「Business Journal」医療記事の取材・監修を受けました。Vol.8


<五藤院長が医療記事の取材・監修を受けました>

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笑福亭笑瓶さんを襲った大動脈解離の恐怖…「タイプA」は発症したら助からない?

落語家でタレントの笑福亭笑瓶さん(享年66)が22日午前、急性大動脈解離のために死去した。突然の訃報に各方面から哀悼の声が上がっている。笑瓶さんは、2015年末にもゴルフ中に急性大動脈解離を発症して緊急搬送されたが、手術はせず数日間入院を経て退院、2週間程度で復帰していた。再度、笑瓶さんを襲い、命まで奪った急性大動脈解離は、どういった症状なのか、竹内内科小児科医院院長の五藤良将医師に聞いた。

大動脈の血管壁は、内膜・中膜・外膜の3つの層で構造されている。血液の流れる側が内膜、外側が外膜、内膜と外膜の間にあるのが中膜であり、大動脈解離とは、大動脈の血管壁になんらかの理由で亀裂が入りでき、内膜と中膜の間に血液が流れ込んでしまう状態をいい、この血管壁の裂けた状態を解離と呼ぶ。男女ともに50〜70代に多く発症し、発症数は年間1万人ともいわれる。

「大動脈解離は、生活習慣病の延長線上で発症するといっても過言ではなく、中高年の男性に多く、女性の約2~3倍といわれます。激しい腰痛や背中の痛みを訴え、高血圧、肥満、糖尿病、喫煙歴などのリスクを持つ患者さんが受診に来られた場合、大動脈解離の可能性も考え診察します。

私の経験でも、脂汗をかくほどの痛みで血圧が高いといった中年の男性患者にエコー検査を行ったところ、大動脈解離と思われる血管の異常があり、すぐに大学病院へ救急搬送を行ったことがあります。その時は幸い手術の必要はなく、血圧を下げ、安静のため入院し、2週間ほどで回復し、普段の生活に戻ることができました。

また、自衛隊医官時代で鹿児島の基地に検診業務出張の際に、『おにぎりを食べたら、おなかが痛くなったので受診した』という50歳前後の男性自衛官では、腹部所見も特別な異常も認めず、問診内容から胃酸を抑える薬などを注射しても腹痛が改善しなかったため、過去の検診結果を参照したところ、高血圧が指摘されるも放置されていたことがわかり、胸部レントゲンを撮影して過去画像と比較したところ、大動脈弓の拡大があり、そして血圧の左右差、背部痛も認めたことから総合病院に救急搬送して緊急手術となりました。頻度は決して高くはありませんが、常に想定しておかねばならない重大な疾患のうちの一つです」(五藤医師)

大動脈解離には2つのタイプがあり、タイプによっては緊急手術が必要となる。


■大動脈解離の分類

大動脈解離には「スタンフォード分類」という分類があり、「スタンフォードA」と「スタンフォードB」の2つのタイプがある。

「スタンフォードAは、心臓に近い上行大動脈に起きる血管の解離で、破裂によって心臓を圧迫され、発症すれば緊急手術となりますが、救命できないケースも多く、発症から手術まで一刻を争います。

スタンフォードBは、心臓から離れた胸部の下行大動脈から腹部に起きる血管の解離です。破裂する可能性が少ない場合は、血圧を下げて安静にすることで破裂を防ぐことができます。しかし、スタンフォードBの場合でも大動脈径の拡大や破裂、腹部内臓の血行障害が認められる場合には破裂する危険性があると考えられ、早い時期に外科治療を行うのが一般的です」(同)

大動脈解離は、前兆なく突然に起きることがほとんどであり、血管の解離によって生じる血管機能障害から、激しい痛みが生じる。「背中が割れるような痛み」「バットで叩かれたような痛み」などと表現されることもある。

「血管が解離した場所によって、痛みが波及する場所が異なり、胸から肩、背中、腰などに痛みがでます。今までに感じたことがないような痛みが出た場合には、すぐに病院を受診してほしいと思います。発症から診断までが短いほど、助かる可能性が高いといえます」(同)

■大動脈解離の予防法

「大動脈解離は突然発症するため、予防にはリスクとなる因子を取り除いていくしかありません。大動脈解離の原因のほとんどは、動脈硬化と高血圧です。高血圧、糖尿病、高脂血症を防ぐ、すでになっているという方は、しっかりと治療を行うことが大事です。肥満傾向にある方は、改善することも予防の一つではありますが、高血圧の人が運動する場合、激しい運動は要注意です。また、暖かい時期よりも血圧が高くなりやすい冬場に大動脈解離の発症が多い傾向にありますので、寒さ対策や急な温度変化には注意してください」(同)

笑福亭笑瓶さんのご冥福をお祈りいたします。

(文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト)


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Author: 五藤 良将