【院長 五藤良将】フルミスト点鼻の注意点Q&A|禁忌・喘息・ゼラチン・卵アレルギー・妊娠中のご家族・赤ちゃんのきょうだいまで添付文書と小児科学会見解で解説【田園調布・多摩川】

フルミスト点鼻の注意点Q&A

皆さま、こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。

今シーズンは8月末にインフルエンザが流行入りし、当院でも10月に入ってからフルミスト点鼻(経鼻弱毒生インフルエンザワクチン)のご予約が続いています。注射が苦手なお子さんでも受けやすいワクチンですが、小児科の外来では、予約の前後に次のようなご質問を多くいただきます。

  • 「禁忌(接種できない人)は誰ですか?」
  • 「ゼラチンや卵のアレルギーがあると受けられませんか?」
  • 「喘息で吸入薬を使っていますが、コントロール良好なら大丈夫ですか?」
  • 「母親が妊娠中です。上の子(5歳)は受けても問題ありませんか?」
  • 「生後6か月の弟がいる5歳の兄に、点鼻をしても大丈夫ですか?」
  • 「注射より、接種後に風邪をひきやすくなりますか?」

今回は、フルミスト点鼻液の添付文書(2026年8月改訂 第6版)と、日本小児科学会「経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの使用に関する考え方」第2版(2026年9月2日改訂)の記載を軸に、これらのご質問にQ&A形式でお答えいたします。日本の添付文書・学会に書かれていることと、米国など海外の基準は、混同しないよう分けて記載しました。

フルミストと注射の違い・今シーズンの接種時期は「フルミスト点鼻と注射ワクチン、今年は「いつ・どちらを」受けるべき?」で、大田区の助成と当院の料金は「大田区インフルエンザ助成と実質負担額・家族割」で解説しています。本記事は、その次に多い「うちの子は受けて大丈夫?」という疑問に絞った内容です。

先に結論|この記事の答えを5行で

✓ 禁忌は6項目。ゼラチンで禁忌になるのは「フルミストの成分でアナフィラキシーを起こしたことが明らかな方」です。軽い症状だけで一律に禁忌にはなりません。

✓ 卵アレルギーは「要注意」、解熱鎮痛薬(サリチル酸系など)は「併用注意」で、いずれも禁忌ではありません。

✓ 喘息は禁忌ではなく「要注意」。ただし学会は、特に重度の喘息には注射(不活化ワクチン)を推奨しています。

✓ お母さんが妊娠中でも、接種を受けるお子さん本人が妊娠中でなければ禁忌には当たりません。生後6か月の弟・妹がいる場合も「接種不可」の記載はありませんが、注射も同等に推奨される選択肢です。

✓ 接種後は鼻水・鼻づまり・咳など風邪に似た症状が出やすいワクチンです(国内試験で鼻閉・鼻漏59.2%)。「風邪をひきやすくなる」という記載はありません。

五藤 良将

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竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将

日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医・日本旅行医学会認定医
この記事は五藤良将が執筆・監修し、内容に責任を持っています。

1. フルミストの基本(効果・対象年齢・しくみ)

Q1. フルミストはどんなワクチンですか?

A. 鼻の中に噴霧する弱毒生ワクチンです。病原性を弱めたインフルエンザウイルスが鼻やのどの粘膜で増え、自然にかかったときに近い免疫(粘膜の免疫と全身の免疫)をつくることが期待されます。

対象は2歳以上19歳未満、接種は1シーズン1回(左右の鼻腔に0.1mLずつ、合計0.2mL)です。2023年3月27日に国内で製造販売承認を取得し、2024年10月に発売、2024/25シーズンから接種が始まりました。13歳未満のお子さんが注射を選ぶと2回接種になるのに対し、フルミストは年齢を問わず1回で完了します。

メカニズム図解|鼻のワクチンが「風邪っぽさ」や「検査陽性」を起こす理由

1 鼻の粘膜に噴霧:ワクチンウイルスは低温(鼻の中の温度)でよく増え、体温の高い肺では増えにくいよう設計されています(低温馴化)。
2 鼻・のどで少し増える:このため鼻水・鼻づまり・のどの痛みなど、風邪に似た症状が出やすくなります。
3 分泌物にウイルスが出る:接種後しばらくは鼻水にワクチンウイルスが含まれるため、迅速検査が陽性になったり、周囲にうつったり(水平伝播)することがあります。
4 粘膜と全身の免疫ができる:ウイルスの入り口である鼻・のどの粘膜(IgA抗体)と、血液中の抗体・細胞性免疫の両方が誘導されます。

用語解説|弱毒生ワクチン(LAIV)

生きたウイルスを、病気を起こしにくいよう弱めて作ったワクチンです。英語の略称はLAIV(Live Attenuated Influenza Vaccine)。自然感染に近い免疫がつく一方、免疫が極端に低下している方には使えません。これに対し、従来の注射は感染性をなくしたウイルス成分で作る不活化ワクチン(IIV)です。

Q2. 注射のインフルエンザワクチンと、効果はどちらが高いですか?

A.「どちらが高い」とは言えません。日本小児科学会は第2版で、注射(不活化インフルエンザHAワクチン)とフルミストの間に、インフルエンザの罹患予防効果の明確な優位性は確認されていないとしており、2歳以上19歳未満では両者を同等に推奨しています。

国内の第III相試験(2016/17シーズン、2歳以上19歳未満の910例、プラセボ対照)では、インフルエンザ発症の相対リスク減少率は28.8%(95%信頼区間 12.5〜42.0)でした。この試験の流行株の約83%はA/H3N2で、A/H3N2に対しては28.0%でしたが、A/H1N1とB型への有効性は確認できていません。国内では、注射との直接比較試験は行われていません。

読み方のポイント

数値は試験が行われたシーズンの流行株に大きく左右されます。「鼻のワクチンのほうが強い」という位置づけではなく、注射を避けられること・1回で済むことが最大の利点と考えるのが適切です。

Q3. なぜ2歳未満と19歳以上は対象外なのですか?

A. 2歳未満は、海外の臨床試験で接種後の入院や喘鳴(ゼーゼーする呼吸)のリスクが増えたとの報告があり、日本では適応がありません(添付文書9.7)。上限の「19歳未満」は国内の承認範囲です。米国など海外では49歳まで承認されている国もありますが、日本の大学生(19歳以上)や保護者の方は対象外で、注射のワクチンになります。

2. 接種できない人(禁忌)と、慎重に判断する人

Q4. 禁忌(接種できない人)は誰ですか?

A. 添付文書では「接種不適当者」として、次の6項目が定められています。

重要|フルミストの接種不適当者(禁忌)

① 明らかな発熱がある方(目安は通常37.5℃以上)

② 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな方

③ フルミストの成分で、アナフィラキシーを起こしたことが明らかな方

④ 明らかに免疫機能に異常のある病気がある方、または免疫を抑える治療を受けている方

⑤ 妊娠していることが明らかな方

⑥ その他、予防接種を行うことが不適当な状態にある方

あわせて、経口・注射の副腎皮質ステロイド剤(プレドニゾロンなど)や免疫抑制剤(シクロスポリン、タクロリムスなど)を使っている方は「併用禁忌」です。特に長期・大量に使っている方、使用を中止してから6か月以内の方は、ワクチンウイルスの感染が強まったり長引いたりするおそれがあるとされています。添付文書の記載は「経口剤、注射剤」で、吸入ステロイドは併用禁忌には含まれていませんが、お使いの薬は種類を問わず必ず診察時にお伝えください。

用語解説|「接種不適当者」と「接種要注意者」

① 接種不適当者(禁忌):そのワクチンを受けることが適当でない方です。

② 接種要注意者:接種の可否を慎重に判断し、十分に説明して同意を得たうえで、注意して接種する方です。「要注意=接種できない」という意味ではありません。

Q5. 禁忌ではないけれど、慎重に判断される人はどんな人ですか?

A. 添付文書で「接種要注意者」とされているのは、次の方です。

  • ゼラチンを含む製剤や食品で、ショックやアナフィラキシーなどの過敏症を起こしたことがある
  • 心臓・血管、腎臓、肝臓、血液の病気や、発育障害などの基礎疾患がある
  • 予防接種のあと2日以内に発熱した、または全身の発疹などアレルギーを疑う症状が出たことがある
  • けいれんを起こしたことがある
  • 過去に免疫不全と診断された、または近親者に先天性免疫不全症の方がいる
  • 重度の喘息がある、または喘鳴(ゼーゼー)の症状がある
  • フルミストの成分、または鶏卵・鶏肉・その他鶏由来のものにアレルギーを起こすおそれがある

Q6. 日本小児科学会が「注射を勧める」のはどんな人ですか?

A. 学会の第2版では、次の方には注射(不活化インフルエンザHAワクチン)のみを推奨しています。

学会の推奨 対象となる方
注射のみを推奨 生後6か月〜2歳未満、19歳以上/免疫不全の方、無脾症の方/妊婦/ミトコンドリア病の方/ゼラチンアレルギーのある方/中枢神経系の解剖学的バリアーの破綻がある方(人工内耳を入れている場合など)
注射の使用を推奨 特に重度の喘息の方/授乳中の方/周囲に免疫不全の方がいる場合
同等に推奨 上記に当てはまらない2歳以上19歳未満の方(注射・フルミストのどちらでもよい)

3. ゼラチン・卵・サリチル酸系の薬の注意

誤解されやすいポイント

ゼラチン・卵・解熱鎮痛薬は、それぞれ扱いが違います。「アレルギーがある=接種不可」ではありません。下の表で整理します。

項目 禁忌(接種不適当者) 要注意(慎重に判断) 併用注意
ゼラチン フルミストの成分(ゼラチンを含む)でアナフィラキシーを起こしたことが明らかな方 ゼラチン含有製剤・食品で、ショックやアナフィラキシーなどの過敏症の既往がある方 なし
卵・鶏肉・鶏由来 該当なし 鶏卵・鶏肉・その他鶏由来のものにアレルギーを起こすおそれがある方 なし
サリチル酸系の薬(アスピリン等)、ジクロフェナク、メフェナム酸 該当なし 該当なし ライ症候群のおそれがあるため併用に注意

Q7. ゼラチンアレルギーには注意が必要と聞きました。本当ですか?

A. 本当です。フルミストには安定剤として精製ゼラチンが含まれています(添付文書3.2・8.3)。ゼラチン含有製剤の接種でショックやアナフィラキシーが起こったとの報告があるため、問診を十分に行い、接種後も観察します。

ただし、添付文書上の禁忌になるのは「フルミストの成分でアナフィラキシーを起こしたことが明らかな方」です。ゼラチンを含む食品や製剤で過敏症を起こした既往がある方は「要注意」にあたり、診察で個別に判断します。

一方、日本小児科学会は、ゼラチンアレルギーのある方には注射(不活化ワクチン)のみを推奨しています。ゼラチンはゼリーやグミ・マシュマロなどのお菓子、カプセル剤、一部のワクチンにも使われているため、当院の問診では食べ物や薬の反応歴を幅広くうかがいます。

Q8. 卵アレルギーがあると受けられませんか?

A. 禁忌ではありません。フルミストはSPF発育鶏卵で培養して製造されるため、添付文書では「鶏卵、鶏肉、その他鶏由来のものにアレルギーを呈するおそれのある者」を要注意としています。

参考までに、米国では「卵アレルギーのみの場合は、重症度に関係なく、特別な安全対策は不要」とされています(日本小児科学会が第1版で紹介)。ただし、これは米国の考え方です。卵でアナフィラキシーを起こしたことがあるなど、重い反応の既往がある場合は、当院ではアレルギー科の視点から経過をうかがい、慎重に判断します。

Q9. サリチル酸系の薬を飲んでいると禁忌ですか? これもアレルギーの話ですか?

A. 禁忌ではなく、アレルギーの話でもありません。これは「飲んでいる薬との組み合わせ」の注意で、添付文書では併用注意に分類されています。

対象は、サリチル酸系医薬品(アスピリン、サリチル酸ナトリウムなど)、ジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸です。これらはライ症候群やインフルエンザ脳炎・脳症の重症化との関連性を示す報告があり(作用機序は不明)、ワクチンウイルスとの併用でライ症候群があらわれるおそれがあるとされています。市販の解熱鎮痛薬・かぜ薬にも含まれる成分があるため、接種前に服用中の薬をすべてお伝えください。お子さんの解熱には、一般にアセトアミノフェン(カロナールなど)が使われます。

用語解説|ライ症候群・アナフィラキシー

① ライ症候群:インフルエンザや水痘などのウイルス感染症のあとに、急性の脳症と肝臓の障害を起こす、まれな病気です。小児に多いとされています。

② アナフィラキシー:原因物質に触れたあと短時間で全身に起こる強いアレルギー反応です。じんましん、息苦しさ、唇や顔の腫れ、血圧低下などが重なって起こり、緊急の対応が必要になることがあります。「少し湿疹が出た」「口の中がかゆくなった」程度の反応とは区別して考えます。

Q10. ちょっとしたアレルギー症状があっただけでも、禁忌になりますか?

A. なりません。禁忌の条件は「フルミストの成分でアナフィラキシーを起こしたことが明らかな方」です。軽い症状の既往だけで、一律に接種できなくなるわけではありません。

ただし、ゼラチンや卵(鶏由来)のアレルギーが疑われる場合は「要注意」にあたります。どんな症状が、何を食べた(使った)あとに、どのくらいの時間で出たのか。診察で丁寧にうかがい、フルミストか注射かを一緒に決めます。

4. 喘息・ゼーゼーしやすいお子さんの場合

Q11. 重症の喘息は禁忌ですか?

A. 禁忌ではありません。添付文書では「重度の喘息を有する者又は喘鳴の症状を呈する者」を接種要注意者に分類しています(9.1.6)。鼻にワクチンを噴霧するため、気道の状態に注意が必要だからです。

日本小児科学会は、第1版(2024年9月)で「特に喘息患者には不活化インフルエンザHAワクチンの使用を推奨」としていました。2026年9月の第2版では「特に重度の喘息患者には不活化インフルエンザHAワクチンの使用を推奨」という表現に改められています。

Q12. どこからが「重度」の喘息ですか? 線引きはありますか?

A. 添付文書にも学会の見解にも、数値などの明確な線引きはありません。個々のお子さんの状態をみて、医師が判断します。参考になる海外の基準として、米国では次のように定めています(日本小児科学会が第1版で紹介、および米国の問診票より)。

  • 2〜4歳で、喘息がある、または過去12か月に喘鳴を指摘されたことがある場合は、フルミスト(LAIV)を推奨しない
  • 5歳以上の喘息は「注意事項(precaution)」とし、接種するかどうかは医師の判断に委ねる

米国の基準は日本の禁忌ではありません

上記の米国の基準は、日本の添付文書にそのまま書かれているものではありません。日本では「重度の喘息または喘鳴の症状」が要注意とされています。

当院の診察では、次のような点を確認します。

確認すること フルミストを見送り、注射を勧める目安の例
最近の発作・入院・救急受診 ここ数か月で発作による受診・入院がある
全身性ステロイド(内服・注射)の使用 使用中、または中止から6か月以内(併用禁忌に該当しうる)
接種当日の咳・喘鳴 聴診でゼーゼー(喘鳴)が聞こえる、咳が続いている
年齢と普段の治療内容(吸入ステロイド・ロイコトリエン受容体拮抗薬など) 2〜4歳でゼーゼーを繰り返している/長期管理薬を増やしたばかり

Q13. 喘息はあるけれど、コントロール良好です。フルミストを受けても大丈夫ですか?

A. 禁忌ではないため、条件が整えば接種できることもあります。症状が安定していること、最近の発作や喘鳴がないことなどを確認したうえで、医師が判断します。

ただし、学会は喘息のあるお子さん(特に重度の方)に注射を推奨しています。「コントロール良好」でも、迷うときは注射が無難な選択です。注射とフルミストは2歳以上19歳未満では同等に推奨されていますので、無理にフルミストを選ぶ必要はありません。当院に喘息で通院中のお子さんは、ふだんの吸入指導・ピークフローの経過を踏まえて一緒に決めましょう。

Q14. 2〜4歳で、以前に何度かゼーゼーしたことがあります。フルミストは受けられますか?

A. 添付文書では「喘鳴の症状を呈する者」が要注意です。米国では、2〜4歳で喘息がある、または過去12か月に喘鳴があった場合は推奨されていません。この年齢でゼーゼーを繰り返している場合は、注射をお勧めすることが一般的です。受診時に、いつ・何回ゼーゼーしたか、受診や治療(吸入・内服)の有無をお知らせください。

5. 妊娠中のお母さん・赤ちゃんのきょうだい・ご家族の免疫

Q15. お母さんが妊娠中です。5歳の子にフルミストを受けさせても大丈夫ですか?

A. 接種を受けるのは5歳のお子さんなので、禁忌には当たりません。添付文書の禁忌は「接種を受ける本人が妊娠していることが明らかな場合」です。今回確認した添付文書と学会の見解に、「同居の家族が妊娠中だから接種できない」という記載はありませんでした。

一方、フルミストは生ワクチンで、接種後1〜2週間は鼻やのどからワクチンウイルスが出て、他の人にうつる可能性(水平伝播)があります。気になる場合は、注射を選ぶことも可能です。

ポイント|妊娠中のお母さんご自身は?

お母さん本人はフルミストの対象外(妊娠は禁忌)です。妊婦さんには注射のインフルエンザHAワクチンが推奨されています。日本小児科学会は、妊娠全期間で接種可能とし、母体の重症化予防とあわせて、生後早期の赤ちゃんの発症予防にも役立つとしています。

当院は内科・小児科を併設していますので、お子さんのフルミストと、お母さんの注射を同じ日にまとめてご予約いただけます。

用語解説|水平伝播(すいへいでんぱ)

ワクチンを受けた人から、周囲の人へワクチンウイルスが広がることです。重い病気との関連は報告されていませんが、免疫が極端に低下している方への接触には配慮が必要です。

Q16. 生後6か月の弟がいます。5歳の兄にフルミストをしても大丈夫ですか?

A. 添付文書・学会の見解に、「乳児と同居している場合は接種不可」という記載はありません。そのうえで、次の点を知っておいてください。

  • フルミストを受けたお子さんは、鼻やのどの分泌物にワクチンウイルスを最長3〜4週間排出する可能性があります(学会第1版)。添付文書でも、接種後4週間以内はワクチンウイルスが残存している可能性があるとされています。
  • 添付文書が接触を避けるよう求めているのは、「接種後1〜2週間、重度の免疫不全者との密接な関係」です。授乳中の方については、乳児との接触を可能な限り控えるよう記載があります。
  • フルミストは2歳以上が対象ですが、弟さんは生後6か月以降なら、注射のインフルエンザワクチンを受けられます。当院では生後6か月からの注射に対応していますので、ごきょうだいそろって同じ日に予防する、という選択肢もあります。

接種する場合は、接種後1〜2週間、手洗いの徹底、咳エチケット、タオルや食器・おもちゃの共用を避けるなどの配慮をお願いいたします。判断に迷うときは、ご家庭の状況を診察でうかがい、注射とフルミストのどちらがご家族に合うかを一緒に考えます。

Q17. 家族に免疫が低下している人(がん治療中、移植後、免疫抑制薬の使用中など)がいる場合は?

A. 添付文書は、接種後1〜2週間は重度の免疫不全者との密接な関係を可能な限り避けるよう求めています。日本小児科学会は、周囲に免疫不全の方がいる場合は注射を推奨しています。同居のおじいさま・おばあさまが抗がん剤治療中など、ご家庭に重い免疫不全の方がいるときは、注射を選ぶのが安心です。当院では訪問診療も行っていますので、ご家族の治療状況も含めてご相談ください。

Q18. 思春期の女の子が受ける場合、妊娠について注意はありますか?

A. あります。添付文書には、妊娠可能な女性では「あらかじめ約1か月間避妊した後に接種すること、およびワクチン接種後約2か月間は妊娠しないよう注意させること」と記載されています。該当しそうな場合は、診察時にお伝えください。

Q19. 接種後、保育園・幼稚園・学校は休ませるべきですか?

A. 休ませる必要はありません。日本小児科学会の第2版には、フルミスト接種後に登園や登校を制限する必要はないことが明記されています。ただし、接種当日は激しい運動を避け、発熱など体調の変化があれば受診してください(添付文書8.4)。

6. 副反応と「風邪をひきやすくなる?」

Q20. 主な副反応は何ですか?

A. 国内の試験では、副反応は67.9%(413/608例)にみられました。主なものは次のとおりです。

頻度 症状
10%以上 鼻閉・鼻漏(59.2%)、咳嗽(27.8%)、口腔咽頭痛(17.9%)、頭痛(11.2%)
1〜10%未満 鼻咽頭炎、食欲減退、下痢、腹痛、発熱、活動性低下・疲労・無力症、筋肉痛、インフルエンザ
1%未満 発疹、鼻出血、胃腸炎、中耳炎
頻度不明 顔面浮腫、じんま疹、ミトコンドリア脳筋症の症状悪化、倦怠感。重大なものとしてショック、アナフィラキシー

海外では、市販後に神経系障害(ベル麻痺を含む脳神経障害、脳炎、けいれん、ギラン・バレー症候群)や血管炎が報告されています(添付文書15.1.1)。頻度はまれです。

Q21. 注射よりも、接種後に風邪をひきやすくなりますか?

A. 風邪にかかりやすくなる、という記載は添付文書にも学会の見解にもありません。ただし、鼻の粘膜でワクチンウイルスが増えるため、鼻水・鼻づまり・咳・のどの痛みなど、風邪によく似た症状が出やすいワクチンです(国内試験で鼻閉・鼻漏59.2%)。

これは「ワクチンが働いた結果の反応」であることが多く、数日で軽快するのが一般的です。ただし、症状が強い、熱が続く、ぐったりしている、ゼーゼーするといった場合は、別の病気が重なっている可能性もありますので受診してください。

Q22. 接種後にインフルエンザの迅速検査を受けたら、陽性になることはありますか?

A. あります。添付文書には、接種後一定期間はフルミスト由来のワクチンウイルスがインフルエンザの迅速検査で陽性反応を示す可能性があると記載されています。学会も、接種後数日のインフルエンザ様症状で検査を受け、ワクチン由来ウイルスが検出されて「インフルエンザ」と診断される可能性があると注意喚起しています。接種後に受診するときは、他院であっても必ず「フルミストを接種した日」をお伝えください。当院で接種された方は、接種歴をカルテで確認したうえで判断いたします。

Q23. 接種後、すぐに受診すべき症状はありますか?

重要|すぐに受診・119番を考えるサイン

・じんま疹、全身のかゆみ

・息苦しい、ゼーゼーする、声がかすれる

・唇や顔、まぶたの腫れ

・冷や汗、ぐったりしている、意識がもうろうとする

・強い腹痛や繰り返す嘔吐

アナフィラキシーなどの重い副反応のサインです。予防接種のあとは30分程度、院内または近くで様子をみることをお勧めしています。

7. 他のワクチン・抗インフルエンザ薬との関係

Q24. MRワクチンなど、他のワクチンとはどのくらい間隔をあければいいですか?

A. 国内の添付文書には、他の生ワクチンとの接種間隔を制限する記載はありません。日本小児科学会も同様に説明しています。また、医師が必要と認めた場合は、他のワクチンと同時接種もできます(添付文書7.1)。

国内では、2020年10月の制度改正で、「27日以上あける」というルールは注射の生ワクチン同士(MR、水痘、おたふくかぜなど)の組み合わせにのみ残りました。フルミストは経鼻の生ワクチンのため、注射の生ワクチンとの間にこのルールはかかりません。

米国の基準とは異なります

米国では、同時接種を除き、フルミスト(LAIV)と他の生ワクチンの間は4週間以上あけるとしています(日本小児科学会が紹介)。英国では間隔は不要です。保守的に運用するなら「同じ日に同時接種」か「4週間以上あける」のいずれかが無難です。

MR2期(年長さん)などの定期接種は、決められた期間内に受けることが大切です。フルミストを理由に遅らせる必要はありません。当院では母子手帳で接種歴を確認し、スケジュールを一緒に組み立てます。

Q25. タミフルなどの抗インフルエンザ薬を使った場合、フルミストはいつ受けられますか?

A. 添付文書は、オセルタミビル(タミフル)、ザナミビル(リレンザ)、ラニナミビル(イナビル)などの抗インフルエンザウイルス剤を併用注意としています。ワクチンウイルスの増殖が抑えられ、フルミストの効果が弱まる可能性があるためです。添付文書には、具体的な日数の記載はありません。

参考として、米国では次の目安が示されています(日本小児科学会が紹介)。直近でこれらの薬を使った場合は、フルミストの接種を推奨していません。

抗インフルエンザ薬 米国でフルミストを推奨しない期間(参考)
オセルタミビル(タミフル)、ザナミビル(リレンザ) 過去48時間以内
ペラミビル(ラピアクタ) 過去5日以内
バロキサビル(ゾフルーザ) 過去17日以内

きょうだいがインフルエンザにかかり、予防投与を受ける可能性がある方や受験生は、先にワクチンを済ませておくことをお勧めします。当院ではゾフルーザ・タミフル・イナビルを院内処方していますので、薬を使った・使う予定がある場合は、予約時または診察時にお知らせください。

8. 当院での料金・大田区助成・ご予約

Q26. 竹内内科小児科医院での料金と、大田区の助成を教えてください。

A. 当院では、注射ワクチン(生後6か月から)とフルミスト(2歳以上19歳未満)の両方をご用意しています。大田区にお住まいのお子さんは、区の助成が窓口でそのまま差し引かれます(9月24日〜2027年1月31日の接種が対象、大田区内の協力医療機関での接種に限ります)。

ワクチン 当院の接種費用 大田区のお子さんの実質負担
フルミスト点鼻(2歳〜19歳未満・1回) 7,500円 7,500円 − 助成4,000円 = 3,500円(1回で完了)
注射(13歳未満は2回) 4,000円/回 4,000円 − 助成2,000円 = 2,000円/回
保護者など大人の注射(ご家族と一緒の場合) 家族割 1名3,500円 —

※税込。家族割はフルミストには適用されません。料金・助成の詳細は「大田区インフルエンザ助成と実質負担額・家族割」をご覧ください。

フルミストは「リクエスト予約制」です

フルミストは有効期間が短く(15週間)、在庫を確認したうえで予約を確定するため、WEB予約は診療日の前日までのリクエスト予約とさせていただいております。当日のご希望は、お電話(03-3721-5222)で空き状況をご確認ください。予約枠がなくなり次第、受付を終了します。

アレルギーや喘息があって「受けられるか分からない」という方は、まず診察(相談)のご予約でも構いません。当日の診察で、注射に切り替えることも可能です。

9. 受診前チェックリストと院長コメント

フルミスト受診前チェックリスト

□ 母子健康手帳(これまでの接種歴の確認に使います)

□ 大田区民であることが確認できるもの(保険証・マイナンバーカード・医療証など)

□ 食べ物・薬のアレルギー歴(特にゼラチン・卵・鶏肉)と、そのときの症状

□ 喘息・ゼーゼーの経過(最近の発作、使っている吸入薬・内服薬)

□ 服用中の薬(ステロイドの内服・注射、解熱鎮痛薬、抗インフルエンザ薬)

□ ご家族の状況(妊娠中の方、乳児、免疫が低下している方の有無)

□ 最近受けた他のワクチン(日付)

□ 当日の体温(37.5℃以上の発熱があれば日程変更を)

▶ インフルエンザワクチン予診票(PDF)はこちらから印刷できます

事前にご記入いただくと、当日の受付がスムーズです(来院時の記入も可能です)。

院長 五藤良将より

フルミストは、「痛くないから」という理由だけで選ぶワクチンではなく、お子さんの持病やご家族の状況に合わせて選ぶワクチンだと考えています。「禁忌」という言葉は強く響きますが、実際に接種できなくなるのは、添付文書に定められた限られた条件の方です。アレルギーや喘息があるというだけで、あきらめる必要はありません。一方で、迷いがあるときは、注射も同等に推奨されている確かな選択肢です。当院は内科と小児科が同じ窓口ですので、お子さんのこれまでの経過と、ご家族の事情をまとめてうかがい、一緒に最適な方法を選びましょう。

まとめ|この記事のポイント

✓ 禁忌は6項目。ゼラチンで禁忌になるのは、成分でアナフィラキシーを起こしたことが明らかな場合に限られます。

✓ ゼラチンや卵のアレルギーは「要注意」、サリチル酸系などの解熱鎮痛薬は「併用注意」。学会はゼラチンアレルギーには注射を推奨しています。

✓ 喘息は禁忌ではなく要注意。特に重度の喘息には注射を推奨。数値の線引きはなく、医師が判断します。

✓ お母さんが妊娠中でも、接種を受けるお子さんが妊娠中でなければ禁忌には当たりません。乳児のきょうだいは、生後6か月から注射で一緒に予防できます。

✓ 接種後の風邪に似た症状は、ワクチンウイルスが鼻の粘膜で働くため。迅速検査が陽性になることもあるので、受診時は申告を。

✓ 国内の添付文書上、他の生ワクチンとの間隔に制限はありません。抗インフルエンザ薬は併用注意です。

🏥 竹内内科小児科医院で相談するという選択(当院が選ばれる理由)

ここまでお読みいただいた「注射にするか、フルミストにするか」の判断は、お子さんの持病やアレルギー、ご家族の状況によって変わります。田園調布・多摩川の地域で、当院は次のような体制でご相談をお受けしています。

理由① 注射とフルミストの両方から選べる

注射ワクチン(生後6か月〜)と経鼻のフルミスト(2歳〜19歳未満)の両方を取り扱っています。診察の結果、当日に注射へ切り替えることもできます。

理由② 内科・小児科・アレルギー科を標榜

喘息やアレルギーの既往、基礎疾患の有無を確認しながら、接種の可否を医師が判断します。小児かかりつけ診療料の届出医療機関です。

理由③ ご家族そろって、1回の来院で

お子さんのフルミスト、乳児のきょうだいや妊娠中のお母さんの注射を同じ日にまとめて接種できます。大人の注射は家族割(1名3,500円)。

理由④ 大田区の助成を窓口でそのまま

大田区のこども助成に対応し、助成額はお会計時に差し引かれます。フルミストは実質3,500円、注射は実質2,000円/回です。

理由⑤ 万一かかったときも、同じ医院で

インフルエンザの検査から治療まで対応し、抗インフルエンザ薬(ゾフルーザ・タミフル・イナビル)は院内でお渡しできます。接種歴をカルテで把握したうえで検査結果を判断します。

理由⑥ 土曜午前も診療・多摩川駅徒歩5分

受付は午前12時まで/午後19時まで、土曜は午前のみ。日曜・祝日をご希望の方は、グループの五良会クリニック白金高輪(土日祝10:00〜15:00診療)もご案内できます。

「うちの子はフルミストで大丈夫?」と迷ったら、まずご相談ください。

フルミストは前日までのリクエスト予約制/受付:午前9:00〜12:00・午後15:30〜19:00(土曜は午前のみ・日祝休診)

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五良会グループでは、田園調布の竹内内科小児科医院と港区の五良会クリニック白金高輪が連携し、お子さんからご高齢の方まで、ご家族全員のワクチン接種と感染症診療を多角的にサポートしております。白金高輪は土・日・祝日も診療しており、平日に通院しにくいご家族は、同じグループ内で接種の日程を調整いただけます。患者さまの転居やライフスタイルの変化に合わせて、同じグループ内で継続診療が受けられる体制を整えております。

参考文献

  1. 第一三共株式会社「フルミスト点鼻液 添付文書(2026年8月改訂 第6版)」PMDA 医療用医薬品情報 https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/430574_631370AR1026_1_06(2026年10月閲覧)
  2. 第一三共株式会社「フルミスト点鼻液 医薬品リスク管理計画書(RMP)」2026年7月2日提出版
  3. PMDA「ワクチン接種を受ける人へのガイド フルミスト点鼻液」(2024年9月更新)
  4. 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会「経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの使用に関する考え方 第2版」2024年9月2日/2026年9月2日改訂 https://www.jpeds.or.jp/society-activities/pediatric-medical-care/vaccination/opinion/20607.html(2026年10月閲覧)
  5. 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会「経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの使用に関する考え方 第1版」2024年9月2日
  6. 日本小児科学会「妊婦への接種が推奨または考慮されるワクチン」
  7. 第一三共株式会社「経鼻弱毒生インフルエンザワクチン『フルミスト点鼻液』製造販売承認取得のお知らせ」2023年3月27日/「同 新発売のお知らせ」2024年10月4日
  8. 大田区「こどものインフルエンザ予防接種費用を一部助成します(任意接種)」https://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/hoken/yobou_sessyu/kodomo/kodomo_infuru_yobou_sessyu_josei.html(2026年10月閲覧)
  9. Immunize.org. Screening Checklist for Contraindications to Live Attenuated Intranasal Influenza Vaccination(米国)

※本記事は2026年10月20日時点の情報に基づきます。個々のお子さんの接種の可否は、診察のうえで医師が判断します。

医療法人社団 五良会・正友会 理事長 五藤 良将

AUTHOR / SUPERVISOR

竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将(ごとう よしまさ)

  • 防衛医科大学校 医学部 卒業(27期)。防衛医科大学校病院、自衛隊中央病院、自衛隊横須賀病院ほかで臨床経験を積む
  • 医療法人社団 五良会 理事長/医療法人社団 正友会 理事長/竹内内科小児科医院 院長
  • 日本内科学会 認定内科医/日本抗加齢医学会 専門医/日本糖尿病協会 登録医/日本旅行医学会 認定医
  • 日本温泉気候物理医学会 温泉療法専門医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/難病指定医
  • 所属学会:日本内科学会、日本糖尿病学会、日本アレルギー学会、日本東洋医学会、日本リウマチ学会、日本外来小児科学会、日本抗加齢医学会、日本睡眠学会、日本美容内科学会、日本旅行医学会 ほか
  • 著書『あぶら落とすスープ』(アスコム)。NHK・TBS・フジテレビ・日本テレビ・テレビ朝日などメディア出演多数

執筆・監修責任について

本記事は、五藤良将が添付文書(PMDA)、日本小児科学会の見解、大田区など公的機関の発表を確認したうえで執筆・監修しています。内容は公開時点の情報に基づくものであり、添付文書の改訂や学会見解の更新があった場合は、こちらで記事を更新します。
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個々の患者さんの診断・治療に代わるものではありません。症状や接種のご判断については、必ず医師にご相談ください。記載内容について気になる点がございましたら、竹内内科小児科医院(03-3721-5222)までお知らせください。

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