【2026年夏】バーベキュー・お弁当に潜む食中毒|カンピロバクター・O157の症状と「下痢止めNG」の理由【田園調布・多摩川】

皆さま、こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。

夏休みが近づき、バーベキューやキャンプ、お祭り、手作りのお弁当と、屋外で食事を楽しむ機会が増える季節になりました。その一方で、高温多湿のこの時期は細菌による食中毒(細菌性胃腸炎)が1年で最も増える季節でもあります。当院でも毎年この時期、「急な腹痛と下痢」「家族で同じものを食べてお腹をこわした」というご相談が増えてまいります。

今回のブログでは、厚生労働省の食中毒統計や公開情報をもとに、夏に注意すべき代表的な原因菌の特徴、ご家庭での正しい対処法(特に「自己判断で下痢止めを使ってはいけない」理由)、すぐに受診すべき危険なサイン、そして今日からできる予防の3原則を、内科・小児科・消化器の視点からまとめて解説いたします。

汗をかく季節の水分補給については「その頭痛・だるさ、隠れ脱水・熱中症かも|受診の目安と家庭での対処法」もあわせてご覧ください。

なぜ夏に食中毒が増えるのか

食中毒の原因は、冬に流行するノロウイルスなどの「ウイルス性」と、夏に増える「細菌性」に大きく分かれます。食中毒の原因となる細菌の多くは、気温がおおむね20℃を超えると活発に増殖し、体温に近い30〜40℃前後で最も増えやすくなるとされています。高温多湿の日本の夏は、細菌にとってまさに好条件なのです。

さらに夏は、バーベキューでの加熱不足のお肉、常温で持ち歩くお弁当やおにぎり、作り置きのカレーなど、細菌が増えやすいシチュエーションが重なります。「見た目やにおいが変わらなくても、細菌は増えている」ことが食中毒の怖いところです。

夏に多い原因菌と食べ物・潜伏期間の早見表

代表的な細菌性食中毒の特徴を表にまとめました。「何を食べて、何時間(何日)後に症状が出たか」は、診察の際にとても重要な情報になります。

原因菌 主な原因食品 潜伏期間の目安 特徴
カンピロバクター 加熱不足の鶏肉(鶏刺し・タタキ含む) 1〜7日程度 細菌性で国内最多クラス。下痢・腹痛・発熱。食べてから発症まで日数があき、原因に気づきにくい
サルモネラ 卵・加熱不足の肉、ペット(カメ等)接触 6〜72時間程度 高熱・下痢・嘔吐。乳幼児・高齢者は重症化に注意
黄色ブドウ球菌 おにぎり・お弁当など手作業した食品 1〜6時間程度 毒素型のため発症が早く、激しい嘔吐が特徴。手荒れ・傷のある手での調理は要注意
腸炎ビブリオ 生の魚介類(刺身・寿司) 半日〜1日程度 夏の海産物で増える。激しい腹痛と水様の下痢
腸管出血性大腸菌
(O157など)
加熱不足の牛肉・生野菜など 2〜10日程度(多くは3〜5日) 激しい腹痛と血便。少ない菌量でも発症し、お子さんは重症化リスクが高い(次章)

なお、お刺身では細菌のほかに寄生虫のアニサキスによる激しい胃痛(食後数時間〜十数時間)も夏に限らず多く報告されています。みぞおちの激痛が続く場合は内視鏡での確認・摘出が必要になるため、消化器内科のある医療機関の受診をおすすめします。

特に注意|O157(腸管出血性大腸菌)とHUS

腸管出血性大腸菌(O157・O111など)は、菌が出すベロ毒素によって腸の粘膜を傷つけ、激しい腹痛と血便を引き起こします。特に注意が必要なのは、お子さんや高齢の方の一部で、発症から数日〜2週間ほどの経過でHUS(溶血性尿毒症症候群)という、腎臓の働きが急速に悪くなる重い合併症を起こすことがある点です。

重要|下痢のあと、こんなサインがあればすぐに医療機関へ

・便に血が混じる(血便)、腹痛がどんどん強くなる

・おしっこの量が明らかに減った、色が濃い・赤っぽい

・顔色が悪い、まぶたのむくみ、ぐったりして反応が鈍い

→ HUS(溶血性尿毒症症候群)の可能性があります。夜間・休日でも救急受診をためらわないでください。

ご家庭での対処法|「下痢止め」を自己判断で使わない

細菌性の食中毒が疑われるときのご家庭での基本は、失われた水分と塩分を補うことです。経口補水液(ORS)を、一度にたくさんではなく少量ずつこまめに飲ませてください。嘔吐が続く場合は、スプーン1杯程度から始めて徐々に量を増やすのがコツです。食事は無理をせず、食べられるようになったらおかゆ・うどんなど消化のよいものから再開しましょう。

市販の「下痢止め」を自己判断で使ってはいけない理由

下痢は、腸に入り込んだ細菌や毒素を体の外へ出そうとする防御反応でもあります。腸の動きを強く止めるタイプの下痢止めを自己判断で使うと、細菌や毒素が腸内にとどまり、かえって症状が長引いたり重くなったりする恐れがあります。特に血便や高熱を伴う下痢では使用を避け、必ず医療機関にご相談ください。抗菌薬(抗生物質)が必要かどうかも、原因菌や重症度によって判断が分かれるため、医師の診察のうえで決めることが大切です。

すぐに受診すべき危険なサイン

受診の目安チェックリスト

□ 血便が出た、便が黒っぽい

□ 水分をとってもすぐ吐いてしまい、半日以上ほとんど飲めていない

□ おしっこが半日以上出ていない、唇や口の中がカラカラ(脱水のサイン)

□ 38.5℃以上の発熱が続く、腹痛が強くなっている

□ 乳児・高齢の方・糖尿病など持病のある方の嘔吐下痢

□ 家族や同じ食事をとった人が同時に発症している

特に乳幼児は体が小さいぶん脱水が急速に進みます。「なんとなく元気がない」「あやしても笑わない」といった変化も、受診のサインとしてご相談ください。

食中毒予防の3原則|つけない・増やさない・やっつける

厚生労働省は、家庭でできる食中毒予防を「つけない・増やさない・やっつける」の3原則として示しています。

メカニズム図解|食中毒予防の3原則

1 つけない:調理前・生肉を触った後の手洗い。生肉用の箸・トングと食べる箸を分ける(バーベキューで最重要)。まな板は肉用と野菜用を使い分ける
2 増やさない:買い物のあとは寄り道せず冷蔵庫へ(10℃以下)。お弁当は保冷剤を活用し、常温放置を避ける。作り置きカレーも室温で置かず早めに冷蔵・冷凍する
3 やっつける:加熱は中心部75℃・1分以上が目安。お肉は中まで色が変わるまで焼く。鶏肉の生食(鶏刺し・タタキ)はカンピロバクターのリスクが高く、特にお子さんには避けてください

当院でできること

竹内内科小児科医院では、内科と小児科を併設しているため、「家族みんなでお腹をこわした」というときも、お子さんから大人まで同じ場所でまとめて診察できます。脱水の程度の評価、必要に応じた検査や点滴、抗菌薬の要否の判断まで、症状に合わせて対応いたします。胃カメラ・大腸カメラなど専門的な消化器の精査が必要な場合は、当院の消化器内科外来(玉井博修医師)および姉妹院の五良会クリニック白金高輪と連携し、スムーズにご案内いたします。

土曜も午前は診療しております。夏の急な嘔吐・下痢・腹痛は、我慢せず、田園調布・多摩川エリアのかかりつけ医としてお気軽にご相談ください。ご予約は記事末尾のWEB予約・WEB問診・LINE・お電話(03-3721-5222)からどうぞ。

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五良会グループでは、田園調布から白金高輪まで医師が連携しております。患者さまの転居やライフスタイルの変化に合わせて、同じグループ内で継続診療が受けられる体制を整えております。

参考文献

  1. 厚生労働省「食中毒統計資料」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html(2026年7月閲覧)
  2. 厚生労働省「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」(食中毒予防の3原則:つけない・増やさない・やっつける)
  3. 厚生労働省「腸管出血性大腸菌Q&A」(O157等の症状・HUS・予防)(2026年7月閲覧)
  4. 厚生労働省「カンピロバクター食中毒予防について(Q&A)」(2026年7月閲覧)
  5. 政府広報オンライン「お肉はよく焼いて食べよう」(中心部75℃・1分以上の加熱目安)

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日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医・日本旅行医学会認定医

Author: 五藤 良将