【2026年夏】健診で「eGFR低下・クレアチニン高値」と言われたら|生活習慣病から腎臓(CKD)を守る夏の過ごし方【田園調布・多摩川】

皆さま、こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。

健康診断の結果表を見て、「クレアチニンが高め」「eGFR(推算糸球体濾過量)が低下しています」「尿蛋白(+)」といった指摘を受け、戸惑ってこられる方が、この時期とても増えております。「痛くもかゆくもないのに、腎臓が悪いと言われても……」と、そのままにしてしまう方が少なくありません。

しかし腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、自覚症状が出たときにはかなり進行していることも珍しくありません。今回のブログでは、日本腎臓学会『CKD診療ガイド2024』および『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023』、日本高血圧学会『高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)』をもとに、健診で腎機能を指摘されたときに知っておきたいこと、そして高血圧・糖尿病といった生活習慣病から腎臓を守る夏の過ごし方を、田園調布の皆さまにわかりやすくお伝えいたします。

血圧・血糖・コレステロールと腎臓は、実は一本の線でつながっています。あわせて「夏の血圧と降圧薬・脱水の注意点」「健診でHbA1c・血糖値を指摘されたら」の記事もご参照ください。

1. 「eGFR」「クレアチニン」「尿蛋白」— 健診の数値の意味

まずは健診結果でよく目にする3つの項目を整理いたします。腎臓は、血液をろ過して老廃物を尿として排出する「フィルター」の働きをしています。この機能がどれくらい保たれているかを、血液検査と尿検査で評価します。

項目 何をみているか 注意したい目安
血清クレアチニン(Cr) 筋肉で作られる老廃物。腎機能が下がると血中にたまり、数値が上がります 基準値を超えたら要注意(筋肉量で個人差あり)
eGFR(推算糸球体濾過量) クレアチニン・年齢・性別から計算する「腎臓のろ過力」。数字が大きいほど良好 60未満が3か月以上続くと要精査
尿蛋白・尿アルブミン 腎臓のフィルターが傷むと尿に蛋白が漏れ出します。早期発見の重要なサイン 尿蛋白(+)以上は繰り返し確認を

ポイントは、eGFRと尿蛋白の「両方」で腎臓の状態を評価することです。eGFRがまだ保たれていても、尿蛋白が出ている場合は将来のリスクが高いと考えます。健診で片方だけ指摘された場合でも、軽視せずに一度ご相談ください。

ポイント|eGFR 60は一つの目安

① eGFR 60未満が3か月以上:「CKD(慢性腎臓病)」の可能性を考えます。

② 一度の数値で慌てない:脱水や体調、検査のタイミングでも変動します。大切なのは「繰り返し測って傾向をみる」ことです。

2. CKD(慢性腎臓病)とは?なぜ放置してはいけないのか

CKD(Chronic Kidney Disease:慢性腎臓病)とは、「腎臓の障害(尿蛋白など)」または「eGFR 60未満」が3か月以上持続する状態の総称です。特定の一つの病気ではなく、高血圧・糖尿病・加齢などさまざまな原因で起こる状態をまとめた考え方です。日本では成人の約7〜8人に1人が該当するとされ、”新たな国民病”とも呼ばれています。

CKDが問題となる理由は、大きく二つあります。一つは、進行すると透析や腎移植が必要になる可能性があること。もう一つは、CKDがあると心筋梗塞・脳卒中・心不全といった心血管病のリスクが高まることです。つまり腎臓を守ることは、心臓や血管を守ることにも直結します。

メカニズム図解|「沈黙の臓器」が悪くなる流れ

1 高血圧・高血糖が続く:腎臓の細い血管(糸球体)に負担がかかります。
2 フィルターが傷む:尿に蛋白(アルブミン)が漏れ始めます。この時期はほぼ無症状です。
3 eGFRが少しずつ低下:ろ過力が落ち、老廃物や余分な塩分・水分がたまりやすくなります。
4 むくみ・だるさ・貧血などが出る頃には進行:だからこそ、無症状のうちに数値で見つけて手を打つことが大切です。

裏を返せば、早い段階で気づいて生活習慣と血圧・血糖を整えれば、進行をゆるやかにできるということです。健診での指摘は、腎臓からの早めのお便りだとお考えください。

3. 高血圧・糖尿病が腎臓を傷つける仕組み

日本で透析が必要になる原因の上位は、長らく糖尿病性腎症腎硬化症(主に高血圧が関与)です。生活習慣病と腎臓は切り離せない関係にあります。

糖尿病と腎臓(糖尿病性腎症)

高血糖が続くと、腎臓の細い血管が傷み、まず尿に微量のアルブミンが漏れ出します(微量アルブミン尿)。この段階は自覚症状がなく、通常の尿検査では見つからないこともあります。だからこそ、糖尿病の方には尿アルブミン検査による早期チェックが重要です。

高血圧と腎臓(腎硬化症)

血圧が高い状態が続くと、腎臓の血管が動脈硬化を起こし、ろ過機能が落ちていきます。やっかいなことに、腎機能が落ちると血圧がさらに上がりやすくなるという悪循環(高血圧 ⇄ 腎障害)が生まれます。この輪をどこかで断ち切ることが治療の目標になります。

ポイント|JSH2025の降圧目標

日本高血圧学会『高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)』では、多くの方で診察室血圧130/80mmHg未満が管理の目安とされています。糖尿病や蛋白尿を伴うCKDの方では、血圧をしっかり管理することが腎臓・心臓を守る鍵になります。

※目標値は年齢・持病・尿蛋白の有無などで個別に判断します。自己判断で降圧薬を増減せず、必ず主治医とご相談ください。

4. 夏に注意|脱水・熱中症と急な腎機能の悪化

夏は腎臓にとって要注意の季節です。大量の発汗で体の水分が不足すると、腎臓を流れる血液が減り、ろ過機能が一時的にガクッと落ちること(急性腎障害:AKI)があります。もともとCKDや生活習慣病がある方では、この影響が大きく出やすくなります。

夏に気をつけたいお薬(自己中断はしないでください)

脱水時に腎機能へ影響しうるお薬があります。代表的なのが利尿薬一部の降圧薬(ACE阻害薬・ARB)SGLT2阻害薬、そして市販薬も含む痛み止め(NSAIDs)です。

これらは病状には必要なお薬です。勝手にやめず、発熱・下痢・嘔吐で水分がとれない「シックデイ」のときの対応をあらかじめ主治医に確認しておきましょう。

とはいえ、腎臓やむくみ、心臓の状態によっては「水分をとりすぎない方がよい」場合もあります。水分量に制限を受けている方は、その指示を優先してください。ご自身の適量が分からないときは、遠慮なくご相談ください。

重要|夏に早めの受診を考えたいサイン

・尿の量が急に減った、半日以上ほとんど出ない

・まぶたや足のむくみが強くなった

・強いだるさ・吐き気・食欲低下が続く

・下痢や嘔吐で水分・食事がとれず、持病の薬を飲むべきか迷う

5. 腎臓を守る生活習慣 — 血圧・減塩・食事・運動

CKD対策の基本は、特別なことではなく「生活習慣病をていねいに管理する」ことに尽きます。日々の積み重ねが、10年後の腎臓を大きく左右します。

① 減塩 — まずはここから

塩分のとりすぎは血圧を上げ、腎臓の負担を増やします。CKDの食事療法では、1日の食塩を3g以上6g未満にすることが目安とされています。汁物を一日一杯にする、麺類の汁を残す、しょうゆは”かける”より”つける”、香辛料・酸味・だしで薄味を補う——こうした小さな工夫が効果的です。

② 血圧・血糖・脂質を目標内に

家庭血圧を毎日はかり、記録を持って受診しましょう。糖尿病の方はHbA1cを、脂質異常のある方はLDLコレステロールを、それぞれ主治医と決めた目標に近づけていくことが、腎臓を守ることにつながります。

③ 運動 — 「安静がよい」は過去の考え

かつてCKDでは安静がすすめられた時代もありましたが、現在は病状が安定していれば、適度な運動がむしろ推奨されます。ウォーキングなどの有酸素運動を無理のない範囲で続けることが、血圧・血糖の改善にも役立ちます。ただし運動の可否や強度は個々の状態によりますので、始める前に一度ご相談ください。夏場は早朝や夕方の涼しい時間帯を選び、こまめな水分補給を忘れずに。

④ 禁煙・お酒はほどほどに

喫煙は腎臓の血管を傷め、CKDの進行を早めます。禁煙は腎臓にとっても大きなプラスです。飲酒は適量を守りましょう。

今日からできる腎臓ケア・チェックリスト

□ 汁物・麺類の汁を控え、まず「減塩」から始める

□ 家庭血圧を毎日はかって記録する

□ 夏は涼しい時間に無理のない運動+こまめな水分補給

□ 痛み止め(市販薬含む)の常用を避ける

□ 健診結果は捨てず、去年と今年のeGFRを見比べる

※たんぱく質・カリウム・リンの制限は、腎機能の段階によって必要度が異なります。自己流の過度な食事制限はかえって栄養不良を招くことがあります。制限の要否は必ず医師・管理栄養士にご相談ください。当院では管理栄養士による栄養相談も承っております。

6. こんなときは専門医へ|受診・紹介の目安

多くのCKDは、かかりつけ医での生活習慣・血圧・血糖の管理で十分に対応できます。一方で、腎臓専門医との連携が望ましいケースもあります。日本腎臓学会『CKD診療ガイド2024』の紹介基準を参考に、代表的な目安を挙げます。

腎臓専門医への相談を考えたい目安(一例)

eGFRが短期間で大きく低下している

尿蛋白が多い(蛋白尿と血尿が同時に続く場合を含む)

・eGFRが45未満(年齢等も踏まえ総合判断)

・原因がはっきりしない、急に数値が悪化した

「自分はどちらだろう?」と迷われたときは、まずかかりつけ医にご相談いただくのが一番です。当院で経過をみて、必要と判断した場合には、連携する専門医療機関へスムーズにおつなぎいたします。

7. 当院でできること(内科・糖尿病内科・生活習慣病)

竹内内科小児科医院では、内科・糖尿病内科・代謝内科・生活習慣病を専門とする体制で、腎機能を含めた生活習慣病のトータルな管理を行っております。健診結果をお持ちいただければ、その数値の意味をわかりやすくご説明し、必要な追加検査(尿検査・血液検査など)や、血圧・血糖・脂質の管理方針を一緒に考えてまいります。

管理栄養士による栄養相談で、減塩やご家庭に合わせた食事の工夫もサポートいたします。土曜午前も診療しておりますので、お仕事帰りやお休みの日にも受診いただけます。ご家族そろっての健康相談も歓迎いたします。

受診前チェックリスト

□ 今年の健診結果(できれば昨年分も)

□ 服用中のお薬・お薬手帳(市販薬・サプリも)

□ 家庭血圧の記録(あれば)

□ 気になる症状(むくみ・だるさ・尿の変化など)のメモ

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五良会グループでは、田園調布の竹内内科小児科医院と港区の五良会クリニック白金高輪、横浜市都筑区の五良ファミリークリニック センター南が連携し、生活習慣病と腎臓の健康を多角的にサポートしております。患者さまの転居やライフスタイルの変化に合わせて、同じグループ内で継続診療が受けられる体制を整えております。

参考文献

  1. 日本腎臓学会「CKD診療ガイド2024」東京医学社, 2024.
  2. 日本腎臓学会「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023」東京医学社, 2023.
  3. 日本腎臓学会「患者さんとご家族のためのCKD療養ガイド2024」東京医学社, 2024.
  4. 日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」ライフサイエンス出版, 2025.
  5. 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」南江堂, 2024.
  6. 厚生労働省「腎疾患対策」および日本腎臓学会 CKD情報サイト(2026年8月閲覧)

※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療方針に代わるものではありません。数値の解釈や治療は、必ず主治医にご相談ください。

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日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医・日本旅行医学会認定医

Author: 五藤 良将