【2026年夏】健診で「まずは運動を」と言われたら|猛暑でも安全に続ける生活習慣病の運動療法(血圧・血糖・脂質)【田園調布・多摩川】

皆さま、こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。

この夏、健康診断の結果票を手に「血圧・血糖・コレステロールが高め。まずは運動をしましょう」と言われた方も多いのではないでしょうか。ところが今年も記録的な猛暑が続き、「歩きたくても暑くて外に出られない」「運動どころか外出も控えている」というご相談を、田園調布・多摩川エリアの患者さまから連日いただいております。

今回のブログでは、厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」、日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」、日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」をもとに、猛暑でも無理なく安全に続けられる生活習慣病の運動療法を、内科・糖尿病内科・代謝内科の視点から徹底解説いたします。

健診結果の見方については、関連記事「健診で「メタボ」「腹囲オーバー」と言われたら」も合わせてご参考にしてください。

なぜ「運動」が血圧・血糖・脂質の“お薬”になるのか

運動療法は、糖尿病・高血圧・脂質異常症・メタボリックシンドロームといった生活習慣病の治療において、食事療法と並ぶ土台と位置づけられています。単に「カロリーを消費してやせるため」だけではありません。体の中では、運動によって次のような変化が起こると考えられています。

メカニズム図解|運動が生活習慣病に働きかける仕組み

1 筋肉が血液中のブドウ糖を取り込む:体を動かすと、筋肉がエネルギー源としてブドウ糖を消費し、血糖値の上昇が抑えられやすくなります。
2 インスリンの効きが良くなる:運動を続けると、血糖を下げるホルモンであるインスリンが効きやすい体質(インスリン感受性の改善)に近づくことが報告されています。
3 血管がしなやかになり、血圧が下がりやすくなる:有酸素運動を習慣にすると血管を広げる働きが高まり、降圧効果が期待できるとされています。
4 内臓脂肪が減り、中性脂肪・HDL(善玉)にも良い変化:内臓脂肪の減少に伴い、中性脂肪の低下やHDLコレステロールの上昇といった脂質面の改善も期待されます。

つまり、運動は血圧・血糖・脂質という複数の数値に同時に働きかける、生活習慣病診療の大切な柱なのです。だからこそ、健診で異常を指摘された多くの方に、私たち内科医は「まず運動と食事から」とお伝えしています。

どのくらい動けばいい?最新ガイドラインの目安

「運動しましょう」と言われても、どのくらい動けばよいのか分かりにくいものです。厚生労働省は約10年ぶりの改訂となる「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」(2024年1月公表)で、次のような目安を示しています。

対象 身体活動(歩行など)の目安 筋力トレーニング
成人 歩行またはそれと同等以上の活動を1日60分以上(約8,000歩以上) 週2〜3日
高齢者 歩行またはそれと同等以上の活動を1日40分以上(約6,000歩以上) 週2〜3日(バランス・柔軟運動も含めた多要素な運動を週3日以上)

また、疾患ごとのガイドラインでも運動療法は明確に推奨されています。

ポイント|疾患別ガイドラインにおける運動の位置づけ

① 糖尿病:「糖尿病診療ガイドライン2024」(日本糖尿病学会)では、中強度の有酸素運動を週に合計150分以上を目安に、週2〜3回のレジスタンス運動(筋力トレーニング)と組み合わせること、さらに座りっぱなしの時間をこまめに中断することが勧められています。

② 高血圧:「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」(日本高血圧学会)では、生活習慣の修正項目として有酸素運動を中心とした定期的な運動が推奨されており、降圧目標は原則として全年齢で診察室血圧130/80mmHg未満へと強化されました。

③ 脂質異常症:「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」(日本動脈硬化学会)でも、ウォーキングなどの有酸素運動を毎日合計30分以上(少なくとも週3日)行うことが勧められています。

数字だけを見ると大変そうに感じますが、「今より少しでも多く体を動かせば、その分だけ健康効果が期待できる」というのが最新ガイドラインに共通する考え方です。まとまった時間が取れなくても、10分程度の細切れの活動を積み重ねて構いません。

真夏の運動の落とし穴|熱中症・脱水・低血糖

ただし、猛暑の時期に「ガイドライン通り」を無理に目指すのは危険です。特に生活習慣病の治療中の方は、次の3つの落とし穴に注意が必要です。

① 熱中症・脱水

気温と湿度が高い環境での運動は、熱中症のリスクを大きく高めます。運動の前後と途中に水分をこまめにとり、日中の炎天下を避けて早朝や日没後の比較的涼しい時間帯を選びましょう。環境省の「熱中症予防情報サイト」で公開されている暑さ指数(WBGT)を確認し、「危険」(WBGT31以上)のときは運動を中止する判断も大切です。

② 血圧の変動と治療薬の影響

夏は発汗や血管の拡張により血圧が下がりやすい季節です。降圧薬や利尿薬を服用中の方は、脱水と重なると立ちくらみやふらつきが起こりやすくなります。家庭血圧を測りながら、気になる変化があれば早めにご相談ください。詳しくは関連記事「夏は血圧が下がる?猛暑と降圧薬・脱水の注意点」で解説しています。

③ 低血糖

インスリンやSU薬(スルホニル尿素薬)など、血糖を下げるお薬で治療中の方は、運動によって低血糖が起こることがあります。運動の時間帯や補食について、自己判断せず主治医と相談して調整しましょう。

重要|運動を中止してすぐに休むべきサイン

・胸の痛み・締めつけ感、強い動悸や息切れ

・めまい、ふらつき、頭痛、吐き気(熱中症のサインの可能性)

・冷や汗、強い空腹感、手のふるえ(低血糖のサインの可能性)

・症状が続く場合は無理をせず、医療機関を受診してください。

猛暑でも続けられる運動の工夫|室内・スキマ時間の活用

「外を歩けない夏は、運動をお休みするしかない」──そんなことはありません。冷房の効いた室内でも、工夫次第で十分な運動量を確保できます。当院で患者さまにおすすめしている方法をご紹介します。

運動の工夫 目安 ポイント
早朝・夕方ウォーキング 1回10〜30分 多摩川の河川敷なら日陰と風も。帽子・水分携帯を忘れずに
屋内ウォーキング 合計20〜60分 ショッピングモールや駅ビル内を歩く「モールウォーキング」も立派な運動です
スクワット・かかと上げ 各10回×2〜3セット、週2〜3日 テレビを見ながらでOK。椅子や机につかまって安全に
ラジオ体操・その場足踏み 1回3〜10分を数回 冷房の効いた室内で。朝の習慣にすると続けやすくなります
座りっぱなしの中断 30分〜1時間ごとに立ち上がる 立って伸びをする・お茶を入れに行くだけでも血糖・血流に良い影響が期待されます
水中ウォーキング 1回20〜40分 膝や腰への負担が少なく、夏でも涼しく続けられます

続けるコツは「完璧を目指さない」こと

運動療法は、強度よりも「細く長く続けること」が何より大切です。猛暑日は室内メニューに切り替える、体調が悪い日は思い切って休む──そうした柔軟さが、結果的に秋以降の数値改善につながります。歩数計やスマートフォンのアプリで「今日の歩数」を見える化するのも、継続の強い味方です。

運動を始める前に医師へ相談していただきたい方

運動療法は多くの方に有益ですが、持病や合併症の状態によっては、種類や強度の調整が必要な場合があります。次に当てはまる方は、本格的に運動を始める前に一度ご相談ください。

運動開始前のメディカルチェックをおすすめする方

□ 狭心症・心筋梗塞・不整脈など心臓の病気を指摘されたことがある

□ 血糖コントロールが不安定、または進行した糖尿病合併症(網膜症・腎症など)がある

□ 血圧がかなり高い状態が続いている

□ 膝・腰の痛みがあり、歩行に不安がある

□ 運動中に胸の痛みや強い息切れを感じたことがある

当院では、健診結果の数値の解釈から、お一人おひとりの生活・体力・お薬に合わせた運動の内容まで、管理栄養士による栄養相談とあわせてサポートしております。内科と小児科を併設しておりますので、お子さまの受診のついでに、お父さま・お母さまの健診結果のご相談も可能です。土曜午前も診療しております。

受診前のチェックリスト・ご予約方法

受診前チェックリスト

□ 今年の健康診断の結果票(あれば過去数年分も)

□ 服用中のお薬・お薬手帳

□ ふだんの運動量・歩数がわかるもの(アプリの記録など)

□ 家庭血圧の記録(測定している方)

健診結果の「要経過観察」「要精密検査」、そのままにしていませんか?

血圧・血糖・脂質の数値が気になる方、運動をどう始めればよいか迷っている方は、お気軽に竹内内科小児科医院へご相談ください。WEB予約・WEB問診・LINE・お電話(03-3721-5222)からご予約いただけます(記事末尾のボタンからどうぞ)。

東急東横線・目黒線「多摩川駅」徒歩5分/土曜午前も診療・日祝休診

医療法人社団五良会では、田園調布の竹内内科小児科医院と港区の五良会クリニック白金高輪が連携し、生活習慣病の予防から専門的な治療まで多角的にサポートしております。また、姉妹法人の五良ファミリークリニックセンター南(横浜市都筑区)では、高齢者の糖尿病診療や訪問診療にも対応しております。

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参考文献

  1. 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」(2024年1月)https://www.mhlw.go.jp/content/001204942.pdf(2026年8月閲覧)
  2. 日本糖尿病学会 編・著『糖尿病診療ガイドライン2024』南江堂, 2024.
  3. 日本高血圧学会『高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)』2025.
  4. 日本動脈硬化学会『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版』2022.
  5. 環境省「熱中症予防情報サイト」https://www.wbgt.env.go.jp/(2026年8月閲覧)
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Author: 五藤 良将