妊娠を希望されている方、またはそのパートナー・ご家族の方へ大切なお知らせです。大田区では、風しんの抗体検査および予防接種について、費用助成(無料)制度を実施しています。風しんは感染力が強く、妊娠初期の女性が感染すると赤ちゃんに深刻な影響を与えることがあります。令和9(2027年)年3月31日まで助成期間がありますので、ぜひこの機会に抗体検査を受けてください。
当院は田園調布地区の内科・小児科クリニックとして、大田区の助成制度(無料)による風しん抗体検査および予防接種に対応しています。特別な紹介状は不要です。まずはお電話またはWEB予約でお気軽にご相談ください。
風しんとはどんな病気か
風しんは、風しんウイルスによって引き起こされる急性の感染症です。発熱・全身の発疹・リンパ節の腫れが主な症状で、「三日はしか」とも呼ばれます。感染した患者の咳やくしゃみに含まれるウイルスが空気中に広がり、周囲の人に感染します。
子どもの風しんは比較的軽症で経過することが多いですが、成人が感染すると症状が重くなる場合があります。また、感染していても症状が出ないケース(不顕性感染)が約15〜30%存在するため、自分が感染していることに気づかないまま他者にうつしてしまうことがあります。
- 感染経路:飛沫感染・接触感染
- 潜伏期間:約2〜3週間
- 主な症状:発疹・発熱・リンパ節腫脹
- 不顕性感染(症状なし)が約15〜30%
- 成人は小児より重症化しやすい
先天性風しん症候群 ― なぜ大人も予防が必要なのか
風しんで最も深刻な問題は、免疫のない妊婦が妊娠初期(特に妊娠20週以前)に感染した場合、胎児に重篤な障害をもたらす「先天性風しん症候群(CRS)」を引き起こすリスクがあることです。
- 心疾患(動脈管開存症、肺動脈狭窄など)
- 難聴(感音性難聴)
- 白内障・緑内障などの眼の障害
- その他:発達遅滞、小頭症など
妊娠1か月以内の感染ではCRS発症率は約50%、妊娠2か月では約35%とされており、妊娠初期ほどリスクが高くなります。
風しんウイルスに対する免疫(抗体)がない・低い状態では、感染した場合に自分自身への影響だけでなく、周囲の妊婦や妊娠を希望する方へ感染を広げるリスクがあります。妊婦本人はもちろん、パートナーや同居する家族が免疫を持っていることが、赤ちゃんを守るうえで非常に重要です。
大田区の風しん助成制度 ― 2種類の対象があります
大田区では、風しんの感染拡大と先天性風しん症候群の発生を防ぐため、2種類の対象者に対して抗体検査と予防接種(ワクチン接種)を無料で実施しています。
① 妊娠を希望・予定する女性とその同居者向けの助成
| 実施期間 | 令和9年3月31日まで |
| 抗体検査 | 無料(1人1回) |
| 予防接種 | 無料(1人1回)※抗体価が低かった場合に限る |
| 使用ワクチン | MRワクチン(麻しん・風しん混合)または風しん単独ワクチン |
| 実施場所 | 区内協力医療機関 |
対象者の要件(以下のすべてに該当する方):
- 検査日・接種日現在、大田区に住民登録がある19歳以上の方
- 妊娠を予定または希望する女性(妊婦は対象外)、またはその同居者(妊婦の同居者を含む)
- 過去にこの制度を利用して抗体検査を受けたことがない、または不明
- 過去に風しん・MR・MMRワクチンの接種を受けたことがない、または不明
- 過去に風しんのり患歴がない、または不明
抗体検査の結果、風しんの抗体価が低い(HI法16倍以下、EIA法EIA価8.0未満、またはEIA法国際単位30 IU/ml未満)と判明した場合に、続けて予防接種を無料で受けることができます。
- 現在妊娠中の方・妊娠の可能性がある方はワクチン接種を受けられません
- 接種後2か月間は妊娠を避ける必要があります(女性)
- 37.5℃以上の発熱がある場合、重篤な急性疾患がある場合は接種できません
- 接種後30分程度は医療機関で経過観察を行ってください
- 主な副反応:発熱、発疹、接種部位の腫れ・しこり、リンパ節腫脹、関節痛など
② 昭和37〜54年生まれの男性向け(第5期延長対応)
1962(昭和37)年4月2日〜1979(昭和54)年4月1日生まれの男性は、過去の定期接種制度の対象外となっていたため、風しんの免疫を持たない方が比較的多い世代とされています。国の追加的対策(第5期定期接種)の一環として、この世代に対する定期接種が実施されてきましたが、MRワクチンの供給不足等により令和6年度末までに接種できなかった方を対象に、大田区では接種期間を延長しています。
| 対象者 | 昭和37年4月2日〜昭和54年4月1日生まれの男性で、①令和6年度末までの抗体検査で抗体が不十分と判明、かつ②MRワクチン不足等により令和6年度末までに接種ができなかった方 |
| 接種期間 | 令和7年4月1日〜令和9年3月31日 |
| 費用 | 無料(1人1回) |
| 持参物 | 令和6年度末までの抗体検査結果、本人確認書類 |
この延長対応の対象は「令和6年度末までに抗体検査を受け、不十分と判明したが接種できなかった方」に限られます。昭和37〜54年生まれの男性で、まだ抗体検査を受けていない方は、上記①の制度(妊娠を希望する女性の同居者枠)の要件に該当するかどうかをご確認ください。
抗体検査〜ワクチン接種の流れ
健康保険証など氏名・住所が確認できるものを持参します。医療機関に設置してある「風しん抗体検査申込書」を記入して抗体検査を受けます。
▶ 竹内内科小児科医院でも受付しています。WEB予約またはお電話(03-3721-5222)でご予約ください。
採血から数日後、抗体価の結果が出ます。受診した医療機関で結果を確認してください。
HI法16倍以下・EIA法EIA価8.0未満・EIA法国際単位30 IU/ml未満のいずれかに該当する場合、MRワクチンまたは風しん単独ワクチンを無料で接種できます。予診票に記入のうえ接種を受けてください。
接種後30分程度は医療機関で様子をみてください。接種後4週間は副反応(発熱・発疹・関節痛など)に注意し、異常があれば速やかに受診してください。女性は接種後2か月間の避妊が必要です。
よくあるご質問
Q. 子どものころに風しんにかかったことがある気がするのですが、検査は必要ですか?
り患したことがあっても、免疫が十分に残っているかどうかは血液検査でないと確認できません。また「かかったかもしれない」という記憶の場合、他の発疹性疾患と混同していることも少なくありません。不明・不確かな場合は助成対象となりますので、一度検査を受けることをお勧めします。
Q. 予防接種を受けたことがあるかどうか覚えていません。
母子手帳で確認いただくのが最も確実ですが、不明な場合も助成対象となります。まず抗体検査を受け、実際の抗体価を確認するのが適切な対応です。
Q. パートナー(夫)も検査を受けられますか?
はい、妊娠を予定・希望する女性の同居者も対象です。配偶者・パートナーが风しんに感染すると、妊婦への感染リスクが生じます。同居するご家族でお心当たりの方はぜひご一緒にご検討ください。
Q. 妊娠中ですが、検査だけでも受けられますか?
今回の大田区の制度では、妊婦は抗体検査の対象外となっています。ただし、妊婦の同居者は対象です。妊娠中の抗体検査については、産婦人科での妊婦健診の際に確認されることをお勧めします。
当院は大田区の風しん抗体検査・予防接種の協力医療機関です。上記のような「免疫があるかどうかわからない」「母子手帳が見当たらない」「パートナーと一緒に確認したい」といったご相談も、内科・小児科の専門医が丁寧に対応します。
| WEB予約はこちら | 03-3721-5222 |
受付時間:午前 9:00〜12:00 / 午後 15:30〜19:00(土曜午前も診療)
今話題の麻疹(はしか)との関係 ― MRワクチンで両方の免疫を
2026年に入り、日本国内で麻疹(はしか)の患者数が急増しています。国立健康危機管理研究機構(JIHS)の感染症発生動向調査によると、2026年3月時点の全国累計感染者数は100例に達し、前年同時期の約4.5倍のペースで推移しています。東京都だけで34例が確認されており、これは2025年の年間総数と同数です。感染者の83%が15〜49歳の活動世代であり、「子どもの病気」というイメージはもはや現実に合っていません。
麻疹の感染力はインフルエンザの約10倍(基本再生産数R₀=12〜18)で、全感染症中最強クラスとされます。免疫を持たない状態でウイルスにさらされると、約90%が発症します。空気感染するため、マスクや手洗いだけでは防ぐことができません。
特に注意が必要な「空白世代」:1972年(昭和47年)10月〜1990年(平成2年)4月1日生まれ(現在35〜53歳前後)。この世代はワクチン定期接種が1回のみのため、免疫が不十分な方が相当数存在します。
風しん抗体が低ければ、MRワクチンで麻疹免疫も同時に獲得できる
ここで重要な点があります。大田区の風しん助成制度で抗体検査を受けた結果、風しんの抗体価が低いと判明した場合、接種するのは原則としてMRワクチン(麻しん・風しん混合ワクチン)です。
MRワクチンは麻疹と風疹の両方のウイルスに対する免疫を同時に誘導します。つまり、大田区の助成制度を通じて風しん対策としてMRワクチンを接種した場合、副次的に麻疹に対する免疫も獲得(または強化)できることになります。
| 対象ウイルス | 麻しん(M)+ 風しん(R)の2種類 |
| 接種回数の考え方 | 麻疹は2回接種で有効率ほぼ100%。1回目で免疫がつかなかった5〜10%の方への再接種という意義もある |
| 大田区の助成での位置付け | 風しん抗体が低い場合に無料接種の対象。麻疹単独の目的での接種は任意(自費) |
| 供給状況 | 2024年の国内製造ワクチンの品質問題以降、MRワクチンの供給が逼迫しています。希望者が集中すると在庫がなくなる場合があるため、早めの対応が重要です |
なお、大田区の制度では麻疹単独での抗体検査・予防接種は無料助成の対象外となっており、全額自己負担(任意接種)です。麻疹のみが心配な方は、抗体検査(概ね5,000〜10,000円程度)の後、必要に応じて任意接種として対応することになります。詳しくはお問い合わせください。
まとめ
風しんは予防できる感染症です。大田区の助成制度を利用することで、抗体検査とワクチン接種を無料で受けることができます。妊娠を希望している方、またはそのパートナー・同居家族の方はもちろん、現在流行中の麻疹への備えという観点からも、ぜひ早めに抗体検査を受けることをお勧めします。
- 風しんは妊娠初期に感染すると赤ちゃんに白内障・難聴・心疾患(先天性風しん症候群)を引き起こすことがある
- 大田区では妊娠を希望する女性および同居者を対象に抗体検査・ワクチン接種を無料で実施(令和9年3月31日まで)
- 昭和37〜54年生まれの男性で条件を満たす方は第5期延長対応として令和9年3月31日まで無料接種が可能
- 風しん抗体が低い場合はMRワクチン(麻しん・風しん混合)を接種するため、麻疹への免疫も同時に獲得できる
- 2026年に麻疹が全国で急増中(前年同期比4.5倍)。MRワクチン供給が逼迫しているため早めの対応が重要
- 妊娠中の方はワクチン接種不可・接種後2か月間は避妊が必要
抗体検査に関するご不明な点、助成制度の対象かどうかのご相談、麻疹を含めたワクチン接種全般のご相談は、当院(竹内内科小児科医院)までお気軽にお問い合わせください。内科・小児科の専門医が丁寧にご対応します。WEB予約・お電話・LINE、いずれもご利用いただけます。
参考:大田区「大人の風しん抗体検査・予防接種について」(2026年3月26日更新)