本日(2026年2月19日)、昼休みの時間をお借りして、大田区立雪谷中学校にて「がん教育」の特別授業を行いました。私は同校の校医も務めており、地元・大田区の中学生に直接医療の話ができる機会は、医師としてとても意義深いものでした。

今回の授業では、「知ることが、あなたと大切な人を守る力になる」をテーマに、がんという病気の基本から予防・早期発見まで、生徒の皆さんに分かりやすくお伝えしました。
❓ 冒頭クイズ:2人に1人ががんになる
授業のはじめに、生徒の皆さんへ三択クイズを出しました。
❓ 日本人は一生のうち、何人に1人が「がん」になるでしょう?
A 10人に1人
B 5人に1人
C 2人に1人
「まわりの人と相談してOK!」と声をかけると、生徒同士でにぎやかに相談が始まりました。正解は…
✅ 正解:C 2人に1人!
- 男性:65.5%(約3人に2人)が生涯でがんと診断される
- 女性:51.2%(約2人に1人)が生涯でがんと診断される
- がんは日本人の死因第1位(1981年から継続)
- 2023年には年間約38万4,000人ががんで亡くなっている
出典:国立がん研究センター「がんの統計2025」(生涯罹患リスクは2021年データに基づく)
この数字を聞いて驚いた表情を見せる生徒さんが多く、「がんは決して遠い話ではない」ということを実感してもらえたようでした。
📊 日本人に多いがん:罹患数と死亡数、2つのランキング
がんの統計には「罹患数(新たに診断された人の数)」と「死亡数(がんで亡くなった人の数)」の2種類があります。実はこの2つのランキングは大きく異なります。その違いを知ることが、がんへの正しい理解につながります。
① 罹患数ランキング(2021年:全国がん登録)
新たにがんと診断された人は2021年に約98万9,000人(男性55万6,000人・女性43万3,000人)にのぼります。
② 死亡数ランキング(2023年:人口動態統計)
2023年のがんによる死亡者数は合計約38万4,000人です。罹患数のランキングとは大きく様相が異なります。
出典:国立がん研究センター「がんの統計2025」、厚生労働省「2024年人口動態統計(確定数)」
⚠️ 注目:膵臓がんが急増しています
罹患数では上位5位に入っていない膵臓がんですが、死亡数では男性4位・女性3位というデータが示すように、非常に予後が悪いがんです。さらに近年は罹患数自体も急増しています。
- 2009年の年間罹患数:約3万人
- 2022年の年間罹患数:約4万4,500人(13年で約1.5倍に増加)
- 2023年の年間死亡数:約4万人超(胃がんを抜いて死亡数3〜4位に浮上)
- 5年相対生存率:約12〜13%(全がん平均66%と比べて際立って低い)
- 増加の主な要因:高齢化・生活習慣の欧米化(高脂肪食・飲酒・肥満・糖尿病)
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がんの統計2025」
💡 罹患数と死亡数の違いが大きいがんは、早期発見できれば治りやすいがん(乳がん・前立腺がん)か、逆に見つかった時にはすでに進行していることが多く予後が悪いがん(膵臓がん)を意味します。膵臓がんは発見の難しさ・治療の困難さという二重の課題があります。
⚠️ がんの原因とリスク要因
がんのリスク要因は大きく3つのカテゴリーに分けられます。授業ではカラフルなスライドを使って解説しました。
🔴 生活習慣
- 喫煙 → 肺がんリスク約20倍
- 飲酒 → 食道がん・肝がん・膵臓がんリスク↑
- 高脂肪・高塩分の食事
- 運動不足・肥満・糖尿病
🟠 感染症
- ピロリ菌 → 胃がん
- HPV → 子宮頸がん
- B型・C型肝炎ウイルス → 肝がん
- ピロリ菌は中学生でも検査可能!
🟢 環境・遺伝
- 紫外線 → 皮膚がん
- 化学物質(アスベストなど)
- 遺伝的素因(全体の5〜10%程度)
💉 HPVワクチン:中学生のうちに知ってほしいこと
子宮頸がんは年間約1万人が罹患し、約2,900〜3,000人が亡くなる病気ですが、HPVワクチンで予防できるがんでもあります。
🇯🇵 日本の状況
- 小学6年生〜高校1年生の女子は公費(無料)で接種可能
- 2023年4月から男性も任意接種が可能に
- 9価ワクチン(シルガード9)で約90%の子宮頸がんを予防
- 一時中断後、2022年4月に積極的勧奨を再開
🌍 世界の動き
- オーストラリア:接種率80%以上 → 子宮頸がん「撲滅」が視野に
- イギリス・スウェーデン:接種率70%超
- WHO(世界保健機関)は全世界での接種を推奨
🏥 当院でのHPVワクチン・ワクチン全般について
竹内内科小児科医院(大田区)・五良会クリニック白金高輪(港区)では、女子だけでなく男子に対してもHPVワクチンを積極的に推奨しています。
HPVは子宮頸がんだけでなく、男性にも関わる中咽頭がん・肛門がん・陰茎がんなどのリスク因子でもあります。男女ともに早期接種が、将来の自分と大切なパートナーを守ることにつながります。
- HPVワクチン(シルガード9など)
- B型肝炎ワクチン(肝がん予防)
- その他、各種予防接種・渡航ワクチンにも対応
ワクチンに関するご相談は、お気軽に両院へお問い合わせください。
🔬 がん検診:日本の受診率の現状
📉 日本のがん検診受診率(40〜69歳)
| がんの種類 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 胃がん | 47.5% | 36.5% |
| 肺がん | 53.2% | 46.4% |
| 大腸がん | 49.1% | 42.8% |
| 乳がん(女性) | — | 47.4% |
| 子宮頸がん(女性) | — | 43.6% |
出典:国立がん研究センター「がんの統計2025」
アメリカ
70〜80%
イギリス
約70%
韓国
約55%
日本
30〜50%
国の目標受診率は60%ですが、日本はまだそれを大きく下回っています。授業の最後に、生徒の皆さんに「お父さん・お母さんに『検診受けた?』と聞いてみよう!」とお伝えしました。
🏥 早期発見の力と、当院での検査・検診について
✨ 早期(ステージI)で発見できれば、多くのがんは90%以上が治る時代です
逆に、膵臓がんのように発見が遅れやすいがんは5年生存率が約12〜13%と非常に低くなります。だからこそ定期検診が命を救います。
竹内内科小児科医院(大田区)・五良会クリニック白金高輪(港区)では、以下の検査・検診を実施しています。ぜひご家族お誘い合わせの上、ご相談ください。
💡 特にB型・C型肝炎ウイルスの検診は重要です。肝炎ウイルスに感染していても自覚症状がないことが多く、知らないうちに肝硬変・肝がんへ進行するリスクがあります。一度も検査を受けたことがない方はぜひご相談ください。大田区・港区の特定健診・各種がん検診も両院で受け付けております。

📝 今日の授業のまとめ
- がんは「2人に1人がなる」身近な病気。正しく知ることが大切。
- 罹患数の多いがんと死亡数の多いがんは異なる。膵臓がんは急増中で特に注意が必要。
- がんの約半分は予防できる。食事・運動・禁煙・ワクチンで今から備えを。
- 早期発見なら90%以上が治る。日本の検診受診率はまだ低い。
- 家族に「検診受けた?」と聞いてみよう。君のひと言が命を救うかもしれない。
📚 データ出典
- 国立がん研究センター「がんの統計2025」
- 国立がん研究センターがん情報サービス「最新がん統計」(罹患:2021年、死亡:2023年)
- 厚生労働省「2024年人口動態統計(確定数)」
- 厚生労働省「全国がん登録 罹患数・率 報告 2021」
🏠 竹内内科小児科医院
雪谷中学校 校医・院長:五藤良将
〒145-0072 東京都大田区田園調布本町40-12
コンド田園調布2階
TEL: 03-3721-5222
🏢 五良会クリニック白金高輪
理事長:五藤良将
〒108-0074 東京都港区高輪1丁目3-1
プレミストタワー白金高輪1F(内科・内視鏡)
TEL: 03-6432-5353