【2026年版】花粉症の治療薬と注射|重症にはゾレア・蕁麻疹にはデュピクセントも対応

皆さま、こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。

2026年の花粉シーズンがいよいよ本格化してきました。日本気象協会の予測によると、2026年春の東京の花粉飛散量は昨シーズンに比べ「非常に多い」と予測されています。東日本では例年比でも多く、関東地方の多くの地域で大量飛散(3,000個/cm²以上)が見込まれています。スギ花粉の飛散ピークは2月下旬~3月中旬、ヒノキ花粉は3月下旬~4月上旬と予想されており、花粉症の方にとっては厳しいシーズンとなりそうです。

当院では、軽症から最重症まで、患者さまの症状に合わせた段階的な花粉症治療を行っております。今回は、重症花粉症に対するゾレア注射難治性蕁麻疹に対するデュピクセント注射など2026年の最新治療情報を含め、花粉症の対策と治療について包括的にお伝えいたします。

花粉症のイメージ


花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)のメカニズム

花粉症とは、植物の花粉が原因となって、くしゃみ・鼻水などのアレルギー症状を起こす病気です。その中でもスギ花粉症は、日本におけるアレルギー性鼻炎の中でも最も一般的な疾患の一つであり、免疫系の過剰反応によって引き起こされます。日本では約40%の国民がスギ花粉症を有すると推定されており、その影響は生活の質(QOL)や労働生産性の低下にも及びます。

特にこの時期は、スギ、ヒノキ花粉の飛散が多く、くしゃみ・鼻水・鼻づまりだけでなく、目の症状(かゆみ・涙・充血など)、のどのかゆみ、皮膚のかゆみなどの症状が現れることがあります。

アレルギー性鼻炎の原因

アレルギー性鼻炎の主な原因は、抗原抗体反応によるものです。空気中を浮遊しているスギなどの花粉やハウスダストなどのアレルゲン(抗原)が鼻粘膜に付着すると、体内に抗体が作られ、マスト細胞という名の細胞とくっつきます。その後、再びアレルゲンが侵入すると、マスト細胞からヒスタミンなどのアレルギー誘発物質が放出され、ヒスタミン受容体(ヒスタミンを受ける鍵穴)と結合し、鼻水、鼻づまり、くしゃみ等のアレルギー反応を起こします。

花粉症のメカニズム

花粉症発症のメカニズム(4つのステップ)

1感作:花粉が鼻や目の粘膜から侵入すると、免疫システムが花粉を「異物」と認識し、IgE抗体を産生します。

2準備:産生されたIgE抗体が肥満細胞(マスト細胞)や好塩基球の表面に結合し、次の花粉侵入に備えます。

3反応:再び花粉が侵入すると、IgE抗体を介して肥満細胞が活性化し、ヒスタミン・ロイコトリエンなどの化学伝達物質が大量に放出されます。

4発症:放出された化学伝達物質が神経や血管、鼻腺に作用し、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみなどの症状を引き起こします。

花粉症は「感作」の蓄積によって発症するため、「去年まで大丈夫だったのに、突然発症した」というケースも珍しくありません。IgE抗体の蓄積が閾値を超えたタイミングで症状が現れるためです。


花粉症の重症度分類

花粉症は症状の程度によって4段階に分類されます。治療方針はこの重症度に基づいて決定されます。

鼻アレルギー診療ガイドラインによる重症度分類

軽症:くしゃみ・鼻をかむ回数が1日5回以下。鼻づまりの程度は口呼吸が全くないか、ときどきある程度。日常生活への支障はほとんどない。

中等症:くしゃみ・鼻をかむ回数が1日6~10回。鼻づまりで口呼吸が1日のうちときどきある。日常生活に一定の支障がある。

重症:くしゃみ・鼻をかむ回数が1日11~20回。鼻づまりで口呼吸が1日のうちかなりの時間ある。仕事や学業への影響が大きい。

最重症:くしゃみ・鼻をかむ回数が1日21回以上。1日中完全に鼻がつまっている。日常生活が大きく妨げられる。


花粉症治療薬一覧

当院の花粉症治療 ~軽症から最重症まで段階的に対応~

保険適用のお薬で、症状を緩和できますので、花粉症のお薬についてお伝えします。

花粉症の治療薬

STEP 1:初期療法(花粉飛散前からの予防治療)

花粉症治療でもっとも重要なのは「初期療法」です。花粉の本格飛散前、症状が出始める前、または症状がごく軽い段階から治療を開始することで、ピーク時の症状を大幅に軽減できることがわかっています。

初期療法のポイント

花粉の飛散開始2週間前(東京では1月下旬~2月上旬)から治療を開始するのが理想的です。スギ花粉は飛散開始前から微量が飛び始めるため、症状が出てからの治療ではピーク時のつらさを十分に抑えきれない場合があります。今シーズンはすでに花粉飛散が始まっていますが、今からでも治療を開始することで、これからのピークに備えることができます。

STEP 2:薬物療法(内服薬・点鼻薬・点眼薬)

花粉症の標準的な治療として、症状やタイプに応じた薬物療法を行います。

(1)第2世代抗ヒスタミン薬(内服薬)~眠くなりづらい薬~

くしゃみ・鼻水が主体の「くしゃみ・鼻漏型」の方に特に有効です。第2世代の薬剤は、従来の抗ヒスタミン薬に比べ眠気などの副作用が少なく、1日1~2回の服用で効果が持続します。

眠くなりづらい抗ヒスタミン薬

抗ヒスタミン薬の特徴と選び方

ビラノア(ビラスチン)【当院院内採用】
用法:成人(16歳以上)1回20mg、1日1回、空腹時に服用(食前1時間または食後2時間以上)。眠気の副作用が少なく、脳への移行性が低い。インバースアゴニスト作用を持ち、H1受容体を安定的に抑制。速効性があり、効果が長時間持続(半減期が長い)。当院ではビラノアOD(水なしで飲める)を院内処方採用しております。

アレグラ(フェキソフェナジン)
用法:成人(12歳以上)1回60mg、1日2回。小児(7歳以上12歳未満)1回30mg、1日2回。眠気が極めて少なく、脳への移行性が非常に低い。食事の影響を受けにくく、食後でも服用可能。安全性が高く長期使用に適している。

デザレックス(デスロラタジン)
用法:成人および12歳以上は1回5mg、1日1回。食事の影響を受けないため、服用タイミングを気にする必要がない。半減期が約27時間と長く、1日1回の服用で効果が持続。

クラリチン(ロラタジン)
用法:成人および12歳以上は1回10mg、1日1回。眠気が最も少ない抗ヒスタミン薬の一つ。代謝物であるデスロラタジンが活性を持ち、効果が長持ちする。

エビデンス:眠くなりにくい抗ヒスタミン薬の選び方

東北大学・谷内先生の研究によると、脳内H1受容体の占有率が低い抗ヒスタミン薬は眠気を引き起こしにくいことが示されています。占有率が低い薬は中枢神経系への影響が少なく、日中の活動においても注意力の低下が少ないため、作業効率が低下しにくいです。特にビラスチン、フェキソフェナジンは占有率が比較的低く、日中に活動的である必要がある人や車の運転をする人に推奨されます。

脳内H1受容体占有率と眠気の関係(谷内先生の研究)

この中でも、ビラノア(ビラスチン)は速効性があり効果が長時間持続し(半減期が長い)、インバースアゴニスト作用を有しておりヒスタミン1受容体を安定的に抑制させ、とても効果も強くお勧めです。当院ではビラノアOD(水なしで飲める)を院内処方採用しております。

(2)鼻噴霧用ステロイド薬(点鼻薬)

鼻づまりが主体の「鼻閉型」の方や、症状全般が強い方に推奨される治療です。鼻粘膜の炎症を局所的に抑えるため、全身への副作用が少なく、安全性の高い治療法です。モメタゾン(ナゾネックス)、フルチカゾン(アラミスト)などを使用します。くしゃみ・鼻水・鼻づまりの3症状すべてに効果があり、花粉症治療のエビデンスレベルが最も高い薬剤の一つです。

必要に応じてシングレア等のロイコトリエン拮抗薬、さらにステロイド点鼻薬、小青竜湯などの漢方薬も処方いたしますので、どうぞご相談ください。

点鼻薬・漢方薬

エビデンス:鼻噴霧用ステロイドと抗ヒスタミン薬の併用

鼻アレルギー診療ガイドラインでは、中等症以上の花粉症に対して、第2世代抗ヒスタミン薬と鼻噴霧用ステロイド薬の併用が推奨されています。両剤の併用により、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみのすべてに対して高い効果が期待できます。

(3)抗ロイコトリエン薬

鼻づまりに特に有効な内服薬です。モンテルカスト(シングレア/キプレス)、プランルカスト(オノン)などがあります。抗ヒスタミン薬と併用することで、相乗効果が期待できます。

(4)点眼薬

目のかゆみ・充血に対しては、抗アレルギー点眼薬を処方します。

アレジオンLX点眼液

アレジオンLX点眼液0.1%

スギ花粉やダニなどによるアレルギー性結膜炎の治療に使用される抗ヒスタミン点眼薬です。1日2回の点眼でOK(朝・夜)。通常の抗ヒスタミン点眼薬は1日4回必要ですが、「LX」は”Long”の略で長時間作用を意味しています。

防腐剤フリーのため、ソフト・ハードコンタクトレンズを装着したまま点眼可能です。有効成分「エピナスチン」はインバースアゴニスト作用を持ち、H1受容体の安定化を促進してアレルギー反応自体を起こりにくくします。

花粉飛散の2週間~1か月前から予防的に点眼を開始することが推奨されています。

アレジオン眼瞼クリーム

アレジオン眼瞼クリーム0.5%(世界初の眼瞼塗布型)

世界初の1日1回、上下まぶたに塗るタイプのアレルギー性結膜炎治療剤です。目に入れずに使用可能なので、点眼が苦手な方やお子様にも適しています。

1日1回(就寝前または朝)、清潔な手で上下のまぶたに薄く塗布します。副作用は軽度の眼瞼そう痒症(1.6%)、眼瞼紅斑(0.8%)程度で、重篤な副作用はほとんど認められていません。

薬価:1gあたり1,686.7円(1本2gで3,373.4円)。3割負担で約1,012円、2割負担で約675円。

アレジオン眼瞼クリームの特徴

アレジオン眼瞼クリームの使い方


STEP 3:舌下免疫療法(根本治療)

舌下免疫療法は、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を少量ずつ体内に投与することで、体をアレルゲンに「慣れさせ」、アレルギー反応を根本から抑える治療法です。長期的な寛解が期待できる唯一の治療法であり、治療終了後も効果が持続することが大きなメリットです。

スギ花粉症にはシダキュア、ダニアレルギーにはミティキュアを使用します。1日1回、舌の下に薬剤を置いて1分間保持した後に飲み込む治療で、自宅で継続できます。3~5年間の治療継続が推奨されています。

ご注意:舌下免疫療法の開始時期について

スギ花粉の舌下免疫療法は、花粉飛散期には新規開始できません。開始は花粉シーズン終了後の6月以降となります。来シーズンに向けて根本的な体質改善をお考えの方は、今シーズン終了後にご相談ください。なお、すでに治療を開始されている方は花粉シーズン中も継続して服用してください。


STEP 4:重症・最重症の花粉症に ゾレア皮下注射(抗IgE抗体療法)

「毎年、内服薬や点鼻薬をしっかり使っても症状がつらくて仕事や学業に集中できない」「1日中ティッシュが手放せない」「眠気の出る薬しか効かず、強い薬に変更できない」――そのようなお悩みをお持ちの方に、ゾレア(一般名:オマリズマブ)による注射療法が選択肢となります。

ゾレアとは

ゾレアは、もともと重症気管支喘息や特発性慢性蕁麻疹に使用されていたヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤です。2019年12月に「季節性アレルギー性鼻炎(既存治療で効果不十分な重症または最重症患者に限る)」への適応が追加され、2020年から保険診療で使用できるようになりました。

ゾレアの作用メカニズム

1血液中の遊離IgE抗体に結合し、IgEが肥満細胞(マスト細胞)や好塩基球と結びつくのをブロックします。

2IgEがマスト細胞に結合できないため、花粉が侵入してもマスト細胞が活性化しません

3ヒスタミンなどのアレルギー誘発物質の放出が抑えられ、くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの症状が大幅に軽減されます。

従来の抗ヒスタミン薬が「放出されたヒスタミンをブロックする」のに対し、ゾレアはヒスタミンの放出そのものを抑えるという点で、より上流のアレルギー反応を制御する画期的な治療薬です。

ゾレアの適応条件(すべてを満たす必要があります)

ゾレア投与の適応条件

1. 重症または最重症のスギ花粉症であること(前シーズンに重症以上の症状があったこと)

2. 既存治療で効果不十分であること(今シーズンに抗ヒスタミン薬等を1週間以上使用しても重症・最重症のままであること)

3. 12歳以上であること

4. スギ特異的IgEがクラス3以上であること

5. 血清中総IgE濃度が30~1,500 IU/mL、体重が20~150kgの範囲であること

6. ゾレアに対する過敏症の既往がないこと

ゾレアの投与スケジュール

初回受診:重症度の診断と血液検査(スギ特異的IgE、総IgE)を行い、既存の内服薬・点鼻薬等の治療を開始します。

2回目受診(1週間以降):既存治療の効果を判定し、依然として重症・最重症であればゾレアの適応と判断します。総IgE値と体重から投与量・投与間隔を決定します。

ゾレア投与開始:2週間または4週間ごとに皮下注射を行います。投与期間は花粉シーズン中(2~5月)で、12週間程度が目安です。効果は投与数日後~2週間程度で出始めます。

ゾレアの注意点

ゾレア投与中も、抗ヒスタミン薬等の標準治療は継続していただきます。ゾレアに即効性はなく、定期的な投与で徐々に効果が現れるため、他の薬を自己判断で中止しないようにしてください。

また、まれにアナフィラキシーが起こる可能性があるため、初回投与時は注射後一定時間、院内で経過観察をさせていただきます。

ゾレアの薬剤費の目安

ゾレアの投与量は血清中総IgE値と体重によって個人差があります。以下は代表的な例です。

1回投与量 3割負担の方 投与間隔
150mg 約6,400円/回 4週間ごと
300mg 約12,800円/回 4週間ごと

※上記は薬剤費のみの目安です。別途、初再診料、検査費用、処方箋料、併用する抗ヒスタミン薬の費用がかかります。投与量が多い場合(最大600mgを2週間ごと)は高額になるため、後述の高額療養費制度の利用をおすすめします。


花粉症に使える注射製剤

当院では抗アレルギー注射製剤も用意しております。適応・禁忌に注意し処置ご対応致します。

抗アレルギー注射製剤

1. 強力ネオミノファーゲンシー(SNMC)注射

(商品名:SNMC/一般名:グリチルリチン・システイン・グリシン配合製剤)

「グリチルリチン酸(甘草由来)」を主成分とする肝機能改善薬です。日本では1969年から使用されてきた長い歴史のある注射薬です。グリチルリチンはコルチゾール様の抗炎症作用、肝細胞膜の安定化・修復を促す肝細胞保護作用、肥満細胞からのヒスタミン遊離を抑制する抗アレルギー作用を持ちます。蕁麻疹や湿疹、疲労時の肝機能サポートにも使用されます。

2. ノイロトロピン注射

ウサギの皮膚から抽出した非蛋白性物質を原料とする、神経性疼痛やアレルギー疾患に使用される独自の製剤です。神経の興奮を抑える中枢性鎮痛作用、免疫系への調整作用によるアレルギー反応の抑制交感神経のバランス調整(冷え、頭痛、自律神経症状の改善)の3つの作用機序を有します。

アレルギー性鼻炎や蕁麻疹などの慢性アレルギー疾患に適応があり、ヒスタグロビンと併用することで相乗効果が期待されます。週1~2回の皮下注射を目安に、計6回前後の継続使用が推奨されます。

3. ヒスタグロビン注射

日本では1967年から50年以上にわたり使用されてきた歴史ある注射薬で、微量のヒスタミンとヒトγ-グロブリンを結合させた製剤です。花粉症などのアレルギー性疾患に対する「非特異的免疫療法」として位置付けられています。

ヒスタグロビンの3つの作用機序

1ヒスタミン受容体の脱感作:微量ヒスタミン投与により、過敏なアレルギー反応を抑制

2免疫調整:IgE産生の抑制、好酸球数の低下、Th2優位→Th1優位への免疫シフト

3免疫バランスの正常化:γ-グロブリン自体の免疫賦活作用

臨床研究では50例中44例(88%)で症状の改善が見られ、特に鼻閉やくしゃみに顕著な軽快が報告されています(JEBMH誌, 2022年)。効果発現には2~6週間が必要です。

投与スケジュール:初期は1mlを4~7日おきに3~6回皮下注。その後、2~4週おきに維持投与。花粉症の時期に週1回程度で継続的に注射するのがお勧めです。

ヒスタグロビン注射の禁忌

ショックの既往歴がある方、激しい喘息発作時の方、月経直前・期間中の方、妊娠中・妊娠の可能性がある方、著しく衰弱している方の5項目が禁忌です。ヒスタミン抑制効果が強いので、禁忌でない方にはオススメです。

ヒスタグロビン注射の注意事項

ワクチンとの間隔:ヒスタグロビンにはヒト免疫グロブリンが含まれるため、一部の生ワクチン(麻疹、風疹、水痘、おたふくかぜなど)と打つ時期に注意が必要です。生ワクチン接種後にヒスタグロビンを打つ場合は最低2週間以上、ヒスタグロビン接種後に生ワクチンを打つ場合は3~4か月あけるのが望ましいとされています。インフルエンザやコロナワクチンなどの不活化ワクチンは基本的に影響しません。

献血について:ヒスタグロビンを打ったことがある方は、ヒト由来成分(γグロブリン)が含まれるため、現在の日本赤十字社の基準では献血ができません。ヒスタグロビンによる感染症の報告は一切なく安全性には十分な配慮がなされていますが、現行の献血ルールに基づく措置です。

美白効果のある「スーパー白玉注射」も花粉症に効果的です。詳しくはブログ「花粉対策に『スーパー白玉注射』の”グルタチオン”が効果的です!」をご覧ください。


難治性の慢性蕁麻疹に:デュピクセント皮下注射(抗IL-4/13抗体療法)

花粉症と並んで、当院には蕁麻疹(じんましん)のご相談も多くいただきます。特に、原因不明で6週間以上症状が続く特発性の慢性蕁麻疹にお悩みの方に向けて、新しい治療選択肢をご紹介します。

特発性の慢性蕁麻疹とは

原因が特定できず(特発性)、毎日のように繰り返し蕁麻疹が現れる状態が6週間以上続くものを「特発性の慢性蕁麻疹」と呼びます。自己免疫疾患の一形態とみなされており、体内の免疫反応が自身の細胞を攻撃し、炎症を引き起こすと考えられています。赤み、腫れ、強いかゆみが繰り返し生じ、日常生活のQOL(生活の質)を著しく低下させます。

デュピクセント(一般名:デュピルマブ)とは

デュピクセントは、アトピー性皮膚炎治療薬として2018年に登場したヒト型抗ヒトIL-4/IL-13受容体モノクローナル抗体です。その後、適応が拡大され、特発性の慢性蕁麻疹にも保険適用となっています。

デュピクセントの作用メカニズム

デュピクセントは、アレルギーの炎症やかゆみに深く関与する2つのサイトカイン「IL-4」と「IL-13」の働きをピンポイントで抑制します。これにより、蕁麻疹の根本にある2型炎症反応(Th2細胞による炎症)を抑え、膨疹(ぼうしん)やかゆみを改善します。従来の抗ヒスタミン薬では抑えきれなかった、日常生活に支障をきたすほどの症状に対して高い効果が期待できます。

デュピクセントの適応条件(特発性の慢性蕁麻疹)

デュピクセント投与の条件

1. 特発性(原因不明)の慢性蕁麻疹であること(食物、物理的刺激等の原因が特定されないこと)

2. 抗ヒスタミン薬(H1受容体拮抗薬)の増量等の適切な治療を行っても、日常生活に支障をきたすほどのかゆみを伴う膨疹が繰り返し認められること

3. 12歳以上であること(成人は体重制限なし、12歳以上の小児は体重に応じた用量設定あり)

デュピクセントの投与方法

成人の場合、初回に600mg(300mg×2本)を皮下投与し、その後は1回300mgを2週間ごとに投与します。医師との相談のうえ、自己注射への切り替えも可能です。臨床試験では24週間の投与が行われており、24週を超えて継続する場合は効果を慎重に評価します。

デュピクセントの薬剤費の目安

投与 薬価 3割負担
初回(300mg×2本) 約107,318円 約32,196円
2回目以降(300mg×1本/2週ごと) 約53,659円 約16,098円

※2024年11月の薬価改定後の金額です。別途、初再診料、注射手技料等がかかります。

ゾレアとデュピクセントの使い分け

当院では、蕁麻疹に対してゾレアデュピクセントの両方に対応しております。特発性の慢性蕁麻疹に対してはいずれも保険適用がありますが、患者さまの症状の経過、既存治療への反応、IgE値、合併症などを総合的に評価し、最適な治療薬を選択いたします。

花粉症を合併されている方の場合、ゾレアであれば季節性アレルギー性鼻炎と慢性蕁麻疹の両方に効果が期待できるケースもあります。詳しくは診察時にご相談ください。


高額療養費制度のご案内 ~生物学的製剤の自己負担を軽減~

ゾレアやデュピクセントなどの生物学的製剤は高い治療効果が期待できる一方、薬剤費が高額になる場合があります。そのような場合に活用いただきたいのが高額療養費制度です。

高額療養費制度とは

高額療養費制度とは、1か月(暦月)にかかった医療費の自己負担額が一定の上限額(自己負担限度額)を超えた場合、超えた分が健康保険から支給される制度です。自己負担限度額は、年齢や所得に応じて設定されています。

70歳未満の自己負担限度額(月額)の目安 ※現行制度

所得区分 月額上限 多数回該当
年収約1,160万円~ 252,600円+(医療費-842,000円)×1% 140,100円
年収約770万~約1,160万円 167,400円+(医療費-558,000円)×1% 93,000円
年収約370万~約770万円 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 44,400円
~年収約370万円 57,600円 44,400円
住民税非課税 35,400円 24,600円

※「多数回該当」とは、直近12か月間に3回以上高額療養費の支給を受けた場合に、4回目以降の自己負担限度額がさらに下がる仕組みです。

具体的な活用例

たとえば、70歳未満で年収約370万~770万円の方が、同一月にデュピクセントの初回投与(300mg×2本)と2回目投与(300mg×1本)を受けた場合、薬剤費だけで約16万円(3割負担で約4.8万円)となります。検査料や診察料を含めると、1か月の自己負担が高額療養費の限度額を超える場合があり、超過分が払い戻されます。

また、デュピクセントのように毎月継続する治療の場合、多数回該当が適用されれば、4か月目以降の自己負担は月額44,400円(年収約370万~770万円の場合)まで軽減される可能性があります。

2026年8月~ 高額療養費制度の見直しについて

2026年8月以降、高額療養費制度の自己負担限度額が段階的に引き上げられる予定です。すべての所得区分で月額上限が4~7%程度引き上げられます。一方で、長期療養者への配慮として新たに「年間上限」が導入され、多数回該当の限度額は現行水準に据え置かれる方針です。最新情報は厚生労働省のウェブサイトまたは当院窓口でご確認ください。

高額療養費制度を利用する方法

事前申請(限度額適用認定証):加入している健康保険に事前申請すると「限度額適用認定証」が交付されます。医療機関の窓口に提示すれば、窓口負担が自己負担限度額までに抑えられます。マイナ保険証をご利用の方は、認定証がなくても窓口で限度額が適用されます。

事後申請(払い戻し):窓口で通常の自己負担額を支払った後、加入している健康保険に申請することで、限度額を超えた分が後日払い戻されます(通常2~3か月後)。

高額療養費制度やその他の医療費助成制度について、ご不明な点がございましたら、診察時にお気軽にお尋ねください。制度を上手に活用しながら、最適な治療をお受けいただけるようサポートいたします。

詳しくは以下もご参照ください。

厚生労働省:高額療養費制度について

デュピクセント 高額療養費シミュレーション(サノフィ)


大田区の子ども医療費助成制度

大田区では、お子さまの医療費助成制度(マル子・マル青)が設けられています。高校生相当年齢(18歳に達する日以後の最初の3月31日)までのお子さまは、保険診療の自己負担分が助成されます。お子さまの花粉症やアレルギー疾患の治療にもご活用いただけますので、詳しくは大田区のホームページをご確認ください。


日常生活でできる花粉症対策

花粉症の生活セルフケア

外出時:マスク・花粉症用メガネを着用。帽子の着用や、表面がツルツルした素材のアウターを選ぶと花粉の付着を減らせます。

帰宅時:玄関で衣服の花粉を払い、すぐに手洗い・うがい・洗顔を。可能であれば入浴・着替えも効果的です。

室内環境:空気清浄機を活用し、換気は花粉飛散の少ない早朝や深夜に短時間で行いましょう。洗濯物は室内干しを推奨します。

情報チェック:毎日の花粉飛散予報を確認し、飛散量の多い日(晴れて気温が高い日、風が強い日、雨上がりの翌日)は特に注意を。

体調管理:十分な睡眠、バランスの良い食事、適度な運動で免疫機能を整えましょう。睡眠不足やストレスは症状を悪化させる要因となります。


花粉症・蕁麻疹でお悩みの方へ

当院では、軽症の花粉症に対する内服薬・点鼻薬の処方から、重症・最重症に対するゾレア注射、アレルギー注射(ヒスタグロビン・ノイロトロピン・SNMC)、難治性の慢性蕁麻疹に対するデュピクセント注射まで、幅広い治療選択肢をご用意しております。

「毎年の花粉症がつらすぎる」「市販薬では全く効かない」「蕁麻疹が何か月も治らない」など、アレルギー症状でお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。患者さまお一人おひとりの症状や生活状況に合わせた最適な治療プランをご提案いたします。

こちらの記事もご覧ください:【2026年版】花粉症に効く漢方薬|眠くならない即効治療を日本東洋医学会所属医師が解説

こちらの記事もご覧ください:花粉症は「腸」で治す!免疫細胞の60%が集まる腸内環境改善の食事術




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Author: 五藤 良将