初回公開日:2025年10月1日 最終更新日:2026年9月18日
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【2026年9月18日 更新】大田区の助成が9月24日(木)開始に前倒しされました こどもの助成(注射 実質2,000円/回・フルミスト実質3,500円)、高齢者インフルエンザ(自己負担2,500円)、家族割(大人の注射1名3,500円)、ご家族の負担シミュレーションは最新記事で詳しく解説しています。 |
皆さま、こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。
毎年ご質問が多い「インフルエンザワクチンって本当に効くの?」「いつ受けるのがベストなの?」というテーマについて、当院で継続的にご案内している総合ガイドです。今回、2026年に入ってから発表された国内外の最新データをもとに、内容を大幅に更新いたしました。
特に2026-2027シーズンは、A型H3N2の新しい亜型(サブクレードK)の急拡大により、世界的にワクチン株が更新され、東京都では例年より早い8月末に流行入りが発表されるなど、これまでと異なる動きが見られます。「今年のワクチンは効果が下がっているのでは」というご心配の声もいただいておりますので、CDC(米国疾病予防管理センター)やWHO(世界保健機関)の最新報告を踏まえて、正確な情報をお伝えいたします。
今シーズンの具体的な接種スケジュール・料金・Web予約方法については、「【予約受付開始】インフルエンザワクチンをmelmoでWeb予約受付開始しました|2026-2027シーズン」も合わせてご覧ください。
目次
2026-2027シーズンのワクチン株――何が変わったのか
2025-2026シーズンから、日本のインフルエンザワクチンは長年の「4価(A型2種+B型2種)」から「3価(A型2種+B型1種)」に変更されています。これは、B型のうち「山形系統」が2020年以降世界的に検出されなくなったというWHOの評価に基づくもので、2026-2027シーズンもこの3価構成が継続されます。
そのうえで今シーズン特有の動きとして、2025年8月以降、A型H3N2の中で抗原性が大きく変化した新しい亜型「サブクレードK」が世界的に急拡大しました。これを受けてWHOは2026年2月27日、2026-2027年北半球シーズン向けのワクチン株を例年以上に大きく更新するよう勧告しています。
| 型 | 2025-2026シーズン | 2026-2027シーズン(今season) |
|---|---|---|
| A型 H1N1 | A/Victoria/4897/2022系統 | A/Switzerland/6849/2025系統(更新) |
| A型 H3N2 | A/Perth/722/2024系統 | A/Michigan/105/2025系統(サブクレードK対応・更新) |
| B型(ビクトリア系統) | B/Austria/1359417/2021系統 | B/Tokyo/EIS13-175/2025系統(更新) |
国内で使用される製造株は、東京都感染症情報センターの発表(2026年6月2日更新)に基づくものです。H1N1・H3N2の両方で新しい株に切り替わっており、特にH3N2はサブクレードKの流行状況を反映して選定されています。
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ポイント|今シーズンのワクチンが「後手」に見える理由 ① 亜型の出現時期:サブクレードKが世界的に確認され始めたのは2025年8月と比較的最近です。 ② ワクチン製造のリードタイム:ワクチンは株の決定から製造・供給まで数か月を要するため、流行の変化に完全には追いつけない場合があります。 ③ それでも受ける意義:抗原性が完全に一致しなくても、発症・重症化のリスクを一定程度下げる効果は維持されることが、後述のCDCデータでも確認されています。 |
発症予防効果――最新データが示すもの
米国CDCは2026年3月12日、2025-2026シーズン(2025年9月〜2026年2月)の暫定ワクチン有効率(VE)をMMWR(疾病・死亡週報)で公表しました。それによると、外来受診(発症)予防効果は年齢層により24〜41%という結果でした。
| 年齢層 | 外来受診予防効果(VE) |
|---|---|
| 生後6か月〜17歳 | 38〜41% |
| 18歳以上(成人) | 22〜34% |
| 65歳以上 | 30〜41% |
また、カリフォルニア州の同時期(2025年10月〜2026年1月)のデータでは、全年齢層平均のVEは33%(A型32%、B型47%)と報告されています。CDCはこの報告書の中で、「2025-2026シーズンの有効率は、直近数シーズンと比べて低い」と明記しており、主な要因として前述のA(H3N2)サブクレードKによる抗原性のずれ(antigenic drift)を挙げています。
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正しく理解していただきたいこと 「有効率が下がった=ワクチンに意味がない」ではありません。CDCは今回の報告でも、ワクチン接種者は非接種者と比べて外来受診・入院のリスクが明確に低いことを確認したうえで、引き続きすべての対象者への接種を推奨しています。これらの数値は暫定値であり、今後のシーズン終了後の解析で更新される可能性がある点にもご留意ください。 |
なお、国立健康危機管理研究機構(JIHS)が2026年1月に公表した国内の流行前抗体保有状況調査(2025年7〜9月採血分、2026年1月6日時点)では、A(H3N2)に対する抗体保有率は5〜14歳で約50%と高い一方、25〜64歳の成人では低い傾向が示されています。これは「ワクチンの有効率」そのものではなく、集団としての流行前免疫状況を示すデータですが、成人層で相対的に感染リスクが高い可能性を示唆するものとして参考になります。
重症化予防効果――入院・死亡リスクの低下
発症そのものを完全には防げない場合でも、インフルエンザワクチンには重症化を防ぐ効果があることが重要なポイントです。CDCの前述の報告では、入院予防効果は全年齢層平均で30〜31%と報告されており、年齢層別では小児・思春期(6か月〜17歳)で41%、成人(18歳以上)で30%、65歳以上で31%となっています。
過去のシーズンを含む複数の研究では、高齢者において重篤な合併症や死亡のリスクを大きく下げる効果も報告されており、特に慢性疾患をお持ちの方や65歳以上の方にとって、重症化予防の観点からの接種意義は高いといえます。
効果はいつから、どれくらい続く?
メカニズム図解|接種後、免疫ができるまでの流れ
| 接種直後〜2週間:体内で抗体がつくられ始める準備期間です。この間は感染予防効果がまだ十分ではありません。 | |
| 約1か月後:抗体量がピークに達し、最も高い予防効果が得られる時期です。 | |
| その後約5〜6か月間:効果は緩やかに低下しながらも持続します。10月に接種した場合、翌年3月頃までの流行シーズンをおおむねカバーできる計算になります。 |
接種はいつがベスト?――早期流行シーズンの考え方
例年、当院では「10〜11月の接種」を目安にご案内してきました。しかし2026年は、東京都が8月27日にインフルエンザの流行入りを発表するという、1999年以降で2番目に早い異例のシーズンとなっています。前述のサブクレードKの拡大が早期流行の一因と考えられています。
このため今シーズンは、例年より前倒しでの接種をおすすめしています。当院では注射ワクチンは在庫が整い次第ただちに接種を開始しており、経鼻のフルミストも2026年9月24日から接種を開始する予定です。ワクチンの効果が出るまでに接種後約2週間かかることも踏まえ、お早めのご検討をおすすめいたします。
なお、日本感染症学会は「12月中旬までに接種を終えるのが望ましいが、1月以降の接種でも流行後半への効果は期待できるため、機会を逃した場合でも接種を検討してほしい」との考え方を示しています。今シーズンのように早期に流行が始まった場合でも、この基本的な考え方自体は変わりません。
接種が特に勧められる方(ハイリスク群)
以下に該当する方は、インフルエンザ重症化のリスクが相対的に高いとされており、特に接種をおすすめしています。
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接種を特におすすめする方 □ 生後6か月以上5歳未満のお子さま □ 65歳以上の方 □ 糖尿病・慢性呼吸器疾患・心疾患・腎疾患などの慢性疾患をお持ちの方 □ 妊娠中の方(新生児への感染予防効果も報告されています) □ 医療従事者・高齢者施設等の従事者の方 |
特に糖尿病をお持ちの方は、インフルエンザ罹患をきっかけに血糖コントロールが乱れたり、シックデイ対応が必要になったりするケースがあります。当院では糖尿病内科も併設しておりますので、リスクや対策の詳細は「糖尿病の方こそ「インフルエンザ対策」を|重症化リスク・シックデイルール・ワクチンはいつ?」で詳しくご案内しています。
他のワクチンとの同時接種
インフルエンザワクチンは不活化ワクチンのため、新型コロナワクチンなど他の不活化ワクチンとの接種間隔に制限はなく、同時接種が可能です。一方、麻しん風しん混合(MR)、ロタウイルス、BCGなどの生ワクチンとの間には、原則として27日以上の間隔をあける必要があります。お子さまの定期接種スケジュールと合わせてご相談される方が多いため、迷われた場合はお気軽に受診時にご確認ください。
経鼻ワクチン「フルミスト」について
フルミスト点鼻液は、2023年3月27日に日本国内で製造販売承認を取得した経鼻弱毒生インフルエンザワクチンです。注射が苦手なお子さまにも負担が少ない接種方法として、対象年齢(2歳以上19歳未満)の方にご利用いただけます。1シーズンにつき1回、0.2mLを左右の鼻腔に0.1mLずつ噴霧する方法で接種します。
当院では2026年9月24日から接種を開始いたします。在庫状況を確認のうえで予約を承認する「リクエスト予約制」となっており、料金は7,500円(税込)です。喘息のあるお子さま、妊娠中の方、重度の免疫不全がある方などは対象外となりますので、ご不明な点は受診時の問診でご確認ください。
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重要|個人差・副反応について ・ワクチンの効果には個人差があります。接種後も体調管理や手洗い・咳エチケットなどの基本的な感染対策を継続してください。 ・注射・フルミストいずれも、接種部位の痛みや腫れ、発熱、鼻づまりなどの軽い副反応が起こることがあります。まれに重篤な副反応が生じる可能性もゼロではありませんので、体調に変化があれば速やかにご連絡ください。 |
よくあるご質問(Q&A)
Q. 今年はワクチンの効果が例年より低いと聞きました。それでも受ける意味はありますか?
A. はい、意味があります。前述の通り、CDCの2025-2026シーズンのデータでは有効率が例年より低めであったことが報告されていますが、それでも接種者は非接種者に比べて発症・入院のリスクが明確に低いことが確認されています。特に重症化予防の効果は維持されており、ハイリスク群の方には引き続き接種をおすすめしています。
Q. 卵アレルギーがありますが、接種できますか?
A. 現在の製法では、卵アレルギーがあっても多くの場合接種可能とされています。重度の卵アレルギーがある場合は、事前に医師にお申し出ください。
Q. 今シーズンすでにインフルエンザにかかりました。ワクチンは受けた方がいいですか?
A. 今シーズンのワクチンには複数の型・亜型に対応した成分が含まれているため、一度罹患した後でも、別の型・亜型への感染予防を目的に接種が推奨されます。
Q. 子どもは何回接種する必要がありますか?
A. 13歳未満のお子さまは、2〜4週間の間隔をあけて2回接種することが推奨されています。13歳以上は基本的に1回で問題ありません。
Q. 接種した直後に体調を崩しました。ワクチンのせいでしょうか?
A. インフルエンザワクチンは不活化ワクチンであるため、ワクチン自体が原因でインフルエンザを発症することはありません。接種直前・直後にすでに他のウイルスに感染していた場合や、免疫がつくまでの期間(接種後約2週間)に流行株に曝露した場合に発症することがあります。
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五良会グループでは、田園調布の竹内内科小児科医院と港区の五良会クリニック白金高輪が連携し、インフルエンザ対策から生活習慣病管理まで幅広くサポートしております。転居やライフスタイルの変化に合わせて、同じグループ内で継続して診療を受けていただける体制を整えております。
参考文献
- CDC. Interim Estimates of 2025–26 Seasonal Influenza Vaccine Effectiveness — United States, September 2025–February 2026. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2026;75(9). https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/75/wr/mm7509a2.htm(2026年9月閲覧)
- CDC. Interim Estimates of 2025–26 Seasonal Influenza Vaccine Effectiveness — California, October 2025–January 2026. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2026;75(9). https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/75/wr/mm7509a3.htm(2026年9月閲覧)
- World Health Organization. Recommendations for influenza vaccine composition for the 2026-2027 northern hemisphere season(2026年2月27日発表). https://www.who.int/news/item/27-02-2026-recommendations-for-influenza-vaccine-composition-for-the-2026-2027-northern-hemisphere-season
- 東京都感染症情報センター「2026~2027年シーズンインフルエンザHAワクチン製造株」(2026年6月2日更新). https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/diseases/flu/flu/vaccine2026/
- 国立健康危機管理研究機構(JIHS)「インフルエンザ抗体保有状況-2025年度速報第3報」(2026年1月20日). https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/nesvpd/rapid/influenza/2025-26/0120/index.html
- 日本感染症学会「2025/26シーズンに向けたインフルエンザワクチン接種に関する考え方とトピックス」. https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/guidelines/influenza_2501003.pdf
- 厚生労働省「インフルエンザワクチンQ&A」(インフルエンザに関する情報ページ). https://www.mhlw.go.jp/
竹内内科小児科医院 院長 五藤 良将
日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医・日本旅行医学会認定医