【2026年秋】糖尿病の方の「旅行完全ガイド」|お薬・インスリンの持ち運び・機内持ち込み・低血糖・シックデイ対策を院長・五藤良将が解説【田園調布・多摩川】

皆さま、こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。

2026年のシルバーウィークは、9月19日(土)から23日(水・秋分の日)まで、実に11年ぶりの5連休となりました。ご旅行や帰省、温泉、行楽とお出かけの予定を立てていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。外来でも「連休に旅行へ行くのですが、お薬はどうしたらいいですか?」「インスリンは飛行機に持ち込めますか?」というご質問をこの時期たくさんいただきます。

今回のブログでは、日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」や国立健康危機管理研究機構 糖尿病情報センターの情報をもとに、糖尿病の方が旅行を安全に、めいっぱい楽しむための準備と注意点を、お薬・インスリンの持ち運びから、飛行機の保安検査、旅先での食事・低血糖対策、そして体調を崩したときの「シックデイ」対応まで、まとめて解説いたします。

秋はこれからが行楽本番。シルバーウィークに間に合わなかった方も、10月・11月の旅行準備にぜひお役立てください。

五藤 良将

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竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将

日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医・日本旅行医学会認定医
この記事は五藤良将が執筆・監修し、内容に責任を持っています。

旅行前の準備|「いつもの治療」を旅先でも続けるために

旅行中の血糖管理でいちばん大切なのは、特別なことをすることではなく、「いつもの治療を旅先でも途切れさせないこと」です。まずは外来でよくあるご相談に近い例を見てみましょう。

症例イメージ①(架空の例です)

66歳男性・会社顧問。2型糖尿病でHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー:過去1〜2か月の血糖の平均を反映する指標)7.6%、BMI 26。メトホルミンとSGLT2阻害薬を内服中。シルバーウィークに奥さまと箱根へ2泊3日の温泉旅行を計画。「薬は日数分だけ持てばいいですか?」とご質問。

このような場合、当院ではおおむね次のようにお話ししています。※本記事に登場する症例は、外来でよくいただくご相談をもとにした架空の例であり、特定の患者さまの情報ではありません。

お薬は「日数分ぴったり」ではなく多めに、2か所に分けて

交通機関の遅れや連泊の延長、紛失に備えて、お薬は旅行日数の1.5〜2倍を目安にお持ちください。そして、スーツケースと手荷物など2か所に分けて携帯するのが基本です(注射薬は後述のとおり必ず手荷物へ)。連休や長期のご旅行の前には、残薬が足りるか早めにご確認のうえ、余裕をもって受診いただければ処方を調整いたします。

旅行前の持ち物チェックリスト

糖尿病の方の旅行持ち物チェックリスト

□ いつものお薬・注射薬(日数の1.5〜2倍、2か所に分けて)

□ お薬手帳(またはお薬の内容がわかる書類・処方箋の控え)

□ ブドウ糖・補食(ビスケットなど)=低血糖対策

□ 血糖測定器・センサー・針(お使いの方)

□ 糖尿病患者用IDカード/海外なら日本糖尿病協会の「英文カード(Diabetic Data Book)」

□ 体温計・経口補水液のもと(シックデイ対策)

□ 履き慣れた靴・絆創膏(フットケア)

□ 海外旅行保険(持病の申告・補償条件の確認)

海外へ行かれる方は、日本糖尿病協会が公開している海外旅行用英文カード(Diabetic Data Book)が便利です。「糖尿病である」ことが5か国語で示され、お薬やインスリンの内容を英文で記載できるカードで、協会サイトからダウンロードして印刷し、出発前の外来で医師に記入を依頼する形で使います。当院でもご記入に対応いたしますので、渡航がお決まりになったら早めにお申し付けください。

お薬・インスリンの持ち運びと保管|預け荷物はNGです

インスリンやGLP-1受容体作動薬(いずれも注射薬)はたんぱく質でできたホルモン製剤のため、温度にとてもデリケートです。持ち運びの大原則は次の2つです。

注射薬の持ち運び・2つの大原則

① 飛行機では必ず手荷物(機内持ち込み)に。預け荷物は貨物室で凍結して成分が変性するおそれがあるうえ、荷物が目的地に届かない「ロストバゲージ」のリスクもあります。凍結したインスリンは、解凍しても使えません。

② 高温・直射日光を避ける。夏場に限らず、日なたの車内への置き忘れは厳禁です。使用中の製剤は直射日光と高温を避けて室温で、未使用の予備は2〜8℃の冷蔵(凍結厳禁)が基本です。保冷バッグを使う場合は、凍らせた保冷剤に製剤が直接触れないようタオルなどで包んでください。

ここで、インスリンをお使いの方に関わる用語を整理しておきましょう。少し専門的な言葉ですが、旅行中の管理を考えるうえで役に立ちます。

用語解説|持効型溶解インスリン(基礎インスリン)とは

インスリン製剤のうち、1日1回程度の注射で約24時間かけてゆっくり効き続けるタイプを「持効型溶解(じこうがたようかい)インスリン」と呼び、体のベースの血糖を支える意味で「基礎インスリン(basal:ベーサル)」ともいいます。一方、食事のたびに打つ即効性のタイプは「超速効型インスリン(bolus:ボーラス、追加インスリン)」です。

旅行で重要なのは、基礎インスリンは「1日1回のリズム」を保つこと。海外旅行で時差が大きい場合は注射時刻の調整が必要になることがあるため、必ず出発前に主治医とスケジュールを確認しておきましょう。

飛行機・保安検査・長距離移動の注意点

症例イメージ②(架空の例です)

58歳女性・パート勤務。2型糖尿病でHbA1c 7.2%。持効型溶解インスリン1日1回と内服薬で治療中。娘さんご家族と初めてのハワイ旅行を計画し、「注射針は没収されませんか? 時差のときは何時に打てばいいですか?」とご相談。

保安検査:インスリンと注射針は機内に持ち込めます

治療のために自己注射するインスリン・注射針・血糖測定器は、手続きをすれば機内への持ち込みが認められています。液体物の制限(国際線の100ml規制)についても、医薬品は申告すれば別枠で扱われます。スムーズに通過するコツは次の3点です。

①製剤は箱や袋のまま(薬剤名・処方ラベルがわかる状態で)持参する、②保安検査で「糖尿病の注射薬です」と申し出る③お薬手帳・処方内容のわかる書類(海外では英文カード)を携帯する——この3つで、ほとんどの場合スムーズです。事前連絡の要否や案内は航空会社により異なるため、ご利用の航空会社の公式サイトも一度ご確認ください。

なお、インスリンポンプや持続血糖測定器(CGM)をお使いの方は、X線検査やボディスキャナーの影響を受ける場合があるため、機器の取扱説明書・メーカーの案内を確認のうえ、保安検査場で装着していることを申し出てください。

長時間のフライト・車移動:「旅行者血栓症」にもご注意を

用語解説|旅行者血栓症(深部静脈血栓症)とは

長時間同じ姿勢で座り続けることで、脚の深い部分の静脈に血のかたまり(血栓)ができる病気を「深部静脈血栓症(しんぶじょうみゃくけっせんしょう:DVT)」といい、いわゆる「エコノミークラス症候群」として知られています。血栓が肺に流れて血管を詰まらせると(肺塞栓症)、命に関わることもあります。糖尿病や肥満、脱水は血栓のリスクを高める要因とされるため、こまめな水分補給と、2〜3時間ごとに立ち上がる・足首を回す・ふくらはぎを動かすことを心がけましょう。

時差の大きい海外旅行では、先ほどの用語解説のとおり、食直前に服用するお薬は「現地の食事に合わせる」が基本ですが、持効型インスリンや週1回製剤の調整は個別性が高いため、自己判断せず、必ず出発前の外来でご相談ください。旅程表をお持ちいただければ、一緒に注射・服薬スケジュールを組み立てます。

旅先での食事・お酒・「たくさん歩く日」の血糖

旅行中は、ごちそう・お酒・観光での歩きすぎと、血糖を上げる要因と下げる要因が同時にやってきます。旅行中に血糖が乱れやすい理由を整理すると、対策が見えてきます。

メカニズム図解|旅行中に血糖が乱れる3つの理由と対策

1 食事の量・時間が変わる:ごちそう・バイキング・遅い夕食で食後血糖が上がりやすくなります。
2 活動量が普段と大きく変わる:観光で1日1万歩以上歩く日は、インスリンやSU薬をお使いの方では低血糖のリスクが上がります。
3 環境の変化(気温・脱水・生活リズム):脱水はSGLT2阻害薬をお使いの方で特に注意。お酒の飲みすぎも脱水と低血糖の両方につながります。
対策:水分をこまめに、ブドウ糖を常に携帯、たくさん歩く日は補食を。数日の乱れは帰宅後にリセットすれば大丈夫です。

低血糖対策は「ブドウ糖の携帯」から

インスリンやSU薬(スルホニル尿素薬)、グリニド薬をお使いの方は、冷や汗・動悸・手のふるえなどの低血糖症状に備えて、ブドウ糖を必ず携帯してください。ここでひとつ、大切な専門知識があります。

用語解説|α-グルコシダーゼ阻害薬と「ブドウ糖」の関係

食直前に服用する「α-グルコシダーゼ阻害薬(アルファ・グルコシダーゼそがいやく)」は、腸で糖の分解・吸収をゆっくりにするお薬です。このお薬を服用中に低血糖になった場合、砂糖(ショ糖)は分解が妨げられて効き目が遅くなるため、必ず「ブドウ糖」そのもので対処する必要があります。ブドウ糖は薬局やドラッグストアで購入でき、当院でも低血糖対処についてその都度ご説明しています。

お食事は、旅先でも「野菜やたんぱく質から先に、ゆっくりよく噛んで」の食べ順を意識するだけで食後血糖の上がり方が変わります。せっかくのご旅行ですから、我慢一辺倒ではなく、楽しみつつ「翌日の朝食で調整する」「よく歩く」でバランスを取りましょう。温泉に入られる方は、足の裏・指の間のチェックをぜひ習慣に。糖尿病神経障害があると熱さや傷に気づきにくいため、42℃を超えるような熱いお湯や長湯、脱衣所での素足のけがにもご注意ください。

旅先で体調を崩したら|シックデイの基本

旅の疲れや環境の変化で、発熱・下痢・嘔吐など体調を崩してしまうことは誰にでもあります。糖尿病の方では、こうした日を「シックデイ」と呼び、特別な注意が必要です。

用語解説|シックデイとは

糖尿病の方が発熱・嘔吐・下痢・食欲不振などで食事が普段どおりとれない日を「シックデイ(sick day)」といいます。体調不良時はストレスホルモンの影響で血糖が上がりやすい一方、食事がとれないと低血糖にもなりうる、いわば「血糖が読めない日」。あらかじめ主治医と決めておく対応ルールを「シックデイルール」と呼びます。

旅先でのシックデイの基本は、①無理せず安静、②水分と炭水化物(おかゆ・うどん・スポーツドリンクなど)を少しずつ、③早めに現地の医療機関へ——の3つです。お薬については一般に次の点が大切です(実際の対応は必ず主治医の指示に従ってください)。

重要|シックデイのお薬・こんなときはすぐ受診を

1型糖尿病の方は、食べられなくてもインスリン(特に基礎インスリン)を自己判断で中断しない——中断は糖尿病ケトアシドーシスの引き金になります。

SGLT2阻害薬・ビグアナイド薬(メトホルミン)は、食事がとれないときは休薬が原則(脱水・ケトアシドーシス・乳酸アシドーシスのリスクを避けるため)。SU薬は低血糖予防のため減量・中止を検討します。いずれも事前に主治医と確認を。

まったく飲食できない、嘔吐・下痢が半日以上続く、高熱が続く、意識がもうろうとする——このような場合は我慢せず、現地の医療機関をすぐ受診してください。

シックデイルールの詳しい内容は、先日の記事「血糖値の「上がりすぎ」も緊急事態です」でも解説していますので、あわせてご覧ください。旅行前の外来で「もしものときのルール」を一緒に確認しておくと、安心して出発できます。

帰宅後のふり返りと受診前チェックリスト

旅行から帰ったら、数日間はいつもどおりの食事・睡眠・活動リズムに戻すことを最優先に。血糖自己測定やCGMをお使いの方は、旅行中の記録を次回の外来にお持ちいただけると、とても良い相談材料になります。「旅行中に血糖がどう動いたか」は、ご自身の体の反応を知る絶好の教材です。

なお、当院はシルバーウィーク期間中の9月20日(日)〜23日(水・祝)は休診で、9月24日(木)から通常どおり診療いたします。連休明けの体調不良やお薬の調整も、どうぞ遠慮なくご相談ください。

受診前チェックリスト(旅行のご相談の際に)

□ 旅行の日程・行き先(海外の場合は国・時差)

□ 現在のお薬・インスリンの内容(お薬手帳)

□ 残薬の数(処方日数の調整のため)

□ 低血糖の経験の有無・頻度

□ 海外の場合:英文カード記入のご希望、渡航ワクチンの要否

🏥 竹内内科小児科医院で診るという選択(当院が選ばれる理由)

ここまでお読みいただいた「旅行前の準備」は、そのほとんどが外来の診察室でできることです。当院では、糖尿病の日常診療から旅行・渡航のご相談まで、次の体制でお応えしています。

理由① 糖尿病・生活習慣病の専門的診療

日本糖尿病協会登録医・日本抗加齢医学会専門医である院長が、診断から食事・運動・薬物療法、旅行時の調整まで一貫して外来で直接ご相談に応じます。

理由② 旅行医学の資格を持つ院長

院長は日本旅行医学会認定医。糖尿病の方の旅行相談や英文カードの記入、渡航前のワクチン相談まで、「旅」と「持病」の両面からサポートします。

理由③ 内科×小児科でご家族そろって

内科と小児科を併設し、お子さまからご高齢の方まで同じ窓口で受診できます。ご家族での旅行前の体調チェックもまとめてご相談いただけます。

理由④ 多摩川駅徒歩5分・土曜午前も診療

東急東横線・目黒線「多摩川駅」から徒歩5分。土曜も午前は診療しており、お仕事帰りは平日19時まで受付しています。

理由⑤ 五良会グループの連携

より専門的な渡航相談・内視鏡検査などが必要な場合は、姉妹院の五良会クリニック白金高輪(渡航医学認定医2名在籍)へ切れ目なくご紹介できます。

旅行のご予定が決まったら、出発前に一度ご相談ください。お薬の日数調整から英文カードまで、一緒に準備いたします。

ご予約はWEB予約(CLINICS)から。/お電話 03-3721-5222

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グループ連携|五良会クリニック白金高輪(港区)

五良会クリニック白金高輪|内科・内視鏡・糖尿病内科・トラベルクリニック
渡航医学認定医2名(日本旅行医学会認定医:五藤良将、日本渡航医学会認定医:安達弘人医師)が在籍。海外赴任・長期渡航前の専門的なご相談、渡航ワクチンに対応しています。

五良会グループでは、田園調布から白金高輪まで医師が連携しております。患者さまの転居やライフスタイルの変化に合わせて、同じグループ内で継続診療が受けられる体制を整えております。より専門的な渡航相談は姉妹院(五良会クリニック白金高輪)の渡航医学認定医2名(日本旅行医学会認定医:五藤良将、日本渡航医学会認定医:安達弘人医師)と連携してご対応いたします。また、高齢のご家族の糖尿病や認知症を併せてご相談されたい場合は、グループの五良ファミリークリニックセンター南(横浜市都筑区)とも連携しております。

参考文献

  1. 日本糖尿病学会 編・著『糖尿病診療ガイドライン2024』南江堂, 2024.
  2. 国立健康危機管理研究機構 糖尿病情報センター「糖尿病の方の旅行」(2026年9月閲覧)
  3. 公益社団法人日本糖尿病協会「海外旅行用 英文カード(Diabetic Data Book)」(2026年9月閲覧)
  4. ノボ ノルディスク ファーマ「製剤の保管・保存・廃棄に関する注意点」(2026年9月閲覧)
  5. ANA「インスリンポンプ・自己使用注射器(針)等を使用されているお客様」(2026年9月閲覧)
  6. 糖尿病ネットワーク「インスリンは熱に弱い 夏場のインスリン保管はここに注意」(2026年9月閲覧)
医療法人社団 五良会・正友会 理事長 五藤 良将

AUTHOR / SUPERVISOR

竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将(ごとう よしまさ)

  • 防衛医科大学校 医学部 卒業(27期)。防衛医科大学校病院、自衛隊中央病院、自衛隊横須賀病院ほかで臨床経験を積む
  • 医療法人社団 五良会 理事長/医療法人社団 正友会 理事長/竹内内科小児科医院 院長
  • 日本内科学会 認定内科医/日本抗加齢医学会 専門医/日本糖尿病協会 登録医/日本旅行医学会 認定医
  • 日本温泉気候物理医学会 温泉療法専門医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/難病指定医
  • 所属学会:日本内科学会、日本糖尿病学会、日本アレルギー学会、日本東洋医学会、日本リウマチ学会、日本外来小児科学会、日本抗加齢医学会、日本睡眠学会、日本美容内科学会、日本旅行医学会 ほか
  • 著書『あぶら落とすスープ』(アスコム)。NHK・TBS・フジテレビ・日本テレビ・テレビ朝日などメディア出演多数

執筆・監修責任について

本記事は、五藤良将が公的機関の発表・国内外の診療ガイドライン・査読済み論文を確認したうえで執筆・監修しています。内容は公開時点の情報に基づくものであり、新しい知見やガイドラインの改訂があった場合は、こちらで記事を更新します。
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個々の患者さんの診断・治療に代わるものではありません。症状や治療のご判断については、必ず医師にご相談ください。記載内容について気になる点がございましたら、竹内内科小児科医院(03-3721-5222)までお知らせください。

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