【2026年夏】夜中に足がつる「こむら返り」|脱水・ミネラル不足と隠れた病気のサイン【田園調布・多摩川】

皆さま、こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。

連日の猛暑が続く2026年の夏、外来で「夜中に突然ふくらはぎがつって、痛くて目が覚める」「明け方に足がつるのが続いている」というご相談が増えております。いわゆる「こむら返り」です。「こむら」とはふくらはぎの古い呼び名で、ふくらはぎの筋肉(腓腹筋=ひふくきん)が自分の意思と関係なく強く収縮し、激しい痛みを伴う状態を指します。

こむら返りは一年を通して起こりますが、汗をたくさんかく夏は特に起こりやすい季節です。背景には、脱水とミネラル(電解質)バランスの乱れ、エアコンによる冷え、筋肉の疲労などが重なっています。そして、頻繁に繰り返す場合には、糖尿病や下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)など、隠れた病気のサインであることもあります。

今回のブログでは、夏にこむら返りが増える仕組みから、つってしまったときの正しい対処法、今夜からできる予防のコツ、そして「受診したほうがよいサイン」まで、内科・糖尿病内科の視点からわかりやすく解説いたします。

こむら返りとは?なぜ夏の夜に多いのか

こむら返りは、ふくらはぎなどの筋肉が突然、強く収縮(けいれん)したまま戻らなくなる状態です。医学的には「有痛性筋けいれん」と呼ばれ、数十秒から数分間、強い痛みが続きます。ふくらはぎに最も多く起こりますが、足の裏・足の指・太ももに起こることもあります。

筋肉の収縮は、脳や脊髄からの指令が神経を通って伝わることで起こります。このとき、ナトリウム・カリウム・マグネシウム・カルシウムといったミネラル(電解質)が、神経や筋肉の興奮をコントロールする重要な役割を担っています。汗を大量にかいて水分とミネラルが失われると、神経と筋肉の間の情報伝達がうまくいかなくなり、筋肉が「誤作動」を起こして過剰に収縮してしまう――これがこむら返りの基本的な仕組みと考えられています。

メカニズム図解|夏の夜にこむら返りが起こるまで

1 日中〜就寝中に大量の汗:猛暑と熱帯夜で、気づかないうちに水分とミネラル(ナトリウム・マグネシウムなど)が失われます。就寝中にもコップ1〜2杯分の汗をかくといわれます。
2 脱水と電解質バランスの乱れ:血流も低下し、筋肉や神経のまわりのミネラル濃度が変化します。
3 エアコンの冷え・つま先立ちの姿勢:就寝中は足が冷えて血行が悪くなり、さらに布団の重みなどで足首が伸びた姿勢(ふくらはぎが縮んだ状態)が続きます。
4 筋肉の「誤作動」=こむら返り:神経の興奮を抑える仕組みがうまく働かず、ふくらはぎの筋肉が突然強く収縮して激痛が走ります。

加齢とともに筋肉量が減ると、同じ活動でも筋肉にかかる負担が大きくなり、こむら返りは起こりやすくなります。ご高齢の方で「夏になると毎晩のように足がつる」という場合、かくれ脱水と筋肉量の低下(サルコペニア)が重なっていることも少なくありません。

夏に足がつる5つの主な原因

原因 具体的な内容
① 脱水 大量の発汗、水分摂取不足、就寝前の飲酒・カフェイン(利尿作用)など。のどの渇きを感じにくい高齢の方は特に注意が必要です。
② ミネラル不足 汗とともにナトリウム・マグネシウム・カリウムなどが失われます。夏バテによる食欲低下・偏った食事も影響します。
③ 冷えと血行不良 エアコンの効いた室内で足元が冷えると、ふくらはぎの血流が低下し、筋肉がけいれんしやすくなります。
④ 筋肉の疲労 暑い中での運動・立ち仕事・旅行やレジャーでの歩きすぎなど。運動中や運動後のこむら返りは筋疲労と脱水の合併が典型的です。
⑤ 加齢・筋肉量の低下 加齢に伴い筋肉量が減り、腱の感覚センサー(腱紡錘)の働きも変化するため、中高年以降で頻度が増えるといわれています。

ポイント|「寝る前の水分」と「寝ている間の冷え」が夏の2大要因

① 就寝中の脱水:熱帯夜は寝ている間にも多くの汗をかきます。「寝る前にトイレが近くなるから」と水分を控えるのは逆効果になりがちです。

② 足元の冷え:エアコンの風が直接足に当たる環境は血行不良のもと。風向きの調整やタオルケットの活用がおすすめです。

つってしまったときの正しい対処法

こむら返りが起きたときは、あわてずに「縮んでいる筋肉をゆっくり伸ばす」ことが基本です。

ふくらはぎがつったとき

膝を伸ばして座り、つま先を手前(すね側)にゆっくり引き寄せて、ふくらはぎを伸ばします。手が届かない場合は、タオルを足の裏(つま先寄り)に引っかけて手前に引く方法が安全です。壁にふくらはぎを伸ばすように立って行っても構いません。反動をつけず、ゆっくり伸ばすのがコツです。

痛みが落ち着いてきたら、ふくらはぎを軽くマッサージしたり、蒸しタオルなどで温めたりして血行を促しましょう。強い痛みが残る間に急に歩き出すと再発しやすいため、少し落ち着いてから動くようにしてください。

こんなときは「こむら返り」ではないかもしれません

つった後も数時間〜数日痛みや腫れが続くふくらはぎが赤く腫れて熱をもっている歩くと痛みが強くなるといった場合は、肉離れや深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)など別の病気の可能性もあります。自己判断でマッサージを続けず、医療機関にご相談ください。

今夜からできる予防のコツ

1. 水分と適度なミネラルの補給

日中はこまめに水分をとり、就寝前と起床時にコップ1杯の水を飲む習慣をおすすめします。大量に汗をかいた日は、水だけでなく経口補水液や麦茶+バランスのよい食事などでミネラルも補いましょう。なお、スポーツドリンクの飲みすぎは糖分のとりすぎ(いわゆるペットボトル症候群)につながるため、糖尿病や血糖値が気になる方は特にご注意ください。

2. マグネシウムなどを含む食事

マグネシウムは海藻類・大豆製品(納豆・豆腐)・ナッツ類・玄米などに、カリウムは野菜・果物・いも類に多く含まれます。夏バテで食事が偏りがちな時期こそ、「主食・主菜・副菜」のそろった食事を意識しましょう。当院では管理栄養士による栄養相談も行っております。

3. 就寝前のふくらはぎストレッチと入浴

寝る前に、アキレス腱を伸ばす要領でふくらはぎを左右各20〜30秒ずつゆっくり伸ばしておくと、夜間のこむら返りの予防に役立ちます。シャワーだけで済ませず、ぬるめのお湯にゆっくり浸かって足を温めることも血行改善に有効です。

4. 足元の冷え対策

エアコンの風が足に直接当たらないよう風向きを調整し、必要に応じてレッグウォーマーや薄手のタオルケットで足元を守りましょう。冷房を我慢する必要はありません。熱中症予防のためにエアコンは適切に使いながら、「足元の冷えだけを防ぐ」のがポイントです。

繰り返すこむら返りに隠れていることがある病気

たまに起こるこむら返りのほとんどは心配のないものですが、「週に何度も繰り返す」「日中もつる」「以前より明らかに増えた」という場合は、背景に次のような病気や薬の影響が隠れていることがあります。

背景にあるもの あわせて見られやすいサイン
糖尿病 のどの渇き・多尿・体重減少・足のしびれ。高血糖による脱水や神経の障害が、足のつりやすさに関係することがあります。
下肢静脈瘤 足の血管がボコボコ浮き出る、夕方の足のむくみ・だるさ、夜間のこむら返り。
腰部脊柱管狭窄症など腰の病気 歩くと足がしびれて休むと楽になる(間欠性跛行)、腰痛、足のつり。
腎臓・肝臓の病気、甲状腺の病気 むくみ、だるさ、健診での検査値異常など。電解質バランスの乱れを介して足がつりやすくなることがあります。
お薬の影響 利尿薬(尿を出す薬)や一部の生活習慣病治療薬などの服用中に足がつりやすくなることがあります。自己判断で中止せず、必ず医師・薬剤師にご相談ください。

重要|こんな「足のつり」は早めに受診を

・週に何度も繰り返す、日中や歩行中にもつる

・足のしびれ・むくみ・血管の浮き出し・冷感をともなう

・のどの渇き・多尿・体重減少など糖尿病を疑う症状がある

・つった後の痛み・腫れが長く続く、片足だけが急に腫れた

当院は糖尿病内科・代謝内科を専門としており、血液検査で血糖値・HbA1c・電解質(ナトリウム・カリウム・マグネシウムなど)・腎機能・肝機能・甲状腺機能を確認し、こむら返りの背景に病気が隠れていないかを調べることができます。

治療について|漢方薬(芍薬甘草湯)と注意点

生活の工夫だけで改善しない場合、医療機関では漢方薬の芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)が処方されることがあります。筋肉のけいれんを和らげる目的で古くから用いられており、こむら返りに対して比較的速やかな効果が期待できるとされる一方で、漫然と毎日飲み続ける薬ではない点に注意が必要です。

芍薬甘草湯の注意点|「甘草」による偽アルドステロン症

芍薬甘草湯には甘草(かんぞう)が比較的多く含まれます。甘草を長期間・多量に服用すると、偽アルドステロン症(血圧上昇・むくみ・血液中のカリウム低下・脱力など)という副作用が起こることがあり、厚生労働省の重篤副作用疾患別対応マニュアルでも注意喚起されています。

このため、症状のあるときだけ服用する「頓用(とんよう)」を基本とし、高血圧・心臓病・腎臓病のある方や、甘草を含む他の漢方薬を併用している方は特に、必ず医師の指示のもとで服用してください。手足の脱力・こむら返りの悪化・血圧上昇などに気づいたら、早めにご相談ください。

また、糖尿病・下肢静脈瘤・腰の病気などが背景にある場合は、原因となっている病気の治療そのものが最も大切です。当院で対応が難しい専門的な検査・治療が必要な場合は、連携する医療機関へ責任をもってご紹介いたします。

受診の目安とチェックリスト

「たかが足のつり」と我慢される方が多いのですが、頻繁なこむら返りは睡眠の質を大きく下げ、日中の疲労や転倒にもつながります。以下にあてはまる方は、一度ご相談ください。

受診前チェックリスト

□ 週に2回以上、足がつって目が覚める

□ 水分・ストレッチなどの対策をしても改善しない

□ 足のしびれ・むくみ・血管の浮き出しがある

□ 健診で血糖値・腎機能などの異常を指摘されたことがある

□ 利尿薬など複数のお薬を服用中である

□ 最近、健診・血液検査を1年以上受けていない

当院は内科・小児科・糖尿病内科・代謝内科・皮膚科を併設しており、お子さまからご高齢の方まで、ご家族そろって同じ医師にご相談いただけるのが強みです。「子どもが運動中によく足をつる」というご相談も、成長期の筋肉疲労や水分不足が関係していることが多く、小児科としてあわせて対応いたします。土曜午前も診療しておりますので、平日お忙しい方もお気軽にお越しください。

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五良会グループでは、田園調布の竹内内科小児科医院と港区の五良会クリニック白金高輪、横浜市都筑区の五良ファミリークリニックセンター南の医師が連携しております。患者さまの転居やライフスタイルの変化に合わせて、同じグループ内で継続診療が受けられる体制を整えております。

参考文献

  1. 厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 偽アルドステロン症」(2026年7月閲覧)
  2. 日本プライマリ・ケア連合学会「プライマリ・ケア診療各論(漢方):こむら返りに芍薬甘草湯」 https://www.primarycare-japan.com/news-detail.php?nid=928(2026年7月閲覧)
  3. ツムラ 医療関係者向けサイト「漢方薬の主要な副作用:偽アルドステロン症」(慶應義塾大学医学部漢方医学センター監修資料)(2026年7月閲覧)
  4. 環境省「熱中症環境保健マニュアル」(2026年7月閲覧)

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竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将
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Author: 五藤 良将