【2026年秋】糖尿病の食事療法「1日何kcal?」の決め方|目標体重×エネルギー係数・炭水化物の割合・糖質制限の考え方を院長・五藤良将がやさしく解説【田園調布・多摩川】

皆さま、こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。

10月に入り、新米や秋の味覚がおいしい季節になりました。外来では糖尿病の患者さまから「結局、1日に何キロカロリーまで食べていいのですか?」「ごはんは抜いたほうがいいのですか?」というご質問を本当によくいただきます。インターネットには「糖質制限」「カロリー制限」など様々な情報があふれ、かえって迷ってしまう方も多いようです。

今回のブログでは、日本糖尿病学会の「糖尿病診療ガイドライン2024」と「糖尿病治療ガイド」をもとに、食事療法の土台となる目標体重と総エネルギー摂取量(1日の適正カロリー)の決め方、炭水化物・たんぱく質・脂質のバランス、そして話題の糖質制限や低GI食をガイドラインがどう位置づけているかを、外来でよく出会う方をモデルにした症例とともに、やさしく解説いたします。

食べ方の工夫は「カーボカウント入門」「食べる順番と食べる速さ」の記事もあわせてご参考にしてください。

五藤 良将

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竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将

日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医・日本旅行医学会認定医
この記事は五藤良将が執筆・監修し、内容に責任を持っています。

1. 食事療法は「全員同じカロリー」ではありません

糖尿病の食事療法は、お薬や運動療法と並ぶ治療の柱です。ただし「1日1600kcal」のように全員に同じ数字があてはまるわけではありません。身長、年齢、日中の活動量、肥満の有無、腎臓などの合併症、使っているお薬によって、ちょうどよい量は一人ひとり異なります。

日本糖尿病学会の「糖尿病診療ガイドライン2024」でも、エネルギー摂取量は治療開始時の目安を出したうえで、体重やHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー:過去1〜2か月の血糖の平均を反映する指標)の推移を見ながら個別に調整していく(個別化)という考え方が示されています。

図解|1日のエネルギー摂取量を決める3ステップ

1 目標体重を決める:身長(m)×身長(m)×22〜25(年齢で変わります)
2 エネルギー係数をかける:目標体重×25〜35kcal(活動量で変わります)
3 経過を見て調整する:体重・HbA1c・筋肉量・合併症を見ながら、医師と一緒に見直します

2. ステップ1:目標体重を決める

以前は「標準体重=身長²×22」が一律に使われていましたが、現在は年齢によって幅をもたせた目標体重という考え方が使われています。BMI(体格指数:体重kg÷身長m÷身長m)22は統計的に病気が最も少ない値とされる一方、高齢の方では少しふっくらしている(BMI 22〜25)ほうが、総死亡が少ないという報告があるためです。

年齢 目標体重の計算式(身長はm)
65歳未満 身長×身長×22
65〜74歳(前期高齢者) 身長×身長×22〜25
75歳以上(後期高齢者) 身長×身長×22〜25
※現在の体重をもとに、フレイル(虚弱)、ADL(日常生活動作)、合併症、体重の推移などを踏まえて適宜判断

用語解説|「目標体重」と「肥満症の減量目標」は別物です

目標体重:1日のエネルギー量を計算するための「ものさし」です。今すぐこの体重まで落とさなければならない、という意味ではありません。

減量目標:肥満を伴う方の場合、まずは現在の体重の3%の減量を目指すことが勧められています(日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン2022」。高度肥満症では5〜10%)。体重80kgの方なら、まず約2.4kgが最初の目標です。

3. ステップ2:エネルギー係数で1日の摂取量を出す

次に、目標体重にエネルギー係数(体重1kgあたりに必要なエネルギー量)をかけて、1日の総エネルギー摂取量の目安を求めます。

総エネルギー摂取量(kcal/日)= 目標体重(kg)× エネルギー係数(kcal/kg)

身体活動レベル 生活の例 エネルギー係数
軽い労作 大部分が座位(デスクワーク中心) 25〜30
普通の労作 座位中心だが通勤・家事・軽い運動を含む 30〜35
重い労作 力仕事、活発な運動習慣がある 35〜

なお、日本人は糖尿病の有無にかかわらず実際には「現体重1kgあたり約36kcal」程度を消費しているという報告もあり、計算値はあくまで出発点です。高齢の方では、フレイルやサルコペニアを防ぐ目的で、実際の活動量より大きめの係数を使うこともあります。

用語解説|サルコペニア・フレイルとは

サルコペニア:加齢などにより筋肉量と筋力が低下した状態。糖尿病の方は筋肉が落ちやすいことが知られています。

フレイル:筋力・活力・認知機能などが衰え、要介護の一歩手前にある「虚弱」の状態。高齢の方が食事を減らしすぎると、血糖は下がっても筋肉が落ち、かえって転倒や骨折、入院のリスクが高まることがあります。

4. 症例で計算してみましょう

ここでは、外来でよくお会いするタイプの方をモデルにした架空の症例で計算してみます(実在の患者さまの情報ではありません)。

症例A:58歳男性・会社員(デスクワーク中心)

身長170cm、体重80kg(BMI 27.7)、健診でHbA1c 7.8%を指摘。夜は会食が多く、ごはんは大盛りが習慣。

項目 計算
目標体重 1.7×1.7×22 ≒ 63.6kg
エネルギー係数 軽い労作 → 25〜30
1日の目安 63.6×25〜30 ≒ 約1,600〜1,900kcal
最初の減量目標 現体重の3% = 約2.4kg(3〜6か月かけて)

このような方では、いきなり63.6kgを目指すのではなく、まず夜の主食の量と間食・飲酒を見直して3%減を目指します。過体重・肥満を伴う2型糖尿病では、エネルギー摂取量の制限が血糖コントロールの改善に推奨されており(ガイドライン2024)、体重が減るとHbA1cだけでなく血圧や脂質も改善しやすくなります。

症例B:76歳女性・ひとり暮らし

身長150cm、体重46kg(BMI 20.4)、HbA1c 7.2%。「糖尿病だから」とごはんを半分に減らし、最近疲れやすく、階段がつらくなってきた。

項目 計算
目標体重 1.5×1.5×22〜25 ≒ 49.5〜56.3kg(現体重を踏まえて判断)
エネルギー係数 軽い〜普通の労作。フレイル予防のため大きめを考慮
ポイント 減らしすぎに注意。たんぱく質(魚・卵・大豆製品・乳製品)をしっかりとる

高齢の方では「食べなさすぎ」が問題になることも少なくありません。HbA1cの目標も年齢や認知機能、使っているお薬によって変わります(詳しくは「高齢者の糖尿病は「下げすぎ」にもご注意を」をご覧ください)。

5. 炭水化物・たんぱく質・脂質のバランス

総エネルギー量が決まったら、その中身(三大栄養素のバランス)を考えます。日本糖尿病学会の「糖尿病治療ガイド」では、治療開始時の目安として次のような配分が示されています。一方、「糖尿病診療ガイドライン2024」では、すべての方に最適な一律の比率を示す根拠は十分でないとして、病態や嗜好に合わせて柔軟に設定する考え方が強調されています。

栄養素 開始時の目安(総エネルギー比) ポイント
炭水化物 40〜60% 一般の方向け(日本人の食事摂取基準2025年版)は50〜65%。糖尿病の方はやや低めから調整
たんぱく質 20%まで 腎機能が低下している方は医師と相談のうえ調整
脂質 残り(おおむね20〜30%) 25%を超える場合は飽和脂肪酸(肉の脂・バター等)を控え、魚や植物油の脂を

食事のバランスを日々の献立に落とし込むときに便利なのが、日本糖尿病学会の「糖尿病食事療法のための食品交換表(第7版)」です。食品を栄養素の特徴で表1〜表6と調味料に分け、80kcal=1単位として、同じ表の中なら食品を交換できる仕組みです。例えば1日1,600kcalなら20単位となります。

そのほか、高血圧を合併している方の食塩は1日6g未満(日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」)が目安です。

6. 糖質制限・低GI食・食物繊維はガイドラインでどう扱われている?

「糖尿病診療ガイドライン2024」では、従来のエネルギー制限食に加え、炭水化物(糖質)制限や低GI食についても取り上げられるようになりました。要点を整理します。

テーマ ガイドライン2024のおおまかな位置づけ
エネルギー制限 過体重・肥満を伴う2型糖尿病で、血糖コントロールのために推奨
炭水化物制限 6〜12か月以内の短期間では血糖改善に有効。ただし総エネルギーを制限せず炭水化物だけを極端に減らす方法は勧められない。長期の安全性・継続性の根拠は不十分
低GI食 2型糖尿病で有効性が示されるが、研究結果にばらつきがあり弱い推奨
食物繊維 2型糖尿病の血糖コントロールに積極的な摂取が有効(特に水溶性食物繊維)
果物・人工甘味料 十分な研究がなく、明確な結論は示されていない

日本人の2型糖尿病の方を対象にした研究では、炭水化物を1日約130gに抑える食事を6か月続け、大きな有害事象なくHbA1cが改善したという報告があります。ごはんで言えば「抜く」のではなく「茶碗に軽く1杯(約150g)にそろえる」程度のイメージです。

食物繊維は、日本人の食事摂取基準(2025年版)で18〜64歳の男性20〜22g以上、女性18g以上が目標量とされていますが、多くの方が不足しています。野菜・海藻・きのこ・大豆・麦ごはんなどを毎食取り入れるのがおすすめです。

用語解説|GI(グリセミック・インデックス)とは

食品に含まれる糖質が、どれくらい速く血糖値を上げるかを示す指標です。ブドウ糖を100として比較し、値が低いほど血糖の上がり方がゆるやかです。

例えば白米より玄米・麦ごはん、食パンより全粒粉パンのほうがGIは低めです。ただし同じ食品でも量・調理法・食べ合わせで変わるため、「低GIなら食べ放題」ではない点にご注意ください。

7. 自己流の食事制限で注意したいこと

食事療法は、使っているお薬や合併症と深く関係しています。次のような方は、自己判断で極端な制限を始める前に必ずご相談ください。

重要|こんな方は特に注意が必要です

・インスリン注射やSU薬(スルホニルウレア薬)を使っている方:食事を急に減らすと低血糖を起こすおそれがあります

・SGLT2阻害薬を飲んでいる方:極端な糖質制限でケトアシドーシス(体に酸がたまる危険な状態)のリスクが高まることがあります

・腎臓の働きが低下している方:糖質を減らした分をたんぱく質で補うと、腎臓に負担がかかる場合があります

・高齢の方・やせ型の方:減らしすぎで筋肉が落ち、フレイルにつながることがあります

・妊娠中・妊娠を考えている方:必要な栄養量が異なります

また、GLP-1受容体作動薬などのお薬で食欲が落ちている場合も、たんぱく質不足や脱水に注意が必要です。食事とお薬はセットで考えることが大切です。

受診前のチェックリスト

食事のご相談の際にお持ちいただくと役立つもの

□ 直近の健診結果(HbA1c・血糖・腎機能・脂質)

□ 3日分程度の食事メモ、またはスマートフォンの食事写真

□ 体重の記録(20歳の頃の体重、最近1年の増減)

□ お薬手帳(他院で処方中のお薬を含む)

□ 1日の過ごし方(仕事の内容、歩く時間、運動習慣、飲酒量)

竹内内科小児科医院で診るという選択(当院が選ばれる理由)

食事療法は、計算式だけでなく、お一人おひとりの生活やお薬、合併症に合わせて調整してこそ続けられるものです。当院では次のような体制で、食事を含めた糖尿病の治療をサポートしております。

理由① 糖尿病・生活習慣病を院長が直接診療

日本糖尿病協会登録医・日本抗加齢医学会専門医の院長が外来で直接診察し、体重・HbA1c・お薬を合わせて食事の目安を一緒に見直します。

理由② お薬と食事をセットで調整

低血糖を起こしやすいお薬やSGLT2阻害薬を使っている方には、食事内容の変化に合わせてお薬の調整も検討します。

理由③ 内科×小児科でご家族そろって

内科と小児科を併設しており、ご家族の健康や食卓のことも同じ窓口でご相談いただけます。

理由④ 多摩川駅徒歩5分・土曜午前も診療

受付は午前12時まで・午後19時まで。お仕事帰りや土曜午前にも、定期的な通院を続けやすい体制です。

理由⑤ 五良会グループで切れ目なく連携

内視鏡検査や専門外来が必要な場合は、五良会クリニック白金高輪へ、高齢者糖尿病・訪問診療は五良ファミリークリニックセンター南とも連携しています。

理由⑥ 通院が難しい方には訪問診療も

ご高齢で通院が難しくなった方には訪問診療にも対応し、地域で長く診させていただいております。

「自分は1日どれくらい食べていいの?」——健診結果を持って、一度ご相談ください。

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五良会グループでは、田園調布から白金高輪まで医師が連携しております。患者さまの転居やライフスタイルの変化に合わせて、同じグループ内で継続診療が受けられる体制を整えております。

医療法人社団 五良会・正友会 理事長 五藤 良将

AUTHOR / SUPERVISOR|この記事の執筆医師

竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将(ごとう よしまさ)

  • 防衛医科大学校 医学部 卒業(27期)。防衛医科大学校病院、自衛隊中央病院、自衛隊横須賀病院ほかで臨床経験を積む
  • 医療法人社団 五良会(竹内内科小児科医院・五良会クリニック白金高輪)理事長/医療法人社団 正友会(五良ファミリークリニックセンター南)理事長/竹内内科小児科医院 院長
  • 日本内科学会 認定内科医/日本抗加齢医学会 専門医/日本糖尿病協会 登録医/日本旅行医学会 認定医
  • 日本温泉気候物理医学会 温泉療法専門医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/難病指定医
  • 所属学会:日本内科学会、日本糖尿病学会、日本アレルギー学会、日本東洋医学会、日本リウマチ学会、日本外来小児科学会、日本抗加齢医学会、日本睡眠学会、日本美容内科学会、日本旅行医学会 ほか
  • 著書『あぶら落とすスープ』(アスコム)。NHK・TBS・フジテレビ・日本テレビ・テレビ朝日などメディア出演多数

執筆・監修責任について

本記事も院長の五藤良将が執筆・監修しています。公的機関の発表・国内外の診療ガイドライン・査読済み論文を確認したうえで作成しており、内容は公開時点の情報に基づくものです。新しい知見やガイドラインの改訂があった場合は、こちらで記事を更新します。
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個々の患者さんの診断・治療に代わるものではありません。記事中の症例は説明のための架空のものです。症状や治療のご判断については、必ず医師にご相談ください。記載内容について気になる点がございましたら、竹内内科小児科医院(03-3721-5222)までお知らせください。

参考文献

  1. 日本糖尿病学会 編・著『糖尿病診療ガイドライン2024』南江堂, 2024年(第3章 食事療法、第13章 肥満を伴う糖尿病)
  2. 日本糖尿病学会 編・著『糖尿病治療ガイド2024』文光堂, 2024年
  3. 日本糖尿病学会 編・著『糖尿病食事療法のための食品交換表 第7版』文光堂, 2013年
  4. 日本肥満学会『肥満症診療ガイドライン2022』ライフサイエンス出版, 2022年
  5. 日本老年医学会・日本糖尿病学会 編・著『高齢者糖尿病診療ガイドライン2023』南江堂, 2023年
  6. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」2024年12月公表
  7. 日本高血圧学会『高血圧管理・治療ガイドライン2025』2025年
  8. 日本医師会「かかりつけ医の糖尿病管理」令和6年度 日医かかりつけ医機能研修制度 応用研修会資料 https://www.med.or.jp/(2026年10月閲覧)
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