【2026年初秋】減塩だけじゃない“足し算”の血圧対策|カリウム・DASH食で無理なく続ける食事療法(JSH2025対応)【田園調布・多摩川】

皆さま、こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。

厳しい残暑が続いていますが、朝晩には少しずつ秋の気配も感じられるようになってきました。実は夏の終わりから秋にかけては、血圧管理の「切り替えどき」です。気温が下がり始めると血管が収縮しやすくなり、夏の間は落ち着いていた血圧がじわじわと上がり始める方が少なくありません。また、これから秋の健診シーズンを迎え、「血圧が高め」と指摘される方が増える時期でもあります。

血圧の食事療法というと「減塩」ばかりが注目されがちですが、外食や中食(お惣菜・お弁当)が多い現代の生活では、塩分を「引き算」するだけの対策はなかなか長続きしません。そこで今回は、日本高血圧学会の最新ガイドライン「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025、2025年8月29日発刊)」と厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに、減塩と並ぶもう一つの柱、カリウムをしっかり摂る「足し算」の血圧対策と、その代表格であるDASH食(ダッシュ食)について、田園調布・多摩川エリアの皆さまに分かりやすくお伝えいたします。

夏の終わり〜秋は血圧の「切り替えどき」

血圧には季節変動があります。一般に、気温の高い夏は血管が拡張し、汗で塩分(ナトリウム)が失われることもあって血圧は低めになり、気温が下がる秋から冬にかけては血管が収縮して血圧が上がりやすくなります。夏の間「今年は血圧が落ち着いているな」と感じていた方こそ、これからの季節の上がり方に注意が必要です。

当院でも、9月〜10月頃から「家庭血圧が急に高くなった」「健診で血圧を指摘された」というご相談が毎年増えてまいります。降圧薬を服用中の方は自己判断で中断せず、家庭血圧を測りながら、食事の面でも今のうちから土台を整えておくことが大切です。

ポイント|血圧対策は「引き算」と「足し算」の両輪で

① 引き算:食塩を減らす(目標は1日6g未満)

② 足し算:カリウムを多く含む野菜・果物・いも類・豆類・低脂肪乳製品を増やす(DASH食の考え方)

なぜ塩分で血圧が上がる?カリウムが「引き算」を助ける仕組み

食塩(塩化ナトリウム)を摂りすぎると、体はナトリウム濃度を薄めようとして水分を溜め込みます。その結果、血液の量が増えて血管の壁にかかる圧力、つまり血圧が上がります。ここで活躍するのが、野菜や果物に多く含まれるミネラル「カリウム」です。カリウムには余分なナトリウムを尿中へ排泄するのを促す働きがあり、ナトリウムを減らしつつカリウムを増やすことで、脳卒中などの心血管疾患のリスク低下が報告されています(厚生労働省 e-ヘルスネット)。

メカニズム図解|塩分・カリウムと血圧の関係

1 塩分の摂りすぎ:体内のナトリウムが増える
2 体が水分を溜め込む:ナトリウム濃度を薄めるため血液量が増加し、血圧が上昇
3 カリウムを摂る:腎臓から余分なナトリウムの排泄が促される
4 血圧低下の方向へ:「減塩」+「カリウム」の合わせ技で効果が高まると報告されています

JSH2025と食事摂取基準2025年版の目標値|減塩6g未満+カリウム

2025年8月29日、日本高血圧学会から6年ぶりの改訂版となる「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」が発刊されました。75歳未満の成人の降圧目標は診察室血圧130/80mmHg未満とされ、生活習慣の修正(減塩・栄養・運動・減量・節酒・禁煙)は治療の土台として引き続き重視されています。食事に関する主な数値目標を整理すると、次のとおりです。

項目 目標値 出典
食塩摂取量 1日6g未満 JSH2025(高血圧の方の目標)
カリウム摂取量(成人男性) 1日3,000mg以上(目標量) 食事摂取基準2025年版
カリウム摂取量(成人女性) 1日2,600mg以上(目標量) 食事摂取基準2025年版
野菜摂取量 1日350g以上 健康日本21(第三次)
WHOの成人カリウム推奨 1日3,510mg以上 WHOガイドライン(2012年)

一方、日本人の実際の平均摂取量は男性約2,370mg/日、女性約2,190mg/日と報告されており、目標量には届いていません(厚生労働省 e-ヘルスネット)。つまり多くの方にとって、カリウムは「あと一皿分、意識して足す」余地がある栄養素なのです。

DASH食とは?野菜・果物・低脂肪乳製品で「足し算」する食事法

DASH食(Dietary Approaches to Stop Hypertension)は、米国の大規模臨床試験で降圧効果が示された食事法で、世界中の高血圧診療で参照されています。ポイントは、特別な食品を使うことではなく、「増やすもの」と「控えるもの」の組み合わせにあります。

増やすもの 控えるもの
野菜・果物・いも類・豆類(カリウム・マグネシウム・食物繊維) 食塩・塩蔵品・加工食品の塩分
低脂肪の乳製品(カルシウム) 飽和脂肪酸の多い脂身・バターなど
魚・大豆製品・未精製の穀物(雑穀・全粒粉など) 甘い飲料・菓子類の摂りすぎ、過度の飲酒

和食は本来、野菜・大豆製品・魚が豊富でDASH食と相性の良い食文化ですが、味噌・醤油・漬物など塩分が多くなりやすい弱点もあります。「和食の良さを活かしつつ、だしや香辛料・柑橘で減塩し、野菜と果物を一品足す」——これが日本人に合ったDASH食の実践イメージです。

カリウムを多く含む身近な食品と、調理のコツ

カリウムは特別な食品ではなく、スーパーで手に入る身近な食材に含まれています。代表的な食品の目安は次のとおりです(100gあたり、日本食品標準成分表より)。

食品 カリウム量(100gあたり) 取り入れ方の例
切干しだいこん(乾) 約3,500mg 戻し汁ごと煮物・味噌汁の具に
ほうれんそう(生) 約690mg おひたしは短時間ゆで・スープに
納豆 約660mg タレは半分だけ・ネギを足して
じゃがいも 約420mg 蒸し・レンジ加熱で流出を防ぐ
バナナ(生) 約360mg 朝食やおやつに1本

調理で覚えておきたいのは、カリウムは水に溶けやすいという性質です。長時間ゆでこぼすと煮汁に流れ出てしまうため、「蒸す」「電子レンジで加熱する」「汁ごといただくスープ・味噌汁にする(ただし味付けは薄く)」「果物や生野菜はそのまま食べる」といった工夫で、効率よく摂ることができます。

今日からできる「足し算」実践の5つのコツ

ポイント|無理なく続ける5つのコツ

① 毎食「野菜の小鉢をもう一品」:1日350gは「両手山盛り」が目安。まずは今より1皿増やすことから

② 果物は1日200g程度を目安に:バナナ1本+みかん1個程度。ジュースではなく果物そのものを

③ 麺類の汁は残す:ラーメン・うどんの汁を残すだけで2〜3gの減塩に。「引き算」との合わせ技が効果的です

④ 味噌汁は「具だくさん・汁少なめ」:いも・海藻・野菜を増やせばカリウムが摂れ、汁が減れば塩分も減ります

⑤ 家庭血圧を記録する:朝晩の測定を続けると、食事の効果や季節の変化が「見える化」できます

糖尿病や肥満で通院中の方は、果物の量にご注意ください。果物には果糖が含まれるため、食べすぎは血糖値や中性脂肪の上昇につながります。適量は体格や血糖コントロールの状況によって異なりますので、診察時にお気軽にご相談ください。

【重要】カリウム摂取に注意が必要な方

重要|次に当てはまる方は自己判断でカリウムを増やさないでください

腎機能が低下している方(CKD:慢性腎臓病)——カリウムの排泄が滞り、高カリウム血症(不整脈の原因)を起こすおそれがあります。カリウム制限が必要な場合があります

一部の降圧薬・利尿薬を服用中の方——薬の種類によっては血中カリウムが上がりやすくなることがあります

カリウムのサプリメントを検討している方——食品からの摂取が基本です。開始前に必ず主治医にご相談ください

健診で「eGFR低下」「クレアチニン高値」を指摘されたことがある方は、まず腎機能の評価を受けてから食事の方針を決めることが大切です。当院では血液・尿検査で腎機能を確認したうえで、お一人おひとりに合った食事の目安をお伝えしております。

当院でできること|受診チェックリスト

竹内内科小児科医院では、高血圧をはじめとする生活習慣病の診療において、家庭血圧の記録をもとにした診察、血液・尿検査による腎機能や塩分摂取状況の評価、管理栄養士と連携した栄養相談を行っております。内科と小児科を併設しているため、「ご自身の血圧と一緒に、ご家族の健康もまとめて相談できる」のが当院の強みです。土曜午前も診療しておりますので、平日お忙しい働き盛りの方もご利用いただけます。

受診前チェックリスト|1つでも当てはまれば一度ご相談ください

□ 健診で「血圧が高め」(135/85mmHg以上など)を指摘された

□ 家庭血圧が朝晩どちらかで135/85mmHgを超える日が増えてきた

□ 濃い味付け・外食・お惣菜が多く、野菜や果物をあまり食べていない

□ 健診でeGFR低下・クレアチニン高値・尿蛋白を指摘されたことがある

□ 降圧薬を飲んでいるが、食事で何に気をつければよいか聞いたことがない

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五良会グループでは、田園調布の竹内内科小児科医院、港区の五良会クリニック白金高輪、横浜市都筑区の五良ファミリークリニックセンター南の医師が連携し、高血圧・糖尿病などの生活習慣病を多角的にサポートしております。患者さまの転居やライフスタイルの変化に合わせて、同じグループ内で継続診療が受けられる体制を整えております。

参考文献

  1. 日本高血圧学会. 高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025). ライフサイエンス出版, 2025年8月29日発刊.
  2. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書, 2024年10月.
  3. 厚生労働省 e-ヘルスネット「カリウム」(2026年8月閲覧)
  4. 健康長寿ネット「カリウムの働きと1日の摂取量」(2026年8月閲覧)
  5. World Health Organization. Guideline: Potassium intake for adults and children. Geneva: WHO; 2012.
  6. Appel LJ, et al. A clinical trial of the effects of dietary patterns on blood pressure (DASH). N Engl J Med. 1997;336(16):1117-1124.
  7. 文部科学省「日本食品標準成分表」

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日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医・日本旅行医学会認定医

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