2024年6月に出版いたしました拙著『血液と体の「あぶら」を落とすスープ』(アスコム刊)は、おかげさまで多くの方にお手にとっていただき、発売から2か月で3万部を突破することができました。患者さま、ご家族の皆さま、書店で偶然手にとってくださった皆さまに、心より御礼申し上げます。
本記事では、書籍の核となる考え方——「内臓脂肪・中性脂肪・コレステロールを食事で落とす」という発想を、田園調布の患者さまに改めてご紹介するとともに、特に消化器の不調(胃もたれ・逆流性食道炎・脂肪肝・便通の乱れ)に悩む方へ向けて、無理なく続けられる食事の工夫を解説いたします。
2026年4月より、医療法人社団五良会の姉妹院・五良会クリニック白金高輪 院長の玉井博修医師(日本消化器病学会 専門医・指導医)が当院の消化器内科外来も担当しております。「食事を変えてみたけれど症状が良くならない」「数値が下がらない」という方は、玉井医師の外来で内視鏡や精密検査まで含めて評価することも可能です。
目次
なぜ「スープ」なのか—消化器に優しい食事の理由
食事改善というと「サラダ」「玄米」「ナッツ」といった硬い食材を想像される方が多いのですが、実は「胃腸の調子が悪い方」「噛む力が落ちてきた方」「忙しくて朝食を抜きがちな方」にとって、これらは決して続けやすい食事ではありません。
そこで私が患者さまに勧めているのが「1日1杯の体のお掃除スープ」という考え方です。スープは以下の点で、特に消化器にやさしい食事形態だと考えております。
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スープが消化器に優しい4つの理由 ① 温かいことで胃腸の血流が良くなる—消化液の分泌が促されます ② 食物繊維が「煮溶け」て吸収されやすくなる—硬い野菜より腸に優しい ③ 水分とミネラルが同時に摂れる—便秘・脱水・電解質バランスを整える ④ 噛む負担が少ない—顎関節症・歯のトラブル・嚥下機能低下の方にも続けやすい |
「あぶら」を落とす3つの仕組み
書籍では、内臓脂肪・中性脂肪・LDLコレステロールの3つを「あぶら」と総称し、これらを食事で下げる仕組みを3本柱で整理しています。
メカニズム図解|食事で「あぶら」が落ちる仕組み
| 食物繊維で「吸収を抑える」:水溶性食物繊維(海藻・大麦・きのこ・りんごペクチン等)が、腸内で胆汁酸・コレステロールと結合して便と一緒に排出。 | |
| 魚の油(EPA/DHA)で「中性脂肪を分解」:青魚に含まれるオメガ3脂肪酸が肝臓で中性脂肪の合成を抑え、分解を促進。 | |
| 抗酸化食材で「血管を守る」:トマト(リコピン)・緑黄色野菜(ビタミンE・C)・大豆(イソフラボン)が酸化LDLの発生を抑え、動脈硬化を予防。 |
この3つを1杯のスープに同時に盛り込むことで、「吸収を抑える」「分解を促す」「血管を守る」という3方向からのアプローチが可能になります。
毎日の食事に取り入れたい5つの食材
| 食材 | 主な作用 | 取り入れ方 |
|---|---|---|
| サバ・イワシ缶 | EPA/DHAで中性脂肪低下 | 缶汁ごとスープに入れる |
| もち麦・押麦 | β-グルカン(水溶性食物繊維)でLDL低下 | スープに大さじ2を煮込む |
| 玉ねぎ | ケルセチンで血管保護・抗炎症 | 薄切りで毎日少量 |
| トマト(缶・ジュース可) | リコピン(抗酸化)で酸化LDL抑制 | 加熱したほうが吸収率UP |
| きのこ・海藻 | 水溶性食物繊維で便通・血糖改善 | わかめ・しめじ・舞茸を組み合わせ |
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院長おすすめ「サバ缶もち麦トマトスープ」 材料(1〜2人分):サバ水煮缶1缶、もち麦大さじ2、玉ねぎ1/4個、トマトジュース200ml、水150ml、コンソメ小さじ1、塩こしょう少々 作り方:① 鍋に薄切り玉ねぎを油なしで炒める ② トマトジュース・水・コンソメ・もち麦を加えて15分煮る ③ サバ缶を汁ごと加えて温め直し、塩こしょうで味を整える 所要時間:20分。冷蔵で2日保存可。 |
忙しい朝でもできる、簡単スープのコツ
「毎朝スープを作るなんて無理!」というお声をたびたびいただきます。続けていただくために、私が患者さまにお伝えしている工夫をご紹介します。
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時短のコツ ・週末まとめ作り:3〜4日分を作って冷蔵保存、毎朝温めるだけ ・具材は冷凍野菜・水煮缶でOK:栄養価は生野菜と大差なし ・味付けは「最後に少しずつ」:減塩のために塩・しょうゆは食べる直前に追加 ・米やパンの量を半分にしてスープで満腹感:糖質摂取量も自然に減ります |
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注意|「飲むだけ」では効果が出にくい方も スープを足し算的に追加するだけでは、総摂取カロリーが増えて逆効果になることがあります。「主食の量を1割減らす」「スープを食事の最初に飲む」「夜遅い時間の追加食を控える」など、引き算とセットで考えるのがコツです。 |
消化器のお悩み別 食事アドバイス
胃もたれ・機能性ディスペプシア
脂っこいもの・刺激物(カフェイン・香辛料・アルコール)を控え、温かいスープで胃を休ませる時間を作ります。1食の量を減らし、回数を増やす「分食」も有効です。
逆流性食道炎
食後すぐ横にならない、就寝3時間前は食べない、を徹底してください。スープであっても満腹まで食べないことが大切です。スープに使う油はオリーブオイル少量に限定すると、胃酸分泌の刺激を抑えられます。
脂肪肝(MASLD)
糖質(特に果糖・清涼飲料水)の制限と、もち麦・きのこ・海藻などの食物繊維、青魚を組み合わせるのが基本です。詳しくは糖尿病と脂肪肝(MASLD)の深い関係をご参照ください。
便秘・便通の乱れ
水分摂取量がそもそも足りない方が大半です。スープは水分+食物繊維+ミネラルを同時に摂れる理想的な形。朝1杯を習慣にするだけで、1〜2週間で便通が整う方が多くいらっしゃいます。
過敏性腸症候群(IBS)
玉ねぎ・にんにく・小麦・乳製品など「FODMAP(フォドマップ)」と呼ばれる発酵性糖質が症状を悪化させることがあります。スープでも具材を米・じゃがいも・人参など低FODMAP食材に置き換える工夫が有効です。
受診のサインと、当院でできること
食事改善は素晴らしい第一歩ですが、それだけでは解決しないケースも多くあります。次のような症状や数値の方は、ぜひ一度、当院にご相談ください。
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受診をご検討いただきたいサイン ・食事改善を3か月続けても、LDL・中性脂肪・HbA1cが下がらない ・胃もたれ・胸やけが週2回以上、4週間以上続く ・体重が意図せず3か月で5%以上減った ・便潜血陽性、血便、黒色便 ・健診で肝機能異常を3年連続で指摘 ・「食事に気を使うのが辛い」と感じている |
当院では、栄養指導外来(管理栄養士による個別カウンセリング)と、玉井博修医師の消化器内科外来(火曜午前・水曜終日)を組み合わせて、お一人おひとりに合ったプランをご一緒に作ります。胃カメラ・大腸カメラなどの精密検査が必要な場合は、姉妹院・五良会クリニック白金高輪でスムーズに対応いたします。
よくあるご質問
Q1. 本を読んでスープを作っていますが、いつ頃から効果が出ますか?
個人差はありますが、便通の改善は1〜2週間、中性脂肪の低下は1〜2か月、LDLコレステロールの改善は2〜3か月で目に見える方が多いです。継続が何より大切です。
Q2. 糖質制限ダイエットと併用しても良いですか?
極端な糖質制限は腎臓・脳のエネルギー不足を招くことがあり、特に高齢者・糖尿病の方には推奨しません。スープに含まれる程度の炭水化物(もち麦・人参など)はむしろ続けて摂取してください。
Q3. 妊娠中・授乳中でも大丈夫ですか?
はい、基本的に安全な食材ばかりですが、妊娠中はカフェイン・生もの・大型魚(メチル水銀)の摂取量に注意が必要です。個別の食事プランは栄養指導外来でご相談ください。
Q4. 子どもに食べさせても良いですか?
はい、減塩を意識すれば家族全員で楽しんでいただけます。当院は小児科併設ですので、お子さまの食事相談も対応可能です。
Q5. 書籍はどこで購入できますか?
全国の書店、Amazon、楽天ブックスなどでお求めいただけます。電子書籍版(Kindle)もございます。タイトルは『血液と体の「あぶら」を落とすスープ』、出版社はアスコムです。
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五良会グループでは、田園調布の竹内内科小児科医院と港区の五良会クリニック白金高輪が連携し、食事から精密検査まで一貫してサポートしております。「気軽に始められる食事改善」から「専門医による精査」まで、段階的にステップアップできる体制を整えております。
参考文献
- 五藤良将 著. 内臓脂肪 中性脂肪 コレステロールがみるみる落ちる 血液と体の「あぶら」を落とすスープ. アスコム; 2024年6月.
- 日本動脈硬化学会 編. 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版.
- 日本消化器病学会・日本肝臓学会 編. MASLD診療ガイドライン2026(改訂第3版). 南江堂.
- 日本消化器病学会 編. 機能性消化管疾患診療ガイドライン2020(FD・IBS 改訂第2版). 南江堂.
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」.
- 消費者庁「健康食品の安全性・有効性情報」.
竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将
著書:『血液と体の「あぶら」を落とすスープ』(アスコム、2024年)