皆さま、こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。
梅雨明けから本格的な夏を迎え、田園調布・多摩川エリアでも行楽やお弁当、バーベキューを楽しむ機会が増えてきました。その一方で、当院の内科・小児科外来では「家族で同じものを食べたあとに、お腹をこわした」「子どもが繰り返し嘔吐して水分もとれない」といった、細菌性食中毒を疑うご相談がこの時期に増えてまいります。
気温と湿度が高い夏は、食中毒の原因となる細菌が食品の中で急速に増えやすい季節です。今回のブログでは、厚生労働省・農林水産省が示す「食中毒予防の三原則(つけない・増やさない・やっつける)」と「家庭でできる6つのポイント」をもとに、夏に多い細菌性食中毒の特徴、家庭での予防、そしてお子さん・ご高齢の方で特に注意したい受診の目安まで、かかりつけ医の視点で分かりやすく解説いたします。
同じく夏に増える体調不良については、関連記事「その頭痛・だるさ、隠れ脱水・熱中症かも|受診の目安と家庭での対処法」も合わせてご参考にしてください。
目次
なぜ夏に細菌性食中毒が増えるのか
食中毒は一年を通じて起こりますが、原因となる微生物によって流行する季節が異なります。冬はノロウイルスなどのウイルス性が中心であるのに対し、気温・湿度が高くなる夏は細菌性の食中毒が増えるのが特徴です。多くの細菌は気温が高く湿った環境で活発に増殖するため、調理してから食べるまでに時間が空いたお弁当や作り置き、屋外のバーベキューなどは注意が必要です。
メカニズム図解|食中毒が起こるまでの流れ
| 1 | 食品に細菌が付着:生の肉・魚・卵、調理する手やまな板を介して細菌が食品に付きます |
| 2 | 高温・多湿で細菌が増殖:室温に置かれた食品の中で、細菌が短時間で大量に増えます |
| 3 | 加熱不十分なまま摂取:中心部まで火が通っていない、または生で食べることで体内に入ります |
| 4 | 腹痛・下痢・嘔吐・発熱を発症:数時間〜数日の潜伏期を経て、消化器症状が現れます |
この流れを断ち切るのが、次にご紹介する「三原則」と「6つのポイント」です。
夏に多い細菌性食中毒の種類と特徴
代表的な原因菌と、その特徴・主な原因食品を表にまとめました。潜伏期間は目安であり、体質や摂取量によって前後します。
| 原因菌 | 主な原因食品 | 潜伏期間の目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| カンピロバクター | 加熱不十分な鶏肉・鶏レバー | 2〜5日程度 | 発熱・腹痛・下痢。まれに後日ギラン・バレー症候群を合併 |
| 腸管出血性大腸菌(O157など) | 加熱不十分な牛肉・生野菜など | 3〜8日程度 | 血便・激しい腹痛。子どもや高齢者はHUS(溶血性尿毒症症候群)に注意 |
| サルモネラ | 生卵・食肉 | 半日〜2日程度 | 発熱・腹痛・下痢・嘔吐。小児で重くなりやすい |
| 黄色ブドウ球菌 | おにぎり・弁当(手指を介して) | 30分〜6時間程度 | 吐き気・嘔吐が中心。菌が作る毒素は加熱で分解されにくい |
| 腸炎ビブリオ | 生鮮魚介類 | 半日〜1日程度 | 激しい腹痛・下痢。真水・低温に弱い |
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ポイント|「新鮮=安全」ではありません ① 鶏肉・牛肉の生食(レア)は避ける:新鮮であってもカンピロバクターやO157は付着していることがあります ② 毒素型に注意:黄色ブドウ球菌のように、菌が作った毒素は加熱しても壊れにくいものがあり、「温め直せば安心」とは限りません |
食中毒予防の三原則「つけない・増やさない・やっつける」
厚生労働省・農林水産省は、家庭での食中毒予防の基本として次の三原則を示しています。難しい対策ではなく、日々の習慣として取り入れることが大切です。
| 原則 | 考え方 | 具体例 |
|---|---|---|
| つけない | 細菌を食品に付着させない | こまめな手洗い、生肉・生魚とほかの食品でまな板や箸を分ける |
| 増やさない | 付着した細菌を増殖させない | 買い物後は早めに冷蔵、常温放置を避ける、作った料理は早めに食べる |
| やっつける | 加熱で細菌を死滅させる | 中心部までしっかり加熱(中心温度75℃・1分以上が目安)、調理器具の消毒 |
家庭でできる6つのポイント
三原則を、買い物から後片付けまでの流れに沿って具体化したのが「6つのポイント」です。ご家庭でチェックしてみてください。
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食中毒予防・6つのポイント □ ①買い物:肉・魚は最後に購入し、保冷剤・保冷バッグで持ち帰り、寄り道せず帰宅する □ ②家庭での保存:帰宅後すぐ冷蔵・冷凍。冷蔵庫は詰め込みすぎない(目安7割) □ ③下準備:調理前後にしっかり手洗い。生肉・生魚を扱った器具は使い分け・洗浄する □ ④調理:加熱は中心部まで十分に(中心温度75℃・1分以上が目安) □ ⑤食事:食べる前に手を洗い、作った料理は長時間室温に置かない □ ⑥残った食品:早めに冷却して保存し、温め直すときは十分に加熱。あやしいと思ったら思い切って処分する |
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夏のお弁当・行楽での注意 ・おにぎりは素手で握らず、ラップや使い捨て手袋を使う(黄色ブドウ球菌対策) ・汁気の多いおかず・半熟卵は避け、しっかり火を通す ・保冷剤を入れ、直射日光・車内の高温を避ける |
子ども・高齢者は要注意|脱水とHUSのサイン
下痢や嘔吐が続くと、体からは水分と塩分が失われます。とくに乳幼児やご高齢の方は脱水が進みやすく、重症化しやすいため注意が必要です。水分がとれるうちは、経口補水液などで少量ずつこまめに補給しましょう。市販の下痢止めは、原因菌や毒素の排出を妨げて回復を遅らせることがあるため、自己判断での使用は避け、医師にご相談ください。
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重要|すぐに医療機関を受診すべきサイン ・血便が出ている(腸管出血性大腸菌感染の可能性) ・水分がとれず、半日以上おしっこが出ない、唇や舌が乾く、ぐったりしている(脱水) ・高熱・激しい腹痛が続く、嘔吐が止まらない ・О157感染後、尿量の減少・顔色不良・むくみが現れた場合はHUS(溶血性尿毒症症候群)に注意が必要で、緊急の対応を要します |
HUS(溶血性尿毒症症候群)は、腸管出血性大腸菌感染後に腎臓の働きが急激に低下する重い合併症で、小児で特に注意が必要です。「血便が出た」「О157と診断された」場合は、症状が軽く見えても経過観察が重要ですので、必ず医療機関を受診してください。
受診の目安とチェックリスト・ご予約方法
当院は内科・小児科を併設しており、お子さんの急な嘔吐・下痢から、保護者・ご高齢のご家族の胃腸症状まで、ご家族まとめて同じ院内で診察が可能です。「様子を見てよいか、受診すべきか」で迷われたら、どうぞお気軽にご相談ください。土曜も午前は診療しております。
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受診前チェックリスト □ いつ・何を食べてから、どんな症状(下痢・嘔吐・発熱・血便)が出たか □ 症状の回数・便の色や性状(血が混じるか) □ 水分・尿がとれているか、最後にトイレに行った時間 □ 同じものを食べた家族に同様の症状がないか □ 持病・服用中のお薬(お薬手帳をお持ちください) |
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ご予約・お問い合わせ 竹内内科小児科医院(東急東横線・目黒線「多摩川駅」徒歩5分) TEL:03-3721-5222/診療時間:午前9:00〜12:00・午後15:30〜19:00(土曜は午前のみ、日祝休診) WEB予約・WEB問診・LINEからのご予約は、ページ下部のボタンをご利用ください。強い脱水や血便など緊急を要する場合は、診療時間外でも医療機関・救急にご相談ください。 |
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医療法人社団五良会では、田園調布の竹内内科小児科医院と港区の五良会クリニック白金高輪が連携し、お子さんの急な胃腸炎から、大人の消化器のお悩みまで、ご家族の健康を多角的にサポートしております。
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五良会グループでは、田園調布から白金高輪まで医師が連携しております。胃カメラ・大腸カメラなどの精密検査が必要な場合も、姉妹院の五良会クリニック白金高輪(消化器内科)とスムーズに連携してご対応いたします。患者さまの転居やライフスタイルの変化に合わせて、同じグループ内で継続診療が受けられる体制を整えております。
参考文献
- 厚生労働省「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/01_00008.html(2026年7月閲覧)
- 厚生労働省「腸管出血性大腸菌O157等による食中毒」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/daichoukin.html(2026年7月閲覧)
- 厚生労働省「カンピロバクター食中毒予防について(Q&A)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000126281.html(2026年7月閲覧)
- 農林水産省「食中毒予防3原則編」 https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2212/spe1_04.html(2026年7月閲覧)
- 政府広報オンライン「食中毒予防の原則と6つのポイント」 https://www.gov-online.go.jp/article/20110602/entry-8196.html(2026年7月閲覧)
竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将
日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医・日本旅行医学会認定医