皆さま、こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。
連日の猛暑が続く2026年の夏、田園調布・多摩川エリアでも汗ばむ日が続いております。実はこの時期、「突然、脇腹から背中にかけて七転八倒するほどの激痛に襲われた」という理由で救急外来を受診される方が増えることをご存じでしょうか。その代表的な原因が、夏に発症のピークを迎える「尿路結石(にょうろけっせき)」です。
尿路結石は、日本人男性のおよそ7人に1人、女性のおよそ15人に1人が生涯に一度は経験するとされる、とても身近な病気です。そして夏に増える最大の理由は、大量の汗による「かくれ脱水」。今回のブログでは、日本泌尿器科学会などによる「尿路結石症診療ガイドライン 第3版(2023年)」の内容も踏まえながら、夏に尿路結石が増えるメカニズムと、今日からできる予防のコツを、内科・生活習慣病のかかりつけ医の視点から分かりやすく解説いたします。
先日の「夏に急増する痛風」の記事とも深い関係がありますので、あわせてお読みいただければ幸いです。
目次
尿路結石とは?──男性の約7人に1人が経験
尿路結石とは、腎臓でつくられた尿の通り道(腎臓→尿管→膀胱→尿道)に、尿に溶けていたカルシウムやシュウ酸、尿酸などの成分が結晶化して「石」ができてしまう病気です。石のある場所によって「腎結石」「尿管結石」「膀胱結石」などと呼ばれます。
日本では食生活の欧米化などを背景にこの50年間で患者数が大きく増加しており、全国疫学調査では男性の約7人に1人、女性の約15人に1人が生涯に一度は罹患するとされています。働き盛りの30〜50歳代の男性に特に多いのも特徴で、「田園調布から都心へ通勤する共働き世代」の皆さまにこそ知っていただきたい病気です。
さらに見逃せないのが再発率の高さです。一度結石を経験した方のおよそ半数が5年以内に再発するといわれており、「石が出たら終わり」ではなく、生活習慣の見直しによる再発予防がとても大切になります。
なぜ「夏」に増えるのか──汗とかくれ脱水のメカニズム
尿路結石の発症は7〜9月の夏場にピークを迎えることが知られています。その理由は、大量の汗にあります。
メカニズム図解|夏に結石ができるまで
| 大量の発汗:猛暑で汗をかき、体の水分が失われます(自覚しにくい「かくれ脱水」も含む) | |
| 尿量の減少・尿の濃縮:体は水分を節約しようと尿を減らし、尿が濃くなります | |
| 結晶の析出:濃くなった尿の中でシュウ酸カルシウムや尿酸などが溶けきれず、結晶になります | |
| 結石の形成・落下:結晶が成長して「石」になり、尿管に詰まると激痛発作を起こします |
ビールなどのアルコールは一時的に尿量を増やしますが、その後はむしろ脱水を進めてしまううえ、プリン体は尿酸を増やします。「暑いからビールで水分補給」は、痛風だけでなく尿路結石の面からもおすすめできません。
こんな症状に要注意──激痛・血尿・発熱
結石がどこにあるかによって、症状は大きく異なります。
| 結石の場所 | 主な症状 |
|---|---|
| 腎臓(腎結石) | 無症状のことが多く、健診の超音波や尿検査(血尿)で偶然見つかることも |
| 尿管(尿管結石) | 脇腹〜背中〜下腹部の激痛(疝痛発作)、冷や汗、吐き気、血尿 |
| 膀胱の近く | 頻尿、残尿感、排尿時の違和感など「膀胱炎に似た症状」 |
尿管結石の痛みは「痛みの王様」とも呼ばれるほど強烈で、夜間や明け方に突然起こることが多いのが特徴です。また、目で見て分からなくても、尿検査ではじめて分かる「顕微鏡的血尿」が唯一のサインというケースも少なくありません。
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重要|「激痛+発熱」はすぐに医療機関へ ・結石で尿の流れがせき止められたところに細菌感染が加わると、結石性腎盂腎炎(けっせきせいじんうえんえん)という重い状態になることがあります。 ・38℃以上の発熱・悪寒ふるえを伴う脇腹の痛みは、敗血症に進行する恐れがあるため、我慢せず速やかに受診してください。 ・夜間・休日であれば救急外来の受診をためらわないでください。 |
今日からできる予防法──水分補給と食事のコツ
尿路結石の予防の基本は、とてもシンプルです。「尿を薄く、量を多く保つこと」。ガイドラインでも、再発予防のために1日2リットル以上の尿量を保てるよう、食事以外に十分な水分を摂ることが推奨されています。
水分補給のポイント
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ポイント|夏の水分補給 3つのコツ ① こまめに、少しずつ:一気飲みではなく、コップ1杯(150〜200mL)を1〜2時間おきに。起床時・入浴前後・就寝前は特に忘れずに。 ② 基本は水やお茶:糖分の多い清涼飲料水のとりすぎは、肥満や「ペットボトル症候群」だけでなく結石のリスクにもつながります。 ③ アルコールは水分補給になりません:ビールの後こそ、意識してお水を。 |
食事のポイント──「シュウ酸はカルシウムと一緒に」
結石の約8割を占める「シュウ酸カルシウム結石」の予防には、シュウ酸のとり方が鍵になります。シュウ酸は、ほうれん草などの葉物野菜、チョコレート、コーヒー・紅茶などに多く含まれます。
ここで大切なのは、カルシウムを極端に制限しないことです。かつては「結石=カルシウムのとりすぎ」と誤解されていましたが、現在は逆に、食事の際にカルシウムを適切にとると、腸の中でシュウ酸と結びついて便として排泄され、結石ができにくくなることが分かっています。
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食事の工夫チェックリスト □ ほうれん草はゆでこぼしてシュウ酸を減らす(おひたしは理にかなった食べ方です) □ コーヒー・紅茶にはミルクをプラス/葉物野菜はかつお節・小魚・乳製品と一緒に □ 塩分・動物性たんぱく質・プリン体のとりすぎを控える □ クエン酸を含む柑橘類・お酢を上手に取り入れる □ 夕食から就寝まで2時間以上あける(寝ている間は尿が濃くなりやすいため) |
当院には管理栄養士による栄養相談の体制もございますので、「何をどう変えればよいか分からない」という方は、診察の際にお気軽にご相談ください。
痛風・メタボとの深い関係──尿路結石は「生活習慣病」
尿路結石は、単なる「石の病気」ではありません。近年は、肥満・高血圧・糖尿病・脂質異常症などのメタボリックシンドロームと密接に関連する「生活習慣病のひとつ」と考えられています。
特に尿酸値が高い方(高尿酸血症・痛風)は要注意です。尿酸そのものが尿酸結石の材料になるだけでなく、尿の中の尿酸はシュウ酸カルシウム結石の「核」にもなりやすく、結石全体のリスクを高めます。また、肥満や糖尿病があると尿が酸性に傾きやすく、これも結石ができやすい環境をつくります。
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健診で「尿酸値」「尿潜血」を指摘された方へ 尿酸値7.0mg/dLを超える状態や、尿検査での潜血陽性は、痛風・尿路結石の「予備群」のサインかもしれません。症状がないうちからの生活改善と定期的なチェックが、激痛発作の予防につながります。糖尿病・生活習慣病を専門とする当院で、まとめてフォローが可能です。 |
受診の目安と当院でできること
竹内内科小児科医院では、内科のかかりつけ医として、尿検査(血尿・尿酸のチェック)や血液検査、生活習慣病の評価を通じて、尿路結石が疑われる方・再発を予防したい方の診療を行っております。精密検査や結石を砕く治療(体外衝撃波など)が必要と判断した場合には、連携する専門医療機関・泌尿器科へ速やかにご紹介いたしますので、「まずどこに相談すればいいか分からない」という段階でも、どうぞお気軽にご来院ください。
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受診前チェックリスト □ 脇腹・背中・下腹部の痛みが繰り返しある □ 尿の色が濃い・赤っぽい、健診で「尿潜血陽性」と言われた □ 健診で尿酸値・血圧・血糖・コレステロールの異常を指摘された □ 過去に尿路結石になったことがある(再発予防のご相談) □ 家族に尿路結石の方がいる |
お仕事でお忙しい方も、当院は土曜午前も診療しております。WEB予約・WEB問診・LINEもご利用いただけますので、ご都合のよい方法でご相談ください。
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五良会グループでは、田園調布の竹内内科小児科医院と港区の五良会クリニック白金高輪が連携し、生活習慣病の予防から専門的な検査まで多角的にサポートしております。患者さまの転居やライフスタイルの変化に合わせて、同じグループ内で継続診療が受けられる体制を整えております。
参考文献
- 日本泌尿器科学会・日本泌尿器内視鏡ロボティクス学会・日本尿路結石症学会 編. 尿路結石症診療ガイドライン 第3版(2023年版). 医学図書出版, 2023.
- 日本内分泌学会「尿路結石症」一般向け解説ページ(2026年7月閲覧)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「メタボリックシンドローム」関連項目(2026年7月閲覧)
竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将
日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医・日本旅行医学会認定医