皆さま、こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。
連日厳しい暑さが続くなか、お盆の時期を迎えました。当院の発熱・せき外来には、このところ発熱・せき・のどの痛みで受診される方が急増しており、多い日には1日で37名の発熱の患者さまを診察いたしました。お盆期間に入り近隣の医療機関がお休みに入るなかで、「発熱外来を探してようやくたどり着きました」と田園調布・大田区の外からも来院される方が増えています。
背景にあるのが、手足口病をはじめとする「夏かぜ」の大きな流行です。東京都は2026年7月2日、手足口病の定点当たり患者報告数が2年ぶりに都の警報基準を超えたと発表しました。一方で、この時期の発熱には熱中症が紛れていることがあり、両者は初期症状がよく似ているため注意が必要です。
今回のブログでは、2026年夏の最新の流行状況と、外来で毎日のように質問される「この発熱は夏かぜ?それとも熱中症?」の見分け方、ご家庭でのケア、そしてお盆期間の五良会グループの診療体制について、まとめてお伝えいたします。手足口病・ヘルパンギーナ・プール熱それぞれの詳しい症状や登園基準は、姉妹記事「子どもの三大夏かぜ|見分け方と登園の目安【2026年夏】」もあわせてご覧ください。
目次
2026年夏の流行状況|手足口病が2年ぶりの警報レベルに
東京都の発表によりますと、2026年第26週(6月22日〜28日)に都内264か所の小児科定点医療機関から報告された手足口病の患者数は定点当たり6.30人/週となり、警報開始の基準である5.0人/週を超えました。都の警報基準を超えたのは2年ぶりで、都内31保健所のうち16保健所の管内が警報レベルに達しています。
| 項目 | 2026年の状況(東京都・第26週時点) |
|---|---|
| 定点当たり患者報告数 | 6.30人/週(警報基準:5.0人/週) |
| 警報レベルの保健所 | 31保健所中16保健所(管内人口は都全体の約48.6%) |
| 報告数の多い地域の例 | 町田市 19.25人/週、江東区 15.22人/週、八王子市 11.91人/週 |
| 警報の解除基準 | 定点当たり2.0人/週を下回るまで継続 |
手足口病と同じ時期には、ヘルパンギーナや咽頭結膜熱(プール熱)の流行も予測されており、都は手洗い・咳エチケットなどの感染予防策の徹底を呼びかけています。当院のある大田区・田園調布エリアでも、発熱やのどの痛み、手足の発疹を主訴に受診されるお子さまが7月以降はっきりと増えており、8月に入ってもこの傾向は続いています。
「夏かぜ」とは?――大人もかかります
「夏かぜ」とは、夏に流行するウイルス性感染症の総称で、代表格が手足口病・ヘルパンギーナ・咽頭結膜熱(プール熱)の3つです。エンテロウイルス属(コクサッキーウイルスなど)やアデノウイルスが原因で、いずれも発熱とのどの痛みを中心とした症状を起こします。
| 疾患 | 特徴的な症状 | 発熱の目安 |
|---|---|---|
| 手足口病 | 手のひら・足の裏・口の中の水疱性発疹。おしり・ひざに出ることも | 微熱〜38℃程度(出ないことも) |
| ヘルパンギーナ | のどの奥の水疱と強い咽頭痛。飲食を嫌がり脱水になりやすい | 39℃前後の突然の高熱 |
| 咽頭結膜熱(プール熱) | 発熱+のどの痛み+目の充血・目やに(結膜炎) | 38〜39℃台が数日続く |
|
ポイント|大人の夏かぜは「こじれやすい」 ① 大人もかかります:お子さまの看病を通じてご家族に感染するケースが外来でも目立ちます。大人が手足口病にかかると、発疹の痛みや発熱がお子さまより強く出ることが少なくありません。 ② のどの痛みで食事がとれない:ヘルパンギーナに大人がかかると強い咽頭痛で飲食が難しくなり、脱水から回復が遅れることがあります。 ③ せきが長引くときは他の病気も考えます:夏のせきには夏かぜ以外にも、新型コロナウイルス感染症、マイコプラズマ、ぜんそく・咳ぜんそくの悪化などが隠れていることがあります。長引くせきはご相談ください。 |
それぞれの病気の詳しい経過や登園・登校の目安は、当院ブログ「子どもの三大夏かぜ|手足口病・ヘルパンギーナ・プール熱の見分け方と登園の目安【2026年夏】」で解説しております。
その発熱、夏かぜ?熱中症?――見分け方のポイント
この時期の外来で特に難しいのが、夏かぜと熱中症の見分けです。どちらも「体温が上がる」「だるい」「頭が痛い」「食欲がない」といった症状を起こすため、初期にはよく似ています。実際、「熱中症だと思って様子を見ていたら手足口病だった」「夏かぜと思っていたら熱中症で点滴が必要だった」というケースを、当院でも経験しています。
目安となる違いを表にまとめました。
| 着目点 | 夏かぜ(感染症) | 熱中症 |
|---|---|---|
| 発症のきっかけ | 周囲(保育園・家族)に同じ症状の人がいる。屋内で涼しく過ごしていても発症 | 炎天下の外出・運動・部活動の最中〜数時間後。暑い室内での発症も |
| のど・発疹 | のどの痛み・口内炎・手足の発疹・目の充血など「発熱以外の症状」がある | のどの痛みや発疹は原則みられない |
| 体温の経過 | 数時間〜数日単位で上下しながら続く | 涼しい場所での休息・冷却・水分補給で比較的すみやかに下がる |
| 汗・皮膚 | ふるえ(悪寒)を伴うことがある | 大量の汗、または汗が出ず皮膚が熱く乾いている(重症サイン) |
| 特に注意すべき症状 | 高熱の持続、水分がとれない、ぐったり | 意識がもうろうとする、まっすぐ歩けない、けいれん |
|
重要|熱中症を疑ったら、迷わずこの3つを ・涼しい場所へ移動(クーラーの効いた室内・日陰)し、衣服をゆるめて安静に ・体を冷やす(首すじ・わきの下・足のつけ根を保冷剤などで)+水分と塩分の補給(経口補水液が理想) ・意識がおかしい・自力で水分がとれない場合は、ためらわず119番。救急車を待つ間も冷却を続けてください |
迷ったときの実践的な目安は、「涼しい場所で休んで水分をとり、30分〜1時間たっても症状が改善しない、あるいは発熱以外の症状(のどの痛み・発疹・目の充血)がある場合は、感染症の可能性を考えて医療機関を受診する」ことです。判断に迷う場合は、お電話でご相談いただければ看護師・医師が受診の要否をご案内いたします。
熱中症は「落ち着いた」ように見えても油断は禁物
総務省消防庁の集計では、2026年は7月の梅雨明け直後から災害級の猛暑となり、熱中症による救急搬送者数が1週間で1万人を超える週もみられました。搬送者の半数以上は高齢者で、発生場所は「住居」が最多でした。8月に入ってからは、7月の急増期と比べると熱中症の患者さまはやや落ち着いてきた印象がありますが、これは体が暑さに慣れる「暑熱順化(しょねつじゅんか)」が進んだことも一因と考えられます。
メカニズム図解|暑熱順化――体が暑さに「慣れる」しくみ
| 暑さへの反復曝露:数日〜2週間ほど暑い環境で適度に汗をかく生活を続けると、体が暑さに適応し始めます | |
| 発汗機能の向上:汗をかき始めるタイミングが早くなり、汗に含まれる塩分が減って、効率よく体温を下げられるようになります | |
| 皮膚血流の増加:皮膚の血管が広がりやすくなり、体の熱を外へ逃がしやすくなります | |
| ただし順化は「万能」ではありません:連日の酷暑・睡眠不足・体調不良・久しぶりの屋外活動では、順化していても熱中症は起こります。また順化は数日暑さから離れると失われ始めます |
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こんな方は8月も特にご注意ください ・部活動・屋外練習のある学生さん:夏休みは屋外にいる時間が長くなりがちです。帰省や旅行で数日練習を休んだあとの再開時は、順化が落ちており特に危険です ・お盆の帰省・お墓参り・旅行:炎天下の移動や慣れない土地での外出は、こまめな休憩と水分・塩分補給を ・ご高齢の方:搬送の最多は「住居」での発症です。暑さを感じにくくなるため、室温計を目安に昼夜を問わず冷房をお使いください |
ご家庭でのケア――水分・解熱剤・食事の工夫
夏かぜのほとんどはウイルスが原因のため、特効薬はなく、症状をやわらげながら体力の回復を待つのが治療の基本です。ご家庭では次の点を意識してください。
① 水分補給が最優先です
のどが痛いと飲むのを嫌がりますが、夏は発熱による脱水と暑さによる脱水が重なりやすく、水分がとれているかどうかが重症化の分かれ目になります。一度にたくさんではなく、経口補水液や麦茶などを少量ずつ、回数を多く与えてください。冷たいものの方がのどにしみにくく、ゼリーやアイスも立派な水分源です。
② 解熱剤は「つらさをとる」ために
発熱そのものは体がウイルスと闘っている反応であり、無理に下げる必要はありません。ただし、つらくて眠れない・水分がとれないときには解熱剤を使ってあげてください。お子さまにはアセトアミノフェンを用います。市販薬を使う場合は、対象年齢と用量を必ずご確認ください。
③ 食事はのどにやさしいものを
口内炎やのどの痛みがある間は、熱いもの・すっぱいもの・塩からいものは避け、冷ましたおかゆ、冷奴、プリン、ゼリーなど、のどごしのよいものを選びましょう。食欲がなくても、水分さえとれていれば数日は心配いりません。
すぐに受診していただきたいサイン
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重要|次のような場合は、様子を見ずにご受診・ご相談ください ・水分がほとんどとれない、半日以上おしっこが出ていない、泣いても涙が出ない ・ぐったりして視線が合わない、呼びかけへの反応が鈍い ・高熱が3日以上続く、いったん下がった熱がまた上がる ・頭痛と嘔吐を繰り返す、けいれんを起こした ・呼吸が苦しそう、ゼーゼー・ヒューヒューという呼吸音がする ・生後3か月未満の赤ちゃんの38℃以上の発熱(時間外でも救急受診を) |
手足口病では、まれにエンテロウイルスによる髄膜炎・脳炎などの合併症が報告されています。「いつもの夏かぜと様子が違う」と感じたときの保護者の直感は、私たち小児科医にとっても重要な情報です。遠慮なくお知らせください。
当院の発熱・せき外来――お盆期間も地域の発熱の受け皿に
当院では、発熱・せき・のどの痛みなどの感染症状のある方を対象に発熱・せき外来を行っております。内科と小児科を併設しておりますので、お子さまと保護者の方が一緒に、同じ医師の診察を受けられるのが当院の強みです。「子どもの夏かぜがうつったかもしれない」というお父さま・お母さまも、どうぞ一度の来院でまとめてご相談ください。
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ポイント|発熱・せき症状で受診される際のお願い ① 事前のご連絡・WEB問診のご利用を:発熱の方はお電話(03-3721-5222)またはWEB問診で事前にお知らせいただけますと、院内での動線を分けてスムーズにご案内できます。 ② マスクの着用を:せき・のどの症状がある方は、可能な範囲でマスクの着用をお願いいたします。 ③ お盆期間の診療日について:お盆期間中の当院の診療スケジュールは、公式サイトのお知らせ・LINEでご確認ください。土曜は午前診療を行っております。 |
お盆のこの時期は、地域の医療機関が交代で休診に入るため、「かかりつけがお休みだった」という方の受診も多くなります。当院は田園調布・多摩川エリアの地域の発熱の受け皿として、初めての方の発熱診療にも対応しております。
五良会クリニック白金高輪はお盆も休まず診療します
医療法人社団五良会では、お盆期間中も地域の皆さまが発熱時に行き場に困らないよう、グループ全体で診療体制を整えております。姉妹院の五良会クリニック白金高輪(港区)は、お盆休みを設けず、8月5日(水)から8月17日(月)まで連続で診療いたします。
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五良会クリニック白金高輪|お盆期間の診療体制(2026年) ・8月5日(水)〜8月17日(月):お盆休みなしで連続診療 ・8月11日(火・祝/山の日):10:00〜15:00の祝日診療 ・港区・白金高輪方面にお住まいの方、お盆期間中に都心で発熱外来をお探しの方はぜひご利用ください |
田園調布の当院と白金高輪の姉妹院は、同じグループ内で診療情報を連携できる体制にあります。帰省やご旅行など、お盆ならではのご事情に合わせて、通いやすい方をご利用ください。
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受診前チェックリスト □ 発熱がいつから始まったか(検温の記録があると診察がスムーズです) □ 発熱以外の症状(のどの痛み・発疹・目の充血・せき・下痢など) □ 発症前の状況(炎天下での活動の有無、保育園・ご家族に同じ症状の人がいるか) □ 水分・食事がどのくらいとれているか、おしっこの回数 □ 持病・服用中のお薬・お薬手帳 |
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五良会グループでは、田園調布の竹内内科小児科医院、港区の五良会クリニック白金高輪、横浜市都筑区の五良ファミリークリニックセンター南が連携し、夏の感染症診療と発熱外来、ご高齢の方の体調管理までを多角的にサポートしております。患者さまの転居やライフスタイルの変化に合わせて、同じグループ内で継続診療が受けられる体制を整えております。
参考文献
- 東京都保健医療局「手足口病が流行、都内で警報基準に達する〜夏季に流行する小児の感染症にご注意ください〜」(2026年7月2日報道発表)
- 東京都感染症情報センター「感染症発生動向調査(手足口病・ヘルパンギーナ・咽頭結膜熱)」2026年第26週以降の週報
- 総務省消防庁「熱中症情報:熱中症による救急搬送状況(2026年夏・週報)」https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/
- 環境省「熱中症環境保健マニュアル」・熱中症予防情報サイト(暑熱順化に関する解説)
- 厚生労働省「手足口病に関するQ&A」「ヘルパンギーナ」「咽頭結膜熱」各感染症情報ページ
- 国立健康危機管理研究機構(JIHS)感染症発生動向調査 週報(IDWR)2026年
竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将
日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医・日本旅行医学会認定医