皆さま、こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。
寒くなり、外来ではのどの痛みと発熱でお子さんを連れてこられるご家族が増えてきました。インフルエンザの検査とあわせて「溶連菌(ようれんきん)でした」とお伝えすると、多くの保護者の方から同じご質問をいただきます。「熱が下がったら、お薬はやめてもいいですか?」「保育園はいつから行けますか?」「きょうだいや親も検査したほうがいいですか?」——そして実際には、熱が下がった2〜3日目にお薬が余ったまま止まってしまうケースが少なくありません。
先に結論をお伝えします。溶連菌の抗菌薬(アモキシシリン)は、熱が下がっても原則10日間飲み切ることが国の手引きで推奨されています。一方で、登園・登校は「10日間待つ」必要はなく、保育所では抗菌薬を飲み始めて24〜48時間が経過し、全身状態がよければ再開できる目安が示されています(ただし園・学校ごとの決まりを優先します)。
この記事では、厚生労働省「抗微生物薬適正使用の手引き 第四版」(2026年1月公表)、こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン」などをもとに、溶連菌と診断されたあとの10日間をどう過ごすか——飲み切る理由、登園・登校の目安、ご家族の検査、治ったあとに気をつけたいサインまで——を順番に整理いたします。
THIS ARTICLE IS WRITTEN AND SUPERVISED BY
竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将
日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医・日本旅行医学会認定医・日本温泉気候物理医学会 温泉療法医/温泉療法専門医
この記事は五藤良将が執筆・監修し、内容に責任を持っています。
目次
溶連菌とはどんな病気? 子どもに多い「のどの細菌感染」
「溶連菌」は、A群溶血性レンサ球菌(A群β溶血性連鎖球菌:GAS)という細菌の通称です。のどに感染すると急性咽頭炎・扁桃炎(へんとうえん)を起こします。国立健康危機管理研究機構(JIHS)によると、咽頭炎は学童期のお子さんに多く、冬と、春から初夏にかけての年2回流行のピークがあります。
主な特徴を、かぜ(ウイルス性の咽頭炎)との違いが分かるように表にまとめました。ただし、症状だけで確実に見分けることはできません。
| 項目 | 溶連菌による咽頭炎の目安 |
|---|---|
| うつり方 | 咳やくしゃみのしぶき(飛沫感染)、菌がついた手で口や鼻に触れる(接触感染) |
| 潜伏期間 | 2〜5日 |
| よくある症状 | 38℃以上の発熱、強いのどの痛み・赤み、首のリンパ節の腫れ、いちご舌、吐き気・腹痛。咳や鼻水は目立たないことが多い |
| 発疹が出たら | 首・胸・わきなどに細かい赤い発疹が広がる「猩紅熱(しょうこうねつ)」になることがある(同じ溶連菌による病態で、治療は同じ) |
| 診断 | のどをこする迅速抗原検査(10分前後で結果)または培養検査。3歳未満では典型的な溶連菌咽頭炎は少なく、検査の対象は原則3歳以上とする考え方があります |
厚生労働省の手引き(第四版)では、溶連菌が検出された咽頭炎を抗菌薬治療の対象とし、検出されない場合は抗菌薬を使わないことが推奨されています。のどの痛みの多くはウイルス性で抗菌薬が効かないため、「検査で確かめてから抗菌薬」が基本です。
熱が下がっても、なぜ10日間飲み切るの?
説明のために、架空のケースを1つご紹介します(実在の患者さんではありません)。
7歳の女の子。夕方から39℃の発熱とのどの痛みがあり、翌朝受診。迅速検査で溶連菌陽性となり、アモキシシリンを10日分処方されました。2日目には熱が下がり元気になったため、ご家族は「もう治った」と考え、4日目で服薬をやめてしまいました——。外来では、このような流れがよく見られます。
溶連菌は抗菌薬がよく効くため、多くの場合1〜2日で熱は下がります。しかし、熱が下がることとのどの菌がいなくなることは同じではありません。厚生労働省の手引き第四版では、成人・小児ともアモキシシリンを10日間経口投与することが基本とされています。これは菌をしっかり除き、まれではあるものの重い合併症であるリウマチ熱を防ぐことを目的としたものです。大田区も「医師に指示された期間は薬を最後まで飲むことが大切」と呼びかけています。
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用語解説|リウマチ熱・急性糸球体腎炎とは リウマチ熱:溶連菌に対してできた免疫(抗体)が、誤って心臓・関節・皮膚・神経などを攻撃してしまう病気です。のどの感染から数週間後に、関節の痛みや発熱、心臓の弁の炎症(心炎)などを起こします。現在の日本ではまれですが、十分な抗菌薬治療で予防できることが、10日間内服の大きな理由です。 急性糸球体腎炎(溶連菌感染後糸球体腎炎):腎臓で尿をこしとる「糸球体(しきゅうたい)」に、免疫反応による炎症が起こる病気です。感染からおよそ1〜3週間後に、まぶたのむくみ、尿の量が減る、コーラ色・紅茶色の尿(血尿)、血圧上昇などで気づかれます。 |
飲み忘れたときは、気づいた時点で1回分を飲み、次の分は時間をあけて飲みます(2回分を一度に飲まないでください)。また、ペニシリン系で発疹などのアレルギーが出たことがある方は必ず受診時にお伝えください。手引きではペニシリンアレルギーの場合、セフェム系など別の系統の薬が代替として挙げられており、薬によって飲む日数も変わります。どの薬を何日間飲むかは、処方した医師の指示に従ってください。途中で発疹や下痢がひどくなった場合は、自己判断で中止せず、まずご相談ください。
保育園・幼稚園・学校はいつから行ける?
こども家庭庁の「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」では、溶連菌がうつりやすい期間を「適切な抗菌薬治療を開始する前と開始後1日間」としています。治療開始から時間がたつと感染力が下がるため、10日間ずっと休む必要はありません。
| 場面 | 目安(原則) | 注意点・例外 |
|---|---|---|
| 保育所 | 抗菌薬の内服後24〜48時間が経過していること(治療は継続) | 医師が「集団生活に支障がない」と判断することが前提。園によって登園届・意見書が必要 |
| 幼稚園・小中高校 | 学校保健安全法では「その他の感染症」に位置づけられ、一律の出席停止期間はありません。文部科学省の解説では、適切な抗菌薬治療を始めて24時間以降、全身状態がよければ登校可能とされています | 流行状況により学校長の判断で第三種感染症として扱われることがあります。学校ごとの決まりを確認してください |
| 共通 | 熱が下がり、食事・水分がとれて元気があること | 登園・登校を再開しても薬は10日間続ける |
大人の場合、職場への出勤に法的な決まりはありませんが、同じ考え方で抗菌薬開始後24時間程度は人との接触を控え、熱が下がって体調が戻ってからの復帰をおすすめしています(これは医学的な基準ではなく、周囲への感染を防ぐための当院からのご提案です)。
きょうだい・親も検査したほうがいい?
溶連菌は家庭内でうつることがあります。考え方の原則は「症状のある人は検査を、症状のない人は一律の検査・予防内服はしない」です。のどに溶連菌がいても症状のない「保菌者(ほきんしゃ)」は珍しくなく、症状のない方まで一律に検査・治療することは、一般的には勧められていません。
ただし、次のような場合は、症状が軽くても早めにご相談ください。
- きょうだいや親に、のどの痛み・発熱が出てきた(潜伏期間を考えると、発症から1週間程度は様子を見てください)
- 治療しても同じ子が何度も溶連菌をくり返す
- ご家族にリウマチ熱にかかったことがある方がいる
家庭内では、タオル・コップ・食器の共用を避ける、こまめな手洗い、咳エチケットが基本です。歯ブラシは同じコップに立てず、別々に保管するとよいでしょう。看病の具体的な工夫は、インフルエンザの家庭内感染対策と共通する部分が多いので、こちらの記事もご参照ください。
治ったあと2〜3週間は「むくみ・尿の色」に注意
溶連菌そのものは治っても、先ほどの用語解説でご説明した急性糸球体腎炎は、のどの症状が治まって1〜3週間ほどたってから現れることがあります。治療後に症状のない方全員へ尿検査を一律に行うかどうかは、医療機関によって考え方が分かれますが、次のサインに気づいたら、すぐに受診してください。
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重要|すぐに受診してほしいサイン ・朝起きたときにまぶたや顔がむくむ、靴下のあとが強く残る ・尿がコーラ色・紅茶色になる、尿の量が明らかに減る ・数週間後に関節の痛みや腫れ、再び熱が出る ・のどの痛みが強く口が開けにくい・つばが飲み込めない(扁桃のまわりに膿がたまることがあります) ・高熱とともに手足の強い痛み・腫れが急に広がる、ぐったりして意識がおかしい(下の補足参照) |
最後の項目は、溶連菌がまれに血液や筋肉の深いところに入り込んで起こる劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)のサインです。東京都の資料では、全国の報告数は2023年に941人と過去最多となり、2024年は6月の時点ですでに前年を上回るペースでした。その後も報告が多い状態が続いています。多くは大人に起こり、のどの風邪のような症状から始まることもあります。頻度は非常に低い病気ですので過度に心配する必要はありませんが、「いつものかぜと違う急な悪化」があれば、夜間・休日でも救急受診をためらわないでください。
受診・相談前に確認しておくこと
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受診前チェックリスト □ 熱が出た日時と最高体温(メモや体温計の記録) □ のどの痛み・発疹・腹痛・嘔吐の有無と、咳・鼻水があるか □ お薬手帳(特にペニシリン系・セフェム系で発疹が出たことがあるか) □ 園・学校・家族での流行状況(「クラスで溶連菌が出ている」など) □ 園・学校で登園届・意見書・登校許可書が必要か(用紙があれば持参) □ 粉薬が苦手か、錠剤が飲めるか(飲み切れる剤形を一緒に選びます) □ 治療後の場合:処方された日数と、実際に飲んだ日数、尿の色やむくみの有無 |
当院ではインフルエンザ・新型コロナの検査とあわせて溶連菌の迅速検査にも対応しております。発熱のある方は、来院前にお電話またはWEB問診でお知らせいただけますと、院内での動線を分けてご案内できます。
まとめ
- 溶連菌はのどの細菌感染で、学童に多く、冬と春〜初夏に流行します。診断は迅速検査で確かめてから抗菌薬を使います。
- 抗菌薬(アモキシシリン)は熱が下がっても原則10日間飲み切る——リウマチ熱などの合併症を防ぐためです。
- 登園は内服開始後24〜48時間、登校は24時間以降で全身状態がよければ可能な目安。園・学校の決まりを優先し、薬は続けます。
- 家族は症状が出たら検査が基本。症状のない方の一律検査は一般的には勧められていません。
- 治療後1〜3週間はむくみ・コーラ色の尿に注意し、気づいたらすぐ受診を。
竹内内科小児科医院で診るという選択(当院が選ばれる理由)
溶連菌は「子どもの病気」と思われがちですが、看病するご家族にうつることもあります。当院では、お子さんの診断から、ご家族の受診、治療後の経過確認まで、同じ窓口で続けて診ることを大切にしています。
理由① 内科・小児科を併設
お子さんからご高齢の方まで、ご家族そろって同じ窓口で受診いただけます。きょうだいや保護者に症状が出たときも、経過を共有したまま相談できます。
理由② 院長が自ら外来で診療
2019年9月に継承した院長・五藤良将が外来で直接診察し、検査結果と飲み方・登園の目安をその場でご説明します。
理由③ 発熱時の検査に対応
溶連菌・インフルエンザ・新型コロナなどの迅速検査に対応しています。抗インフルエンザ薬(ゾフルーザ・タミフル・イナビル)は院内処方です。
理由④ 土曜午前・夕方19時まで
平日は午後19時まで受付、土曜は午前も診療しています。多摩川駅から徒歩5分で、園や学校の帰りにも立ち寄りやすい立地です。
理由⑤ 五良会グループで連携
内視鏡や専門外来は五良会クリニック白金高輪、高齢のご家族の訪問診療や認知症外来は五良ファミリークリニックセンター南と、グループ内で切れ目なく連携しています。
のどの痛みと発熱が続くとき、薬の飲み方や登園で迷ったときは、お気軽にご相談ください。
AUTHOR / SUPERVISOR|この記事の執筆医師
竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将(ごとう よしまさ)
- 防衛医科大学校 医学部 卒業(27期)。防衛医科大学校病院、自衛隊中央病院、自衛隊横須賀病院ほかで臨床経験を積む
- 医療法人社団 五良会(竹内内科小児科医院・五良会クリニック白金高輪)理事長/医療法人社団 正友会(五良ファミリークリニックセンター南)理事長/竹内内科小児科医院 院長
- 日本内科学会 認定内科医/日本抗加齢医学会 専門医/日本糖尿病協会 登録医/日本旅行医学会 認定医
- 日本温泉気候物理医学会 温泉療法医・温泉療法専門医——温泉や入浴、気候と体の関係を専門的に学んだ医師として、持病のある方の入浴・湯治の相談にも対応
- 日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/難病指定医
- 所属学会:日本内科学会、日本糖尿病学会、日本アレルギー学会、日本東洋医学会、日本リウマチ学会、日本外来小児科学会、日本抗加齢医学会、日本睡眠学会、日本美容内科学会、日本旅行医学会、日本温泉気候物理医学会 ほか
- 著書『あぶら落とすスープ』(アスコム)。NHK・TBS・フジテレビ・日本テレビ・テレビ朝日などテレビ・メディア出演多数
執筆・監修責任について
本記事も院長の五藤良将が執筆・監修しています。公的機関の発表・国内外の診療ガイドライン・査読済み論文を確認したうえで執筆しており、内容は公開時点の情報に基づくものです。新しい知見やガイドラインの改訂があった場合は、こちらで記事を更新します。
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個々の患者さんの診断・治療に代わるものではありません。記事中のケースは説明のための架空の例です。症状や治療のご判断については、必ず医師にご相談ください。記載内容について気になる点がございましたら、竹内内科小児科医院(03-3721-5222)までお知らせください。
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五良会グループでは、田園調布から白金高輪、横浜市都筑区のセンター南まで医師が連携しております。患者さまの転居やライフスタイルの変化に合わせて、同じグループ内で継続診療が受けられる体制を整えております。
参考文献
- 厚生労働省 健康・生活衛生局 感染症対策部「抗微生物薬適正使用の手引き 第四版 医科・外来編」(2026年1月16日公表)
- こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」
- 文部科学省「学校において予防すべき感染症の解説」
- 国立健康危機管理研究機構(JIHS)感染症情報提供サイト「A群溶血性レンサ球菌感染症」(2025年4月28日更新)https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/group-a-streptococcal-infection/index.html
- 大田区「溶連菌感染症」(2026年1月15日更新)https://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/hoken/kansen_taisaku/hoka_kansensyo/yorenkin.html
- 東京都保健医療局「劇症型溶血性レンサ球菌感染症の発生状況」(2024年第23週時点)
- 横浜市衛生研究所「劇症型溶血性レンサ球菌感染症 横浜市の発生状況(2025年)」
竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将
日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医・日本旅行医学会認定医・日本温泉気候物理医学会 温泉療法医/温泉療法専門医