皆さま、こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。
連日厳しい暑さが続く2026年の夏、田園調布・多摩川エリアでもプールや水遊び、外遊びを楽しむお子さんの姿が増えてきました。それと同時に、当院の小児科・皮膚科外来では「あせもがなかなか治らない」「虫刺されをかきむしって、じゅくじゅくしてきた」「水ぶくれがあっという間に広がった」といったご相談が急増しています。
今回のブログでは、夏の子どもの三大皮膚トラブルであるあせも(汗疹)・虫刺され(虫刺症)・とびひ(伝染性膿痂疹)について、日本皮膚科学会の皮膚科Q&A、日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会「皮膚の学校感染症とプールに関する統一見解」(2013年)、こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版・2023年5月一部改訂)」をもとに、家庭でのケアとプール・登園の目安まで徹底解説いたします。
発熱を伴う夏の感染症については、関連記事「子どもの三大夏かぜ|手足口病・ヘルパンギーナ・プール熱の見分け方と登園の目安【2026年夏】」も合わせてご参考にしてください。
目次
夏の皮膚トラブルは「かゆみ→かき壊し→とびひ」の連鎖で悪化する
あせも・虫刺され・とびひは、それぞれ別の病気ですが、実はひとつながりの「連鎖」として起こることが少なくありません。夏は汗と紫外線で皮膚のバリア機能が低下しやすく、そこにかゆみが加わると、お子さんはどうしてもかきむしってしまいます。かき壊した傷口に細菌(黄色ブドウ球菌など)が入り込むと、とびひへと進展してしまうのです。
メカニズム図解|あせも・虫刺されが「とびひ」になるまで
| 汗・虫刺されで皮膚に炎症:あせもや虫刺されで皮膚に赤み・かゆみが生じます | |
| かき壊して皮膚バリアが破綻:爪でかきむしることで小さな傷ができ、皮膚の防御機能が壊れます | |
| 細菌が侵入・増殖:黄色ブドウ球菌などが傷口で増え、水ぶくれやただれ(びらん)をつくります | |
| 「とびひ」として全身へ拡大:水ぶくれの中身(細菌)が手を介して体のあちこちに「飛び火」し、家族やお友だちにもうつることがあります |
つまり、あせも・虫刺されの段階で正しくケアし、「かき壊し」を防ぐことが、とびひ予防の最大のポイントです。以下、それぞれのトラブルについて順に見ていきましょう。
あせも(汗疹)|汗の出口の「詰まり」が原因
あせも(汗疹:かんしん)は、大量の汗をかいたときに汗の通り道(汗管)が詰まり、汗が皮膚の中に漏れ出て炎症を起こす状態です。首まわり、わきの下、ひじ・ひざの裏側、おむつの当たる腰まわりなど、汗がたまりやすく蒸れやすい部位によくできます。
あせもの2つのタイプ
| タイプ | 見た目 | かゆみ | 対応 |
|---|---|---|---|
| 水晶様汗疹 | 透明の小さな水ぶくれ | ほとんどなし | スキンケアで自然に軽快 |
| 紅色汗疹(いわゆる「あせも」) | 赤いブツブツ | あり(かき壊しやすい) | かゆみが強ければ受診を |
ケアの基本は「汗をためない・こもらせない」ことです。汗をかいたらシャワーで流すか、濡れタオルでやさしく押さえるように拭き取り、通気性のよい服に着替えましょう。エアコンや扇風機で寝汗対策をすることも有効です。赤みやかゆみが強い場合は、炎症を抑える塗り薬(ステロイド外用薬など)を医師の指示のもとで短期間使用することで、かき壊しからのとびひ移行を防ぎやすくなります。
虫刺され(虫刺症)|子どもは大人より強く腫れやすい
蚊・ブヨ・ダニなどによる虫刺されは、虫の唾液成分などに対するアレルギー反応です。お子さんは虫刺されの経験(免疫の記憶)が浅いため、大人よりも強く赤く腫れ、水ぶくれになることも珍しくありません。腫れが強いからといって、必ずしも危険な虫に刺されたわけではありませんが、かゆみが強いぶん、かき壊してとびひになりやすいのが夏の虫刺されの怖いところです。
刺された直後は流水で洗って清潔にし、冷やすとかゆみが和らぎます。かゆみ・腫れが強い場合は、市販のかゆみ止めで様子を見るよりも、皮膚科・小児科で適切な強さの塗り薬を処方してもらう方が、結果的に早くきれいに治ることが多いです。
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注意|すぐに医療機関を受診・救急要請すべき虫刺され ・ハチに刺された後、じんましん・顔色不良・嘔吐・ゼーゼーする呼吸・ぐったりなどの全身症状が出た場合(アナフィラキシーの可能性。ためらわず救急車を) ・刺された部位の腫れが急速に広がる、強い痛みが続く場合 ・発熱を伴う、水ぶくれが破れて広がってきた場合(とびひ・皮膚感染症の可能性) |
とびひ(伝染性膿痂疹)|「飛び火」のように広がる細菌感染症
とびひ(伝染性膿痂疹:でんせんせいのうかしん)は、黄色ブドウ球菌や溶血性レンサ球菌(溶連菌)が皮膚の傷から感染して起こる皮膚の細菌感染症です。水ぶくれやかさぶたの中に細菌がたくさん含まれており、かいた手を介して火事の飛び火のようにあっという間に広がることから「とびひ」と呼ばれます。乳幼児〜小学校低学年のお子さんに多く、夏に流行のピークを迎えます。
とびひの2つのタイプ
| タイプ | 特徴 | 好発 |
|---|---|---|
| 水疱性膿痂疹 | 薄い水ぶくれ→破れてただれる。主に黄色ブドウ球菌が原因 | 乳幼児・夏に多い |
| 痂皮性膿痂疹 | 厚いかさぶた・膿疱。溶連菌が関与し、炎症が強く発熱やのどの痛みを伴うことも | 季節・年齢を問わない |
治療の基本は、抗菌薬の塗り薬や飲み薬で原因菌を抑えることと、病変部をシャワーと石けんでやさしく洗って清潔に保つことです(患部は湯船につけず、シャワーで洗い流すのが原則です)。近年は一部の抗菌薬が効きにくい耐性菌も報告されているため、数日使用しても改善しない場合は自己判断で様子を見ず、必ず再診してください。また、患部をガーゼなどで覆い、爪を短く切って手洗いを徹底することが、家族内・園内での感染拡大を防ぐポイントです。
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重要|こんなときは早めに受診を ・水ぶくれ・ただれが数日で急速に広がっている ・発熱・機嫌不良・広い範囲の皮膚の赤みを伴う(重症型の皮膚感染症の可能性があります) ・のどの痛みや尿の色の変化を伴う(溶連菌感染では腎炎などの合併症に注意が必要です) ・アトピー性皮膚炎があり、湿疹の悪化ととびひの区別がつかない |
プール・登園はどうする?公式ガイドラインに基づく目安
夏になると保護者の方から必ずいただくのが「プールに入れてもいいですか?」「保育園・幼稚園は休ませるべきですか?」というご質問です。日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会の「皮膚の学校感染症とプールに関する統一見解」(2013年)と、こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版・2023年5月一部改訂)」に基づく目安を表にまとめました。
| 皮膚トラブル | プール | 登園・登校 |
|---|---|---|
| あせも | 入ってよい(うつる病気ではありません) | 制限なし |
| 虫刺され | 入ってよい(かき壊してじゅくじゅくしている場合は要注意) | 制限なし |
| とびひ | 治るまで禁止(プールの水を介してではなく、肌の接触やビート板・タオルの共用でうつるため) | 病変部を外用薬で処置しガーゼ等で覆えば登園可能(施設・園により対応が異なるため必ず園にご確認ください) |
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ポイント|とびひとプールの正しい理解 ① プールの水そのものでうつるわけではありません:塩素消毒されたプールの水を介した感染は起こりにくいと考えられています ② 触れ合い・共用物が問題:肌と肌の接触、タオルやビート板の共用で感染が広がるため、病変がある間はプールに入らないのが統一見解です ③ 学校感染症の扱い:とびひは学校保健安全法上の「その他の感染症」に位置づけられ、一律の出席停止ではなく、医師の判断と適切な処置・被覆が基準になります |
家庭でできる予防とスキンケア
夏の皮膚トラブルの予防は、特別なことではなく毎日の小さな習慣の積み重ねです。とくに「連鎖の出発点」であるあせも・虫刺されの段階で食い止めることを意識しましょう。
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夏のスキンケア・チェックリスト □ 汗をかいたらシャワーで流す、または濡れタオルで押さえ拭きして着替える □ 入浴・シャワーでは石けんをよく泡立て、こすらずやさしく洗う □ 洗った後は保湿剤で皮膚のバリアを整える(夏でも保湿は大切です) □ 爪は短く切り、外遊びの後は手洗いを徹底する □ 外遊びには虫よけ剤を活用し、草むらでは長袖・長ズボンを検討する □ かゆがっているときは冷やし、かき壊す前に受診する □ タオル・衣類の共用は避ける(とびひの家族内感染予防) |
アトピー性皮膚炎などでもともと皮膚が乾燥しやすいお子さんは、皮膚のバリア機能が低下しているぶん、とびひにもなりやすいことが知られています。ベースの湿疹治療と保湿をしっかり続けることが、夏のトラブル予防にも直結いたします。
受診の目安とチェックリスト・ご予約方法
当院は内科・小児科・皮膚科・アレルギー科を併設しており、お子さんの皮膚トラブルから、ごきょうだい・保護者の方の皮膚や体調のご相談まで、ご家族まとめて同じ院内で診察が可能です。「これはあせも?とびひ?」と迷ったら、悪化してしまう前にどうぞお気軽にご相談ください。土曜も午前は診療しております(共働きのご家庭もご利用いただきやすい体制です)。
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受診前チェックリスト □ 発疹がいつから・どこから始まり、どう広がったか(スマホ写真があると診察がスムーズです) □ 発熱・のどの痛み・機嫌など、皮膚以外の症状の有無 □ アトピー性皮膚炎など皮膚の持病、お薬・食物アレルギーの有無 □ すでに使用した市販薬・処方薬(お薬手帳をお持ちください) □ 園・学校でのプール予定や、周囲での流行状況 |
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ご予約・お問い合わせ 竹内内科小児科医院(東急東横線・目黒線「多摩川駅」徒歩5分) TEL:03-3721-5222/診療時間:午前9:00〜12:00・午後15:30〜19:00(土曜は午前のみ、日祝休診) WEB予約・WEB問診・LINEからのご予約は、ページ下部のボタンをご利用ください。 |
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医療法人社団五良会では、田園調布の竹内内科小児科医院と港区の五良会クリニック白金高輪が連携し、お子さんの皮膚・アレルギーのケアから大人の皮膚のお悩み、生活習慣病まで、ご家族の健康を多角的にサポートしております。
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グループ内連携|五良会クリニック白金高輪(港区)
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五良会グループでは、田園調布から白金高輪まで医師が連携しております。患者さまの転居やライフスタイルの変化に合わせて、同じグループ内で継続診療が受けられる体制を整えております。
参考文献
- 公益社団法人日本皮膚科学会「皮膚科Q&A:とびひ」 https://www.dermatol.or.jp/qa/qa13/(2026年7月閲覧)
- 日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会「皮膚の学校感染症とプールに関する統一見解」(2013年)/日本皮膚科学会掲載 https://www.dermatol.or.jp/modules/publicnews/index.php?content_id=5(2026年7月閲覧)
- こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版・2023年5月一部改訂)」 https://www.cfa.go.jp/policies/hoiku/kansensho-guideline(2026年7月閲覧)
- 日本小児皮膚科学会「こどもの皮膚の病気:とびひ」 https://jspd.umin.jp/qa/02_tobihi.html(2026年7月閲覧)
- 学校保健安全法施行規則(学校において予防すべき感染症の種類と出席停止の基準)
竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将
日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医・日本旅行医学会認定医