節障害(OD)は、立ち上がったときの血圧や心拍数の調節がうまくいかなくなる自律神経機能の病気です。思春期(小学校高学年〜中学生・高校生)に発症しやすく、日本小児心身医学会によると、中学生の約10%にみられるとされる、決してまれではない疾患です。また、不登校のお子さんの約3〜4割にODが併存すると報告されており、「学校に行きたくないから起きない」のではなく「起きられないから学校に行けない」お子さんが多く含まれていると考えられています。

こんな症状はありませんか

ODの症状は午前中に強く、午後になると軽くなるのが特徴です。夜は元気になるため、周囲からは「夜更かしして怠けているだけ」と誤解されやすいのですが、これは病気の性質によるものです。

ODを疑うサイン(チェックリスト)

□ 朝なかなか起きられず、午前中は調子が悪い

□ 立ちくらみ・めまいをよく起こす

□ 立っていると気分が悪くなる、ひどいと倒れてしまう

□ 頭痛・腹痛・倦怠感(だるさ)が続く

□ 入浴時や、嫌なことを見聞きしたときに気分が悪くなる

□ 動悸や息切れがある

□ 食欲がない、顔色が悪い

これらの項目に複数当てはまる場合は、一度医療機関にご相談ください。なお、頭痛や倦怠感は貧血(鉄欠乏性貧血)や甲状腺の病気、その他の内科的疾患でもみられるため、ほかの病気を除外する診察・検査も大切です。

なぜ朝に症状が強いのか|ODのメカニズムと4つのタイプ

私たちが立ち上がると、重力によって血液は下半身に集まります。健康な状態では、自律神経(交感神経)が瞬時に血管を収縮させて血圧を保ちますが、ODのお子さんではこの調節が遅れたり、不十分になったりします。

メカニズム図解|立ち上がったとき、体の中で何が起きているか

1 起立する:重力で血液が下半身(脚やおなか)にたまります
2 本来は自律神経が対応:交感神経が血管をキュッと締め、血圧を維持します
3 ODではこの調節がうまく働かない:血圧が下がったり、心拍数だけが過剰に上がったりします
4 脳への血流が不足:立ちくらみ・めまい・頭痛・倦怠感・失神などの症状が現れます

自律神経の働きは朝方にもっとも切り替わりにくいため、症状は午前中に集中します。ガイドラインでは、起立時の血圧・心拍の変化を調べる「新起立試験」により、ODは主に次の4つのタイプに分類されます。

タイプ 特徴
起立直後性低血圧(INOH) 立ち上がった直後に血圧が大きく下がり、回復が遅れるタイプ。立ちくらみ・ふらつきが目立ちます
体位性頻脈症候群(POTS) 血圧は保たれる一方、起立後に心拍数が過剰に増えるタイプ。動悸・倦怠感・頭痛が目立ちます
血管迷走神経性失神(VVS) 立っている最中に突然血圧が下がり、意識を失ってしまうタイプ
遷延性起立性低血圧 起立してしばらくしてから、徐々に血圧が下がってくるタイプ

夏休み中にご家庭でできる5つの対策

ODの治療の基本は、お薬よりもまず生活面の工夫(非薬物療法)です。ガイドラインでも第一に推奨されており、夏休みの今こそ取り組みやすい内容です。

① 水分と塩分をしっかりとる

目安は水分1日1.5〜2リットル、塩分は普段の食事にプラス3g程度です。循環血液量を増やすことで、起立時の血圧低下を和らげます。汗をかく夏場は特に意識してください。なお、糖分の多いジュースや清涼飲料水のとりすぎは別の問題(血糖の乱れや肥満)につながるため、水・麦茶などを中心にしましょう。

② ゆっくり立ち上がる・長時間の起立を避ける

立ち上がるときは頭を下げたまま、ゆっくり立ち上がります。また、じっと立ち続けると脚に血液がたまるため、1〜2分以上動かずに立ち続けることは避け、足踏みをしたり足をクロスさせたりする工夫が有効です。

③ 毎日30分程度の歩行運動

下半身の筋肉は「第二の心臓」として血液を押し戻すポンプの役割を果たします。涼しい朝夕の時間帯に、1日30分程度の散歩から始めてみましょう。熱中症予防のため、日中の炎天下は避けてください。

④ 就寝・起床時刻を「後ろにずらしすぎない」

夏休みでも起床時刻は普段より1時間以内のずれにとどめ、朝起きたらカーテンを開けて日光を浴びることで体内時計をリセットします。夜のスマートフォン・ゲームは就寝1時間前までに切り上げるのが理想です。

⑤ 「怠け」と責めない

ODは本人の気持ちの問題ではなく、体の病気です。「気合が足りない」と叱責されることで自信を失い、症状が悪化してしまうお子さんもいらっしゃいます。ご家族が病気を正しく理解し、焦らず見守ることそのものが、大切な治療の一部です。

注意|心臓や持病のあるお子さんは自己判断で塩分を増やさない

心臓病・腎臓病などの持病がある場合、水分・塩分のとり方には個別の配慮が必要です。必ず主治医にご相談のうえで行ってください。

受診の目安と当院での診療について

生活の工夫を続けても症状が改善しない場合や、日常生活・登校に支障が出ている場合は、医療機関の受診をおすすめいたします。診察では、症状の経過を丁寧にうかがい、血圧測定や血液検査などで貧血・甲状腺疾患といったほかの病気が隠れていないかを確認したうえで、重症度に応じて生活指導を行い、必要な場合にはお薬による治療や専門機関との連携も検討いたします。

当院は内科・小児科・心療内科を同じ医院で診療しております。お子さんの体の症状だけでなく、学校生活のストレスや、付き添うご家族ご自身の体調のご相談まで、家族ぐるみで対応できるのが竹内内科小児科医院の強みです。土曜も午前は診療しておりますので、共働きのご家庭や、平日は部活動があるお子さんもご相談いただきやすい体制です。

受診前チェックリスト

□ 症状が始まった時期と、1日の中でつらい時間帯のメモ

□ 起床・就寝時刻など、最近の生活リズム

□ 学校の出欠状況(遅刻・欠席の頻度)

□ 持病・服用中のお薬・アレルギー歴

「うちの子もそうかも」と思ったら、夏休みのうちにご相談ください

2学期が始まってから慌てるのではなく、時間に余裕のある夏休み中の受診がおすすめです。ご予約は下記のWEB予約・WEB問診・LINE・お電話(03-3721-5222)からお気軽にどうぞ。

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五良会グループでは、田園調布の竹内内科小児科医院、港区の五良会クリニック白金高輪、横浜市都筑区の五良ファミリークリニックセンター南の医師が連携しております。患者さまの転居やライフスタイルの変化に合わせて、同じグループ内で継続診療が受けられる体制を整えております。

参考文献

  1. 日本小児心身医学会(編). 小児起立性調節障害診療ガイドライン改訂第3版. 小児心身医学会ガイドライン集 改訂第3版. 南江堂; 2025.
  2. 一般社団法人 日本小児心身医学会「起立性調節障害(OD)」https://www.jisinsin.jp/general/typical_diseases/(2026年7月閲覧)
  3. 日本小児科学会「起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation: OD)」https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20240130_GL035.pdf(2026年7月閲覧)

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