インフルエンザ流行と点鼻型ワクチン「フルミスト」について

インフルエンザ流行と点鼻型ワクチン「フルミスト」について

2025年10月現在、東京都内ではインフルエンザの流行が始まっています。東京都感染症情報センターによると、最新の定点報告数は平均で1.96と流行開始の目安である1.0を超えました。港区は3.22と都平均より高く、今後さらに患者数の増加が予想されます。

■ フルミストとは
フルミストは経鼻投与する生ワクチン(LAIV)で、2023年に日本で承認されました。2024/25シーズンから本格的に導入されています。
鼻にスプレーするだけで接種でき、痛みが少なく、特にお子さんに受けやすいのが特徴です。鼻の粘膜で局所免疫を作る仕組みを持っています。
フルミストは経鼻投与する生ワクチンで、鼻粘膜に局所免疫(IgA)を誘導する特性があります。注射型ワクチン(不活化ワクチン)とは免疫の仕組みが異なりますが、大規模な比較研究では「注射型ワクチンと比べても劣らない(非劣性)」ことが示されていますStuurman 2025, Garai 2024)。

■ 対象と接種回数
対象は2歳以上19歳未満です。
接種はシーズン中1回のみで、初めての接種でも1回で終了します。

■ 禁忌(絶対に接種できない方)(Immune responses after live attenuated influenza vaccination
・重度の免疫不全の方(白血病、抗がん剤治療中、移植後など)
・妊娠中の方
・ワクチン成分(卵やゼラチンなど)でアナフィラキシーを起こしたことがある方
・重い急性感染症や高熱がある方

■ 推奨されない方(注射型を選んだ方がよい方)
・喘息がある方(特に2~4歳で喘鳴の既往がある場合、5歳以上でもコントロール不良の場合)
・免疫抑制治療中の方
・同居家族に重度の免疫不全者がいる場合※このように、禁忌は限られており、よほどのことがなければ接種は可能です。

■ 抗インフルエンザ薬との関係
抗インフルエンザ薬を使用するとフルミストの効果が弱まる可能性があります。
オセルタミビル(タミフル)、ザナミビル(リレンザ):接種前48時間以内、接種後2週間以内は避ける
ペラミビル(イナビル点滴):接種前5日、接種後2週間以内は避ける
バロキサビル(ゾフルーザ):接種前17日、接種後2週間以内は避ける

■ 副反応
主な副反応は鼻水、鼻づまり、軽い咳、微熱などです。いずれも一過性で数日以内に軽快します。ごくまれにワクチン株が鼻腔から検出されることがありますが、弱毒化されたものであり、健康な方に問題を起こすことはありません。


■ まとめ
東京都ではすでにインフルエンザ流行が始まっています。
フルミストは2歳から19歳までが対象の点鼻型ワクチンで、注射型と同様に有効な予防手段です。
禁忌は重度の免疫不全や妊娠、重いアレルギーなどに限られています。
喘息や免疫抑制治療中の場合は注射型を選ぶのが望ましいです。
抗インフルエンザ薬との併用には注意が必要です。

当院では注射型・点鼻型どちらも接種可能です。患者さんの体質や生活状況に応じてご相談ください。当院のインフルエンザワクチン含むWEB予約は【こちら】をご参照ください。お待ちしております。

Author: 五藤 良将