皆さま、こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。
外来では、年末年始の海外旅行や帰省の直前になってから「そういえば、はしかのワクチンは足りているのでしょうか」とご相談に来られる方が少なくありません。母子健康手帳が見つからない、記録が1回しかない――という方も多くいらっしゃいます。
結論から申し上げますと、大田区では2026年8月1日から2027年3月31日まで、19歳以上で1972年10月1日以降に生まれた区民の方を対象に、麻しん(はしか)の抗体検査を無料で、ワクチン接種を一部助成で受けられる制度が始まっています。そして12月下旬に出発する方は、11月中に抗体検査を受けておくと、出発までに接種と免疫がつく期間を確保しやすくなります。
この記事では、「大田区にお住まいの大人の方が、年末年始の旅行・帰省前に、この制度をどう使えばよいか」に絞って、対象になる条件・手順・注意点を、大田区の公表資料と国の資料に基づいてお伝えいたします。
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竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将
日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医・日本旅行医学会認定医・日本温泉気候物理医学会 温泉療法医/温泉療法専門医
この記事は五藤良将が執筆・監修し、内容に責任を持っています。
目次
なぜ今、大人のはしか対策なのか
2026年は、国内の麻しん(はしか)の報告が例年より大きく増えています。国立健康危機管理研究機構(JIHS)の速報値では、2026年第1〜21週(5月24日まで)の累計が511人と報告され、過去10年で最も多かった2019年(年間744人)に迫るペースとなりました。その後も各地で報告が続いており、地域別では東京都が全国の約半数を占めています。
はしかは空気感染するウイルス感染症で、免疫を持たない人が感染するとほぼ100%発症するといわれます。潜伏期間は約10〜12日(21日程度のこともあります)で、発症の1日前から人にうつす力があるため、ご本人が気づく前に周囲へ広がってしまうことがあります。高熱と全身の発疹のほか、肺炎や脳炎などの合併症を起こすことがあり、特に乳幼児・妊娠中の方・免疫の弱い方には重い病気です。
海外で感染したとみられる例(輸入例)をきっかけに国内で広がるケースも報告されており、人の移動が増える年末年始は、渡航先・移動中・帰省先のいずれでも注意が必要な時期です。
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用語解説|この記事に出てくる専門用語 ① 空気感染(くうきかんせん):ウイルスを含んだごく小さな粒子が空気中を漂い、同じ部屋や空間にいるだけで感染する経路です。マスクや手洗いだけでは防ぎきれず、ワクチンで免疫をつけることが最も有効な予防法とされています。 ② 抗体価(こうたいか):血液の中に、そのウイルスに対する抗体(体を守るたんぱく質)がどのくらいあるかを示す数値です。測り方にはEIA法(酵素免疫測定法)やPA法(ゼラチン粒子凝集法)などがあり、方法によって数値の読み方が異なります。 ③ 修飾麻しん(しゅうしょくましん):ワクチン接種後に抗体が下がった方などがかかる、典型的でない軽めのはしかです。症状が軽いぶん気づかれにくい一方、周囲にうつす可能性はあるため注意が必要です。 |
自分は何回打っている?生まれた年でわかる目安
はしかを防ぐためには、ワクチン2回接種が基本です。ところが日本では制度の変遷により、生まれた年によって受けた回数が異なります。下の表はあくまで「目安」で、実際の接種回数は母子健康手帳などの記録で確認することが大切です。
| 生まれた時期 | 定期接種の目安 | 考え方 |
|---|---|---|
| 1990年4月2日以降 | 2回が制度化された世代 | ただし2回目が中学・高校年代での接種(経過措置)だった方もおり、受け損ねている方がいます。記録で2回を確認しましょう。 |
| 1972年10月1日〜1990年4月1日 | 1回の方が多い | 抗体検査または追加接種を検討したい世代です。今回の大田区の制度の主な対象でもあります。 |
| それ以前 | 接種機会がほぼない世代 | 幼少期の自然感染で免疫を持つ方がほとんどとされます。かかった記憶がない、免疫が弱くなる治療中などの場合はご相談ください。 |
実際に、2026年の国内患者さんは10代後半〜40代の割合が高く、「1回だけ接種」「接種歴不明」の方も多く含まれていると報告されています。働き盛り・子育て世代こそ、確認しておきたいテーマです。
大田区の抗体検査・ワクチン助成は誰が使える?
大田区が2026年10月14日に更新した案内に基づき、制度の内容を整理いたします。原則として「抗体検査 → 基準値以下なら接種」の2段階です。
| 項目 | 内容(大田区の案内より) |
|---|---|
| 実施期間 | 2026年8月1日〜2027年3月31日(期間前の検査・接種は対象外) |
| 対象者(すべてに該当) | ・19歳以上で大田区に住民登録がある ・1972年10月1日以降に生まれた ・麻しんの予防接種歴(2回)がない、または不明 ・麻しんにかかったことがない、または不明 |
| 抗体検査 | 無料・1人1回。区内協力医療機関で受け、数日後に結果を確認 |
| 接種できる基準 | 抗体検査(または妊婦健診の結果)でEIA法 16.0未満、PA法 128倍以下 |
| 接種の助成額 | MRワクチン(麻しん風しん混合)6,000円/麻しん単独ワクチン4,400円・1人1回。医療機関の接種費用から助成額を差し引いた額を窓口でお支払い |
| 対象外の例 | 産婦人科などで行うプレコンセプションチェック(妊娠前検査)は助成対象外 |
当院(竹内内科小児科医院)は、大田区の区内協力医療機関一覧に掲載されています。接種費用は医療機関ごとに異なりますので、当院での費用はお電話でお問い合わせください。なお、助成は抗体検査・接種とも1人1回です。これまで一度も接種したことがない方には、一般に2回目(1回目から27日以上あける)も勧められますが、2回目は助成の対象外となる点をご了承ください。
また、19歳未満のお子さまで定期接種を受けそびれている場合は、大田区の別の制度(2〜18歳の予防接種漏れ対策・無料)がございます。お子さまの母子健康手帳もあわせてご確認ください。
相談のおすすめは「11月中」——出発日からの逆算
ワクチンは、打ったその日から効くわけではありません。一般に、接種から免疫がつくまで約2週間かかるとされています。さらに大田区の制度では、先に抗体検査を受け、結果(数日後)を確認してから接種の予約をする流れになります。
たとえば12月26日に出発する場合を逆算してみます。
| 時期の目安 | すること |
|---|---|
| 11月中旬まで | 母子健康手帳などで接種歴を確認し、抗体検査を受ける |
| 検査の数日後 | 結果を確認。基準値以下なら接種を予約 |
| 11月下旬〜12月上旬 | MRワクチン接種(出発の2週間以上前が目安) |
| 12月26日 | 出発 |
「11月中」というのは医学的な基準ではなく、検査結果を待つ期間・年末の予約の混み具合・免疫がつく期間を見込んだ当院からのご提案です。出発まで2週間を切っている場合でも、接種しておくことは帰国後や今後の流行に備える意味がありますので、あきらめずにご相談ください。インフルエンザなど他のワクチンとの同時接種も、医師が必要と認めた場合は可能です。
説明のための架空のケースをご紹介します。大田区在住の38歳の女性。年末に家族で海外旅行を予定しています。実家で見つけた母子健康手帳には、はしかのワクチンの記録が1回だけ。この方は1972年10月1日以降の生まれで「2回の接種歴がない」に当たるため、まず無料の抗体検査を受け、基準値以下であれば助成を使ってMRワクチンを接種する、という流れが考えられます。お子さまの手帳も同時に確認しておくと、ご家族全員の準備が一度で整います。
接種できない方・注意が必要な方
MRワクチンは生ワクチン(弱毒化したウイルスを使うワクチン)のため、次のような点に注意が必要です。
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注意|接種前に必ずお伝えください ・妊娠中の方、妊娠の可能性がある方は接種できません。女性は接種後2か月間は妊娠を避ける必要があります。 ・免疫を抑えるお薬(ステロイドの内服、生物学的製剤、抗がん剤など)を使用中の方は、接種できない場合があります。 ・過去にワクチンで強いアレルギー反応が出たことのある方、発熱中の方はお申し出ください。 ・接種後30分程度は院内で様子をみていただき、当日の激しい運動は控えてください。 |
妊娠を考えている方にとって、はしか・風しんの免疫は特に大切です。大田区では風しんの抗体検査・予防接種の制度も別にございますので、あわせてご相談いただけます。
旅行中・帰国後に熱と発疹が出たら
はしかは、まず38℃前後の発熱・咳・鼻水・目の充血といったかぜに似た症状が2〜4日続き、いったん熱が下がりかけたあとに再び高熱とともに全身に発疹が出るのが典型的な経過です。潜伏期間があるため、帰国後や帰省から戻って10日〜3週間ほどしてから症状が出ることもあります。
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重要|はしかが疑われるときの受診のしかた ・直接来院せず、必ず事前に医療機関へお電話ください。待合室での空気感染を防ぐため、受診の時間や入口をご案内することがあります。 ・渡航先・移動経路・接種歴をお伝えいただくと、診断の助けになります。 ・受診の際は公共交通機関をできるだけ避けてください。 ・はしかの患者さんと接触した場合、接触後72時間以内のワクチン接種で発症を防げる可能性があるとされています。気づいた時点ですぐにご相談ください。 |
受診・相談前に確認しておくこと
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受診前チェックリスト(そのままご準備いただけます) □ 本人確認書類(マイナンバーカードなど、氏名と大田区の住所がわかるもの) □ 母子健康手帳または予防接種済証(はしか・MRの記録のページ)。見つからない場合は「不明」として相談可能です □ 過去の抗体検査の結果(職場・学校・妊婦健診などで測ったもの。検査法がEIA法かPA法かも確認) □ 出発日・渡航先・帰省先(同行するお子さま・ご高齢のご家族の有無) □ お薬手帳(免疫を抑えるお薬の有無の確認のため) □ 女性の方は、妊娠の可能性・今後2か月以内の妊娠のご予定 |
渡航先によっては、はしか以外にA型肝炎・狂犬病などのワクチンが勧められることもあります。渡航ワクチン全体の考え方は、下記の関連記事で解説しておりますので、あわせてご覧ください。
まとめ
- 2026年は国内のはしかの報告が多く、患者さんは10代後半〜40代が中心です。
- 大田区では2026年8月1日〜2027年3月31日、19歳以上・1972年10月1日以降生まれで2回の接種歴がない(不明を含む)区民の方は、抗体検査が無料、基準値以下ならMRワクチンに6,000円の助成があります(各1人1回)。
- 免疫がつくまで約2週間かかるため、12月下旬出発なら11月中の抗体検査が当院からのおすすめです。
- 妊娠中の方は接種できず、接種後2か月は妊娠を避ける必要があります。
- 熱と発疹が出たら、直接来院せず事前にお電話ください。
竹内内科小児科医院で診るという選択(当院が選ばれる理由)
ここまでお読みいただいた「接種歴の確認 → 抗体検査 → 接種」の流れを、当院では次のような体制でお手伝いしております。
理由① 大田区の区内協力医療機関
当院は大田区の麻しん抗体検査・予防接種の協力医療機関一覧に掲載されています。抗体検査から結果説明、接種まで同じ医院で進められます。
理由② 内科・小児科併設でご家族そろって
大人の抗体検査と、お子さまの母子健康手帳の接種歴の確認を、同じ窓口でまとめてご相談いただけます。
理由③ 日本旅行医学会認定医の院長が渡航前相談
はしかに加え、渡航先に応じたトラベルワクチンや持病のお薬の持ち運びまで、院長が直接ご相談に応じます。
理由④ 多摩川駅徒歩5分・土曜午前も診療
平日は19時まで(受付19時まで)、土曜は午前診療。お仕事帰りや週末に検査・接種のご予定を組みやすい診療時間です。
理由⑤ 五良会グループの渡航医学連携
長期滞在や複数のワクチンが必要な渡航は、姉妹院の五良会クリニック白金高輪(渡航医学認定医2名)と連携してご対応いたします。
この記事の執筆医師 / AUTHOR
竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将(ごとう よしまさ)
- 医療法人社団 五良会(竹内内科小児科医院・五良会クリニック白金高輪)理事長/医療法人社団 正友会(五良ファミリークリニックセンター南)理事長/竹内内科小児科医院 院長
- 防衛医科大学校 医学部 卒業(27期)。防衛医科大学校病院、自衛隊中央病院、自衛隊横須賀病院ほかで臨床経験を積む
- 日本抗加齢医学会 専門医/日本糖尿病協会 登録医/日本旅行医学会 認定医/日本内科学会 認定内科医
- 日本温泉気候物理医学会 温泉療法医・温泉療法専門医——温泉・入浴と健康の関わりについて、学会認定の立場から診療と情報発信を行っています
- 日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/難病指定医
- 著書『あぶら落とすスープ』(アスコム)ほか。NHK・TBS・フジテレビ・日本テレビ・テレビ朝日などテレビを中心にメディア出演多数
執筆・監修責任について
本記事も院長の五藤良将が執筆・監修しています。大田区・厚生労働省・国立健康危機管理研究機構などの公表資料と添付文書を確認したうえで執筆しており、内容は公開時点の情報に基づきます。制度や流行状況に変更があった場合は記事を更新いたします。本記事は一般的な医学情報の提供を目的としたもので、個々の診断・治療に代わるものではありません。気になる点は竹内内科小児科医院(03-3721-5222)までお問い合わせください。
年末年始のご予定がある方は、11月中の抗体検査がおすすめです。
大田区の助成は2027年3月31日まで。母子健康手帳と本人確認書類をお持ちください。
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関連記事|竹内内科小児科医院(田園調布)
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関連記事|五良会クリニック白金高輪(港区)
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五良会グループでは、田園調布から白金高輪まで医師が連携しております。患者さまの転居やライフスタイルの変化に合わせて、同じグループ内で継続診療が受けられる体制を整えております。より専門的な渡航相談は姉妹院(五良会クリニック白金高輪)の渡航医学認定医2名(日本旅行医学会認定医:五藤良将、日本渡航医学会認定医:安達弘人医師)と連携してご対応いたします。
参考文献
- 大田区「大人の麻しん抗体検査・予防接種について」(2026年10月14日更新)https://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/hoken/yobou_sessyu/seijin/masin.html(2026年11月閲覧)
- 大田区「麻しん抗体検査・予防接種 区内協力医療機関一覧」(2026年10月14日版・PDF)
- 大田区「麻しん風しん(MR)予防接種漏れ対策事業(2〜18歳)」(2026年4月15日更新)
- 国立健康危機管理研究機構(JIHS)「感染症発生動向調査週報(IDWR)2026年第10号 注目すべき感染症:麻しん」および麻しん累積報告数(速報値)
- 国立健康危機管理研究機構 国立感染症研究所「麻しんの発生に関するリスクアセスメント(2026年第一版)」
- 共同通信「はしか患者、累計511人に 近年最多2019年に迫る勢い」(2026年6月2日配信、JIHS速報値・第1〜21週)
- 東京都保健医療局「麻しん(はしか)の流行と予防接種について」(2026年5月)
- 厚生労働省 リーフレット「麻しん(はしか)にご注意ください」
- 柏市「麻しん(はしか)について」(2026年7月6日更新)/千葉市「麻しん(はしか)について」(2026年10月7日更新)
竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将
日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医・日本旅行医学会認定医・日本温泉気候物理医学会 温泉療法専門医