皆さま、こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。
9月に入り、朝晩は少しずつ過ごしやすくなってきました。スーパーの店頭にも新米、ぶどう、梨、柿、さつまいも、栗といった「実りの秋」の味覚が並び始めています。田園調布・多摩川エリアの外来でも、「果物は体に良いと聞くけれど、血糖値が高めの私はどれくらい食べていいの?」「新米がおいしくて、ついごはんをおかわりしてしまう」といったご相談が、この時期になると増えてまいります。
今回のブログでは、日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」や厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」の考え方をもとに、秋の味覚と血糖値の関係と、糖尿病・糖尿病予備群の方でも秋の恵みをあきらめずに楽しむための食べ方のコツを、食品ごとの目安量とあわせて分かりやすく解説いたします。
目次
なぜ「秋」は血糖値が上がりやすいのか
「食欲の秋」という言葉のとおり、秋は1年の中でも体重と血糖値が動きやすい季節です。理由は大きく3つあります。
第一に、糖質の多い旬の食材が一斉に出回ることです。新米・ぶどう・梨・柿・さつまいも・栗は、いずれもおいしい一方で糖質(炭水化物)を多く含みます。第二に、涼しくなって食欲が回復し、夏に落ちていた食事量が自然と増えること。第三に、日が短くなり、夏に比べて活動量(歩数)が減りがちなことです。「食べる量は増え、動く量は減る」――この組み合わせが、秋から年末にかけての体重増加とHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー:過去1〜2か月の血糖の平均を反映する検査値)の上昇につながりやすいのです。
実際、当院の外来でも、年末から年明けの採血でHbA1cが上がる方は少なくありません。秋の入り口である今こそ、食べ方を少し工夫する価値があるタイミングと言えます。
「果物はヘルシー」の落とし穴|果糖と血糖値のメカニズム
果物には、ビタミンC・カリウム・食物繊維・ポリフェノールなど、体にとって大切な栄養素が豊富に含まれています。厚生労働省の「健康日本21」や農林水産省の「毎日くだもの200グラム運動」でも、健康な方には1日200g程度の果物摂取がすすめられています。果物そのものは、決して「悪者」ではありません。
一方で、果物の甘みの主体である果糖(フルクトース)には注意すべき特徴があります。
メカニズム図解|果物の糖はこうして体に影響する
| 果物の糖は「果糖+ブドウ糖」のミックス:果糖だけでなくブドウ糖やショ糖も含むため、食べた直後の血糖値もしっかり上がります。 | |
| 果糖は主に肝臓で代謝される:血糖値の数字に表れにくい分、とり過ぎると肝臓で中性脂肪に変わりやすく、脂肪肝や中性脂肪高値の一因になります。 | |
| 「ジュース・スムージー」で液体になると吸収が速い:食物繊維が壊れ、かむ工程もなくなるため、同じ果物でも丸ごと食べるより血糖値が急に上がりやすくなります。 | |
| 結論:果物は「丸ごと・適量・タイミング」:量とタイミングを守れば、糖尿病の方も果物の栄養を味方につけることができます。 |
糖尿病の食事療法で長く使われてきた「糖尿病食事療法のための食品交換表(第7版)」では、果物の目安は1日1単位(80kcal)とされています。りんごなら約半分、梨なら約半分、ぶどうなら小さめの一房の半分ほどのイメージです。健康な方の「1日200g」とは目安が異なりますので、血糖値やHbA1cを指摘されている方は「握りこぶし1つ分くらいまで」を意識していただくと分かりやすいと思います。
秋の味覚別・糖質量の目安と食べ方のコツ
代表的な秋の味覚について、糖質量のおおよその目安と、血糖値の観点からのポイントを表にまとめました。数値は文部科学省「日本食品標準成分表」に基づくおおよその目安です(個体差があります)。
| 秋の味覚 | 目安量と糖質量(約) | 食べ方のポイント |
|---|---|---|
| 新米(ごはん) | 茶碗1杯(150g)で糖質約53g | 新米も普段の白米も糖質量はほぼ同じ。おいしさで「おかわり」が増えることが最大の注意点。茶碗を小ぶりにするのも一法です。 |
| ぶどう(シャインマスカットなど) | 10〜15粒(約100g)で糖質約15〜17g | 粒が大きい品種は「あと1粒」が積み重なりがち。お皿に食べる分だけ取り分けて房ごと食卓に置かないのがコツです。 |
| 梨 | 半分(約150g)で糖質約13〜15g | 水分と食物繊維が多く、果物の中では比較的血糖値を上げにくい部類。1回に半分までが目安です。 |
| 柿 | 1個(約150〜200g)で糖質約22〜28g | 甘みが強く糖質は多め。1回に半分〜2/3個まで。干し柿は1個で糖質約37gと特に多いため要注意です。 |
| さつまいも | 中1/2本(約100g)で糖質約30g | 「野菜」ではなくごはんと同じ主食級の糖質源と考え、食べる日はごはんを減らして調整を。焼きいもより「ふかしいも」を冷ましてから食べると、レジスタントスターチ(消化されにくいでんぷん)の面でも一工夫になります。 |
| 栗 | 5〜6個(約100g)で糖質約32g | 小粒でも糖質はしっかり。栗ごはんは「栗+ごはん」の糖質の重ね合わせになるため、量を控えめに。 |
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果物ジュース・スムージーは「果物のかわり」になりません 市販の果汁100%ジュースはコップ1杯(200ml)で糖質約20g前後。食物繊維が少なく吸収が速いため、同じ量の果物を丸ごと食べるより食後の血糖値が急上昇(血糖値スパイク)しやすくなります。血糖値が気になる方は、果物は「飲む」のではなく「かんで食べる」を原則にしてください。 |
血糖値を上げにくくする5つの工夫
秋の味覚を我慢一辺倒にする必要はありません。糖尿病診療ガイドライン2024でも、食事療法は「続けられること」が重視されています。次の5つの工夫を、できるものから取り入れてみてください。
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ポイント|秋の味覚と上手に付き合う5つの工夫 ① 果物は「食後のデザート」ではなく量を決めて:1日の目安は握りこぶし1つ分(80kcal=1単位)程度。食べる分だけ取り分けます。 ② 食べる時間帯は「朝〜日中」に:夜遅くの果物・甘いものは中性脂肪に変わりやすいため、活動量の多い時間帯にいただきましょう。 ③ 「ベジファースト」+ゆっくりよくかむ:野菜・きのこ・海藻から先に食べ、ひと口20〜30回。食後の血糖上昇がゆるやかになります。 ④ さつまいも・栗の日は主食で調整:いも・栗を食べる日は、ごはんをいつもの2/3程度に。「糖質の合計」で考えるのがコツです。 ⑤ 食後に10〜15分の散歩:食後の軽い運動は血糖値スパイク対策として効果的。涼しくなった今の季節は始めどきです。 |
なお、涼しくなる秋は運動療法の再開にも適した季節です。筋肉は体の中で最も大きな「血糖の貯蔵庫」ですので、食事の工夫とあわせて、秋の筋トレ・運動習慣づくりもぜひご覧ください。
こんな方は一度ご相談ください|受診の目安
秋から冬は、血糖値・体重・中性脂肪が動きやすい季節です。次のチェックリストに当てはまる方は、症状がなくても一度、内科・糖尿病内科でご相談ください。
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受診前チェックリスト □ 健診でHbA1c 5.6%以上、または空腹時血糖100mg/dL以上を指摘された □ 「糖尿病予備群」「境界型」と言われたが、そのままにしている □ この1年で体重が2〜3kg以上増えた □ 中性脂肪や脂肪肝(ALT・γ-GTP)も指摘されている □ 家族に糖尿病の方がいて、自分の血糖値が気になっている |
当院では、院長(日本糖尿病協会登録医)による生活習慣病の診療のほか、管理栄養士的な視点を取り入れた食事のアドバイス、HbA1c・血糖の迅速検査に対応しております。内科と小児科を併設しておりますので、「おじいちゃんの糖尿病と、お子さんの風邪を同じ日に」といったご家族そろっての受診も可能です。土曜も午前は診療しておりますので、平日お忙しい働き盛りの方もご利用ください。
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五良会グループでは、田園調布の竹内内科小児科医院、港区の五良会クリニック白金高輪、横浜市都筑区の五良ファミリークリニック センター南の医師が連携しております。患者さまの転居やライフスタイルの変化に合わせて、同じグループ内で継続して生活習慣病の診療が受けられる体制を整えております。
参考文献
- 日本糖尿病学会 編・著.『糖尿病診療ガイドライン2024』南江堂, 2024.
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」2024年策定(2025年度から適用)
- 日本糖尿病学会 編・著.『糖尿病食事療法のための食品交換表 第7版』文光堂, 2013.
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
- 農林水産省「毎日くだもの200グラム運動」/厚生労働省 e-ヘルスネット「果物1日200gのすすめ」(2026年9月閲覧)
実りの秋を、血糖値を気にして我慢ばかりの季節にしてしまうのはもったいないことです。「量」と「食べ方」のコツさえつかめば、秋の味覚は十分に楽しめます。健診結果が気になっている方、食事の工夫を一緒に考えたい方は、どうぞお気軽に竹内内科小児科医院へご相談ください。WEB予約・LINE・お電話(03-3721-5222)でご予約いただけます。
竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将
日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医・日本旅行医学会認定医