皆さま、こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。
2026年の夏も長く続いた猛暑がようやく峠を越えつつありますが、まだまだ残暑が厳しい毎日です。この時期、外来で血糖値やHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー:過去1〜2か月の血糖の平均を反映する検査値)のお話をしていると、「アイスがやめられなくて…」「冷たいジュースをつい飲んでしまう」「夕食前におやつをつまんでしまう」というご相談が本当に増えます。頑張って食事に気をつけているのに、「間食・おやつ」が血糖値や体重の思わぬ落とし穴になっている方は少なくありません。
そこで今回は、日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」および厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」の考え方をもとに、血糖値・体重が気になる方の「間食」との上手な付き合い方を、田園調布・多摩川エリアの皆さまに向けてわかりやすく解説いたします。「間食は絶対ダメ」というお話ではありません。選び方・量・タイミングを工夫すれば、間食と上手に付き合うことは十分可能です。
朝ごはんと血糖値の関係については、前回の記事「「朝食抜き」で昼食後の血糖値が急上昇?」もあわせてご覧ください。
目次
なぜ「間食」で血糖値が上がりやすいのか
食事をすると血糖値は誰でも上がりますが、健康な方では膵臓(すいぞう)から分泌されるインスリンというホルモンの働きで、数時間かけてもとの値に戻ります。ところが、糖質の多い間食を頻繁にとると、血糖値が下がりきる前に次の糖質が入ってくるため、血糖値が高い状態が長く続きやすくなります。
特に注意したいのが、食後の血糖値だけが急上昇・急降下する「血糖値スパイク(食後高血糖)」です。空腹時の血糖値や健診の数値が正常でも、食後だけ血糖値が跳ね上がっているケースがあり、動脈硬化との関連が指摘されています。甘い飲み物やお菓子の「だらだら食べ・ちょこちょこ飲み」は、この血糖値スパイクを1日に何度も繰り返すことにつながります。
メカニズム図解|「だらだら間食」が血糖と膵臓に負担をかける流れ
| 糖質の多い間食・甘い飲み物をとる:血糖値が上昇し、インスリンが分泌されます | |
| 血糖値が下がりきる前に、次の間食が入る:高血糖の時間が長くなり、膵臓は休む間もなくインスリンを出し続けます | |
| 余った糖は中性脂肪として蓄えられる:内臓脂肪が増えると、インスリンの効きが悪くなる「インスリン抵抗性」が進みます | |
| 血糖値が下がりにくい悪循環へ:HbA1cの上昇、体重増加、脂肪肝・脂質異常症の悪化につながりやすくなります |
残暑の「甘い落とし穴」|アイス・冷たい飲み物・果物の糖質量
残暑の時期は、のどごしのよい冷たいおやつ・飲み物の出番が増えます。「食事はしっかり管理しているのに、なぜか血糖値が下がらない」という方の生活を伺うと、飲み物とアイスからの糖質が意外なほど多いことがよくあります。代表的な例を、目安としてご紹介します(商品により差がありますので、あくまで一般的な目安です)。
| 間食・飲み物の例 | 糖質量の目安 | ワンポイント |
|---|---|---|
| コーラなど加糖炭酸飲料(500mL) | 約50〜55g | スティックシュガー15本分以上に相当。「ペットボトル症候群」の主因です |
| スポーツドリンク(500mL) | 約20〜30g | 大量に汗をかいたとき以外の「水代わり」は要注意 |
| 果汁100%ジュース(200mL) | 約20g前後 | 「果汁100%だから健康的」とは限りません。液体の糖は吸収が速いのが難点 |
| カップアイス・シェイク類(1個) | 約20〜35g | 脂質も多く、エネルギーは200〜300kcal程度になるものも |
| 菓子パン(1個) | 約40〜60g | 「おやつ」のつもりが、糖質量はごはん1杯(約55g)並みのことも |
| 無糖ヨーグルト(100g)・素焼きナッツ(25g) | 約5g以下 | たんぱく質・良質な脂質がとれ、血糖値が上がりにくい間食の代表格 |
果物についても一言。果物はビタミン・食物繊維の大切な供給源ですが、糖質(果糖・ブドウ糖)を含むため、「食べ放題」にはできません。桃・梨・ぶどうなどおいしい果物が続くこの季節は、1日1回・片手にのる程度を目安に、ジュースではなく「そのままの形」でとるのがおすすめです。夏の麺類・果物と血糖値の関係は、「お盆の「そうめんだけ」昼食に注意」の記事でも詳しく解説しています。
賢い間食の選び方|量・中身・タイミングの3つのルール
間食を我慢し続けるのはつらいものですし、反動でドカ食いにつながっては本末転倒です。糖尿病診療ガイドライン2024でも、食事療法は画一的な制限ではなく、患者さん一人ひとりの生活に合わせて柔軟に、続けられる形で行うことが重視されています。間食については、次の3つのルールを意識してみてください。
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ポイント|賢い間食・3つのルール ① 量:1日およそ200kcalまでを目安に。厚生労働省の情報サイト(e-ヘルスネット)でも、間食は1日200kcal程度が目安とされています。「袋ごと」ではなく、小皿に取り分けてから食べましょう。 ② 中身:糖質のかたまりより、たんぱく質・食物繊維を。無糖ヨーグルト、チーズ、素焼きナッツ、ゆで卵、枝豆、高カカオチョコレート(少量)など、血糖値が上がりにくいものを「定番おやつ」にするのがおすすめです。 ③ タイミング:夜遅くは避け、日中の決まった時間に。就寝前の間食は血糖・体重ともに影響が大きくなりがちです。食べるなら活動量のある日中に、時間を決めて。飲み物は水・麦茶・無糖の炭酸水を基本にしましょう。 |
「ゼロカロリー」「糖質オフ」との付き合い方
人工甘味料を使った飲料・お菓子は、糖質やエネルギーを抑える工夫として役立つ場面がありますが、「ゼロだからいくらでも大丈夫」というものではありません。甘い味に慣れすぎない範囲で、上手に「置き換えの選択肢」として活用するのが現実的です。
「ついつい食べ」を減らす生活のコツ
間食対策は、意志の力だけに頼るとなかなか続きません。「そもそも手が伸びにくい環境」をつくることが、実は一番の近道です。
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今日からできる「ついつい食べ」対策 □ お菓子・甘い飲み物の「買い置き」をやめる(買う日・買う量を決める) □ 目につく場所にお菓子を置かない(戸棚の奥へ、机の上には置かない) □ テレビ・スマホを見ながらの「ながら食べ」をしない □ 甘い飲み物は無糖のお茶・炭酸水に置き換える □ 小腹がすいたら、まず水分をとって10分待ってみる □ 3食(特に朝食)でたんぱく質をしっかりとり、極端な空腹をつくらない |
また、食後に少し体を動かすことも食後血糖の上昇をゆるやかにする助けになります。残暑の時期は無理のない範囲で、夕方以降の涼しい時間帯の散歩や、こまめに立ち上がる工夫(座りっぱなしを避ける)から始めてみてください。詳しくは「猛暑でも安全に続ける生活習慣病の運動療法」もご参照ください。
お薬で治療中の方へ|「間食制限」と「低血糖の補食」は別物です
ここまで「間食を控えるコツ」をお伝えしてきましたが、ひとつだけ大切な注意があります。インスリン注射やSU薬(スルホニル尿素薬)など、低血糖を起こしうるお薬で治療中の方は、冷や汗・動悸・手のふるえ・強い空腹感といった低血糖のサインが出たときに、ブドウ糖や糖分をすみやかにとる「補食」が必要です。これは嗜好品としての間食とはまったく別の、治療上必要な対応です。
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お薬で治療中の方へ|自己判断で「食べない」を徹底しないでください 「血糖値を下げたいから」と食事量や補食まで自己判断で極端に減らすと、低血糖の危険が高まることがあります。間食のルールづくりは、お使いのお薬の種類・量とセットで考える必要がありますので、必ず主治医・管理栄養士にご相談ください。外出時はブドウ糖や飴を携帯しておくと安心です。 |
当院でのサポート|管理栄養士の栄養相談と糖尿病内科
竹内内科小児科医院では、糖尿病内科・代謝内科の診療に加え、管理栄養士による栄養相談を行っております。「間食がやめられない」「何をどれだけ食べてよいかわからない」といったお悩みに対して、これまでの食習慣を否定するのではなく、続けられる工夫を一緒に考えてまいります。院長の五藤良将は日本糖尿病協会登録医・日本抗加齢医学会専門医として、血糖値だけでなく体重・脂質・血圧を含めた生活習慣病全体のマネジメントを大切にしております。
また、当院は内科と小児科を併設しているため、お子さんのおやつ・ジュースの習慣づくりから、働き盛り世代の健診後フォロー、ご高齢の方の食事の悩みまで、ご家族そろってご相談いただけるのが強みです。土曜も午前は診療しておりますので、平日お忙しい方もご利用ください。健診で血糖値・HbA1cを指摘されたまま放置している方は、まずは一度ご相談ください。
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受診前チェックリスト|こんな方はご相談ください □ 健診で血糖値・HbA1cの「要注意」「要精査」を指摘されたが受診していない □ 甘い飲み物・お菓子・アイスが習慣になっていて、この夏体重が増えた □ のどの渇き・トイレの回数増加・だるさなど気になる症状がある □ 糖尿病治療中で、間食・補食のルールを整理したい □ 子どものジュース・おやつの量が心配(小児科で一緒にご相談いただけます) |
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五良会グループでは、田園調布の竹内内科小児科医院と港区の五良会クリニック白金高輪、横浜市都筑区の五良ファミリークリニックセンター南の医師が連携し、糖尿病・生活習慣病の診療を多角的にサポートしております。患者さまの転居やライフスタイルの変化に合わせて、同じグループ内で継続診療が受けられる体制を整えております。
参考文献
- 日本糖尿病学会 編・著「糖尿病診療ガイドライン2024」南江堂, 2024.(第3章 食事療法)
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書, 2024.(2025年度から適用)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「間食のエネルギー(カロリー)」
- 日本肥満学会 編「肥満症診療ガイドライン2022」ライフサイエンス出版, 2022.
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将
日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医・日本旅行医学会認定医