【2026-27年】インフルエンザ「A型」と「B型」の違いとは?|今の流行状況・症状・検査・治療を院長・五藤良将がやさしく解説【田園調布・多摩川】

皆さま、こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。

2026-27シーズンのインフルエンザは、例年より1か月以上早い8月下旬に全国で流行入りし、9月に入ってからも患者さんが増え続けています。厚生労働省の発表によると、2026年9月7日〜13日(第37週)の全国の定点当たり報告数は5.54と、昨年同時期(0.72)の7倍を超える水準です。東京都でも9月17日に「注意報」の基準を超え、当院の発熱外来にも連日インフルエンザの患者さんがいらしています。

検査で陽性とお伝えすると、「先生、これはA型ですか?B型ですか?」「A型のほうが重いんですよね?」「B型にはワクチンは効かないの?」というご質問をとてもよくいただきます。今回のブログでは、厚生労働省の最新の発生状況(2026年9月18日発表・第37週)と国立健康危機管理研究機構(JIHS)の情報をもとに、インフルエンザA型とB型の違いを、流行状況・症状・検査・治療・ワクチンの観点からやさしく解説いたします。

今シーズンの全体像やワクチンの選び方については、姉妹記事「インフルエンザが8月に流行入り・昨年より1か月早い異例のシーズン」もあわせてご覧ください。

五藤 良将

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竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将

日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医・日本旅行医学会認定医
この記事は五藤良将が執筆・監修し、内容に責任を持っています。

【2026年9月】今シーズンの最新流行状況

まず、この記事を書いている2026年9月27日時点での流行状況を整理いたします。厚生労働省が2026年9月18日に発表した第37週(9月7日〜13日)のデータでは、全国の定点医療機関からの報告患者数は20,697人にのぼり、定点当たり報告数は5.54でした。昨年(2025年)の同じ週は0.72でしたから、例年の同時期と比べて桁違いに多い、異例の立ち上がりです。

地域 定点当たり報告数(第37週) 状況
全国 5.54(昨年同期 0.72) 8月下旬に流行入り、増加が続く
沖縄県 16.61 全国で最も高い水準
東京都 9.53 9月17日に注意報基準を超過
神奈川県 9.45 首都圏で高い水準が続く

入院を要する患者さんも8月31日〜9月13日の2週間で全国累計762人が報告されており、決して「早いだけの小さな流行」ではありません。当院のある大田区・田園調布エリアも、東京都・神奈川県の高い水準のただ中にあります。学校・保育園から「学級でインフルエンザが出ました」というお知らせを受け取ったご家庭も多いのではないでしょうか。

流行状況は日々変わります

本記事の数値は2026年9月18日発表(第37週)の公表データに基づきます。流行状況は週ごとに更新されますので、最新情報は厚生労働省・東京都感染症情報センターの発表をご確認ください。

インフルエンザウイルスにはA・B・C型がある

インフルエンザウイルスは、ウイルスの内部にあるタンパク質の違いから、大きくA型・B型・C型(さらに主にウシに感染するD型)に分類されます。このうち、毎年冬に「流行」として問題になるのはA型とB型です。C型は主に小さなお子さんが感染しますが、症状は軽い鼻かぜ程度のことが多く、季節的な大流行は起こしません。

医療機関で行う迅速検査(後述)で判定できるのもA型とB型で、診察室で「A型陽性です」「B型陽性です」とお伝えしているのは、この分類のことです。

用語解説|「亜型(あけい)」とは

A型インフルエンザウイルスの表面には、HA(ヘマグルチニン)とNA(ノイラミニダーゼ)という2種類のトゲ状のタンパク質があります。HAには18種類、NAには11種類が知られており、その組み合わせで分類したものを「亜型」と呼びます。

「H1N1」「H3N2」という表記は、このHAとNAの番号の組み合わせを表しています。ヒトの間で毎年流行しているのは、現在この2つの亜型です。なお、B型には亜型はなく、代わりに「ビクトリア系統」「山形系統」という2つの系統に分けられます。

A型の特徴|大きな流行を起こす「変化の名人」

A型インフルエンザの最大の特徴は、ウイルスの姿を頻繁に変えることです。ヒトだけでなく、鳥やブタなど多くの動物にも感染するため、種を超えてウイルスの遺伝子が混ざり合い、ときに大きく姿を変えたウイルスが出現します。2009年に世界的大流行(パンデミック)を起こした「新型インフルエンザ」もA型でした。

現在、ヒトの間で毎年流行している季節性のA型は、次の2つの亜型です。

A(H1N1)pdm09 ― 今シーズンの流行の中心とみられる型

2009年のパンデミックを起こしたウイルスの子孫で、その後は季節性インフルエンザとして毎年流行しています。今シーズンは、香港・台湾など東アジアでこのH1N1が優勢となっており、国内でも新潟大学の解析で沖縄県の8月の検体からA(H1N1)pdm09が確認されるなど、今回の早期流行はH1N1が中心とみられています。比較的若い世代やお子さんに広がりやすいことが知られています。

用語解説|「A(H1N1)pdm09」とは

「pdm09」は「pandemic 2009(2009年のパンデミック)」の略です。2009年に出現した新型インフルエンザ(いわゆる豚由来インフルエンザ)が、それ以前の季節性H1N1(ソ連型)と区別するためにこう呼ばれています。現在は「新型」ではなく、通常の季節性インフルエンザのひとつとして扱われています。

A(H3N2) ― いわゆる「A香港型」

1968年の香港かぜに由来する亜型で、ご高齢の方が重症化しやすいことが知られています。昨シーズン(2025-26年)はこのA香港型が流行の主流でした。同じA型でも、シーズンによって主役の亜型が入れ替わるのです。

メカニズム図解|なぜインフルエンザには毎年かかるのか(抗原変異)

1 ウイルスが増えるたびに小さなコピーミス:インフルエンザウイルスは増殖のときに遺伝子の写し間違いが起こりやすく、表面のHA・NAの形が毎年少しずつ変わっていきます(連続変異)。
2 過去の免疫が効きにくくなる:以前の感染やワクチンで作られた抗体は「以前の形」を覚えているため、姿を変えたウイルスにはかかりにくさが下がってしまいます。
3 A型はときに大変身も:A型は動物のウイルスと遺伝子が混ざり合い、まったく新しい亜型が出現することがあります(不連続変異)。これがパンデミックの原因になります。
4 だからワクチンは毎年更新・毎年接種:WHOと各国が流行株を予測してワクチンの中身を毎年見直しています。毎年接種が勧められるのはこのためです。

B型の特徴|ヒトだけで流行する「春のインフルエンザ」

B型インフルエンザは、基本的にヒトの間だけで流行するウイルスです。A型のような動物由来の大変身(不連続変異)を起こさないため、パンデミックの原因にはなりませんが、毎年の季節性流行ではA型と並ぶ主役です。

B型には次のような特徴があります。

ポイント|B型インフルエンザの特徴

① 流行時期が遅め:例年、A型の流行が落ち着いた後の1〜3月、春先にかけて増える傾向があります。「春になってからのインフルエンザ」はB型のことが少なくありません。

② 熱が上がりきらないことがある:A型ほどの高熱にならず、微熱〜38℃程度でだらだら続くケースもあり、「ただの風邪」と思って見逃されることがあります。

③ お腹の症状が出やすいといわれる:吐き気・下痢・腹痛などの消化器症状を伴うことが比較的多いとされます。

④ 学童のお子さんに多い:学校を中心に広がりやすく、お子さんから家庭内にもち込まれるパターンをよく経験します。

なお、「B型は軽い」と思われがちですが、これは正確ではありません。B型でも高熱・強い倦怠感で寝込む方は多く、肺炎などの合併症も起こります。型による油断は禁物です。

トピック:B型「山形系統」は姿を消した?

B型には「ビクトリア系統」と「山形系統」の2つの系統がありますが、新型コロナウイルス流行期の世界的な感染対策の影響もあり、山形系統は2020年3月以降、世界中で確実な検出報告がない状態が続いています。これを受けてWHO(世界保健機関)はワクチンから山形系統を外すことを推奨し、日本のインフルエンザワクチンも現在はA型2株(H1N1・H3N2)+B型ビクトリア系統1株の「3価ワクチン」となっています。ウイルスの1系統が事実上消えるというのは、感染症の歴史でも珍しい出来事です。

A型とB型の違い 早わかり比較表

項目 A型 B型
分類 亜型(H1N1、H3N2など) 系統(ビクトリア/山形)
感染する相手 ヒト・鳥・ブタなど幅広い 基本的にヒトのみ
流行の時期 シーズン前半〜ピーク(今季は9月から) シーズン後半〜春先に多い
典型的な症状 急な38〜40℃の高熱、悪寒、関節痛・筋肉痛 発熱(高熱にならないことも)、お腹の症状が出やすい
流行の規模 大流行・パンデミックを起こしうる 地域的な流行が中心
ワクチン 現行の3価ワクチンでA型(H1N1・H3N2)とB型(ビクトリア系統)の両方をカバー
治療薬 抗インフルエンザ薬(ゾフルーザ・タミフル・イナビルなど)はA型・B型のどちらにも有効

型がわかると何が変わる?検査と治療

迅速検査でA型・B型を判定します

医療機関で行う迅速抗原検査は、鼻の奥をぬぐった検体で10〜15分ほどで結果が出て、A型かB型かも同時に判定できます。ただし、発症直後はウイルス量が少なく、陰性と出てしまうことがあります。検査のベストタイミング(目安として発症から12時間以降)については、「インフルエンザにかかったら|検査のベストタイミング・治療薬5種の使い分け」で詳しく解説しています。

治療薬はA型・B型どちらにも有効です

「B型には薬が効かない」と心配される方がいらっしゃいますが、現在使われている抗インフルエンザ薬(ゾフルーザ、タミフル、イナビル、リレンザ、点滴のラピアクタ)は、A型・B型のいずれにも保険適用で使用できます。発症から48時間以内に開始することで、発熱期間の短縮が期待できます。当院ではゾフルーザ・タミフル・イナビルを院内処方でお渡ししており、具合の悪いお子さん・患者さんが薬局を回らずにそのままご帰宅いただけます(リレンザはご希望の方に院外処方)。

「1シーズンに2回かかる」ことがあります

A型とB型は別のウイルスですので、A型にかかった後、同じ冬にB型にかかることは十分ありえます。同じA型でも、H1N1とH3N2は別の亜型ですから、理論上は複数回の感染がありえます。「もうかかったから今年は大丈夫」とは考えず、かかった後も手洗い・換気などの基本の対策は続けましょう。

重要|型を問わず、すぐ受診・ご相談いただきたいサイン

・呼吸が苦しそう、ゼーゼーする、顔色・唇の色が悪い

・けいれんを起こした、呼びかけへの反応がおかしい、意味不明な言動がある

・ぐったりして水分がとれない、おしっこが半日以上出ていない

・解熱後にまた高熱が出た(肺炎・中耳炎などの合併症の可能性)

・ご高齢の方、妊娠中の方、糖尿病・心臓・呼吸器の持病のある方の発熱

今からできる対策とワクチン

今シーズンのワクチン(3価)は、A(H1N1)・A(H3N2)・B型ビクトリア系統のすべてをカバーしています。「A型対策」「B型対策」を別々に考える必要はなく、1回の接種(13歳未満のお子さんは2回)で両方に備えることができます。すでに流行が本格化しているため、当院では接種できるタイミングでの早めの接種をおすすめしています。

大田区では2026年9月24日から、お子さんのインフルエンザワクチン費用助成が始まっています。制度の詳しい内容は「大田区インフルエンザ助成は9月24日(木)開始」を、注射ワクチンと経鼻ワクチン(フルミスト)の選び方は「インフルエンザワクチン予約ガイド2026-2027」をご覧ください。

あわせて、流行期の基本対策も型を問わず共通です:こまめな手洗い、室内の換気と加湿、人混みでのマスク着用、十分な睡眠と栄養。ご家族がかかった場合の看病のコツは「子どものインフルエンザ「おうちケア」完全ガイド」にまとめています。

受診前チェックリスト(発熱でご来院の際)

□ 熱が出始めた日時(検査のタイミング判断に重要です)

□ ご家族・学校・職場での流行状況(誰かがA型/B型と診断されていないか)

□ 服用中のお薬・お薬手帳

□ 持病(糖尿病・喘息・心臓病など)とアレルギー歴

□ 今シーズンのインフルエンザワクチン接種の有無

🏥 竹内内科小児科医院で診るという選択(当院が選ばれる理由)

ここまでA型とB型の違いをご紹介してきましたが、実際の外来では「型の判定」から「その日のお薬」までを一度に完結できる体制が大切だと考えています。流行期の当院では、次のような形で発熱の患者さんを診ています。

理由① 迅速検査でA型・B型をその場で判定

インフルエンザ迅速抗原検査を院内で実施し、10〜15分程度で結果をご説明します。発症からの時間を踏まえた検査タイミングのご相談も承ります。

理由② 抗インフルエンザ薬は院内処方

ゾフルーザ・タミフル・イナビルは院内処方でお渡ししています。具合の悪いまま薬局を回る必要がありません(リレンザはご希望の方に院外処方)。

理由③ 内科×小児科でご家族そろって受診可能

お子さんの発熱と、看病で体調を崩した親御さんを同じ窓口で診られます。家庭内でA型・B型が続けて出たときのご相談も一度で済みます。

理由④ ワクチンは注射・フルミストに対応

今季の3価ワクチン(注射)に加え、経鼻弱毒生ワクチン「フルミスト」の接種にも対応。大田区の子ども向け費用助成もご利用いただけます。

理由⑤ 多摩川駅徒歩5分・土曜午前も診療

東急東横線・目黒線「多摩川駅」から徒歩5分。平日は19時まで、土曜も午前診療を行っており、お仕事帰りや週末の受診にも対応します。

理由⑥ 五良会グループの連携体制

重症化リスクの高い持病をお持ちの方も、白金高輪の内視鏡・専門外来やセンター南のクリニックへグループ内で切れ目なくご紹介できます。

急な発熱・のどの痛み・関節の痛みは、我慢せずご相談ください。ワクチン接種のご予約も受付中です。

医療法人社団 五良会・正友会 理事長 五藤 良将

AUTHOR / SUPERVISOR

竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将(ごとう よしまさ)

  • 防衛医科大学校 医学部 卒業(27期)。防衛医科大学校病院、自衛隊中央病院、自衛隊横須賀病院ほかで臨床経験を積む
  • 医療法人社団 五良会 理事長/医療法人社団 正友会 理事長/竹内内科小児科医院 院長
  • 日本内科学会 認定内科医/日本抗加齢医学会 専門医/日本糖尿病協会 登録医/日本旅行医学会 認定医
  • 日本温泉気候物理医学会 温泉療法専門医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/難病指定医
  • 所属学会:日本内科学会、日本糖尿病学会、日本アレルギー学会、日本東洋医学会、日本リウマチ学会、日本外来小児科学会、日本抗加齢医学会、日本睡眠学会、日本美容内科学会、日本旅行医学会 ほか
  • 著書『あぶら落とすスープ』(アスコム)。NHK・TBS・フジテレビ・日本テレビ・テレビ朝日などメディア出演多数

執筆・監修責任について

本記事は、五藤良将が公的機関の発表・国内外の診療ガイドライン・査読済み論文を確認したうえで執筆・監修しています。内容は公開時点の情報に基づくものであり、新しい知見やガイドラインの改訂があった場合は、こちらで記事を更新します。
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個々の患者さんの診断・治療に代わるものではありません。症状や治療のご判断については、必ず医師にご相談ください。記載内容について気になる点がございましたら、竹内内科小児科医院(03-3721-5222)までお知らせください。

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五良会グループでは、田園調布から白金高輪まで医師が連携しております。患者さまの転居やライフスタイルの変化に合わせて、同じグループ内で継続診療が受けられる体制を整えております。

参考文献

  1. 厚生労働省「インフルエンザの発生状況をお知らせいたします(令和8年第37週:9月7日〜9月13日)」2026年9月18日発表
  2. 東京都感染症情報センター「インフルエンザの流行状況(東京都 2026-2027年シーズン)」(2026年9月閲覧)
  3. 国立健康危機管理研究機構(JIHS)感染症情報提供サイト「インフルエンザワクチン株」(2026年9月閲覧)
  4. 新潟大学大学院医歯学総合研究科 国際保健学分野「2026年9月、早くもインフルエンザが流行―詳細解説」2026年9月12日(2026年9月閲覧)
  5. WHO. Recommended composition of influenza virus vaccines for use in the 2026-2027 northern hemisphere influenza season.(2026年9月閲覧)
  6. 日本感染症学会「インフルエンザに関する提言・情報」(2026年9月閲覧)

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