皆さま、こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。
連日の猛暑にビールがおいしい季節ですが、実はこの時期、外来で増えるのが「夜中に足の親指の付け根が急に激痛で腫れた」というご相談──痛風発作です。痛風は「風が吹いても痛い」といわれるほどの激しい関節炎で、夏は1年の中でも発作が起こりやすい季節として知られています。大量の汗による脱水と、ビール・清涼飲料水の飲みすぎが重なりやすいためです。
今回のブログでは、現行の「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版[2022年追補版]」(日本痛風・尿酸核酸学会)に基づき、なぜ夏に痛風が増えるのか、健診でよく目にする「尿酸値7.0mg/dL」という数字の意味、そして今日からできる予防のポイントを、糖尿病・代謝内科を専門とする立場から分かりやすく解説いたします。
なお、夏の水分補給と清涼飲料水の落とし穴については、当院の記事「夏に急増「ペットボトル症候群」とは?」もあわせてご覧ください。
目次
なぜ夏に痛風発作が増えるのか?
痛風の原因は、血液中の尿酸が増えすぎること(高尿酸血症)です。尿酸が一定の濃度を超えると、関節の中で針のような結晶(尿酸塩結晶)となって沈着し、これに免疫が反応して激しい炎症=痛風発作が起こります。夏は、この尿酸値が上がりやすい条件がそろってしまう季節です。
メカニズム図解|夏に痛風発作が起こりやすくなる流れ
| 大量の汗で脱水傾向に:体の水分が減ると血液が濃縮され、血中の尿酸濃度が相対的に上がります。尿量も減り、尿酸が尿から排泄されにくくなります。 | |
| ビール・アルコールの機会が増える:ビールはプリン体を含むうえ、アルコール自体に尿酸の産生を増やし排泄を妨げる作用があります。「プリン体ゼロ」のお酒でも飲みすぎれば尿酸値は上がります。 | |
| 甘い清涼飲料水・果糖のとりすぎ:果糖(フルクトース)は体内で分解される際に尿酸の産生を増やすことが知られています。「水分補給のつもり」のジュース・スポーツドリンクの飲みすぎが逆効果になることも。 | |
| 関節内で尿酸が結晶化 → 痛風発作:濃くなった尿酸が足の親指の付け根などの関節で結晶となり、夜間〜早朝に激痛・腫れ・発赤として現れます。 |
痛風発作の特徴と「尿酸値7.0mg/dL」の意味
痛風発作には、いくつか特徴的なパターンがあります。
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重要|こんな症状は痛風発作かもしれません ・足の親指の付け根(第一中足趾節関節)が突然、赤く腫れて激しく痛む ・夜間〜早朝に始まり、24時間以内に痛みのピークに達する ・足首・足の甲・膝などに起こることもある(多くは片側の1か所) ・歩けないほど痛いが、1〜2週間ほどで自然に軽快することが多い ・以前にも同じような発作を経験したことがある |
健診結果でチェックしていただきたいのが尿酸値(UA)です。ガイドラインでは、性別・年齢を問わず血清尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態を「高尿酸血症」と定義しています。
| 血清尿酸値 | 考え方(目安) |
|---|---|
| 7.0mg/dL以下 | 基準範囲内。ただし境界付近の方は生活習慣の見直しを。 |
| 7.0mg/dL超 | 高尿酸血症。まずは食事・飲酒・運動など生活習慣の改善が基本です。 |
| 8.0mg/dL以上 | 腎障害・尿路結石・高血圧・糖尿病などの合併症がある場合、お薬による治療を検討する目安とされています。 |
| 9.0mg/dL以上 | 合併症がない場合でも、お薬による治療を検討する目安とされています。 |
※ 痛風発作を起こしたことがある方は、数値にかかわらず再発予防の治療方針について医師にご相談ください。治療の要否は、合併症や生活背景を含めて個別に判断いたします。
発作が起きてしまったときの対処法
万一発作が起きてしまったら、まずは次の応急対応を行い、できるだけ早めに受診してください。
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ポイント|発作時の応急対応 ① 冷やして安静に:患部を心臓より高くして安静にし、保冷剤などで冷やします。マッサージやもみほぐしは炎症を悪化させるため避けてください。 ② 禁酒:発作中の飲酒は炎症と尿酸値の変動を悪化させます。 ③ 早めに受診:発作の炎症を抑えるお薬は、早く開始するほど効果的とされています。痛み止めにも使い分けがありますので、自己判断で我慢せずご相談ください。 |
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発作中に「尿酸を下げるお薬」を自己判断で始めない・やめないでください 発作の最中に尿酸値が急に変動すると、かえって炎症が長引くことがあります。このため、発作中に新たに尿酸降下薬を開始することは原則行わず、まず炎症を抑えてから尿酸値の治療を始めるのが標準的な進め方です。 逆に、すでに尿酸降下薬を服用中の方が発作を機に自己判断で中断するのも望ましくありません。服薬については必ず医師にご相談ください。 |
今日からできる夏の痛風予防5か条
1. 水分は「水・お茶」で1日2Lを目安に
ガイドラインでは、尿路結石の予防も兼ねて1日の尿量が2L以上になるよう十分な飲水がすすめられています。汗をかく夏はなおさらです。糖分の多いジュースやスポーツドリンクのがぶ飲みは尿酸値・血糖値の両面で逆効果になりうるため、基本は水・麦茶がおすすめです。
2. お酒は「種類より量」──休肝日を
ビールに限らず、アルコールそのものが尿酸値を上げます。目安としてビールなら中瓶1本(500mL)程度までとし、週に2日は休肝日を設けましょう。「プリン体オフだから大丈夫」と量が増えてしまうのが一番の落とし穴です。
3. プリン体の多い食品を「毎日・大量に」は避ける
レバー、白子、干物、あん肝などはプリン体が特に多い食品です。ガイドラインでは1日のプリン体摂取を400mg程度までにすることが目安とされています。完全に断つ必要はなく、「頻度と量」を意識するのが長続きのコツです。
4. 激しすぎる運動はかえって逆効果
短距離ダッシュや強い筋力トレーニングのような無酸素運動は、一時的に尿酸値を上げ、発汗による脱水も重なります。尿酸対策としては、ウォーキングなどの軽めの有酸素運動を、水分をとりながら涼しい時間帯に行うのがおすすめです。
5. 体重管理──肥満は尿酸値の大敵
肥満は尿酸の産生を増やし、排泄を妨げます。減量により尿酸値の改善が期待できるとされており、糖尿病・脂質異常症・高血圧の予防とも共通する対策です。院長の著書『血液と体の「あぶら」を落とすスープ』でご紹介しているような、無理のない食生活の工夫から始めてみてください。
「痛くなければ放置」が危険な理由──腎臓と生活習慣病
痛風発作は1〜2週間で自然に治まることが多いため、「治ったから大丈夫」と受診が途切れてしまいがちです。しかし、高尿酸血症を放置すると、痛みのないところで次のような問題が進むことがあります。
| 合併症 | 内容 |
|---|---|
| 腎障害(痛風腎) | 尿酸の結晶が腎臓に沈着し、腎機能の低下につながることがあります。 |
| 尿路結石 | 尿が濃く酸性に傾くと結石ができやすくなります。夏の脱水はここでもリスクです。 |
| 生活習慣病の合併 | 高尿酸血症の方は、高血圧・糖尿病・脂質異常症・メタボリックシンドロームを合併していることが多く、まとめての管理が大切です。 |
尿酸値は、いわば生活習慣全体を映す鏡です。健診で尿酸値を指摘された方は、血糖値・血圧・コレステロールとあわせてトータルでチェックすることをおすすめいたします。健診結果の見方は「健診でHbA1c・血糖値を指摘されたら」の記事もご参考ください。
受診の目安と、当院でできること
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受診をおすすめするチェックリスト □ 足の親指の付け根などが急に腫れて痛んだことがある □ 健診で尿酸値7.0mg/dL超を指摘された(放置している) □ 尿酸値に加えて、血圧・血糖・コレステロール・肝機能も引っかかった □ ほぼ毎日飲酒する、清涼飲料水をよく飲む、体重が増えてきた □ 過去に尿路結石を経験したことがある |
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ポイント|竹内内科小児科医院の高尿酸血症・痛風診療 ① 代謝内科の専門性:糖尿病・代謝内科を専門とする院長が、尿酸値を血糖・血圧・脂質とあわせて一体的に管理いたします。 ② 発作時も当日ご相談を:痛風発作の激痛は早めの治療開始が大切です。WEB予約・WEB問診をご活用ください。 ③ 生活指導を重視:お酒との付き合い方、食事、水分のとり方まで、続けられる形でご提案いたします。 ④ 平日19時まで・土曜午前も診療:お仕事帰りや週末に、田園調布・多摩川エリアでご相談いただけます。 |
五良会グループでは、田園調布の竹内内科小児科医院と港区の五良会クリニック白金高輪が連携し、生活習慣病の管理から精密検査まで多角的にサポートしております。患者さまの転居やライフスタイルの変化に合わせて、同じグループ内で継続診療が受けられる体制を整えております。
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参考文献
- 日本痛風・尿酸核酸学会 ガイドライン改訂委員会編. 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版[2022年追補版]. 診断と治療社; 2022.
- 日本痛風・尿酸核酸学会「ガイドライン」 https://www.tukaku.jp/guideline/(2026年7月閲覧)
- Mindsガイドラインライブラリ「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版」 https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00476/(2026年7月閲覧)
- 公益財団法人痛風・尿酸財団「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン ダイジェスト版」 https://www.tufu.or.jp/pdf/guideline_digest.pdf(2026年7月閲覧)
竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将
日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医・日本旅行医学会認定医