健康診断の結果、こんな数値で困っていませんか?|健診結果の見方と、再検査が必要なライン【院長解説】

毎年の健康診断・人間ドックの結果が届くと、「要再検査」「要精密検査」「要医療」といった判定や、★印・H(高値)・L(低値)マークに目を奪われ、不安になられる方が大変多くいらっしゃいます。田園調布の地域でも「この数値、放っておいて大丈夫ですか?」というご相談を毎日のように頂戴いたします。

本記事では、健診結果でよくチェックされる項目のうち、特にご質問が多い肝機能・脂質・血糖・腎機能・血圧・便潜血の7つを取り上げ、「どのラインを超えたら受診・再検査が必要か」「放置するとどんなリスクがあるか」「当院でできる次の検査」を、最新の各学会ガイドラインに基づいて解説いたします。

2026年4月より、医療法人社団五良会の姉妹院・五良会クリニック白金高輪 院長の玉井博修医師(日本消化器病学会・日本消化器内視鏡学会・日本肝臓学会 専門医・指導医)が、毎週火曜日午前・水曜日終日に当院の消化器内科外来を担当しております。健診後の精密検査も、田園調布のご近所で安心して受けていただける体制が整いました。

健診判定の意味(A〜E)と受診の優先度

多くの健診結果票は、5段階のアルファベット判定で総合所見が記載されています。表現は機関ごとに少し異なりますが、大まかな目安は以下のとおりです。

判定 意味 受診の目安
A 異常なし 来年の健診まで様子見
B 軽度異常/経過観察 気になる項目はご相談を
C 要再検査/要経過観察 3〜6か月以内に受診を推奨
D 要精密検査/要治療 1か月以内に必ず受診
E 治療中/継続加療 主治医の指示どおり継続

「C判定が毎年続く」のはB判定より要注意

単年だけC判定が出るのと、3年連続でC判定が出るのとでは、後者のほうが介入の優先度が高くなります。「毎年同じ指摘なら大丈夫」ではなく、「毎年同じ指摘=慢性的に異常が続いている」と受け止めて、一度かかりつけ医にご相談ください。

肝機能(AST/ALT/γ-GTP)—「脂肪肝」と言われたら

肝機能の主要3項目はAST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPです。それぞれの基準範囲と、受診を検討すべきラインの目安は以下のとおりです(人間ドック学会・日本消化器病学会 MASLD診療ガイドライン2026 などを参考)。

項目 基準範囲(目安) 受診を強く推奨
AST(GOT) 10〜30 U/L 50以上が続く場合
ALT(GPT) 男性10〜30/女性10〜25 U/L 男性40以上・女性30以上(奈良宣言2023)
γ-GTP 男性〜50/女性〜30 U/L 基準上限の2倍超で精査

日本肝臓学会の「奈良宣言2023」では、ALT 30 U/L超を肝疾患スクリーニングのカットオフとして提唱しています。健診で「B判定」相当でも、ALTが30を超えていれば一度かかりつけ医での精査が望ましいということになります。

ポイント|肝機能異常の原因は脂肪肝が最多

日本では成人の約3割が脂肪肝(MASLD=代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)を持つと推計されています。

ALT上昇の最も多い原因が「脂肪肝」で、無症状でも一部はMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)→ 肝硬変・肝細胞がんへ進行します。

脂肪肝と糖尿病・MASLDの関係については、こちらの記事もご参照ください:糖尿病と脂肪肝(MASLD)の深い関係

当院では、肝機能異常を指摘された方に対して、血液検査(HBs抗原、HCV抗体、Fib-4 index計算など)と腹部超音波検査を組み合わせて精査を進めます。専門的判断が必要な場合は、火曜午前・水曜終日の玉井博修医師(日本肝臓学会 専門医・指導医)の外来でじっくりご相談いただけます。

血糖・HbA1c—糖尿病・糖尿病予備群のライン

血糖関連の指標は、空腹時血糖値とHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の2つが基本です。HbA1cは過去1〜2か月の平均血糖を反映する値で、健診当日の食事に影響されにくいのが特徴です。

区分 空腹時血糖 HbA1c(NGSP) 対応
正常 100 mg/dL未満 5.5%以下 経過観察
境界型(予備群) 100〜125 mg/dL 5.6〜6.4% 生活改善+当院相談
糖尿病型 126 mg/dL以上 6.5%以上 速やかに受診・治療開始

HbA1c 5.6〜6.4%の「予備群」は決して安心できる範囲ではありません。日本糖尿病学会の「糖尿病診療ガイドライン2024」でも、予備群の段階から食事・運動・体重管理を始めることで、糖尿病発症リスクを大きく下げられることが示されています。

重要|HbA1c 6.5%以上は「至急」受診を

・自覚症状(口渇・多尿・体重減少)がなくても、放置すれば確実に合併症が進行します

・特に肥満を伴う場合は、脂肪肝・心血管リスクの精査も並行して必要です

・当院は糖尿病内科・代謝内科を標榜しており、院長(日本糖尿病協会登録医)が継続的に治療を担当します

脂質(LDL/HDL/中性脂肪)—心血管リスクの境界

脂質異常症は、心筋梗塞・脳梗塞といった命に関わる血管の病気の最大のリスク因子の一つです。「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」(日本動脈硬化学会)に基づく基準は以下のとおりです。

項目 基準(治療目標は個別判断) 注意するライン
LDLコレステロール(悪玉) 140 mg/dL未満 160以上は要受診
HDLコレステロール(善玉) 40 mg/dL以上 40未満は要相談
中性脂肪(TG) 空腹時150未満/随時175未満 500以上は急性膵炎リスク
Non-HDL-C(総−善玉) 170 mg/dL未満 190以上は要相談

「コレステロールが少し高いだけ」と軽く扱われがちですが、糖尿病・高血圧・喫煙・家族歴(早発冠動脈疾患)などのリスクを併せ持つ場合、同じLDL値でも治療強化のラインが下がります。お一人おひとりの背景に応じた評価が大切ですので、健診結果票を持参のうえご相談ください。

食事を通じた脂質改善に取り組まれたい方には、院長著書『血液と体の「あぶら」を落とすスープ』をベースにした『あぶら落とすスープ』で始める食生活改善の記事もぜひご覧ください。

血圧—家庭血圧と診察室血圧の使い分け

2025年に改訂された日本高血圧学会の「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」に基づく分類です。「家庭血圧」を診断・治療の主軸として位置づけたことが大きな特徴です。

分類 診察室血圧(mmHg) 家庭血圧(mmHg)
正常域血圧 <120/<80 <115/<75
正常高値〜高値 120〜139/80〜89 115〜134/75〜84
高血圧 ≧140/≧90 ≧135/≧85

診察室で測ると高くなる「白衣高血圧」、家でだけ高い「仮面高血圧」を見分けるためには、家庭血圧の記録が極めて重要です。当院では受診のご相談時に、家庭血圧の測定方法と記録のコツも丁寧にお伝えいたします。

腎機能(eGFR・尿蛋白)—静かに進む病気のサイン

腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、自覚症状が出る頃にはかなり機能が落ちていることがほとんどです。慢性腎臓病(CKD)は心血管疾患の独立した危険因子であり、日本人の成人8人に1人が該当するとも言われます。

eGFR(mL/min/1.73㎡) ステージ 対応
≧90 G1(正常〜高値) 蛋白尿なければ経過観察
60〜89 G2(軽度低下) 原因検索
30〜59 G3(中等度低下) かかりつけ医で管理
<30 G4〜G5(高度低下〜末期) 腎臓内科専門医へ

尿蛋白が「±」「+」と出ている場合は、たとえeGFRが正常でもCKDと判定されます。糖尿病・高血圧をお持ちの方は、年1回は必ず腎機能のフォローを受けてください。

便潜血陽性—大腸がん早期発見の最重要サイン

便潜血検査は、便に微量に含まれる血液を化学的に検出する大腸がんスクリーニングです。陽性(+)と判定された場合、約2〜3%の方に大腸がんが、約30〜40%の方に大腸ポリープが見つかるとされています(厚生労働省「がん検診のあり方に関する検討会」報告書)。

重要|便潜血陽性で「痔だから」と自己判断しないこと

・痔があっても大腸がんが「ない」ことの証明にはなりません

・2回法で1回でも陽性なら、必ず大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けてください

・「翌年の再検査でいいや」は最も危険な選択です。陽性反応の翌年検査は推奨されていません

当院で便潜血陽性のご相談を受けた場合、玉井博修医師(日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医)の診察のうえ、姉妹院・五良会クリニック白金高輪での大腸カメラを直接予約いたします。診察した玉井医師ご本人が検査・結果説明まで一貫して担当する体制ですので、初めての方も安心してお任せいただけます。

受診時の持ち物と受診前チェックリスト

健診結果を持って受診される際にお願いしたいこと

□ 健康保険証(マイナ保険証も可)

□ 今年と過去3年分の健診結果票(あれば)

□ お薬手帳・サプリメントリスト

□ 家族歴(糖尿病・高血圧・心筋梗塞・脳卒中・がん)のメモ

□ 家庭血圧の記録(2週間以上の朝晩平均)

□ ご質問事項・気になる症状のメモ

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参考文献

  1. 日本消化器病学会・日本肝臓学会 編. MASLD診療ガイドライン2026(改訂第3版). 南江堂.
  2. 日本肝臓学会「奈良宣言2023」(ALT 30 U/L超を肝疾患スクリーニングのカットオフとして提唱).
  3. 日本糖尿病学会 編. 糖尿病診療ガイドライン2024. 南江堂.
  4. 日本動脈硬化学会 編. 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版.
  5. 日本高血圧学会 編. 高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025).
  6. 日本腎臓学会 編. エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023. 東京医学社.
  7. 厚生労働省「がん検診のあり方に関する検討会」報告書(大腸がん検診の項).
  8. 日本人間ドック・予防医療学会 判定区分(2024年度版).

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