皆さま、こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。
連日厳しい暑さが続いておりますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。「脳梗塞は寒い冬の病気」というイメージをお持ちの方が多いのですが、実は脳梗塞は夏(6〜8月)にも多く発症することが、国立循環器病研究センターの調査などで報告されています。大量の汗をかくこの季節、体内の水分が不足して血液が濃縮されやすくなることが、その大きな要因と考えられています。
今回のブログでは、日本脳卒中学会「脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2025〕」や国立循環器病研究センターの情報をもとに、夏に脳梗塞が増える理由、見逃してはいけない「FAST」のサイン、そして今日からできる予防のポイントを、田園調布・多摩川エリアの皆さまに分かりやすくお伝えいたします。高血圧・糖尿病・脂質異常症など生活習慣病で通院中の方、ご高齢のご家族がいらっしゃる方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
なぜ夏に脳梗塞が増えるのか|「かくれ脱水」と血液濃縮
脳梗塞は、脳の血管が詰まって血流が途絶え、脳の組織がダメージを受ける病気です。夏に脳梗塞が増える背景には、脱水による血液の濃縮が深く関わっています。
夏は大量の汗をかくことで体内の水分と塩分が失われます。特にご高齢の方は、のどの渇きを感じるセンサーが鈍くなっているため、ご本人が気づかないうちに脱水が進む「かくれ脱水」の状態になりやすいことが知られています。体の水分が不足すると血液は濃縮されて粘り気が増し、いわゆる「ドロドロ」の状態となって血栓(けっせん:血のかたまり)ができやすくなるのです。
メカニズム図解|夏の脱水が脳梗塞を招く流れ
| 大量の発汗・水分摂取不足:暑さで汗をかく一方、のどの渇きに気づかず水分補給が遅れます(特に高齢者・就寝中)。 | |
| 血液の濃縮:体内の水分が減り、血液の粘り気(粘稠度)が高まります。 | |
| 血栓ができやすくなる:動脈硬化で狭くなった血管や細い血管の中で、血のかたまりが形成されやすくなります。 | |
| 脳の血管が詰まる(脳梗塞):脳への血流が途絶え、片側の手足の麻痺・ろれつが回らないなどの症状が突然あらわれます。 |
もともと高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙などで動脈硬化が進んでいる方は、血管の内側がすでに狭くなっているため、脱水による血液濃縮の影響をより強く受けます。当院に生活習慣病で通院中の皆さまには、夏こそ一段の注意をお願いしたい理由がここにあります。
夏に多い脳梗塞のタイプ
脳梗塞にはいくつかのタイプがあり、国立循環器病研究センターの報告では、タイプによって発症しやすい季節が異なることが示されています。
| タイプ | どんな脳梗塞か | 季節の傾向 |
|---|---|---|
| ラクナ梗塞 | 脳の細い血管が詰まるタイプ。高血圧との関連が深い。 | 夏に多い傾向 |
| アテローム血栓性脳梗塞 | 動脈硬化で狭くなった太い血管が詰まるタイプ。生活習慣病との関連が深い。 | 夏に多い傾向 |
| 心原性脳塞栓症 | 心房細動など心臓でできた血栓が脳に飛ぶタイプ。重症化しやすい。 | 冬に多い傾向 |
夏に多いラクナ梗塞・アテローム血栓性脳梗塞は、いずれも高血圧・糖尿病などの生活習慣病と脱水が発症に関わるタイプです。つまり、夏の脳梗塞対策は「水分補給」と「生活習慣病の管理」の両輪で行うことが大切です。
一刻を争うサイン「FAST」チェック
脳梗塞は、発症からできるだけ早く治療を開始できるかどうかが、その後の回復を大きく左右します。日本脳卒中協会などが啓発している合言葉「FAST(ファスト)」をぜひ覚えておいてください。
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重要|脳卒中のサイン「FAST」〜1つでも当てはまればすぐ119番〜 ・F(Face:顔):顔の片側が下がる、ゆがむ。「イー」と笑顔を作れない ・A(Arm:腕):片方の腕に力が入らない。両腕を上げると片方が下がってくる ・S(Speech:言葉):ろれつが回らない、言葉が出ない、短い文を正しく繰り返せない ・T(Time:時間):発症時刻を確認し、ためらわずすぐに119番。「様子を見よう」は禁物です |
また、こうした症状が数分〜数十分で自然に治まってしまうことがあります。これは「一過性脳虚血発作(TIA)」と呼ばれ、本格的な脳梗塞の前ぶれとして知られています。「治ったから大丈夫」と放置せず、症状が消えた場合でも必ず早めに医療機関を受診してください。
今日からできる夏の脳梗塞予防5つのポイント
① のどが渇く前の「こまめな水分補給」
のどの渇きは脱水がすでに始まっているサインです。起床時・入浴前後・就寝前・外出前後など、時間を決めてコップ1杯ずつ、1日を通してこまめに水分をとりましょう。汗を大量にかいたときは塩分の補給も意識してください。なお、ビールなどのアルコールには利尿作用があり、飲んだ量以上に水分が失われるため、水分補給にはなりません。
② 就寝前・起床時の一杯の水
脳梗塞は夜間から早朝にかけて発症しやすいことが知られています。就寝中は汗をかいても水分をとれないため、寝る前と起きた後にコップ1杯の水を飲む習慣がおすすめです。夜間のトイレを気にして水分を控える方がいらっしゃいますが、夏場は控えすぎにご注意ください。
③ エアコンを我慢しない
室内での熱中症・脱水予防は、そのまま脳梗塞予防にもつながります。特にご高齢の方は暑さを感じにくいため、室温計を目安に(目安28℃以下)エアコンを適切に使用しましょう。
④ 血圧・持病の管理を続ける
夏は血管が広がり血圧が下がりやすい季節ですが、自己判断でお薬を中断するのは危険です。家庭血圧を記録し、変化があればかかりつけ医にご相談ください。
⑤ 生活習慣病を「夏の間も」きちんと診てもらう
高血圧・糖尿病・脂質異常症・高尿酸血症などは、脳梗塞の重要な危険因子です。暑さで通院がおっくうになる季節ですが、治療の中断はリスクを高めます。当院ではオンライン診療のご相談も承っております。
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お薬を服用中の方へ|自己判断での中断・変更は避けてください 利尿薬や一部の糖尿病治療薬など、脱水の影響を受けやすいお薬もあります。「夏は薬を減らした方がよいのでは」と感じたときも、自己判断で中断せず、必ず医師・薬剤師にご相談ください。水分制限を指示されている方(心不全・腎臓病など)は、水分のとり方について主治医の指示に従ってください。 |
当院でできること|生活習慣病の管理と土曜午前診療
竹内内科小児科医院では、脳梗塞の予防の土台となる高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病の診療に力を入れております。院長の五藤良将は糖尿病・代謝内科を専門とし、家庭血圧の評価、血液検査、心電図検査などを通じて、お一人おひとりの脳卒中リスクの評価と管理を行っています。
また、当院は土曜午前も診療しており、平日お忙しい方の生活習慣病フォローにもご利用いただけます。第2・第4土曜午前には循環器内科の専門外来もございますので、心房細動や心電図の異常を指摘された方はあわせてご相談ください。通院が難しいご高齢の方には訪問診療でも対応しております。
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受診前チェックリスト|1つでも当てはまる方はご相談ください □ 健診で血圧・血糖・コレステロール・尿酸の異常を指摘されたまま放置している □ 手足のしびれ・ろれつの回りにくさが「一時的に」あったが受診していない □ 夏になって血圧の変動が大きい、ふらつきがある □ 健診や人間ドックで心房細動・不整脈を指摘されたことがある □ ご高齢のご家族の水分摂取・服薬管理が心配 |
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ご予約・ご相談はお気軽に ① WEB予約・WEB問診:記事末尾のボタンから24時間受付 ② LINE:公式LINEから予約・問診・オンライン診療まで1タップ ③ お電話:03-3721-5222(多摩川駅 徒歩5分/土曜午前も診療) |
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五良会グループでは、田園調布の竹内内科小児科医院、港区の五良会クリニック白金高輪、横浜市都筑区の五良ファミリークリニックセンター南が連携し、生活習慣病の管理から脳卒中後のフォロー・もの忘れのご相談まで多角的にサポートしております。患者さまの転居やライフスタイルの変化に合わせて、同じグループ内で継続診療が受けられる体制を整えております。
参考文献
- 日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会 編. 脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2025〕. 協和企画; 2025.
- 国立循環器病研究センター「脱水や夏かぜにご注意ください<夏の脳梗塞を防ぐために>」https://www.ncvc.go.jp/pr/release/002619/(2026年7月閲覧)
- 国立循環器病研究センター「脳梗塞は冬の病気? 夏の病気?」https://www.ncvc.go.jp/pr/release/20180425_press/(2026年7月閲覧)
- 公益社団法人 日本脳卒中協会「脳卒中予防十か条・FAST」https://www.jsa-web.org/(2026年7月閲覧)
- 日本高血圧学会 編. 高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025). ライフサイエンス出版; 2025.
- 環境省「熱中症環境保健マニュアル」https://www.wbgt.env.go.jp/(2026年7月閲覧)
竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将
日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医・日本旅行医学会認定医