インフルエンザワクチンは毎年接種することが推奨されていますが、「いつ打てばいいの?」「本当に効くの?」「子どもは2回必要?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、2025-2026シーズンの最新情報を踏まえ、インフルエンザワクチンの効果・持続期間・接種時期・接種回数について、エビデンスに基づいてわかりやすく解説します。

この記事の内容
2025-2026シーズン:今季のワクチンはここが変わった
【今季のポイント】
今季から、従来の4価(A型2種+B型2種)から3価(A型2種+B型1種)に変更されました。
これはB/ヤマガタ系統が2020年以降、世界的に検出されなくなったことを受けたWHOの推奨に基づく変更で、日本でも2025/26シーズンから正式に移行しています。
今季の製造株は以下の3株です。
| 型 | 製造株 |
|---|---|
| A/H1N1 | A/Victoria/4897/2022(pdm09)由来 |
| A/H3N2 | A/Perth/722/2024 由来 (変更) |
| B型 | B/Austria/1359417/2021(ビクトリア系統)由来 |
4価から3価への変更は「効果が下がった」ということではなく、不要になった株を除くことでワクチンの品質と供給の安定化を図る合理的な変更です。実臨床上の保護効果に不利益は想定されていません。
インフルエンザワクチンの発症予防効果
インフルエンザワクチンはそもそもどれくらいの効果があるのでしょうか。国内外のデータをもとにまとめました。

【エビデンス:発症予防効果のまとめ】
2024/25シーズンの最新データ:
・米国全体での有効性:56%(CDC報告)
・欧州での有効性:32~56%
・日本の小児での有効性:57~73%
・イギリス(2023/24シーズン):小児63~65%、成人36~55%、高齢者40~55%
国内データ:
・65歳以上の高齢福祉施設入所者:34~55%の発症予防(厚生労働省)
・6歳未満の小児:発症予防効果約60%(2015年報告)
・2回接種の場合:1か月後77% → 3か月で78.8%に上昇 → 5か月後50.8%に低下
アメリカCDC(疾病管理予防センター)も、「インフルエンザワクチンを接種することで、インフルエンザで医療機関を受診するリスクが40~60%減少する」としています。
つまり、ワクチンを打ったから絶対にかからないというわけではありませんが、かかるリスクを約半分に減らし、かかっても軽く済む可能性が高まります。
重症化予防効果

【重要:重症化予防のデータ】
・高齢者を対象とした研究では82%の死亡を阻止(日本)
・ICU(集中治療室)への入室リスクが26%低下
・インフルエンザによる死亡リスクが31%低下
・子どもの生命を脅かす重度のインフルエンザリスクが75%減少(2022年調査)
・2024/25シーズンでは、米国で65歳以上を中心に推定24万人の入院を防いだ
ワクチンの最大の役割は、たとえインフルエンザに感染したとしても、入院や死亡など重篤な転帰を防ぐことにあります。特に子ども、高齢者、基礎疾患のある方は重症化しやすいため、接種が強く推奨されます。
ワクチンの効果はいつまで続く?

【ポイント:効果の持続期間】
・接種後約2週間で免疫が構築され始める
・接種後1か月で効果がピークに達する
・一般的に5~6か月間は有効性が持続
・10月に接種した場合 → おおむね翌年3月頃まで持続
接種してから最初の2週間は十分な効果が発揮できない可能性があります。免疫システムが完全に構築されるまでに時間がかかるためです。遅くとも流行の1か月前には接種するようにしましょう。
また、大人でも2回接種することで有効性が80%近く保たれるという報告があります。13歳以上であっても、中学・高校受験、大学受験を控えた受験生やそのご家族は、年内に2回接種しておくと安心です。
【注意】2回接種の場合の間隔
1回目と2回目は4週間以上あけての接種が望ましいとされています。
いつ接種すればいい? ベストタイミングを解説
受験や卒業式など、冬場は学生にとって大きなイベントがあります。社会人にとっても年末年始の繁忙期を健康に乗り切ることは重要です。
【接種時期の考え方】
効果のピークは接種後1か月 → 流行前に接種を完了
先延ばしにすると、インフルエンザや他の感染症にかかり打てなくなるリスクあり
例年、年末にはワクチンが品薄になることも → 10月~11月の接種がおすすめ
未接種の場合、1月以降でも接種は推奨される(日本感染症学会)
近年はインフルエンザの流行パターンが大きく変化しており、2024/25シーズンは11月末から急激に患者数が増加し、年末に過去最大級の流行となりました。一方で年明け以降もだらだらと流行が続く傾向が見られます。
接種のタイミングは「早すぎる」ということはありません。接種が始まる10月~12月上旬の間に接種しておくことをお勧めします。
特に接種を推奨する方(ハイリスク群)

【特に接種をお勧めする方】
・生後6か月以上5歳未満のお子さま
・65歳以上の方(50歳以上とするガイドラインもあり)
・慢性呼吸器疾患(気管支喘息、COPDなど)をお持ちの方
・心臓・血管系疾患をお持ちの方(高血圧のみの方を除く)
・糖尿病・肝臓・腎臓などの慢性疾患をお持ちの方
・免疫抑制状態の方
・妊娠中の方
・長期療養施設に入所されている方
・著しい肥満のある方
・がん治療中の方
・医療従事者、介護従事者
【妊娠中の方へ】
妊娠中のインフルエンザワクチン接種は、母体だけでなく新生児のインフルエンザ感染を減らすことも示されています。妊娠中の安全性も確立されておりますので、妊娠中もワクチン接種をなるべく受けるようにしましょう。
他のワクチンとの同時接種について
新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンは同時接種が可能です。
また、インフルエンザワクチンは不活化ワクチンであるため、他のワクチンとの接種間隔の制限はありません。
【参考:生ワクチンの接種間隔について】
生ワクチンどうしの場合のみ、27日以上の間隔が必要です。代表的な生ワクチンは以下の通りです。
ロタウイルス、BCG(結核)、MR(はしか・風疹)、水痘(水ぼうそう)、ムンプス(おたふくかぜ)
注射が苦手なお子さまへ:経鼻ワクチン「フルミスト点鼻液」
【フルミスト点鼻液とは】
注射ではなく鼻にスプレーするタイプのインフルエンザワクチンです。鼻の粘膜に直接免疫(IgA抗体)をつくるため、ウイルスの侵入口である鼻咽頭で防御する効果が期待されます。
| 対象年齢 | 2歳~19歳未満 |
| 接種回数 | 1シーズン1回 |
| 投与方法 | 左右の鼻腔に0.1mLずつ噴霧 |
| 有効性 | 注射型ワクチンと同等と評価 |
【フルミストを受けられない場合】
2歳未満のお子さま、喘息をお持ちの方、妊娠中の方、免疫不全の方、サリチル酸系薬剤(アスピリンなど)を内服中の方、抗インフルエンザ薬を直近で使用した方は対象外となります。詳しくはご相談ください。
よくあるご質問(Q&A)
Q. 卵アレルギーがありますが、接種できますか?
現在のインフルエンザワクチンに含まれる卵成分はごく微量であり、重度の卵アレルギー(アナフィラキシーの既往がある方)以外であれば接種可能とされています。ご心配な方は事前にご相談ください。
Q. インフルエンザにかかったばかりですが、ワクチンは必要ですか?
インフルエンザにはA型(H1N1、H3N2)とB型があり、かかったのは1つの型だけです。他の型に対する免疫は得られないため、シーズン中に再度かかることがあります。そのため、罹患後もワクチン接種は推奨されます。
Q. 子どもは何回打てばいいですか?
12歳以下のお子さまは原則2回接種です。1回目と2回目の間隔は4週間以上あけることが望ましいとされています。13歳以上は原則1回ですが、受験生やハイリスクの方は2回接種をご検討ください。
Q. ワクチンを打った直後にインフルエンザにかかることはありますか?
不活化ワクチンはウイルスの一部成分のみを使用しているため、ワクチン接種でインフルエンザに感染することはありません。ただし、接種後2週間は十分な免疫が構築されていないため、その間に感染する可能性はあります。
参考文献
・厚生労働省「インフルエンザワクチン(季節性)」
・CDC: Seasonal Flu Vaccine Effectiveness Studies
・日本感染症学会「2025/26シーズンに向けたインフルエンザワクチン接種に関する考え方」
・日本ワクチン学会「2025/26シーズンインフルエンザワクチン接種についての見解」
・WHO: Recommended composition of influenza vaccines for 2025-2026 Northern Hemisphere
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