皆さま、こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。
連日厳しい暑さが続く2026年の夏、当院の外来では「あせもだと思って様子を見ていたら、なかなか治らない」「汗をかくたびにチクチクかゆいブツブツが出る」というご相談が増えています。実はそのブツブツ、あせもではなく「蕁麻疹(じんましん)」かもしれません。蕁麻疹は汗・暑さ・疲れなどをきっかけに夏に悪化しやすく、お子さんから大人まで幅広い年代にみられます。
今回のブログでは、2026年4月に8年ぶりの改訂として公表された日本皮膚科学会「蕁麻疹診療ガイドライン2026(第4版)」の内容を踏まえながら、あせもとの見分け方、子どもや若い方に多い「コリン性蕁麻疹」、ご家庭でできるケアと受診の目安を、内科・小児科・アレルギー科・皮膚科を併設する当院の視点から分かりやすく解説いたします。
なお、姉妹院の五良会クリニック白金高輪でも、新ガイドラインによる治療の変更点を大人向けに詳しく解説した記事を公開しております。あわせてお読みいただくと理解が深まります(記事末尾でご紹介します)。
目次
そのブツブツ、あせも?じんましん?――3つの見分けポイント
蕁麻疹は、皮膚の中にあるマスト細胞(肥満細胞)からヒスタミンという物質が放出され、蚊に刺されたような盛り上がり(膨疹:ぼうしん)と強いかゆみが出る病気です。日本皮膚科学会のガイドラインでは「膨疹が出ては消えることを繰り返す疾患」と定義されており、一つひとつのブツブツが数十分〜24時間以内に跡を残さず消えるのが最大の特徴です。
一方、あせも(汗疹)は汗の出口が詰まって起こる炎症で、同じ場所に数日間ブツブツが残ります。見分けのポイントを表にまとめました。
| ポイント | 蕁麻疹(じんましん) | あせも(汗疹) |
|---|---|---|
| ブツブツの持続時間 | 数十分〜24時間以内に消える(場所を変えて出没する) | 同じ場所に数日間残る |
| 見た目 | 蚊に刺されたような盛り上がり。つながって地図状になることも | 汗の出口に一致した小さな赤いブツブツや水ぶくれ |
| 出る場所 | 全身どこにでも。日によって場所が変わる | 首・わき・ひじの内側・背中など汗のたまりやすい場所 |
| 跡 | 消えた後は跡が残らない | かき壊すと「とびひ」に進むことがある |
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ポイント|迷ったら「写真」を撮っておきましょう ① 出ている時の写真:受診時に症状が消えていても、スマートフォンの写真があれば診断の大きな手がかりになります。 ② 時間をメモ:「何をした後に出たか(運動・入浴・食事・日光など)」「何分くらいで消えたか」を記録しておくと、原因の推定に役立ちます。 ③ 同じ場所に数日残るならあせも・湿疹の可能性:ケアや治療薬が異なりますので、自己判断せずご相談ください。 |
なぜ夏に蕁麻疹が増える・悪化するのか
蕁麻疹の約7割は、検査をしても明らかな原因(アレルゲン)が特定できない「特発性」といわれています。ただし、夏には蕁麻疹を悪化させる「引き金」が集中しています。
夏に多い悪化要因
汗と体温上昇(コリン性蕁麻疹・温熱蕁麻疹)、強い紫外線(日光蕁麻疹)、冷房や冷たいシャワーとの温度差(寒冷蕁麻疹)、そして夏バテ・睡眠不足・疲労やストレスによる悪化です。また、サバ・アジなどの青魚の保存状態が悪いと増える「ヒスタミン食中毒」のように、食品が関わるケースもあります。
メカニズム図解|汗をかくと蕁麻疹が出る仕組み(コリン性蕁麻疹)
| 運動・入浴・緊張などで体温が上がる:体は汗をかいて体温を下げようとします。 | |
| 汗をかかせる神経の信号(アセチルコリン)が皮膚に伝わる:この刺激に皮膚のマスト細胞が反応しやすい体質の方がいます。 | |
| マスト細胞からヒスタミンが放出される:血管が拡張し、皮膚が部分的にむくみます。 | |
| チクチクした痛がゆい小さな膨疹が多発:1〜4mm程度の小さなブツブツが胸・背中・腕などに広がり、多くは1時間以内に消えていきます。 |
子ども・10代に多い「コリン性蕁麻疹」とは
コリン性蕁麻疹は、小学校高学年から20代くらいまでの若い世代に多いタイプの蕁麻疹です。部活動や体育の授業、夏休みのプール後の入浴、緊張した時など「汗をかく場面」で、チクチク・ピリピリした痛がゆい小さなブツブツが出るのが特徴です。
「体育のたびにかゆがるので運動嫌いになってしまった」「思春期のお子さんが体質を気にして部活を休みがちになった」というご相談もあります。コリン性蕁麻疹は適切な治療とセルフケアで症状をコントロールしやすくなることが多く、「汗をかくのが怖い」と運動を避け続ける必要はありません。学校生活に支障が出ている場合こそ、一度ご相談ください。
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保護者の方へ|「かきむしり」と「とびひ」にご注意 蕁麻疹そのものは跡を残さず消えますが、お子さんが強くかき壊すと、傷から細菌が入り「とびひ(伝染性膿痂疹)」に進むことがあります。爪を短く切る、かゆい部位を保冷剤などで冷やす、といった対策も大切です。あせも・とびひ対策はこちらの記事で詳しく解説しています。 |
蕁麻疹の治療――新ガイドライン2026のポイント
2026年4月、日本皮膚科学会の「蕁麻疹診療ガイドライン2026(第4版)」が約8年ぶりに改訂されました。患者さまに関わりの深いポイントを、分かりやすくご紹介します。
| 改訂ポイント | 内容 |
|---|---|
| 治療の基本は変わらず | 眠気の出にくい第2世代抗ヒスタミン薬の内服が治療の第一段階。かゆみ止めの塗り薬だけでは、皮膚の中で起きているヒスタミンの放出は抑えられません |
| 病名の変更 | 6週間以上続く「慢性蕁麻疹」は「慢性特発性蕁麻疹」という名称に整理されました。国内の推定有病率は1.2〜1.6%と報告され、決してまれな病気ではありません |
| 治りにくい場合の選択肢が拡大 | 抗ヒスタミン薬で十分に抑えられない慢性特発性蕁麻疹には、注射の生物学的製剤(オマリズマブ、デュピルマブ)を追加する段階的治療が示されました。必要な場合は専門医療機関と連携いたします |
| ステロイド内服は限定的に | 副腎皮質ステロイドの内服は急性増悪時などに短期間のみという位置づけがより明確になりました。漫然と続けないことが大切です |
大切なのは、「出たら我慢、消えたら安心」を繰り返さないことです。蕁麻疹は症状を薬でしっかり抑えた状態を保つことで、出にくい状態を目指していく病気です。市販のかゆみ止めで様子を見続けるより、繰り返す場合は一度受診して、ご自身に合った治療方針を立てることをおすすめいたします。
すぐに受診・救急要請が必要な危険サイン
蕁麻疹の多くは皮膚だけの症状で済みますが、まれにアナフィラキシーという全身の激しいアレルギー反応の一部として現れることがあります。以下のサインがあれば、ためらわず救急受診(場合により119番)をお願いいたします。
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重要|皮膚以外にこんな症状があれば救急受診を ・のどのかゆみ・つまり感、声のかすれ、息苦しさ、ゼーゼーする ・唇・まぶた・舌の急な腫れ ・繰り返す嘔吐、強い腹痛、下痢 ・顔色が悪い、ぐったりする、意識がぼんやりする、立ちくらみ ・特定の食事や蜂刺されの直後から、蕁麻疹と上記の症状が急に広がってきた |
ご家庭でできるケアと予防のコツ
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夏の蕁麻疹セルフケア チェックリスト □ かゆい部位は冷たいタオルや保冷剤で冷やす(かくと悪化します) □ 汗をかいたらシャワーやタオルで早めに流し、着替える □ 入浴はぬるめのお湯で。熱い湯・長風呂・サウナは悪化のもと □ 通気性のよい服装で、体温の急上昇を避ける □ 睡眠不足・夏バテ・ストレスをためない(悪化要因になります) □ 処方された抗ヒスタミン薬は自己判断でやめず、指示どおり続ける □ お子さんの爪は短く切り、かき壊しを防ぐ |
当院での診療とグループ連携
竹内内科小児科医院は、内科・小児科・アレルギー科・皮膚科を併設しており、お子さんの蕁麻疹も、親御さんの蕁麻疹も、同じ院内でまとめてご相談いただけます。「子どものブツブツを診てもらうついでに、自分の長引くかゆみも相談したい」といった受診の仕方も大歓迎です。必要に応じて血液検査などのアレルギー検査にも対応し、食物アレルギーが疑われるお子さんの場合は専門機関とも連携いたします。
土曜日も午前は診療しておりますので、平日はお忙しい共働きのご家庭もご利用いただきやすくなっております。田園調布・多摩川・大田区周辺で蕁麻疹・かゆみにお悩みの方は、どうぞお気軽にお越しください。
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受診前チェックリスト □ ブツブツが出ている時の写真(スマートフォンでOK) □ いつ・何をした後に出て、何分くらいで消えたかのメモ □ 直前に食べたもの・飲んだもの(思い当たる場合) □ 服用中のお薬・お薬手帳(市販薬・サプリメントも含む) □ これまでのアレルギー歴・アトピー性皮膚炎などの持病 |
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五良会グループでは、田園調布の竹内内科小児科医院と港区の五良会クリニック白金高輪、横浜市都筑区の五良ファミリークリニックセンター南の医師が連携しております。患者さまの転居やライフスタイルの変化に合わせて、同じグループ内で継続診療が受けられる体制を整えております。
参考文献
- 蕁麻疹診療ガイドライン策定委員会(福永淳ほか). 蕁麻疹診療ガイドライン2026(第4版). 日本皮膚科学会雑誌. 2026;136(4):375-(2026年4月公表).
- 日本皮膚科学会. 蕁麻疹診療ガイドライン2018. 日本皮膚科学会雑誌. 2018;128(12):2503-2624.
- 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A:蕁麻疹」 https://www.dermatol.or.jp/(2026年7月閲覧)
- 厚生労働省「ヒスタミンによる食中毒について」 https://www.mhlw.go.jp/(2026年7月閲覧)
汗をかくたびに出るかゆいブツブツ、繰り返す蕁麻疹は、我慢せずご相談ください。WEB予約・WEB問診・LINE・お電話(03-3721-5222)からご予約いただけます。
竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将
日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医・日本旅行医学会認定医