【2025年4月 最新版】百日咳が異常流行中!

家族全体でのワクチン接種が、赤ちゃんを守る第一歩です

こんにちは。竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。

現在、日本全国で「百日咳(ひゃくにちぜき/Pertussis)」の感染が急激に拡大しています。
2025年4月15日付の報道によると、4月6日までの1週間で722人の患者が確認され、2週連続で過去最多を更新しています。


患者の多くは10歳未満の子どもで、特に生後6か月未満の乳児では重症化のリスクが高いとされており、非常に深刻な状況です。

当院でも、百日咳の感染を防ぐために、小児の五種混合ワクチンの定期接種はもちろん、成人向けの三種混合ワクチン(百日咳・ジフテリア・破傷風)接種を積極的に呼びかけています。
家庭内感染を防ぐには、大人の接種がカギになります。


【百日咳とは?】

百日咳は「ボルデテラ・パータシス(Bordetella pertussis)」という細菌によって引き起こされる感染症です。
最初は風邪のような症状から始まり、次第に「コンコンコン…ヒューッ」といった特徴的な咳発作に移行します。咳は夜間に悪化し、数週間から3か月近く続くこともあります。

特に注意すべきは乳児への感染で、肺炎や無呼吸、けいれん、脳症などに至ることもあり、命に関わるケースも報告されています。


【今、なぜ百日咳が増えているのか?】

近年の急増の背景には、以下のような要因があります:

  • コロナ禍で百日咳への集団免疫が低下(感染予防で接触機会が減少)
  • マクロライド系抗菌薬が効かない耐性菌の出現
  • 大人が無症状・軽症のまま子どもにうつす“家庭内感染”の増加

つまり、「子どもが最も被害を受ける一方で、感染源は主に大人」であるというのが現在の実態です。


【小児への対策:五種混合ワクチンを確実に】

当院では、生後2か月から始まる「五種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)」による定期接種を実施しています。
2024年より制度が変更され、従来の四種混合+ヒブワクチンが一本化されました。

標準的な接種スケジュール:

  • 1回目:生後2か月
  • 2回目:生後3か月
  • 3回目:生後4か月
  • 追加接種:12〜18か月

ご不明な点は、接種スケジュールのご相談からお気軽にどうぞ。


【成人・小児への百日咳対策:三種混合ワクチン(完全予約制)】

百日咳は、乳児にとって命に関わる重篤な感染症です。特に生後3ヶ月未満でワクチン未接種の乳児が感染すると致命率が高く、感染源の多くは両親や兄弟など同居家族の成人・小児です。
そのため、家庭内感染を防ぐには周囲のブースター接種が非常に重要です

当院では、5歳以上の方に対して以下のワクチン接種を行っています。


① トリビック®(Tribiq®, MSD社製/国内承認)

  • 【対象】5歳以上で、幼少期にDPTワクチン(定期接種)を完了している方
  • 【特徴】日本で承認されたブースター用三種混合ワクチン(百日咳・ジフテリア・破傷風)です
  • 【費用】6,600円(税込)

② Tdapワクチン(Boostrix®など/輸入ワクチン)

  • 【対象】5歳以上(特に留学・全寮制の入学要件や海外渡航前の予防として推奨)
  • 【特徴】米国CDC推奨。成人・小児兼用ブースターとして広く使用されている三種混合ワクチンです
  • 【注意】輸入品のため完全予約制・在庫限り
  • 【費用】11,000円(税込)

【赤ちゃんを守るために家族みんなで「キャッチアップ接種」を!】

  • 小学校入学前の5~6歳
  • 小学校高学年~思春期(11~12歳
  • 育児中のご両親(20~40代)

上記の方々には百日咳ブースター接種を強く推奨します。


【参考資料・根拠】


【接種をご希望の方へ(完全予約制)】

いずれのワクチンも完全予約制での対応となります。
特にTdapワクチンは輸入製品のため、流通状況によってはお待ちいただく場合があります

ご予約・お問い合わせ:03-3721-5222


【まとめ】

百日咳は「かつての病気」ではなく、今まさに全国で異常流行中の感染症です。
そして、赤ちゃんを守るためには、家庭全体での対策が必要です。

  • 小児への五種混合ワクチンの定期接種
  • 大人への三種混合ワクチン(ブースター)接種
  • 留学・海外赴任を控えた方の準備

当院では、小児・成人どちらの接種にも対応しております。
ご家族全体の健康を守るために、ぜひこの機会にワクチン接種をご検討ください。

以下、このブログもアップしましたのでご参照ください。
【 【SmartNews掲載】「百日咳で乳児が亡くなる現実」を知っていますか? 】

Author: 五藤 良将